2019年08月14日
目の病気は意外に深刻!
目の病気は意外に深刻!
今年、白内障の手術を受けました。
シャープな画像に
ブラウン管からデジタルモニターに
変わった感じがして、
疲れ目、ドライアイも軽快しました。
もっと早く手術を受けていれば、
外科としてまだ手術をしていたと思います。
つくづく目は大事!
40過ぎたら、一度は眼科受診をお勧めします。
物覚えがよくなる、うつ傾向が改善する人も
「最近の目と脳の関連に注目した
研究では白内障による視力の低下が、
認知症にも関連しているらしいことがわかってきました。
脳に送られる情報の約80%
が目を通して入ってくるといわれます。
白内障は加齢などによって
目のレンズである水晶体
が濁る病気で、目の前の
物がかすむとか、
二重に見えるといった
自覚症状がある。
早い人なら40代から
見受けられ、
50代になると約半数
の人が発症し、
80代ではほぼ100%
というデータもある。
手術は、いたってシンプルで、濁った水晶体を
取り除き、そこに眼内レンズを挿入するのだが、
濁りが取り去られることで
見えづらさは劇的に解消する。
「確かに表情が豊かになり、
動作も生き生きとしてくる人が多いのです。
新たに趣味を持ちはじめたという人たちもいました。
それだけでなく、
手術をした後に、物覚えがよくなったという声も聞きますし、
うつ傾向が改善しているようだ
といったことも報告されています」(加治医師)
目は人間が光を受容して
脳に伝達する唯一の器官だ。
外から入る光が
水晶体によって屈折し、
網膜に像を映す。
そこで電気信号に変換された
視覚情報はまず、脳の後頭葉・視覚野に達し、
色、形などを処理する。
その後、記憶、言語の理解などをつかさどる側頭葉、
空間の知覚などを行う頭頂葉に分かれ、
これが再度、前頭葉で統合されて、
「映像」として認識される。
白内障の手術がうまくいって
周囲がはっきり見えるということは、
それだけ脳にいく情報量が増えたことを意味する。
加治医師らは1年ほど前に、
脳の血流を測る光トポグラフィーを用いた
「白内障手術後の脳血流変化の測定」
を実施した。
すると、後頭葉だけでなく
前頭葉の血流も増加している
という実験結果を得たのだ。
「手術から3カ月ないし半年が経過した
平均年齢76歳のアルツハイマー病患者の男性4人と女性9人、
合わせて13人を対象に行いました。
例えば、75歳女性の場合、
視力が右0.3から1.0、左0.2から1.0になりました。
見える世界が変わったという心理的効果もあるのでしょうが、
私の印象としては脳そのものが喜んでいる感じです」(加治医師)
このことからも、
白内障のみならず緑内障や加齢黄斑変性のような目の病気が、
認知機能低下の要因になることが推測できる。
一方、過度な目の疲れも体調不良につながっていく。
現代人が、そのビジネスシーンで受けるストレスやリスクは、
一昔前とは比べものにならないほど高くなっている。
日々の仕事でも長時間、パソコンやスマホの画面と向き合う。
目の酷使は疲れ目ばかりでなく
目の病気まで発症してしまう危険性もある。
症状としては、目が重く、ピントが合わない、
涙が出る、目の奥が痛くなるなどがある。
さまざまな原因が指摘されているが、
ブルーライトもその1つ。
これは、パソコンなどの液晶画面から発せられる
青い光で、太陽の光にも含まれている。
疲れ目を甘く見てはいけない
「このブルーライトを必要以上に浴びると、
目が疲れるだけでなく、体調に悪影響があります。
人体はサーカディアンリズムと呼ばれる生理機能で、
約24時間周期の体内時計に従って恒常性を維持しています。
ところが、夜間や就寝前に
パソコンや携帯端末を使いすぎると、
このリズムが狂い、体内時計が朝だと判断してしまうのです。
そのため眠りにくくなります。
そんな状態が長く続けば不眠症になります」
疲れ目と不眠症の関連性
をこう説明するのは
おおたけ眼科つきみ野医院の綾木雅彦院長。
とはいえ、現在の苛酷なまでの
就労環境から逃れることはなかなかむずかしい。
人によっては複数のパソコンを使いこなし、
社内および社外の人とのコミュニケーションも
口頭や電話よりもスマホだ。
働いていれば、常にそうしたリスクに
自分の目をさらし続けるわけだ。
「疲れ目といっても、決して甘く見てはいけません。
サーカディアンリズムが不調になると、
海外旅行における時差ボケのように
昼夜が逆転した状態になってしまうわけです。
起床すれば、自然に分泌される
アドレナリンがなければ活力は出ません。
当然、意欲も湧かず、出社しても
仕事モードには切り替えられず、
上司や同僚から
『あいつはヤル気がないな』
といった目を向けられることでしょう。
サラリーマンにとって致命的なマイナスです」(綾木院長)
ドライアイの患者も多く足を運んでくる
綾木院長のもとには、
目の渇きやかゆみを訴える
ドライアイの患者も多く足を運んでくる。
電子端末の画面を凝視することで
まばたきの回数が減り、
角膜に涙が行き渡らず起こる。
そうなると目の表面が乾燥して、
角膜も傷つきやすくなり、
さらに症状が悪化する悪循環に陥ってしまう。
「コンタクトレンズの装着による
ドライアイの患者さんも確実に増えています。
痛みなどの自覚症状のつらさもさることながら、
私の研究でわかってきたのは、
集中力の低下を招きやすいということです。
さらに、睡眠障害やうつ症状の発生も心配しないといけません」(綾木院長)
いずれにしても仕事や生活をするうえで
目はかけがえのない器官だといっていい。
だからこそ、目の病気にかかると、
そのありがたさが身に染みて感じられる。
40代も後半に差しかかるようになったら、
少なくても1年に1回は専門医の検査を受けたほうがよさそうだ。
加治優一(かじ・ゆういち)
松本眼科 角膜センター
1994年東京大学医学部卒業後、同大医学系大学院修了。
ハーバード大学マサチューセッツ眼科耳鼻科病院入局。
筑波大学医学医療系眼科学准教授を経て現職。
綾木雅彦(あやき・まさひこ)
おおたけ眼科つきみ野医院院長
慶應義塾大学医学部特任准教授。
1982年慶應義塾大学医学部卒業後、
ハーバード大学医学部留学。
昭和大学医学部准教授などを経て現職。
PRESIDENT Online(プレジデントオンライン)
「あの病気」、原因は意外にも目にあった
白内障で認知機能低下の可能性あり
PRESIDENT 2019年7月19日号
岡村 繁雄(ジャーナリスト)から
https://president.jp/articles/-/29149?
今年、白内障の手術を受けました。
シャープな画像に
ブラウン管からデジタルモニターに
変わった感じがして、
疲れ目、ドライアイも軽快しました。
もっと早く手術を受けていれば、
外科としてまだ手術をしていたと思います。
つくづく目は大事!
40過ぎたら、一度は眼科受診をお勧めします。
物覚えがよくなる、うつ傾向が改善する人も
「最近の目と脳の関連に注目した
研究では白内障による視力の低下が、
認知症にも関連しているらしいことがわかってきました。
脳に送られる情報の約80%
が目を通して入ってくるといわれます。
白内障は加齢などによって
目のレンズである水晶体
が濁る病気で、目の前の
物がかすむとか、
二重に見えるといった
自覚症状がある。
早い人なら40代から
見受けられ、
50代になると約半数
の人が発症し、
80代ではほぼ100%
というデータもある。
手術は、いたってシンプルで、濁った水晶体を
取り除き、そこに眼内レンズを挿入するのだが、
濁りが取り去られることで
見えづらさは劇的に解消する。
「確かに表情が豊かになり、
動作も生き生きとしてくる人が多いのです。
新たに趣味を持ちはじめたという人たちもいました。
それだけでなく、
手術をした後に、物覚えがよくなったという声も聞きますし、
うつ傾向が改善しているようだ
といったことも報告されています」(加治医師)
目は人間が光を受容して
脳に伝達する唯一の器官だ。
外から入る光が
水晶体によって屈折し、
網膜に像を映す。
そこで電気信号に変換された
視覚情報はまず、脳の後頭葉・視覚野に達し、
色、形などを処理する。
その後、記憶、言語の理解などをつかさどる側頭葉、
空間の知覚などを行う頭頂葉に分かれ、
これが再度、前頭葉で統合されて、
「映像」として認識される。
白内障の手術がうまくいって
周囲がはっきり見えるということは、
それだけ脳にいく情報量が増えたことを意味する。
加治医師らは1年ほど前に、
脳の血流を測る光トポグラフィーを用いた
「白内障手術後の脳血流変化の測定」
を実施した。
すると、後頭葉だけでなく
前頭葉の血流も増加している
という実験結果を得たのだ。
「手術から3カ月ないし半年が経過した
平均年齢76歳のアルツハイマー病患者の男性4人と女性9人、
合わせて13人を対象に行いました。
例えば、75歳女性の場合、
視力が右0.3から1.0、左0.2から1.0になりました。
見える世界が変わったという心理的効果もあるのでしょうが、
私の印象としては脳そのものが喜んでいる感じです」(加治医師)
このことからも、
白内障のみならず緑内障や加齢黄斑変性のような目の病気が、
認知機能低下の要因になることが推測できる。
一方、過度な目の疲れも体調不良につながっていく。
現代人が、そのビジネスシーンで受けるストレスやリスクは、
一昔前とは比べものにならないほど高くなっている。
日々の仕事でも長時間、パソコンやスマホの画面と向き合う。
目の酷使は疲れ目ばかりでなく
目の病気まで発症してしまう危険性もある。
症状としては、目が重く、ピントが合わない、
涙が出る、目の奥が痛くなるなどがある。
さまざまな原因が指摘されているが、
ブルーライトもその1つ。
これは、パソコンなどの液晶画面から発せられる
青い光で、太陽の光にも含まれている。
疲れ目を甘く見てはいけない
「このブルーライトを必要以上に浴びると、
目が疲れるだけでなく、体調に悪影響があります。
人体はサーカディアンリズムと呼ばれる生理機能で、
約24時間周期の体内時計に従って恒常性を維持しています。
ところが、夜間や就寝前に
パソコンや携帯端末を使いすぎると、
このリズムが狂い、体内時計が朝だと判断してしまうのです。
そのため眠りにくくなります。
そんな状態が長く続けば不眠症になります」
疲れ目と不眠症の関連性
をこう説明するのは
おおたけ眼科つきみ野医院の綾木雅彦院長。
とはいえ、現在の苛酷なまでの
就労環境から逃れることはなかなかむずかしい。
人によっては複数のパソコンを使いこなし、
社内および社外の人とのコミュニケーションも
口頭や電話よりもスマホだ。
働いていれば、常にそうしたリスクに
自分の目をさらし続けるわけだ。
「疲れ目といっても、決して甘く見てはいけません。
サーカディアンリズムが不調になると、
海外旅行における時差ボケのように
昼夜が逆転した状態になってしまうわけです。
起床すれば、自然に分泌される
アドレナリンがなければ活力は出ません。
当然、意欲も湧かず、出社しても
仕事モードには切り替えられず、
上司や同僚から
『あいつはヤル気がないな』
といった目を向けられることでしょう。
サラリーマンにとって致命的なマイナスです」(綾木院長)
ドライアイの患者も多く足を運んでくる
綾木院長のもとには、
目の渇きやかゆみを訴える
ドライアイの患者も多く足を運んでくる。
電子端末の画面を凝視することで
まばたきの回数が減り、
角膜に涙が行き渡らず起こる。
そうなると目の表面が乾燥して、
角膜も傷つきやすくなり、
さらに症状が悪化する悪循環に陥ってしまう。
「コンタクトレンズの装着による
ドライアイの患者さんも確実に増えています。
痛みなどの自覚症状のつらさもさることながら、
私の研究でわかってきたのは、
集中力の低下を招きやすいということです。
さらに、睡眠障害やうつ症状の発生も心配しないといけません」(綾木院長)
いずれにしても仕事や生活をするうえで
目はかけがえのない器官だといっていい。
だからこそ、目の病気にかかると、
そのありがたさが身に染みて感じられる。
40代も後半に差しかかるようになったら、
少なくても1年に1回は専門医の検査を受けたほうがよさそうだ。
加治優一(かじ・ゆういち)
松本眼科 角膜センター
1994年東京大学医学部卒業後、同大医学系大学院修了。
ハーバード大学マサチューセッツ眼科耳鼻科病院入局。
筑波大学医学医療系眼科学准教授を経て現職。
綾木雅彦(あやき・まさひこ)
おおたけ眼科つきみ野医院院長
慶應義塾大学医学部特任准教授。
1982年慶應義塾大学医学部卒業後、
ハーバード大学医学部留学。
昭和大学医学部准教授などを経て現職。
PRESIDENT Online(プレジデントオンライン)
「あの病気」、原因は意外にも目にあった
白内障で認知機能低下の可能性あり
PRESIDENT 2019年7月19日号
岡村 繁雄(ジャーナリスト)から
https://president.jp/articles/-/29149?
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