2018年03月28日
被覆肥料の「エコロング」と「スーパーエコロング」の違いは何か?
1.はじめに
先日エコロング肥料の紹介をしたが,(詳細は→こちら),知人がJAに行って購入しようとしたら「エコロング413-180」と「スーパーエコロング413-180」という2つの製品があったので,何が違うのか売り場のお姉さんに聞いたんだけど,技術指導員の人が出払ってて解らないと言われたそうな
2.エコロングとスーパーエコロング
エコロング肥料にはいくつか種類が有るのだが,前述の2種は同じ「413-180」の型番がついているから,どちらもチッ素:リン酸:カリの含有割合は14%,11%,13%で,肥料が効く期間は180日という製品である,違いは名称に「スーパー」の文字が有るか無いかだけだが,その意味はなんだろう
その疑問点を調べてみたら,肥料成分の溶け出し方,肥料の効き方と言ってもいいかもしれないが,これがエコロングとスーパーエコロングでは違うようである,その肥料成分の溶け出し方だが,エコロングの場合は「リニア型」,スーパーエコロングの場合は「シグモイド型」と,それぞれ違うようだ
3.エコロングの肥料の効き方
まず,エコロングにおけるリニア型と呼ばれる肥料成分の溶け出し方であるが,下のグラフのように初めから終わりまで時間の経過とともに肥料成分が直線的に溶け出していく,この点からリニア(linear)と呼ばれている,リニア新幹線なんかのリニアと意味は一緒である
◆ 簡単に言えば「最初から最後まで,ず〜っと同じように肥料が効いていきますよ」って肥料
グラフはX軸:経過時間,Y軸:肥料成分の溶出量
4.スーパーエコロングの肥料の効き方
次にスーパーエコロングにおけるシグモイド型と呼ばれる肥料成分の溶け出し方であるが,下のグラフのように,最初は溶け出す量は少ないが,中盤に増加し,最後の方はまた落ち着くという,こういう曲線をシグモイド曲線(Sigmoid curve)と言うことから,シグモイド型と呼ばれている
◆ 簡単に言えば「最初は肥料が効かないが中盤にグンと効いて最後はまた効かなくなる」って肥料
グラフはX軸:経過時間,Y軸:肥料成分の溶出量
5.エコロングとスーパーエコロングは使い分けが必要
2種の肥料には上記のような特徴があるので,この性質を理解した上で使い分けが必要である,1年中ずっと成育していくような植物はリニア型が向いているだろうし,苗を植え付けた当初はそれほどではないが,中盤にグンと成育するような植物ではシグモイド型が向いていると言えよう
また意図的に初期の肥料の溶け出しは抑えたいとか,夏場の植え付けだが当初の肥料の効きは抑えたいとか,特段の理由があればシグモイド型のスーパーエコロングを使用した方がいいが,特にそのような理由が無い場合は,常に肥料が効いてくれるリニア型のエコロングを使用した方がいい
6.なぜシグモイド型肥料が必要なのか
1例として切り花農家の方が花の苗を植えたとしよう,植え付け直後は苗は非常に小さいから初期の肥料要求量は少ない,ここで肥料成分がどんどん溶け出すと,植物に吸収されることなく肥料が無駄になってしまう,その後は植物体が大きくなるから,当然肥料をたくさん消費するようになる
さらに成長して花を付けるような成育後期になると,この段階で肥料が効いていると,花が小さくなったり,花の数が少なくなったり,品質が劣化することがある,そのため成育後期には肥料が効かなくなって欲しいのである,こういう用途で開発されてるのがシグモイド型肥料である
7.観葉植物等の鉢物にはエコロング
観葉植物などは,途中で花が咲いたり収穫されたりというような成育ステージの変化が無く,温度さえあれば,常時成育していくものが多いし,また株分けしたり,植え替えたりした場合など,最初から肥料が効いた方がいいので,リニア型のエコロングを使用することをお薦めする
エコロングは温度で肥料成分の溶出速度は変わってくるが,気温が高く肥料の溶け出す量が多い時期は植物もよく成育するから肥料も沢山消費する,逆に気温が低く肥料の溶け出す量が少ない時期は植物の生長も鈍るから問題ない,エコロングは観葉植物等の生育に良く適合した肥料と言える
8.スーパーの文字に惑わされないように注意
エコロングとスーパーエコロングと文字だけ比べたら「スーパー」の文字が有る方が,なんだか効果が高くて優れているように思いがちだが,これは上述したように肥料成分の溶け出し方の違いを表しているだけである,スーパーエコロングがエコロングより優れているという意味などではない
ここいらをよくよく理解して利用しないと,スーパーエコロングを使ったがために,成育初期に肥料不足になって成育が遅れてしまったり,肥料がどんどん溶け出す時期と,植物の成長サイクルがずれたりして肥料が有効に利用されないというようなことが起こりかねない,この点は注意が必要である
9.おわりに
私が育てている観葉植物は多くが熱帯性の植物である,このような四季が無い地域の植物は,本来の成育はリニア型であり,可能な限りリニアな成育をしようとする,肥料もこれに合わせたリニア型のものを使用した方が植物のストレス軽減になり,病気などにも強い元気な植物に育つと思う
結論的なことをまとめると,スーパーエコロングの「スーパー」の意味は,肥料成分の溶け出し方の違いを表してるだけで,特に優れているというような意味では無い,観葉植物のような年間を通じて常時成育している植物にはスーパーの着いてない単なる「エコロング」の方がお薦めである
10.関連記事
◆観葉植物の植え付け用土や鉢物等の追肥に最適な肥料「エコロング」(詳細は→こちら)
◆エコロング肥料の効果について検証してみた(詳細は→こちら)
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