2018年04月25日
ポトスの魅力と育て方(栽培法)
1.はじめに
細めのハート形の葉がいっぱいの観葉植物,ポトスを紹介しよう,ポトスは上の写真のような小振りの鉢物や,支柱にたくさんのツルを絡めた大鉢仕立てや,ハンギングなどにも利用され,人気のある観葉植物だが,このポトスという植物,いろいろと意外な面があっておもしろい
2.ポトスの来歴
ポトスはサトイモ科の植物で,日本には明治の中頃に伝わった,和名ではオウゴンカズラ(黄金葛)と呼ばれ,よく目にする観葉植物だが,学術的な面では不明な点が多い,原産地はソロモン諸島とされているが,これさえ異論を唱える研究者もいて,ちょっと謎めいた植物なのである
北オーストラリアや東南アジア,インド,パキスタン,ネパール,バングラデシュ,ハワイ,西インド諸島など,かなり広範囲の熱帯雨林や亜熱帯森林に帰化しているが,その帰化地域においては,生態系へ深刻なダメージを与えているという報告もあり,やっかいもの扱いしてる地域もあるらしい
3.ポトスの学名の変遷
学名に関しては,長い変遷の歴史がある,最初に分類された1880年には,ポトス・オウレウス(Pothos aureus)という学名が付けられた,このため今でもポトスと呼ばれているわけだが,ほかにもスキンダプサス・オウレウス(Scindapsus aureus)という学名も存在していたようである
1962年には,花の調査結果をもとに,ラフィドフォラ・オウレア(Rhaphidophora aurea)と命名されたが,その後,花についてさらに詳細に調査された結果,この学名も間違っているということになり,エピプレムナム・ピンナツム(Epipremnum pinnatum)と同じ種として分類された
まだ先があって,今度は生育パターンや植物体すべての部分を,詳細に調査した結果から,エピプレムナム・ピンナツムとは,種を分けた方がいいということで,エピプレムナム・オウレウム(Epipremnum aureum)と命名され,現在に至っている,今後,また変わる可能性がなきにしもあらず
ポトスのように属名まで含めて学名がコロコロ変わった植物というのも珍しいだろう,ざっと調べただけでもシノニム(異名)が30くらいある,これはポトスがほとんど花を着けない点や植物自体の形態や性質が環境や生育ステージで変わったり,非常に変異が多いことも影響しているのだろう
また,属を間違えられたスキンダプサス属やラフィドフォラ属などには,多くの種があり,しかもそれぞれがお互い非常に似通った性状や姿形をしている,これを一律に明確に区別するのは,容易ではないだろう,この仲間は遺伝子が非常にフラフラしていて変異を起こしやすいのかもしれない
4.ポトスの性状
つる性植物なので,自分でしっかりした幹は作らず,他の樹木などに張り付いて生育していく,横着と言えば横着であるが,まさに「寄らば大樹の陰」の精神,巻き付かれる相手の樹木も「長いものには巻かれろ」の似たもの同士,ジャングルのような過酷な環境では,助け合いの精神が大事なのである
ポトスにしてみれば,自分の幹を持たなくても,労せずして上へ伸び上がって太陽光を受けることができるわけだが,基本的に相手より高くはなれないという難点はある,まあ「出る杭は打たれる」とも言われるから,そういう点は意外と気を遣ってるのかもしれない
よく見かける緑色の葉に黄色の斑が入った種類のほかに,模様や色が変わった種類や葉全体がライム色のものなど,たくさんの園芸種がある,一般に商品として流通しているものは,葉の大きさは10cm前後のものが普通だが,これは幼植物で,いわばポトスの赤ちゃんである
成長して大人の株になると,葉は50cm以上の,信じられないくらいの大きさになる,沖縄の民家の庭先で高さ10m以上になる樹木に巻き付いているポトスを見て驚いたことがある,下の写真は,植物園で温室の天井まで伸び上がっているポトスだが,地面からの高さは7mくらいあった
また,成熟した株になると,葉脈の間に穴が開いたり,サイドに亀裂が入ったりして,まるでモンステラのような風情になる,ポトスも大人びてくると,当世風に,穴の開いたジーンズや破けた帽子でおしゃれしてるような気分なのだろうか,単に下の葉にも光を当てるための工夫かもしれないが・・・
5.ポトスの育て方
基本的には丈夫で育てやすい植物だが,光の管理には気配りが必要である,冬は葉の色つやを保つために,日光を十分に当ててあげたほうがいい,逆に夏は直射日光に当てると,最近の夏の日射は強いので葉焼けを起こしてしまうことがある,夏は明るめの日陰で管理したほうがいい
適量なら光が多い方が元気よく育つし生育も早いが,意外と耐陰性もあるのがポトスの魅力である,北側の洗面所やトイレなどでも,窓があって明るければそれなりに成長することが可能である,マンションなどの部屋の中央にあるような,窓のない洗面所などでは無理である
長年育てていると,葉が小さくなったり,斑が不鮮明になってくることがある,こういう場合は,春先に先端部分を挿し木して苗を作り,新しい用土に植え替えてあげるのがベスト,あれこれ手を入れるより思い切って株ごと更新してしまう方が早道である(後述の挿し木方法参照)
ハンギングでツルを下に垂らして楽しんでいる人も多いだろう,この場合つるが1mを超したあたりから,株元の葉が枯れ落ちて不格好になってくる,そのようなツルは,株元の3節程度を残してカットすれば,残った節から次のツルが伸びてくる,カットしたツルは挿し木に利用してもいい
6.ポトスの水管理・肥料管理
水管理は,ポトスの場合,水が足りなくなると葉の立っている角度が下がってくる,葉がちょっと下がったなと感じたら水をたっぷりあげる,もともとがジャングルのような湿度の高い環境を好む植物ではあるが,毎日水をチマチマあげるような水管理は,根腐れを起こすので避けた方がいい
しばらく旅行に行くとかの場合は,鉢受け皿に水をためて出かけるという水やりも可能である,このような手抜きの水やりは,通常の鉢物ではやってはいけない方法だが,ポトスの場合は大丈夫である,ただし,この方法は旅行等の非常時に限ること,日常的にやってはイケナイ
肥料に関しては,春から秋にかけての成長期に,マグァンプKなどの置肥を2ヶ月に1回くらいのペースで数粒与えておけばいい,肥料の効き具合は,葉の緑色の部分で判断する,本来の色よりあせてきたら肥料不足である,またちゃんと肥料が効いた葉は,厚くてツヤツヤしている
7.ポトスの挿し木方法
ポトスの挿し木はとても簡単である,上述の伸びすぎてカットしたツルの先端を,20cm程度に切りそろえ,下の2節の葉を取り除いて,その2節を挿し木用の用土に挿し,乾燥しないように,時々霧吹きか水かけするだけでいい,2週間くらいで根が出てくる,先端以外でも可能だがやや時間がかかる
さらに簡単にやりたかったら,上述の20cm前後の苗を,ペットボトルを半分に切った容器などに水を入れ,下の2節を水に浸しておけばいい,時々水を換えてあげるだけで根が出てくる,挿し木が目的でなくても,コップなどに2〜3本挿してテーブル等に飾ってもいい,水だけでも十分成長していく
8.ポトスを室内で育てる時の注意事項
基本的に上の方に成長していこうとする性質が強い植物なので,鉢物を壁際に置いていたりすると,節から出た根(気根)が壁に根を張ることがある,この時,壁紙の隙間に根が進入して,壁紙が浮いてしまったりすることがある,葉で覆われていて気づきにくいので,この点は注意が必要である
9.おわりに
巷間聞くところによれば,黄色という色は「お金」と相性がいいらしい,ポトスの和名はそのものずばり,「黄金」カズラである,ポトスにやさしく接していれば,大判小判がザックザクの夢くらいは見れるかもしれない,それを正夢にできるかどうかはあなた次第,とりあえずポトスと仲良くしよう
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