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2013年09月12日
机の上の電燈のスタンドへは
 いつの間にかたくさん虫が集まって来ていた。それを見ると生島は鎖をひいて電燈を消した。わずかそうしたことすら彼には習慣的な反対――崖からの瞰下景に起こったであろう一つの変化がちらと心を掠めるのであった。

部屋が暗くなると夜気がことさら涼しくなった。崖路の闇もはっきりして来た。しかしそのなかには依然として何の人影も立ってはいなかった。
 彼にただ一つの残っている空想というのは、彼がその寡婦と寝床を共にしているとき、ふいに起こって来る、部屋の窓を明け放してしまうという空想であった。勿論彼はそのとき、誰かがそこの崖路に立っていて、彼らの窓を眺め、彼らの姿を認めて、どんなにか刺戟を感じるであろうことを想い、その刺戟を通して、何の感動もない彼らの現実にもある陶酔が起こって来るだろうことを予想しているのであった。しかし彼にはただ窓を明け崖路へ彼らの姿を晒すということばかりでもすでに新鮮な魅力であった。彼はそのときの、薄い刃物で背を撫でられるような戦慄を空想した。そればかりではない。それがいかに彼らの醜い現実に対する反逆であるかを想像するのであった。探偵 料金 http://blog.yam.com/hikarinasi/
Posted by salchan at 10:14 | この記事のURL
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