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2019年05月26日

理解難しい口腔内状態、数値化で分かりやすく

(口腔内は便の菌の数と同じ数の菌が繁殖している!!)

理解難しい口腔内状態、数値化で分かりやすく
多職種連携推進の一助に

2019年03月19日 17:52

近年、口腔細菌が誤嚥性肺炎や感染性心内膜炎などの全身疾患に関与することが報告され、
医科における口腔ケアの重要性が強調されてきている。

しかし歯科以外の職種にとって、口腔内の状態を理解するのは難しいのが実情である。

そこで広島大学病院では、患者の口腔内状態を数値化し、
歯科と医科での情報共有を促進する取り組みを行っている。

同院診療支援部歯科衛生部門歯科衛生士の倉本祐里氏が、
第34回日本環境感染学会(2月22〜23日)でその概要を紹介した。

口腔内の細菌数は便中とほぼ同じ

最初に倉本氏は、感染予防における口腔ケアの有効性について説明した。

口腔内は体内で最も細菌が多い場所だということは、意外と知られていない。
皮膚の菌数は103〜106/cm2なのに対し、
歯垢では1011/gに上る。それは便中の菌数とほぼ同じといわれている。

そして、細菌は歯垢だけでなく舌表面にも多く存在している。

舌は舌乳頭と呼ばれる凹凸のある組織で覆われているため細菌が停滞しやすい上、
食渣や剝離上皮など細菌の栄養が豊富にある。

また、湿潤で37℃程度という口腔内環境も、細菌が育つのに適している。

口腔内二大感染症である齲蝕と歯周病は、いずれも口腔内細菌が原因で生じる。

さらに、院内肺炎の原因菌の8割以上が、
嫌気性菌や肺炎球菌、緑膿菌、黄色ブドウ球菌など、口腔内にも生息している細菌で占められている。

こうしたことから、同氏は「適切な口腔ケアを行い、口腔内の細菌数を減らすことが感染予防につながる」と強調した。

"広大式評価シート"で医科歯科の情報共有を目指す

口腔ケアを効果的に行うためには、まず患者の口腔内状態を把握する必要がある。

広島大学病院では、こうした情報を多職種間で共有するための方策として、
独自に作成した評価シートを用いて、口腔内状態の数値化に取り組んでいる。

その1つが口腔内感染源リスク評価シートである。

倉本氏ら歯科衛生士が歯科医師とともに行う検査の際に使用するもので、
齲蝕、歯周病、粘膜炎、舌苔、乾燥度、口腔内細菌数などについてそれぞれの程度に応じた点数を定め、
合計点によりリスク分類をしている。

また、看護師との情報共有のために作成したのが口腔内環境評価シートである。
4段階評価となっている点が特徴であり、
中間の「どちらでもない」が選択されがちな3段階評価と異なり、
少しの異常でも早期の発見が期待できる。

これにより歯科が速やかに介入することが可能となり、
専門的な口腔ケアを強化できる仕かけになっている(図)。広島大学口腔内環境評価シート.jpg

(広島大学病院連携口腔ケアサポートチーム提供)

例えば、歯肉は
「ピンク色で引き締まっている(リスク評価点0、以下同)」
「浮腫があり発赤を伴うこともある(1)」
「ブラッシングなどの刺激による出血(2)」
「わずかな刺激で出血/自然出血(3)」
のいずれに該当するかをチェックする。
(2)(3)は歯石除去や抜歯などの歯科治療を要する状態のため、
歯科に紹介するようシート上に明記されている。

さらに、
歯周炎評価指標PISA(periodontal inflamed surface area)を取り入れ、
歯周病の影響を数値化する試みも行っている。

PISAは歯周ポケットの深さと、ポケット測定時の出血から算出する、歯周組織の炎症表面積を表す。

歯を1本ずつ評価するのではなく、
歯周全体の炎症を数値化して評価することができるため、
炎症の程度が理解しやすいという。

同氏は「数値など他職種にも理解しやすい指標を日常診療に取り入れて口腔内を評価し、
臨床研究でエビデンスを構築していくことが、質の高い口腔ケアの実現につながると考える」と展望した。
(長谷部弥生)
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田中松平
元消化器外科医で,頭からつま先まで診れる総合診療科医です. 医学博士 元日本外科学会認定指導医・専門医, 元日本消化器外科学会認定指導医・専門医, 元日本消化器内視鏡学会専門医, 日本医師会認定産業医, 日本病理学会認定剖検医,
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