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2017年03月20日

大学とは何か (岩波新書)

大学とは何か (岩波新書)

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★★★☆☆
本の概要

「大学」のこれまでの遷移から、今後向かうべき姿を考察している。
内容を大きく分けると、前半は主に中世ヨーロッパや英米における大学史で、後半は近代あたり以降の日本の大学史、現状、および今後の展望である。
感想など

このような難しめでごく真面目な本を読んだのはいつぶりだろうか・・・。私にとって難しめの単語や一文が、文中にけっこう出てきた。まあ、その都度辞書を引くなり読みなおすなりするにつれ、その都度ちょっとだけ賢くなっていった気がしないでもない・・・

それはさておき、この本を手にとった理由は、この本のタイトルのような「大学って結局何?」という疑問が私の中に最近なんとなく浮かんできていたのと、大学についてもっと深く知っておいた方がよいという状況に遭遇したからである。

ちなみに先の疑問の内訳は、大学って研究と教育を同じ人達が同時にやってて大変すぎないのかなあ、とか、院って学部よりも頭良さげってこと以外は何があるんだろ、とか、最近の学部名ってけっこう理系文系関係ない感じのやつもあるけどなんで?、とか、哲学部とか一般教養学部とかって結局何?、とか、ゼミってどういう経緯で始まったんだろ、とか。
他にも細かな疑問は色々あった気がするけど。
ただこれらの具体的な疑問については、この本ではあまり触れられていなかった。この本では、もっと根本的で総合的な事柄が書かれている。

ちなみに、それらの疑問が生じる以前までの私の中の「大学」のイメージというのは単に、高校生よりも年長の人が、高校よりも高度な勉強をすることで、社会人になったときにもっと役立てるようになり、なので就職の幅も広がる、というシンプルなものであった。そして高度が故に、一人の人間がそれら全てを学ぶことはできないから、様々な学部学科に分かれているのだと。
多分、多くの人が思っているであろう大学のイメージ。
その認識はその認識で、そんなには間違っていなかったようだが。

でもこの本を読んでみて分かったことの一つは、「大学」や「高等教育」というものは時代や地域が遷り変わるたびに、様々に再定義されてきたようだということ。
また、学部ごとの高度な専門知識に重点を置くのか、それとも教養や哲学やリベラルな探究として総合的というか枠に囚われない感じで学ぶことを重視するか、ということについても、これまでに様々な思索が行われてきたということ。

今まで続く日本の大学については、色々な時代や地域から様々な要素を持ってきた結果の、一言で言えばつぎはぎな制度なんだ、と受け止めた。

「四六答申」をより真面目に実行すれば、もっと良くなるってことか?とか、結局今後も、新たな価値を生み出すための模索や、様々な要素のバランスを取り続けるということを、高等教育関係者一人ひとりが頑張り続ける必要があるんだなあ、とか、そうすることで大学は社会にとって必要な存在であり続けることができそう、とか、そのようなことを結論として受け止めた。
正直、私にとっては難しい内容だったのもあり、この本をどのように結論づけて良いのか今はまだぼんやりして分からない気がするが、とにかく多分そういうことみたい。

あと、様々な二元論的なことがあるけど、日々バランスとってそれらの間のグレーゾーンの中でもそれぞれの要素の最適化を目指してがんばろー、でそういう試行錯誤とかを思索とかをサボってると淘汰されちゃうよ、ってことなんだろう。多分。
ここでの二元論的なことというのは、リベラルに自由思考で学ぶのか専門的に深く学ぶのか、国や社会との相互影響を強めるのかそれとも何にも囚われずに自由にやるのか、とか、大学を市場主義に放り込むことを迎合するのか否か、とか、そういうこと。多分。

あと、この本が出版された後に、いくつかの新たで大きな要素というか変化が、世の中には浮かび上がってきたと思う。
それは、高度なAIの台頭と、脱グローバル化の方向を辿りそうな地域が出てきたこと、とか。
今後それらの要素をこの本の内容に加味していけば、また新たな大学論が展開されることができるんだろうなあ
タグ:大学
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