2019年05月02日
女性メンターのジレンマ
女性活用の文脈で、よく、メンター制度を目にするようになった。
例えば、女性社員の活躍を推進するための「メンター制度導入・ロールモデル普及マニュアル」では下記のように説明されている。
メンター制度とは、豊富な知識と職業経験を有した社内の先輩社員(メンター)が、後輩社員(メンティ)
に対して行う個別支援活動です。キャリア形成上の課題解決を援助して個人の成長を支えるとともに、職場内
での悩みや問題解決をサポートする役割を果たします。
女性の管理職登用が少なかった時代は、男性社員の悩みの女性社員が答える、という構造に否が応でもなっていた。だが、女性の管理職登用が増えた今、オフィシャルなメンター制度を持つ会社は、もっといいメンターを女性社員に割り当てることができるのでは? と考え始めた。
そして、女性の管理職社員を、女性のジュニアな社員のメンターに指名したのである。
日本総合研究所の調査では、就業している女性(546人)のうち、管理職への登用を希望しない人が86%を占めるという。パソナキャリアカンパニー調査では、リーダーとして働く女性の悩みについて聞いていて、「お手本となる女性リーダーが身近にいない」が38%でトップだったとか。
個人的な印象になるが、新卒採用の時、女性の内定者の方々にお会いしていると、「女性社員がいる環境なのが嬉しい。女性がいないという不安」はかなりよく出るコメントだという印象だ。
こうした声の中、会社が女性管理職を、女性の新入社員のメンターにしよう! と考えるのは、自然なことで、会社として女性登用に積極的な姿勢を見せている、と言える。
でも、ちょっと待ってほしい。
少なくとも私の周りでは、女性がメンターについた人は、みんな、3年またず転職していった。
離職率の高いことで有名なコンサル業界の一角の話だ。別に3年立たずやめていく人なんて、いくらでもいる。たまたま、私の周りがというだけかもしれない。
でも、冷静に考えてみてほしい。
なぜ、女性活用にメンター制度が注目されているのか。
得意不得意、個人差はあれど、”女性”という特性が、キャリア形成上の課題を何か生み出している状況だからではないのか?
特にコンサルティング・ファームだから、キャリア形成に世渡りのうまさならぬ、社内渡りのうまさが響く。
コミュニケーションのプロトコルが、権力のある人々と少し違ってしまうと、キャリアの端っこを、ぎりぎり道から落ちてしまわないように走っている状態になる。そんな人がメンターをして、次代の女性社員が本当に育つのか疑問に感じる。女性管理職に男性社員をメンティーとしてつけているという話も私の周りではない。男性社員には男性管理職がメンターについている。
今いる女性管理職が、10年後に会社の50%、とはいかなくても、その半分の25%ぐらいの役員クラスを占めていたら、問題ない。今は端っこと思われている道も、まあまあ安全な普通の道に踏み固められている。でも、会社がそこまでの覚悟を決めていなければ、マミートラック2.0になるのだろう。
女性活用のはずのメンター制度が、女性のキャリア形成を偏らせてしまうかもしれない。
女性を制度的に固めておいて、「女性は群れるから」という人もいる。
いい制度のはずなのに、なんだか罠っぽく感じる。これがジレンマなのだろうか?
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