アフィリエイト広告を利用しています

広告

posted by fanblog

広告

posted by fanblog
2014年06月07日
その人の趣味や生活状態
食い物などはいろいろの相違のあるものであるから、もちろん一概には云えないことであるが、旧東京に生長した私たちは、やはり昔風の食い物の方が何だか夏らしく感じられる。とりわけて、夏の暑い時節にはその感が多いようである。

今日の衛生論から云うと余り感心しないものであろうが、かの冷奴なるものは夏の食い物の大関である。奴豆腐を冷たい水にひたして、どんぶりに盛る。氷のぶっ掻きでも入れれば猶さら贅沢である。別に一種の薬味として青紫蘇か茗荷の子を細かに刻んだのを用意して置いて、鰹節をたくさんにかき込んで生醤油にそれを混ぜて、冷え切った豆腐に付けて食う。しょせんは湯豆腐を冷たくしたものに過ぎないが、冬の湯豆腐よりも夏の冷奴の方が感じがいい。湯豆腐から受取る温か味よりも、冷奴から受取る涼し味の方が遥かに多い。樋口一葉女史の「にごり江」のうちにも、源七の家の夏のゆう飯に、冷奴に紫蘇の香たかく盛り出すという件りが書いてあって、その場の情景が浮き出していたように記憶している。
「夕顔や一丁残る夏豆腐」許六の句である。
 ある人は洒落て「水貝」などと呼んでいるが、もとより上等の食いものではない。しかもほんとうの水貝に比較すれば、その価が廉くて、夏向きで、いかにも民衆的であるところが此の「水貝」の生命で、いつの時代に誰が考え出したのか知らないが、江戸以来何百年のあいだ、ほとんど無数の民衆が夏の一日の汗を行水に洗い流した後、ゆう飯の膳の上にならべられた冷奴の白い肌に一味の清涼を感じたであろうことを思う時、今日ラッパを吹いて来る豆腐屋の声にも一種のなつかしさを感ぜずにはいられない。
SBI損保‐自動車保険ランキング
Posted by salchan at 17:59 | この記事のURL
この記事のURL

×

この広告は30日以上新しい記事の更新がないブログに表示されております。