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2008年04月17日

Q&A

Q&A (幻冬舎文庫)

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★★★☆☆

読んでて異様な気分にさせられる人影

幼い頃、まだ行ったことの無い場所に一人で遠出してしまって、危うく帰り道が分からなくなってしまった時のような・・・、なぜかそんな記憶を思い出してしまう。
どこまでも続く静かな住宅街や、似たような外観で、中で誰が何をしているのかさっぱり検討もつかないような無味乾燥なビル群など。

現代社会の複雑さにより、一つ一つの出来事がどれだけ相対的に粗末に扱われるようになったか、みたいな問題も描かれていたように思う。
なんだか儚くて切なくて、ちょっと寂しい気分にさせられた

文章は全て一対一の会話のみ
この技法が、なんだか客観性や一貫性が無く変な複雑性が一人歩きしてしまっているようなこの社会を、風刺していたように思える。この社会を構成してるのは、利己的なエレメントの集合体に過ぎないのかなあと考えさせられる。

セリフの文章しかないので、最初はなんだか手抜きのような感じがして、小舞台の脚本を読ませられてるみたいな印象があって、物足りなさを感じた。セリフだけで読者に説明しようとしているためか、不自然なセリフも多く、そういうところはちょっと気持ち悪い。
でも最終的には、これにより変な不気味さが読者の頭に残るようになっていて、物語の不気味さをさらに加速させるような役目を担っているので、それはそれで面白い書き方だと思った。

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