2013年12月28日
お染の闖入を防ぐには
二十四年の二月、私は叔父と一緒に向島の梅屋敷へ行った。風のない暖い日であった。三囲の堤下を歩いていると、一軒の農家の前に十七、八の若い娘が白い手拭をかぶって、今書いたばかりの「久松るす」という女文字の紙札を軒に貼っているのを見た。軒のそばには白い梅が咲いていた。その風情は今も眼に残っている。
その後にもインフルエンザは幾たびも流行を繰り返したが、お染風の名は第一回限りで絶えてしまった。ハイカラの久松に※[#「馮/几」、第4水準2-3-20]りつくには、やはり片仮名のインフルエンザの方が似合うらしいと、私の父は笑っていた。そうして、その父も明治三十五年にやはりインフルエンザで死んだ。
川口駅徒歩3分 おおむら歯科医院 訪問歯科・一般歯科
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