2018年05月22日
ストレリチア・ユンケアは花が咲くのか?
1.はじめに
ストレリチア・ユンケアは,葉を観賞する観葉植物と言いながら,一般的な意味での葉はほとんど無いわけだが,逆にその特異な形状から人気のある観葉植物でもある,質問コーナーで「ストレリチア・ユンケアは花が咲くのか?」との質問を見かけたので,ちょっとその辺の状況をまとめてみた
2.ストレリチア・ユンケアの開花について
結論から言えば,ストレリチア・ユンケアも上に掲載したようなストレリチア・レギネによく似たオレンジとブルーで構成された花が咲く,画像検索すると海外のナーセリーなどが,いっぱい花の咲いた写真を掲載してるから,質問者は自分の買った株が花が咲かないのに疑問を持ったのだろう
ただし,日本で一般的に家庭向きに販売されてる鉢物については,花はあまり期待できない,ストレリチア・ユンケア自体が花を観賞する植物ではないため,花が咲きやすい系統かどうかという観点では選抜されてないので,購入した鉢物に花が咲くのかについては,その株次第ということになる
そもそも,ストレリチア・ユンケアという観葉植物に花を期待するということ自体が,野暮なことなのかもしれないが,花も楽しめるに超したことはない,私は7号鉢で育てていた株で花が咲いたことがあるが,これは手に入れた株が,運よく花の咲きやすい株だったということだろう
3.ストレリチア・ユンケアで花を楽しむ
花も楽しみたいという場合,解決法が無いわけでは無い,簡単な話だが花が咲いている鉢物を購入すればいい,ただしそのような商品は希少であまり一般に出回らないし,見つけてもかなり高価である,しかも,その株が自分の環境でもちゃんと花を咲かせてくれるという保証はまったく無い
ストレリチア・ユンケア自体は,育てやすい丈夫な植物なのだが,そういう植物でも,花を咲かして種(タネ)を作って次世代に自分の遺伝子を渡すという,生殖に関する部分は,結構シビアに条件を判断する,開花株を入手しても,その後も花があがってくるかどうかは管理や環境次第と言えよう
4.ストレリチア・ユンケアで花を咲かせてみよう
ストレリチア・ユンケアで花を咲かせてみたいと言う人は,とりあえず購入株を大きめの鉢に植え替えて,数年間は株を充実させることに専念したほうがいい,人間がある程度の年齢にならないと妊娠できないのと一緒で,植物にも幼若性といって,幼い株では花が咲かないような仕組みがある
株を充実させると言っても,広がった葉が無くて,もともと生育が遅い植物なので,気長に行くしかない,下の写真のように,少なくとも株自体が3〜4芽まで充実するまでは,肥料や水を十分に与えて大きな株に育てよう,また1日中よく日光が当たるような環境に置いて管理すること
次に,ある程度株ができあがってきたら,肥料や水をだんだんと控えていき,最終的には肥料はまったく与えないで,きわめて乾燥気味に管理する,もう株が弱って死んでしまうんじゃ無いかと言うくらい乾燥気味に管理する,この場合でも日光にはとにかくよく当てることが大事
5.ストレリチア・ユンケアで花を咲かせる管理
これは専門用語で言うところの,C/N率を上げるという作業になる,C/N率とは,植物体に含まれる炭水化物の炭素(C)と窒素化合物の窒素(N)の比率のことだが,Cの割合が増えると,花を咲かすような生殖生長が盛んになり,Nの割合が増えると植物体が成長する栄養生長が盛んになる
前述したように肥料を控えて乾燥気味に管理することで,C/N率を上げることができる,つまり植物体自体が,花を咲かすような生殖成長の状態になりやすくなる,また肥料カット+乾燥という一種の飢餓状態にすれば,植物は花を付けて後世を残すという状況になりやすい
種(タネ)というのは不良環境を乗り切るための,遺伝子の生存システムだから,その植物体の司令塔から,枯れるかもしれないという情報が出ると,遺伝子は花を咲かして交雑・受精し、種という不良環境に強い状態に変身して,自分の遺伝子を守るという機能をONにする
6.おわりに
株をたくさん準備して比較検討すればいいのだろうが,性質の同じ株をたくさん準備したり,それを長期間管理していくのは,個人ではとても無理な話である,とりあえず今年も4月の中旬に花が上がりだして,5月中旬に下の写真のような状態になった,花茎が見えてから開花まで1ヶ月くらいかかる
ここで述べた私なりの方法は,これで花が咲くという保証は無い,種から育てられている植物なので個体差が大きく,花が咲きにくい株に関しては,いくら環境を整えてもぜんぜん花が咲かないということも起こりえる,まあ「自分の運を試してみよう」くらいの遊び心でチャレンジしてほしい
7.関連記事
◆ストレリチア・ユンケアの魅力と育て方(栽培法)→(詳細は→こちら)
8.追加情報
下記の掲載写真(4/23撮影),似た大きさのユンケアの10号鉢植えだが,左の株は昨年の夏から秋にかけて肥料や水を控える処置をして,雨などが当たらない軒下で管理,右の株は露天で通常管理した株である,左の株は花が3本上がってる,肥料や水を控える処置はそれなりに効果ありだと思う
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