伊豆山神社(いずさんじんじゃ)は、静岡県熱海市伊豆山にある神社。全国各地に点在する伊豆山神社や伊豆神社、走湯神社(そうとうじんじゃ、はしりゆじんじゃ)などの起源となった事実上の総本社格である。伊豆国に配流の身となっていた源頼朝が、源氏の再興を祈願したと伝わり、頼朝からの崇敬が厚く、また頼朝と妻・北条政子の逢瀬の場であったとも伝わる。
伊豆山神社本殿
呼称
古くは以下の名で呼ばれた。
伊豆山権現(いずさんごんげん)
伊豆大権現(いずだいごんげん)
伊豆御宮(いずおんみや)
伊豆山(いずさん) - 略称。
走湯権現(そうとうごんげん、はしりゆごんげん)
走湯大権現(そうとうだいごんげん) - 麓の海岸に点在した温泉・間歇泉に由来し、推古天皇3年(594年)に朝廷から贈られた名とされる。
走湯山(そうとうざん)- 伊豆山の別称。
歴史
古代
創建の年代は不詳だが、社伝によれば孝昭天皇の時代(紀元前5世紀〜紀元前4世紀)とされ、当初は、日金山山頂にあったと伝わる。日金山は十国峠とも呼ばれ、箱根外輪山から南に続く尾根(標高765m)で古くからの信仰の地で、日金山の東光寺で祭祀がおこなわれていたとされ、東光寺の寺伝では、推古天皇の頃、走湯権現の神号を賜ったとある。その後、本宮山(現在地より後方の山)に移り、承和3年(836年)に賢安と称する僧により現在地へ遷座されたと伝わる。日金山は、中世以降、伊豆山権現(現・伊豆山神社)と箱根権現(現・箱根神社)を結ぶ信仰の道の要所として知られる。
仁徳天皇が勅願所とし、以後、清寧天皇、敏達天皇、推古天皇、孝徳天皇、後奈良天皇の勅願所となったと伝わり、後奈良天皇は自筆の紺紙金泥般若心経 一巻(国の重要文化財)を当社に奉納している。
修験道の始祖とされる役行者・役小角が文武天皇3年(699年)に伊豆大島へ配流されたおりに、島を抜け出し伊豆山などで修行していたが、そのさいに伊豆山海岸に湯煙りが上がるのを目にし、走り湯を発見したとされる。役行者は、その湯に千手観音菩薩を感得し、「無垢霊湯、大悲心水、沐浴罪滅、六根清浄」という功徳を授かったという伝説があり、その湧き出る霊湯「走り湯」を神格化したのが走湯権現とされる。また、空海が修行した伝承もあり、多くの仏教者や修験者が修行を積んだ霊場であった。現・社殿から本宮への山道は、かつての修験道の行場であったと伝わる[6]。後白河法皇勅撰の「梁塵秘抄」には「四方の霊験者は伊豆の走湯、信濃の戸穏、駿河の富士山、伯耆の大山」と記されている。
頼朝・政子図柄の御朱印
中世・近世
源頼朝は平治の乱の後、伊豆国に配流されたが、当社で源氏再興を祈願したとされ、頼朝からの崇敬が厚く鎌倉幕府を開くと、関八州鎮護と称え多くの社領を寄進したとされ、以降、東国の守護神として絶大な信仰を集め、歴代将軍や幕府要人が伊豆山神社(伊豆山権現)と箱根神社(箱根権現)を「二所権現」とし「二所詣」が行われた。また源頼朝と妻・北条政子の逢瀬の場であったとされ、境内に頼朝・政子腰掛石が残る。
南北朝時代の「寺領知行地注文」によれば、遠くは越州に至るまで数多くの知行地を所有したとされるなど、この時期、当社が最盛期を迎えていたことがうかがわれる。戦国時代、小田原の北条氏の篤い崇敬を受けたが、豊臣秀吉の小田原征伐で焼失した。江戸時代に入ると山麓の阿多湊(または阿多美の郷)が湯治場として名高くなり、徳川家康はじめ多くの大名や文化人たちが訪れた。焼失していた当社は再建され、江戸幕府からは文禄3年伊豆国加増も葛見郡のうち二百石を、慶長14年には関ヶ原の戦いでの勝利の礼として百石を、それぞれ朱印領として寄進され、以後、代々の将軍からも同様に寄進を受けた。
高野山真言宗の古刹の般若院が別当寺だったが、明治維新での神仏分離令により寺が分離され、伊豆山神社と称されるようになった。
木造伊豆山権現立像(静岡県熱海市・走湯山般若院所蔵、重要文化財)。この像は近世まで伊豆山神社に祀られていたが、神仏分離後に般若院へ移された。
近代
大正3年(1914年)1月13日、皇太子であった昭和天皇が当社に参拝、本殿脇に黒松一株を手植した。大正7年(1918年)、宮内省から金参万円を支給される。
昭和3年(1928年)の昭和天皇御大典の際に国幣小社に列し、秩父、高松、久邇、伏見、山階、賀陽、東伏見の各宮家から金壱封を、梨本宮家からは日本刀一口及び槍一筋、祭祀料の寄進を受けた。
第二次世界大戦後に社格制度が廃止されて以降は別表神社とされ、宗教法人化された。
1980年(昭和55年)9月12日、浩宮徳仁親王が参拝する。また、同年、童画家黒崎義介が拝殿の天井画390枚を奉納した。
昭和天皇御手植の黒松
祭神
伊豆山神として以下の4柱を祀る
火牟須比命(ほむすびのみこと)
天之忍穂耳命(あめのおしほみみのみこと)
拷幡千千姫尊(たくはたちぢひめのみこと)
瓊瓊杵尊(ににぎのみこと)
参道石段
縁結び祈願用の♡鳥居
頼朝・政子腰掛石
祭事
年間主要催事。
2月3日 - 節分祭
4月14日〜16日 - 例大祭(4月15日を中心に4月14日〜16日)
4月14日 - 宵宮祭(20時〜)
4月15日
例大祭神事(10時〜) - 神女舞、実朝の舞
神幸祭(13時〜) - 発輿祭、神幸行列
下宮祭(14時〜) - 神女舞、実朝の舞
4月16日
正殿祭(10時〜) - 神女舞、実朝の舞
11月第1日曜日 - 温泉感謝祭
交通
JR熱海駅からバス・伊豆山神社行、又は七尾行。伊豆山神社前下車。石段170段を登ると境内。
所在地 本宮:静岡県熱海市伊豆山1083
本殿:静岡県熱海市伊豆山708-1
位置 本宮:北緯35度7分19.4秒 東経139度4分24.6秒
本殿:北緯35度6分55.9秒 東経139度4分56.7秒
主祭神 火牟須比命
天忍穂耳尊
拷幡千千姫尊
瓊瓊杵尊
社格等 式内社(小)論社
旧国幣小社
別表神社
創建 孝昭天皇治世
例祭 4月14日、4月15日
4月16日
2023年06月06日
この記事へのコメント
コメントを書く
この記事へのトラックバックURL
https://fanblogs.jp/tb/12021021
※ブログオーナーが承認したトラックバックのみ表示されます。
この記事へのトラックバック