2019年07月19日
英国で食品中の砂糖20%削減へ、関連疾患は抑制されるか/BMJ
(塩と脂がやりだまに上げられるが、
砂糖こそが、血管の老化を早める大元凶!
最近アメリカで発表された砂糖消費削減計画、
アメリカの前にイギリスで計画されていた
砂糖の削減の成果を早く知りたい!)
英国で食品中の砂糖20%削減へ、関連疾患は抑制されるか/BMJ
提供元:ケアネット 公開日:2019/05/07
2017年3月、英国政府は、食品製造および小売業界との協働で、
シリアルや菓子類など特定の食品群の砂糖含有量を
2020年までに20%削減する計画を発表した。
イングランド公衆衛生庁(Public Health England)は、
砂糖摂取目標を1日摂取カロリーの5%までとすることで
摂取カロリーを11%削減し、
これによって年間砂糖関連死を4,700件減らし、
医療費を年間5億7,600万ポンド抑制するとのモデルを打ち出した。
今回、同国オックスフォード大学のBen Amies-Cull氏らは、
砂糖減量計画の潜在的な健康上の有益性について予測評価を行い、
BMJ誌2019年4月17日号で報告した。
砂糖減量計画の肥満、疾病負担、医療費への影響を検討
研究グループは、英国政府による砂糖減量計画が
子供および成人の肥満、
成人の疾病負担、
医療費に及ぼす影響の予測を
目的にモデル化研究を行った(特定の研究助成は受けていない)。
全国食事栄養調査(National Diet and Nutrition Survey:NDNS)
の2012〜13年度と2013〜14年度におけるイングランドの
食品消費と栄養素含有量データを用いて
シミュレーションを行い、
砂糖減量計画によって達成される体重およびBMIの
潜在的な変化を予測するシナリオをモデル化した。
シナリオ分析は、個々の製品に含まれる砂糖の量の20%削減
(低砂糖含有量製品へ組成を変更または販売の重点の転換
[砂糖含有量の多い製品から少ない製品へ])
または製品の1人前分量の20%削減について行った。
イングランドに居住する4〜80歳のNDNS調査対象者1,508例のデータを用いた。
主要アウトカムは、子供と成人の摂取カロリー、体重、BMIの変化とした。
成人では、質調整生存年(QALY)および医療費への影響などの評価を行った。
10年で、糖尿病が15万4,550例減少、総医療費は2億8,580万ポンド削減
砂糖減量計画が完全に達成され、
予定された砂糖の減量がもたらされた場合、
1日摂取カロリー(1kcal=4.18kJ=0.00418MJ)は、
4〜10歳で25kcal(95%信頼区間[CI]:23〜26)低下し、
11〜18歳も同じく25kcal(24〜28)、
19〜80歳では19kcal(17〜20)低下すると推定された。
介入の前後で、
体重は4〜10歳で女児が0.26kg、男児は0.28kg減少し、
これによってBMIはそれぞれ0.17、0.18低下すると予測された。
同様に、11〜18歳の体重は女児が0.25kg、男児は0.31kg減少し、
BMIはそれぞれ0.10、0.11低下した。
また、19〜80歳の体重は女性が1.77kg、男性は1.51kg減少し、
BMIは0.67、0.51低下した。
全体の肥満者の割合は、
ベースラインと比較して、
4〜10歳で5.5%減少し、
11〜18歳で2.2%、
19〜80歳では5.5%減少すると予測された。
QALYについては、
10年間に、女性で2万7,855 QALY(95%不確定区間[UI]:2万4,573〜3万873)、
男性では2万3,874 QALY(2万1,194〜2万6,369)延長し、
合わせて5万1,729 QALY(4万5,768〜5万7,242)の改善が得られると推算された。
疾患別のQALY質調整生存年改善への影響は、
糖尿病が圧倒的に大きく、
10年間に女性で8万9,571例(95%UI:7万6,925〜10万1,081)、
男性で6万4,979例(5万5,698〜7万3,523)、
合計15万4,550例(13万2,623〜17万4,604)が減少すると予測された。
また、10年で大腸がんが5,793例、
肝硬変が5,602例、
心血管疾患は3,511例減少するが、
肺がんと胃がんの患者はわずかに増加した。
総医療費は、10年間に2億8,580万ポンド
(3億3,250万ユーロ、3億7,350万米ドル、
95%UI:2億4,970万〜3億1,980万ポンド)
削減されると推定された。
3つの砂糖減量アプローチ
(製品組成の変更、1人前分量の削減、販売の重点の転換)
のうち、
1つで摂取カロリー削減に成功しなかった場合、
疾病予防への影響が減衰し、
健康上の有益性が容易に失われる可能性が示唆された。
著者は、「英国政府による砂糖減量計画では、
砂糖の量および1人前の分量の削減が、
摂食パターンや製品組成に予期せぬ変化をもたらさない限り、
肥満および肥満関連疾患の負担の軽減が可能と考えられる」としている。
(医学ライター 菅野 守)
原著論文はこちら
Amies-Cull B, et al. BMJ. 2019;365:l1417.
砂糖こそが、血管の老化を早める大元凶!
最近アメリカで発表された砂糖消費削減計画、
アメリカの前にイギリスで計画されていた
砂糖の削減の成果を早く知りたい!)
英国で食品中の砂糖20%削減へ、関連疾患は抑制されるか/BMJ
提供元:ケアネット 公開日:2019/05/07
2017年3月、英国政府は、食品製造および小売業界との協働で、
シリアルや菓子類など特定の食品群の砂糖含有量を
2020年までに20%削減する計画を発表した。
イングランド公衆衛生庁(Public Health England)は、
砂糖摂取目標を1日摂取カロリーの5%までとすることで
摂取カロリーを11%削減し、
これによって年間砂糖関連死を4,700件減らし、
医療費を年間5億7,600万ポンド抑制するとのモデルを打ち出した。
今回、同国オックスフォード大学のBen Amies-Cull氏らは、
砂糖減量計画の潜在的な健康上の有益性について予測評価を行い、
BMJ誌2019年4月17日号で報告した。
砂糖減量計画の肥満、疾病負担、医療費への影響を検討
研究グループは、英国政府による砂糖減量計画が
子供および成人の肥満、
成人の疾病負担、
医療費に及ぼす影響の予測を
目的にモデル化研究を行った(特定の研究助成は受けていない)。
全国食事栄養調査(National Diet and Nutrition Survey:NDNS)
の2012〜13年度と2013〜14年度におけるイングランドの
食品消費と栄養素含有量データを用いて
シミュレーションを行い、
砂糖減量計画によって達成される体重およびBMIの
潜在的な変化を予測するシナリオをモデル化した。
シナリオ分析は、個々の製品に含まれる砂糖の量の20%削減
(低砂糖含有量製品へ組成を変更または販売の重点の転換
[砂糖含有量の多い製品から少ない製品へ])
または製品の1人前分量の20%削減について行った。
イングランドに居住する4〜80歳のNDNS調査対象者1,508例のデータを用いた。
主要アウトカムは、子供と成人の摂取カロリー、体重、BMIの変化とした。
成人では、質調整生存年(QALY)および医療費への影響などの評価を行った。
10年で、糖尿病が15万4,550例減少、総医療費は2億8,580万ポンド削減
砂糖減量計画が完全に達成され、
予定された砂糖の減量がもたらされた場合、
1日摂取カロリー(1kcal=4.18kJ=0.00418MJ)は、
4〜10歳で25kcal(95%信頼区間[CI]:23〜26)低下し、
11〜18歳も同じく25kcal(24〜28)、
19〜80歳では19kcal(17〜20)低下すると推定された。
介入の前後で、
体重は4〜10歳で女児が0.26kg、男児は0.28kg減少し、
これによってBMIはそれぞれ0.17、0.18低下すると予測された。
同様に、11〜18歳の体重は女児が0.25kg、男児は0.31kg減少し、
BMIはそれぞれ0.10、0.11低下した。
また、19〜80歳の体重は女性が1.77kg、男性は1.51kg減少し、
BMIは0.67、0.51低下した。
全体の肥満者の割合は、
ベースラインと比較して、
4〜10歳で5.5%減少し、
11〜18歳で2.2%、
19〜80歳では5.5%減少すると予測された。
QALYについては、
10年間に、女性で2万7,855 QALY(95%不確定区間[UI]:2万4,573〜3万873)、
男性では2万3,874 QALY(2万1,194〜2万6,369)延長し、
合わせて5万1,729 QALY(4万5,768〜5万7,242)の改善が得られると推算された。
疾患別のQALY質調整生存年改善への影響は、
糖尿病が圧倒的に大きく、
10年間に女性で8万9,571例(95%UI:7万6,925〜10万1,081)、
男性で6万4,979例(5万5,698〜7万3,523)、
合計15万4,550例(13万2,623〜17万4,604)が減少すると予測された。
また、10年で大腸がんが5,793例、
肝硬変が5,602例、
心血管疾患は3,511例減少するが、
肺がんと胃がんの患者はわずかに増加した。
総医療費は、10年間に2億8,580万ポンド
(3億3,250万ユーロ、3億7,350万米ドル、
95%UI:2億4,970万〜3億1,980万ポンド)
削減されると推定された。
3つの砂糖減量アプローチ
(製品組成の変更、1人前分量の削減、販売の重点の転換)
のうち、
1つで摂取カロリー削減に成功しなかった場合、
疾病予防への影響が減衰し、
健康上の有益性が容易に失われる可能性が示唆された。
著者は、「英国政府による砂糖減量計画では、
砂糖の量および1人前の分量の削減が、
摂食パターンや製品組成に予期せぬ変化をもたらさない限り、
肥満および肥満関連疾患の負担の軽減が可能と考えられる」としている。
(医学ライター 菅野 守)
原著論文はこちら
Amies-Cull B, et al. BMJ. 2019;365:l1417.
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