2010年12月05日
風船乗りの夢
ども。ミロです。
冬の風物詩といえば、
私の町ではこういうものが飛び始めるんです。
空気が冷えて来ると、
熱気球の季節到来というわけです。
早朝から、気球のバーナーから出る炎の音が囂々と聞こえて来ると、
カメラをかかえて外へ飛び出します。
なぜかよくうちの真上を気球が通って行きます。
近くの田んぼに着陸する気球を見ることもよくあります。
風船乗りの夢
夏草のしげる叢から
ふはりふはりと天上をさして昇りゆく風船よ
籠には旧暦の暦をのせ
はるか地球の子午線を越えて吹かれ行かうよ。
ばうばうとした虚無の中を
雲はさびしげに流れて行き
草地も見えず 記憶の時計もぜんまいがとまつてしまった。
どこをめあてに翔けるのだらう
さうして酒瓶の底は空しくなり
酔ひどれの見る美麗な幻覚も消えてしまつた。
しだいに下界の陸地をはなれ
愁ひや雲やに吹きながされて
知覚もおよばぬ真空圏内にまぎれ行かうよ。
この瓦斯体もてふくらんだ気球のやうに
ふしぎにさびしい宇宙のはてを
友だちもなく ふはりふはりと昇つて行かうよ。
〔萩原朔太郎「青猫」以後〕
冬の風物詩といえば、
私の町ではこういうものが飛び始めるんです。
空気が冷えて来ると、
熱気球の季節到来というわけです。
早朝から、気球のバーナーから出る炎の音が囂々と聞こえて来ると、
カメラをかかえて外へ飛び出します。
なぜかよくうちの真上を気球が通って行きます。
近くの田んぼに着陸する気球を見ることもよくあります。
風船乗りの夢
夏草のしげる叢から
ふはりふはりと天上をさして昇りゆく風船よ
籠には旧暦の暦をのせ
はるか地球の子午線を越えて吹かれ行かうよ。
ばうばうとした虚無の中を
雲はさびしげに流れて行き
草地も見えず 記憶の時計もぜんまいがとまつてしまった。
どこをめあてに翔けるのだらう
さうして酒瓶の底は空しくなり
酔ひどれの見る美麗な幻覚も消えてしまつた。
しだいに下界の陸地をはなれ
愁ひや雲やに吹きながされて
知覚もおよばぬ真空圏内にまぎれ行かうよ。
この瓦斯体もてふくらんだ気球のやうに
ふしぎにさびしい宇宙のはてを
友だちもなく ふはりふはりと昇つて行かうよ。
〔萩原朔太郎「青猫」以後〕