2019年05月25日
においが知覚できないと短命に
動物として、根幹をなす感覚であり、当然でしょう!
においが知覚できないと短命に
2019年03月20日 06:00
食物のにおいがヒトの体内の生理学的なプロセスや老化に影響するという研究結果を、
ドイツ・University of CologneのThorsten Hoppe氏らがNat Metab(2019年2月18日オンライン版)に発表した。
線虫(Caenorhabditis elegans)を用いたこの研究では、
その要因が
たった2種類の嗅覚に関係する神経細胞にあることや、
においを知覚できない個体では寿命が短くなることも分かったという。
プロテオスタシスに影響
食物のにおいは身体のさまざまな生理学的プロセスに影響を与える。
例えば、実際に食物を口に入れる前から、
においによる刺激で唾液や消化酵素の分泌が促され、
摂取した食物を消化管で消化する態勢が整えられる。
健康な生体では、
こうした調節が蛋白質の合成や分解のバランスを維持する機構(プロテオスタシス)の下で行われている。
また、プロテオスタシスは細胞のリサイクルや加齢のプロセスにおいても重要な役割を果たしている。
Hoppe氏らは今回、C. elegansを用いた研究で
食物のにおいがプロテオスタシスに影響を与えることを突き止めた。
C. elegansは神経系を構成する358種類の神経細胞のうち、2種類の細胞が嗅覚系の一部を成しており、
これらがにおいの知覚に重要であることが分かったという。
においが消化管の生理学的な機構に与える影響については、
C. elegansの腸内で緑色蛍光蛋白質(GFP)が分解・再合成される程度を調べて明らかにした。
具体的には、においによってC. elegans内の緑色蛍光の発光シグナルが強くなるに従い、
細胞の不要物の蓄積が進み、蛋白質の分解不全と強く関連していることが示された。
アルツハイマー病やパーキンソン病との関連も今後検討
また、においがプロテオスタシスに影響を与えるプロセスは、
遺伝子発現を制御するmicroRNA(miRNA)分子の1つであるmir-71を介することも明らかにされた。
mir-71は、嗅覚神経細胞の遺伝子プログラムを調節し、
またその後の消化管における蛋白質分解のプロセスを制御している。
しかし、この機構が阻害されると
細胞のリサイクルに支障を来すだけでなく、
生物の寿命が短縮する。
つまり、においを知覚する機能が失われた線虫は、寿命が大幅に短くなるという。
こうした機構は、
においシグナルの適切な処理に中心的な役割を果たしており、
腸内細胞の機能も調節しているという。
Hoppe氏は
「においによる影響を細胞レベルで検討した研究は少ないが、
嗅覚の機能不全がさまざまな神経変性疾患と関連することはよく知られている」と指摘。
その上で、「今後は、嗅覚がアルツハイマー病やパーキンソン病などの加齢と関連する疾患に与える影響について検討したい」と述べている。(岬りり子)
においが知覚できないと短命に
2019年03月20日 06:00
食物のにおいがヒトの体内の生理学的なプロセスや老化に影響するという研究結果を、
ドイツ・University of CologneのThorsten Hoppe氏らがNat Metab(2019年2月18日オンライン版)に発表した。
線虫(Caenorhabditis elegans)を用いたこの研究では、
その要因が
たった2種類の嗅覚に関係する神経細胞にあることや、
においを知覚できない個体では寿命が短くなることも分かったという。
プロテオスタシスに影響
食物のにおいは身体のさまざまな生理学的プロセスに影響を与える。
例えば、実際に食物を口に入れる前から、
においによる刺激で唾液や消化酵素の分泌が促され、
摂取した食物を消化管で消化する態勢が整えられる。
健康な生体では、
こうした調節が蛋白質の合成や分解のバランスを維持する機構(プロテオスタシス)の下で行われている。
また、プロテオスタシスは細胞のリサイクルや加齢のプロセスにおいても重要な役割を果たしている。
Hoppe氏らは今回、C. elegansを用いた研究で
食物のにおいがプロテオスタシスに影響を与えることを突き止めた。
C. elegansは神経系を構成する358種類の神経細胞のうち、2種類の細胞が嗅覚系の一部を成しており、
これらがにおいの知覚に重要であることが分かったという。
においが消化管の生理学的な機構に与える影響については、
C. elegansの腸内で緑色蛍光蛋白質(GFP)が分解・再合成される程度を調べて明らかにした。
具体的には、においによってC. elegans内の緑色蛍光の発光シグナルが強くなるに従い、
細胞の不要物の蓄積が進み、蛋白質の分解不全と強く関連していることが示された。
アルツハイマー病やパーキンソン病との関連も今後検討
また、においがプロテオスタシスに影響を与えるプロセスは、
遺伝子発現を制御するmicroRNA(miRNA)分子の1つであるmir-71を介することも明らかにされた。
mir-71は、嗅覚神経細胞の遺伝子プログラムを調節し、
またその後の消化管における蛋白質分解のプロセスを制御している。
しかし、この機構が阻害されると
細胞のリサイクルに支障を来すだけでなく、
生物の寿命が短縮する。
つまり、においを知覚する機能が失われた線虫は、寿命が大幅に短くなるという。
こうした機構は、
においシグナルの適切な処理に中心的な役割を果たしており、
腸内細胞の機能も調節しているという。
Hoppe氏は
「においによる影響を細胞レベルで検討した研究は少ないが、
嗅覚の機能不全がさまざまな神経変性疾患と関連することはよく知られている」と指摘。
その上で、「今後は、嗅覚がアルツハイマー病やパーキンソン病などの加齢と関連する疾患に与える影響について検討したい」と述べている。(岬りり子)
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