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2016年03月19日

アガサ・クリスティからG (そして誰もいなくなった#その1=プロローグ)


アガサ・クリスティを書こうと思ってから、私は まずオープ二ングを飾る作品とラストを飾る作品を考えた。

その際に思いついたオープ二ングを飾るのは、私の中では迷いもなく(ABC殺人事件)であった。
そしてその通り、私は、(ABC殺人事件)の作品から初回を書いていった。

ラストに浮かんだのは、アガサ・クリスティの作品として有名過ぎるほどに有名な(そして誰もいなくなった)、もしくは、アガサ・クリスティ自身がラスト用にと長年温めていた(カーテン)であった。

甲乙付けがたいラストの候補だったが、アガサ・クリスティの作品を少しづつ書き始めてから、やはりラストは
作者自身がラストと決めていた(カーテン)なのだろう。と思い至った。

今回は、ラスト用にと保存していた(そして誰もいなくなった)に着手しようと思う。

アガサ・クリスティの作品群の中でも かなり有名かつ斬新なトリックのある作品=アガサ・クリスティらしさを追い求めて、(ABC殺人事件)(アクロイド殺害事件)(オリエント急行殺人事件)と書いて来た。
次にどこに行こうかと思った時に勝るとも劣らない作品(そして誰もいなくなった)に行き当たったのだ。

実はアガサ・クリスティは、随分魅力のある作家なので、推理小説の中でもトリックやアリバイ以外の切り口も沢山引き出しが見つかる程である。

例えば最初にも少し書いたが、彼女の作品には当時の文化が織り込まれていたので、衣食住始め身分や階級や職種に見受けられる事柄などの引き出しもある。
また考古学者と再婚した彼女らしい異国情緒溢れる当時の外国の状況や風景。

image.jpeg

戦時中、アガサ・クリスティも働いていた戦時下の仕事を通じて感じたことがヒントとなったようなスパイ小説の系列。
人間を描くのが、上手だったアガサ・クリスティの推理小説の中の恋愛、結婚模様。などなど数え挙げたらキリがない位の魅力が作品の中にいっぱい詰まっているのだ。

次にどこに着地点を見出し書いて行こうかと考えていた時に 迷う程に多岐多様な道がアガサ・クリスティの作品の中にはいっぱいあるのだが、それは おいおい着手することとした。
やはり、まだまだ推理小説の王道であるトリックやアリバイなどに関するところに焦点を当てるべきであろうと考えた。

もちろん推理小説の醍醐味を阻害しないよう、ネタバレしないこのブログでは ”なぞなぞ”のヒントのようにしかならないが、それも楽しんで頂けたら幸いである。

前置きが長くなったが、(そして誰もいなくなった)である。

まず前述3冊の単行本と見比べると、(そして誰もいなくなった)の方は本が薄い。
つまりページ数は少ないのだ。
しかし内容は、この3冊をある意味軽く超えるかも?知れない。

アガサ・クリスティの国内外の人気作品投票では、常に1位から3位以内に推移している程の作品である。
また人気作品の順位のみならず、1995年のアメリカ探偵作家クラブ「史上最高のミステリー小説100冊」の本格推理もののジャンル中、堂々の第1位を誇る作品でもある。

上述で、アガサ・クリスティの推理小説には色々な引き出しが見受けられると書いたが、内容は上述以外にも まだまだあった。

そのひとつは、マザー・グースをモチーフにしていることである。

image.jpeg

また改めてこの点での切り口でも、作品について書いてみたいと思うが、(そして誰もいなくなった)にも有名なマザー・グースが事件の中で大きな意味を持っていた。

因みにマザー・グースとは、イギリスやアメリカ中心の英語圏に伝承されている童謡のようなもの。
日本のカゴメカゴメに見受けられるような不思議な少し不気味な残酷さも感じられる童謡の世界なのだ。

image.jpeg

(そして誰もいなくなった)に流れているマザー・グースは「10人のインディアン」。

歌詞の内容は、10人いたインディアンが様々な理由で1人づつ減っていき、最後の1人もいなくなり、最後は誰もいなくなるというものだった。

因みに初期はニガーという黒人差別用語が原題の一部だったが、後に差別表現を避け、その部分をインディアンにしたといわれている。
(アガサ・クリスティからHに続く)





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