2019年01月07日
炎症があると組織が壊れるので、細胞回転を上げて、修復する回数が増える
炎症があると組織が壊れるので、細胞回転を上げて、修復する回数が増える。
増えると、出来損ないの細胞(がん細胞)ができてしまう確率が増える、
炎症が増える病気の代表として、また成人がなりやすい病気の代表として、糖尿病があります。
統計学的にも糖尿病の患者さんに、がんの発生率が高いこともわかっています。
ここでは、糖尿病の患者さんに多く発生するがんの種類と、
炎症などで消耗、消化管出血で進行する貧血、その貧血に対して一番感受性が高い、赤血球1個あたりの鉄の含有量、重たさ(ヘモグロビン、血色素、Hbを赤血球数で割ったもの);MCVに注意を払うことによって、がんの早期発見につながると言う、医学的な論文を載せます。
がんを念頭に置いた糖尿病診療
2018年12月04日 06:15
がんと糖尿病の関連が注目されている。
日本糖尿病学会と日本癌学会は「糖尿病と癌に関する委員会」を組織し、両者の関係について研究を進めている。
その成果などから、一般人口に比べ糖尿病患者ではがんリスクが高いことが明らかになった。
糖尿病の診療に当たる臨床医には糖尿病患者を「がん予備軍」と捉えて、診療の中でがんを早期発見し、がんのリスクを減らす生活指導や治療を心がけることが求められる。
国立がん研究センター中央病院総合内科科長・大橋健氏に、そのポイントを聞いた。
肝・膵・大腸がんのリスクが上昇
大橋氏は糖尿病の診療でがんを念頭に置くことの必要性について「糖尿病の合併症というと、網膜症、腎症、神経障害を思い浮かべがちだ。
しかし、血糖管理の進歩もあって、これら細小血管合併症はかなり予防できるようになっている。
『糖尿病患者が生涯に合併する疾患としてはがんの方がはるかに多い」と説明する。』
「糖尿病と癌に関する委員会」では国内8件のコホート研究をプール解析し、
一般人口と比べた糖尿病患者のがん罹患リスクを算出している(糖尿病 2016; 59: 174-177)。
平均追跡期間10年、解析対象は男性15万5,345人、女性18万792人という膨大なもので、「現時点で最も信頼できる日本人のデータ」(同氏)である。
それによると、糖尿病がある人ではない人に比べ、全がんで男女ともハザード比1.19とがん罹患リスクが有意に上昇することが分かった。部位別には肝がん(ハザード比1.97)、膵がん(同1.85)、大腸がん(同1.40)で有意なリスク上昇であった(図1)。
同氏は「これは欧米の研究で示された結果と同様で、人種を問わず存在する普遍的な現象と考えられる」と指摘する一方、糖尿病でがんが発生しやすくなる機序はがん種ごとに異なり、性差もあるようだと述べる。
例えば、大腸がんについては、男性ではインスリン抵抗性に伴う高インスリン血症が強く関連することが示されているが、女性では関連性は認められない。
肝がんについては、インスリン抵抗性を基盤とした非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)の関与が示唆される他、
腸内細菌叢の変化により胆汁酸の代謝が変化することも影響している可能性がある。
Hbが低下したらがんを疑う
大橋氏は糖尿病患者の中で特にがんに注意すべき集団として、肥満者を挙げる。
肥満によっても各種がんリスクが上昇することが知られているからだ。
最近、世界のがんの5.6%は糖尿病と肥満が原因だとする研究も発表された(Lancet Diabetes En-do-crinol 2018; 6: 95-104)。
「患者に"肥満の解消は、糖尿病だけでなく将来のがんリスクの低減にもつながる"という認識を持って、生活習慣の改善に取り組んでもらうとよい」と同氏は述べる。
どのような食事・運動がよいかという問題もあるが、肥満の外科手術を行うとがんリスクが低下することが示されていることから(N Engl J Med 2007; 357: 753-751)、肥満者はとにかく「体重を減らす」ことが重要だという。
糖尿病の経過中にがんを疑うのはどのようなケースか。
同氏はまず一般的ながんのサインとして、意図しない体重減少と貧血に注意を向けるべきだと指摘する。
後者については、「貧血の診断域〔ヘモグロビン(Hb)12g/dL未満〕に入らない正常範囲でも、Hbが経時的に低下するようだと要注意だ」とする。
胃がんや大腸がんで慢性的な出血があると鉄欠乏性貧血を呈するためで、鉄欠乏性貧血の診断の手がかりとなる平均赤血球容積(MCV)の低下も見逃さないことが望ましい(図2)。
HbA1cの結果を確認する際は、併せてHbやMCVの値も確認することを習慣にするとよいという。
膵がん由来の二次性糖尿病に注意
がん種として特に注意すべきは膵がんだ。
「糖尿病の経過中に思い当たる原因がないのに血糖管理が悪化したら、まず膵がんを疑うべき」と大橋氏。
さらに、糖尿病初診時に既に膵がんを発症しているケース、すなわち膵がんが原因の二次性糖尿病も要注意だと強調する。
「膵がんの進行は速く、糖尿病の初診時が膵がんを早期発見する最初で最後のチャンスかもしれない」(同氏)。
ただし、膵がん由来の二次性糖尿病は、糖尿病全体の1%程度。
全ての患者に注意を向けるのは現実的でない。
そこで、同氏は韓国の研究グループが提唱しているスクリーニング法を紹介する(J Clin Gastro-enterol 2012; 46: e58-e61)。
これは、糖尿病の家族歴がないことに加え、
@65歳以上
A糖尿病発症前後に2kg以上の体重減少
B発症前BMI 25未満
−のうち1つ以上に該当することを要件とすれば、感度約80%、特異度約70%の精度で膵がんを発見できるというもの。
同氏はさらに自身の経験から、膵がんの家族歴がある場合、境界型の時期を経ないで短期間に本格的な糖尿病を発症したような場合も、膵がん由来二次性糖尿病の可能性が高まるとする。
化学療法による高血糖今までの血糖管理でよいか
臨床医にとっては、糖尿病治療薬ががんリスクに及ぼす影響は気になるところだ。過去にはインスリン、ピオグリタゾン(膀胱がん)、インクレチン関連薬(膵がん)でがんリスク上昇の可能性が報告され、SGLT2阻害薬については膀胱がんリスクを上昇させ、一部は消化管がんリスクを低下させる可能性が指摘されているが、
大橋氏は「いずれも臨床に反映すべき確たるエビデンスとはいえない。『現時点では、糖尿病治療薬の選択においてがんへの影響を考慮すべきでない」と述べる。』
ただし、メトホルミンのがん抑制効果については、がん専門医の間でも期待されており、乳がんなどで行われている複数のランダム化比較試験の結果を待ちたいとしている。
同じがん患者でも糖尿病を合併すると予後が悪いことが知られており、がんに罹患した糖尿病患者の血糖管理をどうするかは重要な問題だ。
外科手術時の血糖管理については豊富なエビデンスがあり、糖尿病の場合、管理目標140〜180mg/dLが現在のコンセンサスだ。
一方、化学療法時の血糖管理については明確な指針がない。
多くの化学療法のレジメンで抗がん薬による嘔気対策にステロイドが採用されているが、ステロイドには血糖を急激に上げる作用があり、患者は数日間300〜400mg/dLの高血糖に曝露される。
「化学療法中の血糖管理は、高血糖昏睡や高血糖症状を来さない程度で十分」というのが大方のがん治療医の認識だと同氏は述べる。
同氏はこのような考え方に理解を示しつつも、in vitroの研究に基づく仮説だが、高血糖下では抗がん薬の効果が減弱する可能性(hyper-glycemia-induced chemo-resistance)が提唱されていると指摘(Endocr Relat Cancer 2010; 17: 539-551)。
今後、化学療法時の血糖管理の在り方を見直す必要があるかもしれない。
眼科検診とともにがん検診を勧める
大橋氏はがん専門施設に勤務する糖尿病専門医。しかし、同氏のような存在は珍しく、地域のがん拠点病院でも、糖尿病の管理ができる内科医が不在のケースが少なくないという。
このようなケースで糖尿病患者ががんに罹患した場合、糖尿病を診ていたかかりつけ医が引き続き血糖管理を受け持つという選択肢もある。
その場合、がん治療医と緊密に連携しながら、がん治療の状況に応じて投薬を調整する必要がある。
患者が食事できない状況で高強度の血糖管理を行うと低血糖のリスクが高まる。
逆に、がん治療中だからと血糖管理を放棄するのも好ましくない。
がん治療が終了すると、糖尿病患者は再びかかりつけ医の下で糖尿病の診療を受ける。
この場面ではどのような配慮が必要か。
同氏は、糖尿病管理の一環として、がんの再発や別のがんの予防・早期発見のための患者指導を行うべきだと提言する。
「糖尿病のための生活習慣改善は、そのままがんの予防になることを患者に訴えてほしい。
また、網膜症の評価のため眼科への定期受診を勧めるのと同じ感覚で、がん検診も勧めてほしい」と呼びかけている。
(平田直樹)
増えると、出来損ないの細胞(がん細胞)ができてしまう確率が増える、
炎症が増える病気の代表として、また成人がなりやすい病気の代表として、糖尿病があります。
統計学的にも糖尿病の患者さんに、がんの発生率が高いこともわかっています。
ここでは、糖尿病の患者さんに多く発生するがんの種類と、
炎症などで消耗、消化管出血で進行する貧血、その貧血に対して一番感受性が高い、赤血球1個あたりの鉄の含有量、重たさ(ヘモグロビン、血色素、Hbを赤血球数で割ったもの);MCVに注意を払うことによって、がんの早期発見につながると言う、医学的な論文を載せます。
がんを念頭に置いた糖尿病診療
2018年12月04日 06:15
がんと糖尿病の関連が注目されている。
日本糖尿病学会と日本癌学会は「糖尿病と癌に関する委員会」を組織し、両者の関係について研究を進めている。
その成果などから、一般人口に比べ糖尿病患者ではがんリスクが高いことが明らかになった。
糖尿病の診療に当たる臨床医には糖尿病患者を「がん予備軍」と捉えて、診療の中でがんを早期発見し、がんのリスクを減らす生活指導や治療を心がけることが求められる。
国立がん研究センター中央病院総合内科科長・大橋健氏に、そのポイントを聞いた。
肝・膵・大腸がんのリスクが上昇
大橋氏は糖尿病の診療でがんを念頭に置くことの必要性について「糖尿病の合併症というと、網膜症、腎症、神経障害を思い浮かべがちだ。
しかし、血糖管理の進歩もあって、これら細小血管合併症はかなり予防できるようになっている。
『糖尿病患者が生涯に合併する疾患としてはがんの方がはるかに多い」と説明する。』
「糖尿病と癌に関する委員会」では国内8件のコホート研究をプール解析し、
一般人口と比べた糖尿病患者のがん罹患リスクを算出している(糖尿病 2016; 59: 174-177)。
平均追跡期間10年、解析対象は男性15万5,345人、女性18万792人という膨大なもので、「現時点で最も信頼できる日本人のデータ」(同氏)である。
それによると、糖尿病がある人ではない人に比べ、全がんで男女ともハザード比1.19とがん罹患リスクが有意に上昇することが分かった。部位別には肝がん(ハザード比1.97)、膵がん(同1.85)、大腸がん(同1.40)で有意なリスク上昇であった(図1)。
同氏は「これは欧米の研究で示された結果と同様で、人種を問わず存在する普遍的な現象と考えられる」と指摘する一方、糖尿病でがんが発生しやすくなる機序はがん種ごとに異なり、性差もあるようだと述べる。
例えば、大腸がんについては、男性ではインスリン抵抗性に伴う高インスリン血症が強く関連することが示されているが、女性では関連性は認められない。
肝がんについては、インスリン抵抗性を基盤とした非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)の関与が示唆される他、
腸内細菌叢の変化により胆汁酸の代謝が変化することも影響している可能性がある。
Hbが低下したらがんを疑う
大橋氏は糖尿病患者の中で特にがんに注意すべき集団として、肥満者を挙げる。
肥満によっても各種がんリスクが上昇することが知られているからだ。
最近、世界のがんの5.6%は糖尿病と肥満が原因だとする研究も発表された(Lancet Diabetes En-do-crinol 2018; 6: 95-104)。
「患者に"肥満の解消は、糖尿病だけでなく将来のがんリスクの低減にもつながる"という認識を持って、生活習慣の改善に取り組んでもらうとよい」と同氏は述べる。
どのような食事・運動がよいかという問題もあるが、肥満の外科手術を行うとがんリスクが低下することが示されていることから(N Engl J Med 2007; 357: 753-751)、肥満者はとにかく「体重を減らす」ことが重要だという。
糖尿病の経過中にがんを疑うのはどのようなケースか。
同氏はまず一般的ながんのサインとして、意図しない体重減少と貧血に注意を向けるべきだと指摘する。
後者については、「貧血の診断域〔ヘモグロビン(Hb)12g/dL未満〕に入らない正常範囲でも、Hbが経時的に低下するようだと要注意だ」とする。
胃がんや大腸がんで慢性的な出血があると鉄欠乏性貧血を呈するためで、鉄欠乏性貧血の診断の手がかりとなる平均赤血球容積(MCV)の低下も見逃さないことが望ましい(図2)。
HbA1cの結果を確認する際は、併せてHbやMCVの値も確認することを習慣にするとよいという。
膵がん由来の二次性糖尿病に注意
がん種として特に注意すべきは膵がんだ。
「糖尿病の経過中に思い当たる原因がないのに血糖管理が悪化したら、まず膵がんを疑うべき」と大橋氏。
さらに、糖尿病初診時に既に膵がんを発症しているケース、すなわち膵がんが原因の二次性糖尿病も要注意だと強調する。
「膵がんの進行は速く、糖尿病の初診時が膵がんを早期発見する最初で最後のチャンスかもしれない」(同氏)。
ただし、膵がん由来の二次性糖尿病は、糖尿病全体の1%程度。
全ての患者に注意を向けるのは現実的でない。
そこで、同氏は韓国の研究グループが提唱しているスクリーニング法を紹介する(J Clin Gastro-enterol 2012; 46: e58-e61)。
これは、糖尿病の家族歴がないことに加え、
@65歳以上
A糖尿病発症前後に2kg以上の体重減少
B発症前BMI 25未満
−のうち1つ以上に該当することを要件とすれば、感度約80%、特異度約70%の精度で膵がんを発見できるというもの。
同氏はさらに自身の経験から、膵がんの家族歴がある場合、境界型の時期を経ないで短期間に本格的な糖尿病を発症したような場合も、膵がん由来二次性糖尿病の可能性が高まるとする。
化学療法による高血糖今までの血糖管理でよいか
臨床医にとっては、糖尿病治療薬ががんリスクに及ぼす影響は気になるところだ。過去にはインスリン、ピオグリタゾン(膀胱がん)、インクレチン関連薬(膵がん)でがんリスク上昇の可能性が報告され、SGLT2阻害薬については膀胱がんリスクを上昇させ、一部は消化管がんリスクを低下させる可能性が指摘されているが、
大橋氏は「いずれも臨床に反映すべき確たるエビデンスとはいえない。『現時点では、糖尿病治療薬の選択においてがんへの影響を考慮すべきでない」と述べる。』
ただし、メトホルミンのがん抑制効果については、がん専門医の間でも期待されており、乳がんなどで行われている複数のランダム化比較試験の結果を待ちたいとしている。
同じがん患者でも糖尿病を合併すると予後が悪いことが知られており、がんに罹患した糖尿病患者の血糖管理をどうするかは重要な問題だ。
外科手術時の血糖管理については豊富なエビデンスがあり、糖尿病の場合、管理目標140〜180mg/dLが現在のコンセンサスだ。
一方、化学療法時の血糖管理については明確な指針がない。
多くの化学療法のレジメンで抗がん薬による嘔気対策にステロイドが採用されているが、ステロイドには血糖を急激に上げる作用があり、患者は数日間300〜400mg/dLの高血糖に曝露される。
「化学療法中の血糖管理は、高血糖昏睡や高血糖症状を来さない程度で十分」というのが大方のがん治療医の認識だと同氏は述べる。
同氏はこのような考え方に理解を示しつつも、in vitroの研究に基づく仮説だが、高血糖下では抗がん薬の効果が減弱する可能性(hyper-glycemia-induced chemo-resistance)が提唱されていると指摘(Endocr Relat Cancer 2010; 17: 539-551)。
今後、化学療法時の血糖管理の在り方を見直す必要があるかもしれない。
眼科検診とともにがん検診を勧める
大橋氏はがん専門施設に勤務する糖尿病専門医。しかし、同氏のような存在は珍しく、地域のがん拠点病院でも、糖尿病の管理ができる内科医が不在のケースが少なくないという。
このようなケースで糖尿病患者ががんに罹患した場合、糖尿病を診ていたかかりつけ医が引き続き血糖管理を受け持つという選択肢もある。
その場合、がん治療医と緊密に連携しながら、がん治療の状況に応じて投薬を調整する必要がある。
患者が食事できない状況で高強度の血糖管理を行うと低血糖のリスクが高まる。
逆に、がん治療中だからと血糖管理を放棄するのも好ましくない。
がん治療が終了すると、糖尿病患者は再びかかりつけ医の下で糖尿病の診療を受ける。
この場面ではどのような配慮が必要か。
同氏は、糖尿病管理の一環として、がんの再発や別のがんの予防・早期発見のための患者指導を行うべきだと提言する。
「糖尿病のための生活習慣改善は、そのままがんの予防になることを患者に訴えてほしい。
また、網膜症の評価のため眼科への定期受診を勧めるのと同じ感覚で、がん検診も勧めてほしい」と呼びかけている。
(平田直樹)
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