リケジョ+戦略コンサルタント＝絶賛迷走中

同じような仕事をしている女性とは、仕事の悩みでいつも話が弾む。
それが生産的かと言われると困るが、他にわかってくれるところがあまりないため、やはり気づけば話題が愚痴と化していることも多い。

今回はほとんど聞き役だった。
確かに判る、そういう悩みあるある！　と思った一方、冷静に考えてみると、何か引っかかる部分があったので整理してみることにした。

働く女性の悩みポイントは大体3つのどれかに当てはまることが多い。
�@恋愛、結婚
　恋愛結婚したい。でも、忙しくて恋愛できない。やっと恋愛しても今度は家事をやってくれない彼氏or夫がだんだんお荷物になってくる。
　そういう流れを経て、結婚が決まった時に自分のキャリアが終わったと実感する女性は結構多い。

�A出産・育児
　いつ産めばいいのか、そもそも計画通りに生まれてくれるのか、その子供を立派に育てるにはどうすればいいのか。
　そんなことを考えていたら、自分一人では制御できない変数が多すぎて、もう頭がぐちゃぐちゃになってしまう。最近は支援体制も厚くなっており、長時間労働忌避の気配もあって、仕事の時間のマネジメントはやりやすくなっている。それでも子供を突発的な問題が起こったときにどこに預けるか…の預け先の確保のために徹夜したという先輩がいる。

�B出世
　どこまで昇進できるものか、という点は男女関係なく不安だと思う。
　が、出産という事象を絡めた場合には、女性の深刻度はおそらく男性の想像を超える。なにしろ、出産後しばらくは昇進を望めない。すると、どうしてもある時期までの昇進が必要に思えてきて、それに間に合わないとこの会社ではもう働けないと見切りをつけてしまう。

どの話も、自分一人の努力ではどうにもならない、というのが悩みのポイントだ。
大体、コンサルタントを目指す女性は高学歴なので、学生の時は自分でうまく切り抜けられたのにと考えてしまう。

そんなにうまくいっていた時代があるなら、その時の通りに振る舞えばよいのではと思い、私は自分の学生時代を思い出した。
当時の私は、結婚も出産も家事育児の制約もなく、自由に時間を使って研究で成果を出すぞと張り切っていた。学生なので研究の結果によっては褒められるし学会で発表することもあるけれど、退学を心配したり、出世についてやきもきすることもない。
今の私に当てはめると、別に恋愛に興味はなく自分一人の面倒だけを見ていれば、後は自由に時間を使って仕事に打ち込める。ただしこの仕事は最低限こなしていれば給料の支払いに支障はなく、解雇の心配はないのに頑張ればご褒美の出張や発表の機会が与えられる。特別な職位なので昇進はない、ということになる。
物事をうまく切り抜けられる余裕があって然るべきだったと思う。

こうして考えると、働く女性の悩みというのは、はじめからキャパ越え前提なのだと思う。
学生時代よりもっと自分に多くの期待を課しているということに、少し無自覚なような気もしている。
欲張りは悪いことではなく、初めから諦めないためにも、周囲の協力を得るためにも、自分の望みを明確に持っていていいと思う。周囲の協力も得て、実際にすべての望みを叶える人はたくさんいる。でもそれを難しいと本当はわかっているから、キャリア形成における支援者の11の役割分担で紹介したように、ロールモデル潰しが行われるのではないか。

繰り返しになるが、理想のキャリアと私生活を思い描くときは欲張っていいと思う。しかし、仕事も恋愛も出産も子育てもなんて、どう考えてもキャパシティを超えている。少なくとも私は完全にキャパ越えで、周囲の協力と運がないと絶対うまくいかない。全部の望みが叶うのがもちろん理想だ。運まで味方につけると思ってポジティブに動きたい。だが、必要なのは、運が悪くて物事がうまくいかなくなったとき、何を諦めて何は手元に残すかという、物事の優先順位だと思う。

思い描いていたことと違う事態に陥れば、誰だってストレスを感じる。
仕事で培ったストレス耐性と頭の回転で、すぐに次のうち手を模索できる。そこまでできたらいいなと思う。