2018年04月30日
ストレリチア・ユンケアの魅力と育て方(栽培法)
1.はじめに
ストレリチアにはいくつか種類があるが,公園の植栽などでよく見かけるストレリチア・レギネについては,ちょっと前の記事で紹介した(詳細は→こちら),今回は,同じストレリチアの仲間から,葉がほとんど無く棒状の軸だけになっている,ストレリチア・ユンケアを紹介しよう
2.ストレリチア・ユンケアの来歴や性状
ストレリチア・ユンケアはストレリチア・レギネと同じく,南アフリカ原産の常緑多年草である,より乾燥地帯に分布を広げるためだろうか,葉と言えるような部分が無く,軸だけが立ち上がっている,日本では,ほとんどが鉢植えの観葉植物として流通しているが,地植えでの栽培も可能である
呼び名がユンケアではなくジャンセアと記載される場合もあるが,学名のStrelitzia junceaの「juncea」を,どう発音するかの違いで同じ植物である,園芸的にはストレリチア・ノンリーフと呼ばれる場合もある,英語圏ではナロー・リーフ・バード・オブ・パラダイスなど多くの呼び名がある
ストレリチア・ユンケアは,ストレリチア・レギネと同じ種とされたこともあるようだが,1974年に,南アフリカのプレトリア大学のHendrik Albertus van de Venter博士が,両種には遺伝的な違いがあること,またこの2つの種の雑種と思われる,中間体が存在することを明らかにしている
3.ストレリチア・ユンケアの葉先の形状について
ストレリチア・ユンケアには葉先に小さい葉がついてるものがあるが,これは幼形(人間で言えば子供)である,通常ストレリチア・ユンケアは種から育てるが,株が若いうちは,どんどん成長するためだろうか,ちょっと葉がついている,その後成長に伴い葉は小さくなり,最終的には棒状になる
ただ,成長して年数が経っても,葉が小さくならないタイプがある,このタイプをストレリチア・パービフォリアという呼び名で販売しているナーセリー等もあり,ちょっとややこしい状況もある,この辺のことに関しては,別記事にまとめてあるのでそちらを参照してほしい(詳細は→こちら)
4.ストレリチア・ユンケアのドワーフタイプ
ストレリチア・ユンケアにはドワーフタイプ(わい性種)が存在する,通常のタイプも鉢の大きさや用土などの環境次第で,高さは変わるのだが,私は同じような環境で育てた場合,通常のタイプと比べて,半分ほどの高さにしか成長しないものをドワーフタイプとして扱ってる(下の写真参照)
半分程度の高さのものをドワーフタイプとするのは,まったくの私の個人的な見解であり,学術的なバックは何も無い,なお海外のナーセリーなどは,地植えにして育てた場合に,高さが50〜60cm程度しかならないものを,ドワーフタイプとして扱ってるようである
5.ストレリチア・ユンケアの魅力
ストレリチア・ユンケアの魅力は,なんと言ってもそのすらりと伸びた直線的な形態にあるだろう,以前,植物園で屋外に地植えされてるユンケアが,高さが2mくらいに成長している株を見たときは,ホレボレしてしまった,先端を見上げるような株になると,圧倒的な存在感がある
ただその存在感にも関わらず,豪華な花木などが醸し出すような押しつけがましさが無い,先端まできれいなテーパードになった軸が何本か立っているだけという,非常に単純で幾何学的な姿には,意外と言えるくらい繊細な雰囲気が感じられる,この点はストレリチア・ユンケアの大きな魅力である
また,鉢植えされたものをリビングのフローリングの床などに置いておくと,ゴムの木やドラセナなどの観葉植物に比べて,とてもクールな空間を演出することができる,やわらかな暖かい空間を演出するには不向きだが,鋭敏でなんとなく知的な雰囲気を醸し出してくれる点も魅力的である
6.ストレリチア・ユンケアの育て方
基本的な管理はストレリチア・レギネと同じと考えていい,耐寒性もマイナス5℃くらい,暖地では地植えも可能である,ストレリチア・ユンケアは成長がゆっくりなので,株が張って扱いに困るような状況にはなりにくい,地植えにして背丈を超えるような大きさに育てるのも一興である
鉢植えを室内で楽しんでいる人も多いと思うが,ストレリチアの仲間は太い根に水を蓄える能力が発達しているので,常に乾燥気味に管理するのがコツ,過湿状態では生育が止まったり,根腐れを起こしてしまう,特にストレリチア・ユンケアは乾燥に強い植物なので,乾燥気味の管理に徹すること
植物体自体が,葉から水分を失わないように,葉をほとんど無くしてるわけだから,乾燥に強いのは当然と言えば当然,またエアコンの使用時は,鉢土の表面がすぐ乾燥してしまうため,頻繁に水を与えてしまいがちだが,この点に関してはストレリチア・ユンケアは特に気を付けた方がいい
また,スタイルとの調和性から,鉢がトールタイプの縦長のものが使用されていることが多いが,このような鉢は表面の土は,乾燥してるように見えても,鉢底は水がいっぱいという状況になりやすいので,ことのほか注意が必要である,冬場の水やりは忘れるくらいがちょうどいい
とにかく水の滞留を嫌うので,植え替えの時は鉢底石を多めに入れるようにする,また用土も水切れのいいものを使用する,あまり細やかな管理をする必要は無い,かえってかわいがりすぎてダメにしてしまう場合が多い,まれにカイガラムシが付くことがあるがマシン油剤を散布すればいい
肥料に関しては,春と秋に化成肥料をぱらぱら与える程度でよい,ストレリチア・ユンケアは肥料を効かせたからといってどんどん大きくなるような植物ではない,また,植え付け用土は腐葉土等の有機質資材を多く含んだものを使用して,じっくり時間をかけて育てる植物である
日陰でも相応に生育可能だが,本来は光を好む植物なので地植えでも鉢植えでも,年間を通してよく日のあたるところで管理したほうが丈夫に育つ,なお市販の鉢植えは輸送上の理由で,鉢が小さく用土も少ないので,購入して新環境に慣れたら鉢増ししてあげよう
ストレリチアの仲間はいずれも,丈夫な太い根が発達していて,そこに水を蓄えるから乾燥に強いわけだが,この根はものすごく元気があって,鉢内にぎゅうぎゅうになってくると,鉢を破壊してしまうくらいの力がある,そうなる前に鉢増しするか株分けしてあげよう
7.おわりに
ストレリチア・ユンケアの育て方については,基本的にあまり気を遣わないこと,気長にゆったりした気持ちでおつきあいしよう,細やかな管理をしなくても,ちゃんと育ってくれるので,旅行などで1週間くらいほったらかしにしてもまったく平気,横着者には格好の観葉植物とも言える
8.関連記事
◆ストレリチア・ユンケアは花が咲くのか?(詳細は→こちら)
◆ストレリチア・レギネ(ゴクラクチョウカ)の魅力と育て方(詳細は→こちら)
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