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2018年04月21日

ストレリチア・パービフォリア(Strelitzia parvifolia)とは何か?

ストレリチア・パービフォリア.jpg

1.はじめに
 上の写真のような先端にスプーン状の葉が付くストレリチアが「ストレリチア・パービフォリア」という呼び名で流通しているのをたまに見かけるが,学術的には,パービフォリアはレギネのシノニム(別名)というのが通説である,しかしこれについてはちょっと疑問がある


2.ストレリチア・パービフォリアの来歴
 葉先に小さな葉が残るものにパービフォリアと命名したのは,イギリスの植物学者のW.T.Aitonなのだが,属名のストレリチアを決めたイギリス王立植物園の園長で,当時の園芸界で絶大な発言力をもっていた,Joseph Banksなどは,ユンケアもパービフォリアもレギネと同種として扱っていた

 W.T.AitonはBanksから援助を受けていたから,異議を唱えられなかったのだろうか,その後南アフリカのプレトリア大学のHendrik Albertus van de Venter博士が,1974年に行った研究で,ユンケアとレギネには遺伝的な差があること,また2つの種の交雑種が存在することを明らかにしている

 この段階でレギネと同種とされていたユンケアは,正式にストレリチア・ユンケアとして独立したのだろうが,パービフォリアの呼び名は,そのままレギネのシノニムとして残ってしまったのだろうか,W.T.Aitonがパービフォリアと命名した植物は,レギネとユンケアの交雑種だった可能性がある


3.ストレリチア・ユンケアの葉先の形状について
 ややこしいことにユンケアにも葉先に小さい葉がついてるものがある,これについてはユンケアの幼形と言われている,ユンケアは種から育てるが,株が若いうちは,小さな葉がついていて,成長するに従い葉が小さくなっていき,最終的には棒状になってしまうということである

 海外のナーセリーのホームページで,幼形から成熟した株になる過程を写真で示しているところもあるので,この点は間違いはないだろう,また,棒状になってるユンケアの株を株分けして,根を切ったりして植え替えたような場合,新しく出てくる葉の先端がスプーン状になることがある

 株分けや根の切断等のショックで,株自体が幼形に戻ったのか,あるいは傷などを修復するために,葉の面積を確保して光合成の能力を上げたのかもしれない,ということでユンケアの葉先については,生育ステージや条件次第で,小さな葉が付くものも存在するということである


4.ユンケアの幼形とパービフォリア
 海外のナーセリー等の記事を読むと,ユンケアの葉がついた幼形とパービフォリアは,見間違うことはないとか,パービフォリアは成長しても葉が消えることはないとかの記述があるから,少なくとも成長しても葉が消えないグループが存在してることになる

 そのグループは,W.T.Aitonがパービフォリアと命名したレギネとユンケアの交雑種なのではないだろうか,この成熟しても葉がちょっと残るタイプには,正式に学名が付けられてないため,市場では,とりあえずW.T.Aitonが最初に付けたパービフォリアの名で流通してるということだろう

 ユンケアの幼形と,小さな葉が付くパービフォリアと呼ばれるグループは,多分に混同されてるような面がある,ユンケアの場合は,4年程度で葉の付いた幼形から成熟した棒状になるようだが,最初に掲載した写真の株は,かれこれ10年近くになるが,葉が小さくなっていくような気配は無い

 ということで,小さな葉が残るものについては,1つはユンケアの幼形タイプで,成熟すると葉が消えてしまうグループ,もう1つは,成熟してもスプーン状の葉が残るグループ(Venter博士が言うところのレギネとユンケアの交雑種か?),この2つのグループに分けて考えるべきである


5.おわりに
 上記の内容については,多分に憶測の部分もあるのだが,学術的にはパービフォリアの呼び名はレギネのシノニムなので,成長後も葉が残るものをパービフォリアと呼ぶのは間違いと言うことになる,ちなみに私は正式な呼び名が無いので,この小さい葉が残るタイプもユンケアとして扱っている

 レギネとユンケアの交雑種と思われる小さな葉が残るグループにも,新たに学名を付けてあげるか,はたまた,先のW.T.Aitonに敬意を表して,パービフォリアを正式な学名として認定すべきだと思うのだが,だれかこの問題解決してください,ペーパー1本書けますよ



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