2013年09月18日
夏は物憂げに滑らかに
夏は物憂げに滑らかに過ぎてゆき、そして、七月の暑い日がきた。そこに霹雷のごとき事件が持ち上がった。女王の部屋で、エセックス伯がお話をしていたとき、親衛指揮官が役目により、戸の外に立っていた。この親衛指揮官は、大胆な顔をした紳士の――サア・ウォルタア・ラレイだった。
ウェストカントリイの代官の息子だったが、君寵によって数年の間に富と権力を併せ持つ出世ぶりだった。いろいろの特許や専売権が、降るように彼の一身に集まった。そして、イングランドとアイルランドとの両方に、大きな領地を所有する身分となり、錫鉱山の経営者であり、コオンウォルの副総督であり、騎士であり、海軍中将であった。年は三十五――冒険好きで、威厳逞しい男だった。そのりっぱな態度といい、企業的精神といい、彼をここまでの、予期さえしなかった地位に導いたものが、これ以上どこまで昇進させてゆくだろうか。「宿命」は光と影に縺れた糸を、すでに彼のために織っていた。運と不運は、均等な重みとふしぎな緊張とをもって、彼の手のうちにあった。 つくば 歯医者 http://rikson.jp/2life/usr/bonnou/
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