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2017年01月27日

アガサ・クリスティから (96) (ミス・マープルと十三の謎*アスターテの祠ー16)







(ミス・マープルと十三の謎*アスターテの祠ー16)




すべての目が、牧師であるペンダー博士の方に向けられた。

「この悲劇の5年後に、私は真相を知りました。」
博士は説明し出した。






エリオット・ヘイドンから、牧師であるペンダー博士に手紙が届いたらしい・・・。






彼の話を要約すると、こうである。

・・・その手紙には、牧師があれから、ずっとエリオットを疑っていたと思っていたようだった。
エリオットの手紙には、あの時は魔がさしたんだと、書いてあったとのこと。

そして、その動機は・・・

実はエリオットもダイアナ・アシュレイを愛していた・・・しかし、たかが貧乏な法廷弁護士ではどうにもならなかったのだ。
彼はリチャードを亡き者にして、その称号と財産を相続すれば、素晴らしい将来が自分の前に開けると考えたらしい・・・いとこのそばにひざまずいた時、短剣はベルトからはずれ出ていた・・・その時はもう考えるいとまもなく、いとこをいきなり、それでいとこを刺し、そしてまた皮ベルトに戻したのだった。
彼は疑いを自分からそらせるために、あとで自らわが身を短剣で刺したのだ・・・しかし、そこまでして彼が犯した罪は、予想に反して、彼にとってはなんの得にもならなかった。

彼はそうした内容の手紙を牧師宛てに、南極探検に出発する前夜に書き送ったのだ・・・
再び、生きて帰れない場合を考えて、と彼は書いていた。







「帰ろうというつもりはなかったのだと私は思っています。
彼はこうも記していました・・・【五年の間、ぼくはまるで地獄の苦しみを受けていました。せめて立派な死に方をして私の罪を償おうと思っています。】と書いていました。」






牧師の話の後、皆は、しいんとなっていた。





(次号に続く)




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