2017年10月04日
選挙 その NO-4 小池希望も安倍自民も嘘ばかり 壮大な茶番劇のウラを読む
これも長くなります。が、こういう視点もあるのです。
こうなりかねない(C)共同通信社
日刊ゲンダイDIGITAL2017年10月3日
小池希望も安倍自民も嘘ばかり 壮大な茶番劇のウラを読む
まともな有権者ほど、閉口している。今度の解散・総選挙ほど、出世欲と支配欲をムキ出しにした権力闘争のおぞましさを見せつけられたことはない。安倍首相VS小池都知事という独裁気質に満ちた者同士の醜悪な争いを、メディアも朝から晩まで無批判にハシャギ立てるだけ。投票日まで、あと20日近くもあるのに、もうウンザリな人々も多いはずだ。
何しろ、安倍自民も小池希望もウソばっかり。どちらも口からデマカセで有権者をけむに巻き続けているのに、メディアは一切、目をつぶったまま。国民不在で私欲にまみれた政争をあおっているだけだから、どうしようもない。
そもそも安倍が解散の“大義”にブチ上げた「消費税増税の使途変更」からして偽りだらけだ。本来なら国の借金返済に充てる分を少子高齢化対策に回したい、だから、国民の信を問う――安倍はそう吠えていたが、有権者にすれば寝耳に水の話である。
なぜなら安倍政権は、消費税の増税分は全額社会保障費に使うと明言してきたからだ。2014年4月に8%へと引き上げた際には政府広報で発表。増税延期を国民に問うた同年12月の総選挙では自民党の公約に〈全てを確実に社会保障に使(う)〉とハッキリ記していた。古くは民主党政権時代の「3党合意」によって消費税増税が決まってから、有権者はそう刷り込まれてきたのだ。
■真っ赤なウソの上塗りに力貸す異常な寛大
今さら安倍が「国の借金返済に充てる」と白状するとは、国民への重大な裏切りだ。自民の選挙公約が「真っ赤なウソ」だったと証明されたのに、なんとまあ、メディアの寛大なこと。
大新聞はこぞって、「5%から10%への引き上げの中で社会保障の充実に回されるのは1%分」「残り4%分は社会保障制度を安定化させるためとして国の借金返済などに充てられる」ともっともらしく解説。安倍自民のウソの上塗りに協力するとは、救いがたい国民への“造反行為”だ。政治学者の五十嵐仁氏はこう言う。
「大体、安倍自民党が選挙公約を守ったことなどあるのですか。12年、14年の総選挙ともアベノミクスの経済成長路線で有権者をけむに巻き、選挙が終われば“ハイ、それまでヨ”。選挙でほとんど触れなかった特定秘密保護法や安保法制、共謀罪法などの憲法破壊に邁進したのです。今度こそ安倍政権は選挙公約で民意を問うという“これからの話”より、国民を欺き続けた“これまでの話”について有権者の判断を仰ぐべきです。憲法に基づく臨時国会召集要請を3カ月も無視し、“もり・かけ”疑惑の追及から逃れる。1強体制にあぐらをかいて国政私物化の限りを尽くした揚げ句、大義なき解散に打って出る。はたして政策以前に安倍首相たちは国政を任せるに値する人物なのか。こうしたアベ政治の在り方こそ、メディアは争点にすべきです」
北朝鮮の脅威に便乗して暴政をチャラにする安倍の猿芝居解散の片棒を、メディアは担いでいる場合ではない。
口からデマカセなら、小池も負けていない。先月25日に希望の党結成、党首就任の発表会見で、小池は「原発ゼロを目指す」と表明。その日のうちに小泉元首相と会談する手際の良さで、リベラル層にも脱原発のイメージを植えつけ、メディアも大々的に報じた。
小池の原発ゼロ宣言に民進のリベラル派も油断したのか、28日の解散直後に希望への事実上の吸収を決めてしまった。すると、小池は「30年ゼロに向けた工程表を作る」とし、脱原発はトーンダウン。
12年以上も先の約束に有権者は戸惑うだけだが、さらに小池が民進候補に踏ませた「排除」の踏み絵は「改憲」に「リアルな安保」と本性ムキ出し。民進候補と交わした政策協定書には「原発ゼロ」は一切書かれていない。たった1週間で「原発ゼロ」は、もはや後景に退いている。
自民党時代に小池が「脱原発」を唱えたことはないし、むしろ福島原発事故の数カ月後に再稼働の工程表を作れと主張したという。かつて「核武装も選択肢として検討する余地もある」と発言したタカ派の“女帝”が、脱原発にどこまで本気かは疑わしい。つまりは単なる人気取りである。
小池は、安倍の“腹心の友”の加計学園疑惑を念頭に「お友達関係でやっている間は(国家戦略)特区の意味がない」「そうしたしがらみの中での改革は改革とは言わない」と痛烈に批判していた。ところが、小池は希望と大阪維新の選挙区のすみ分けを決めるなど、維新代表の松井一郎大阪府知事と手を組んだが、この2人を引き合わせたのは、あの竹中平蔵だと報じられた。
竹中は安倍に国家戦略特区を提言した発案者であり、現在も特区諮問会議のメンバー。加計学園の獣医学部新設の経緯について、「一点の曇りもない」とコメントした“ミスター特区”に、松井との会談をセットしてもらうとは、小池も安倍の「お友達関係」と同じ穴のムジナ。世話になっておきながら、よくぞ「お友達」を批判できたものだ。安倍も真っ青の典型的な二枚舌である。
■本当の構図は「戦争できる国」VS「できない国」
「日本を代表する新自由主義者の竹中氏の暗躍には、希望の党の背後に米国の軍産複合体、新自由主義の人々と日本とのパイプ役、別名ジャパンハンドラーの意向が垣間見えます」と分析するのは、元外務省国際情報局長の孫崎享氏だ。こう続ける。
「ジャパンハンドラーの多くは米大統領選で、トランプ非難の声明を発表。まさかのトランプ政権誕生で完全に干されてしまった。彼らにすれば、トランプべったりの安倍政権の継続は都合が悪い。そこで支持率急落を機に、新たな保守グループ結成の支援に動いたのではないか。小池都知事や長島昭久氏、細野豪志氏、前原誠司氏ら新党の仕掛け人は、ジャパンハンドラー訪日のたび、しばしば会談。極めて強い結びつきを持っています。希望は党規約に、コンプライアンスやガバナンスの構築を統括する『ガバナンス長』の設置を盛り込みましたが、とても日本人の発想とは思えない。ジャパンハンドラーが意のままに操れる保守勢力として、小池氏らに白羽の矢を立てたと思わざるを得ません」
希望の誕生には、今後の日本の在り方を左右する国際謀略が渦巻いている可能性がある。
それなのに、メディアは“三下”の若狭勝氏のケツを追いかけ回している場合なのか。「次の次」のシロウト発言を垂れ流し、「希望が政権交代できる議席に達するようなら小池は出馬、無理なら出ない」などと無批判に解説できるものだ。
「ジャパンハンドラーの狙いは、恐らく『リアルな安全保障』を重視する希望・維新・自民の連携です。場合によっては9条改憲に慎重な公明を外し、新たな枠組みで衆院の3分の2を確保し、改憲を発議させる。米軍と一体化した戦争国家への大連立を樹立させたいのではないでしょうか」(孫崎享氏=前出)
もっと言えば、松井知事は蜜月関係の菅官房長官には事前報告するなど「仁義」を切った上で、小池との連携会見に臨んだという。自民、希望、維新は裏で“握っている”と見るのが妥当だ。
「メディアは『安倍VS小池』の政権選択などと騒いでいますが、有権者は惑わされてはいけません。自民と希望は憲法観も安保政策も完全に一緒。この選挙の本当の構図は、タカ派の『自民・希望・維新』VSリベラル派の『立憲民主・社民・共産』の最終バトルです。このまま、日本が戦争できる国になっていいのか。この構図を絶対に見誤ってはいけません」(五十嵐仁氏=前出)
不毛な「右右選択」の裏の謀略にそろそろ気付かなければ、有権者がこの国を誤った道へと導くことになる。
タグ:選挙
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