2019年01月06日
『ω-3多価不飽和脂肪酸の血中濃度は健康な加齢と関連する』
『ω-3多価不飽和脂肪酸の血中濃度は健康な加齢と関連する』
Blood Levels of Omega-3 Polyunsaturated Fatty Acids Are Associated with Healthy Aging
January 15, 2019
日本語版 The New England Journal of Medicine 予防医療 老年医学
高齢者における魚介類由来の長鎖ω-3多価不飽和脂肪酸の血漿中濃度は、さまざまな有害な状態のリスクを予測した。
長鎖ω-3多価不飽和脂肪酸(polyunsaturated fatty acid:PUFA)の摂取は、好ましい生理的影響を(たとえば内皮機能に)もたらすが、PUFAの血漿中濃度と健康な加齢との関連は明らかにされていない。この前向きコホート研究で研究者らは、PUFA(エイコサペンタエン酸、ドコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸)の総血漿中濃度・各血漿中濃度およびαリノレン酸の血漿中濃度の経時的測定値と、健康な加齢との長期的な関連を明らかにした。
参加者は、ベースライン時に健康な加齢が認められた高齢者2,622人(平均年齢74歳)であった。
健康な加齢は、心血管疾患、がん、肺疾患、重症慢性腎臓病、認知的・身体的な機能障害がないことと定義された。
血漿PUFA濃度は研究期間(1992〜2015年)中に3回測定され、参加者はその濃度に基づき五分位群に分類された。
研究期間中、参加者の89%に健康でない加齢が認められた。
複数の変数で補正した解析で、健康でない加齢のリスクは、PUFAの最高五分位の参加者では最低五分位の参加者と比べて18%低かった。
有意な用量反応関係の傾向が観察された。
個別の評価では、エイコサペンタエン酸とドコサペンタエン酸の摂取量が高いほど、健康でない加齢のリスクが低かった(しかし、ドコサヘキサエン酸とαリノレン酸ではそうではなかった)。
コメント:PUFA、とくに魚介類由来のエイコサペンタエン酸と、内因性および魚介類由来のドコサペンタエン酸の血漿中濃度が高いほど、健康な加齢の確率が高かった。
この研究は、食事摂取歴ではなく実際の血漿中濃度が用いられたという点でほかに類をみない。
しかし、研究デザインを考慮すると、因果関係を確立することはできず、交絡が残存していた可能性があり、結果をより年齢が低い人々に一般化することはできないかもしれない。
とはいえ今回の結果は、魚の摂取量を増やすことに賛成しているガイドラインを支持している。
− Paul S. Mueller, MD, MPH, FACP
Published in NEJM Journal Watch General Medicine January 15, 2019
CITATION(S):
Lai HTM et al. Serial circulating omega 3 polyunsaturated fatty acids and healthy ageing among older adults in the Cardiovascular Health Study: Prospective cohort study. BMJ 2018 Oct 17; 363:k4067. (https://doi.org/10.1136/bmj.k4067)
Zhu Y et al. Omega 3 polyunsaturated fatty acids and healthy ageing: Fresh evidence provides clues to healthier, not just longer lives. BMJ 2018 Oct 17; 363:k4263. (https://doi.org/10.1136/bmj.k4263)
Copyright Massachusetts Medical Society.
Blood Levels of Omega-3 Polyunsaturated Fatty Acids Are Associated with Healthy Aging
January 15, 2019
日本語版 The New England Journal of Medicine 予防医療 老年医学
高齢者における魚介類由来の長鎖ω-3多価不飽和脂肪酸の血漿中濃度は、さまざまな有害な状態のリスクを予測した。
長鎖ω-3多価不飽和脂肪酸(polyunsaturated fatty acid:PUFA)の摂取は、好ましい生理的影響を(たとえば内皮機能に)もたらすが、PUFAの血漿中濃度と健康な加齢との関連は明らかにされていない。この前向きコホート研究で研究者らは、PUFA(エイコサペンタエン酸、ドコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸)の総血漿中濃度・各血漿中濃度およびαリノレン酸の血漿中濃度の経時的測定値と、健康な加齢との長期的な関連を明らかにした。
参加者は、ベースライン時に健康な加齢が認められた高齢者2,622人(平均年齢74歳)であった。
健康な加齢は、心血管疾患、がん、肺疾患、重症慢性腎臓病、認知的・身体的な機能障害がないことと定義された。
血漿PUFA濃度は研究期間(1992〜2015年)中に3回測定され、参加者はその濃度に基づき五分位群に分類された。
研究期間中、参加者の89%に健康でない加齢が認められた。
複数の変数で補正した解析で、健康でない加齢のリスクは、PUFAの最高五分位の参加者では最低五分位の参加者と比べて18%低かった。
有意な用量反応関係の傾向が観察された。
個別の評価では、エイコサペンタエン酸とドコサペンタエン酸の摂取量が高いほど、健康でない加齢のリスクが低かった(しかし、ドコサヘキサエン酸とαリノレン酸ではそうではなかった)。
コメント:PUFA、とくに魚介類由来のエイコサペンタエン酸と、内因性および魚介類由来のドコサペンタエン酸の血漿中濃度が高いほど、健康な加齢の確率が高かった。
この研究は、食事摂取歴ではなく実際の血漿中濃度が用いられたという点でほかに類をみない。
しかし、研究デザインを考慮すると、因果関係を確立することはできず、交絡が残存していた可能性があり、結果をより年齢が低い人々に一般化することはできないかもしれない。
とはいえ今回の結果は、魚の摂取量を増やすことに賛成しているガイドラインを支持している。
− Paul S. Mueller, MD, MPH, FACP
Published in NEJM Journal Watch General Medicine January 15, 2019
CITATION(S):
Lai HTM et al. Serial circulating omega 3 polyunsaturated fatty acids and healthy ageing among older adults in the Cardiovascular Health Study: Prospective cohort study. BMJ 2018 Oct 17; 363:k4067. (https://doi.org/10.1136/bmj.k4067)
Zhu Y et al. Omega 3 polyunsaturated fatty acids and healthy ageing: Fresh evidence provides clues to healthier, not just longer lives. BMJ 2018 Oct 17; 363:k4263. (https://doi.org/10.1136/bmj.k4263)
Copyright Massachusetts Medical Society.
この記事へのコメント
コメントを書く
この記事へのトラックバックURL
https://fanblogs.jp/tb/8510324
※ブログオーナーが承認したトラックバックのみ表示されます。
この記事へのトラックバック