2014年02月18日
どうせそうでしょう
お島は不快な気持に顔を赧めた。「でも笑談にもそういわれると、厭なものね。子供が可哀そうのようで」
「此方の身も可哀そうだ」
「それは色女に逢えないからでしょう」
二人の神経が段々尖って来た。
「此方の身も可哀そうだ」
「それは色女に逢えないからでしょう」
二人の神経が段々尖って来た。
そしてお島に泣いて突かかられると、鶴さんはいきなり跳起きて、家では滅多にあけたことのない折鞄をかかえて、外へ飛出してしまった。その折鞄のなかには、女の写真や手紙が一杯入っているのであった。
今もお島は、何の気なしに聞過していた姉の話が、一々深い意味をもって、気遣しく思浮べられて来た。姉の話では、鶴さんの始終抱えて歩いている鞄のなかの文が、時々植源の嫁の前などで、繰拡げられると云うのであった。
「それは可笑しいの」姉は一つはお島を煽るために、一つは鶴さんと仲のいい植源の嫁への嫉妬のために、調子に乗って話した。
「その女というのが、美人の本場の越後から流れて来たとやらで、島ちゃんの旦那は碌素法工場へ顔出しもしないで、そこへばかり入浸っていたんだって。
ヴォラーレ
今もお島は、何の気なしに聞過していた姉の話が、一々深い意味をもって、気遣しく思浮べられて来た。姉の話では、鶴さんの始終抱えて歩いている鞄のなかの文が、時々植源の嫁の前などで、繰拡げられると云うのであった。
「それは可笑しいの」姉は一つはお島を煽るために、一つは鶴さんと仲のいい植源の嫁への嫉妬のために、調子に乗って話した。
「その女というのが、美人の本場の越後から流れて来たとやらで、島ちゃんの旦那は碌素法工場へ顔出しもしないで、そこへばかり入浸っていたんだって。
ヴォラーレ
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