2019年01月20日
子宮頸がんリスクとワクチン接種率に逆相関
こんなに見事な結果が出ていることをマスコミはきちんと国民に知らせないー何を基準にニュースを選択しているのか?
子宮頸がんリスクとワクチン接種率に逆相関
2018年12月18日 06:05
子宮頸がんの予防対策として大きな期待が寄せられ、
2010年度から公費負担、
2013年4月から定期接種化されたヒトパピローマウイルス(HPV)ワクチンだが、
接種後の副反応とされる症状を懸念する報道が相次ぎ、
同年6月14日、厚生労働省は積極的な接種勧奨を差し控えると通達、5年を経た現在も継続されている。
それにより、HPVワクチン接種率に出生年度によって大きな格差が生じている。
大阪大学産科学婦人科学病理研究室の八木麻未氏は、
出生年度別の子宮頸がん罹患リスクの評価を行うとともに、
HPVワクチン接種の有効性を検証。
出生年度ごとの子宮頸がん罹患リスクがHPVワクチン接種率と逆相関することを明らかにし(Sci Rep 2018; 8: 5612)、
第22回日本ワクチン学会(12月8〜9日)において報告した。
HPVワクチン接種率は出生年度によって格差が大きい
子宮頸がんのほとんどはハイリスク型のHPVが子宮頸部に感染し持続感染することによって発症する。
子宮頸がんの予防は子宮頸がん予防ワクチン(HPVワクチン)と子宮頸がん検診の2本柱となっている。
子宮頸がん検診は前がん病変の早期発見・早期治療を目的としているのに対し、
HPVワクチンはハイリスク型のHPV-16、18型の感染自体を予防するものだ。
日本におけるHPV型別分布によると、16、18型がおよそ6割を占めており、日本で接種可能なHPVワクチン(2価ワクチン、4価ワクチン)はハイリスク型の中では16、18型を予防するものであることから、およそ6割の子宮頸がんがワクチンの接種によって予防可能であると考えられる。
しかし、接種勧奨の差し控えにより出生年度別のHPVワクチン接種率には大きな格差が生じており、
公費助成導入前である1993年度生まれの人のワクチン接種率は0%、
公費助成導入後の1994〜99年度生まれの人では約70%、
積極的勧奨中止以降である2000年度生まれ以降の人では接種率は激減し、事実上、接種停止状態となっている。
その一方で、HPVワクチンの有効性を検証するさまざまな報告がなされており、特に、秋田県、宮城県からは20〜24歳時の子宮頸がん検診における細胞診異常予防効果が示されている。
しかしながらこれらの既報には、20〜24歳では出生年度によってHPVワクチン接種者の割合が異なり、細胞診異常は年齢を重ねた方が出やすいために、非接種者において検診の異常が出やすいという研究調査上の弱点がある。
そこで八木氏らは、出生年度ごとのHPVワクチン接種率と20歳時の子宮頸がん検診における細胞診異常の頻度を明らかにし、
出生年度ごとの子宮頸がん罹患リスクの評価を行うとともに、HPVワクチン接種の有効性を評価した。
ワクチン導入・接種世代の細胞診異常率は導入前世代に比べて大きく減少
1990〜95年度生まれの女性(1990〜93年度生まれがワクチン導入前世代、1994〜95年度生まれがワクチン導入・接種世代)を対象とし、福島県いわき市・川崎市・大津市・大阪市・大阪府高槻市・松山市・福岡市から20歳の子宮頸がん検診時の対象者の人数および細胞診異常の人数、16歳までのHPVワクチン累積初回接種率についてのデータ提供を受け、解析を行った。
HPVワクチン接種率が0%のワクチン導入前世代における細胞診異常率を調べたところ、
ASC-US(軽度病変疑い)以上の細胞診異常率は
1990年度3.7%(84人/2,285人)、
91年度3.7%(92人/2,474人)、
92年度4.3%(79人/1,849人)、
93年度4.3%(75人/1,725人)であった。
一方、ワクチン接種世代におけるHPVワクチン接種率は
1994年度64%(9,038人/1万4,153人)、
95年度75%(1万642人/1万4,254人)であり、
ASC-US以上の細胞診異常率はいずれも3.0%であった。
さらにワンランク上の異常所見であるLSIL(軽度病変)以上の細胞診異常率を見ると、
ワクチン導入前世代は
1990年度2.2%、
91年度1.6%、
92年度2.4%、
93年度2.5%、
ワクチン接種世代では
1994年度0.8%、
95年度0.4%と、
ワクチン接種率が低いほど細胞診異常率が高まっていた(図)。
ワクチン導入前世代とワクチン導入・接種世代に2分して比較すると、
ASC-US以上の細胞診異常率は前者が3.96%、後者が3.01%とワクチンの導入によって24%減少、
LSIL以上の細胞診異常率は2.11%、0.58%と
73%減少したことになり、ワクチン接種率と細胞診異常率が逆相関することが示された。
以上から八木氏は「各出生年度における子宮頸がん罹患リスクがワクチン接種率と逆相関することが示されたとともに、HPVワクチン接種による細胞診異常の予防効果が示された。
今後、引き続き解析を行い、組織診異常の予防効果を検証する予定である」と述べた。
(長谷川愛子)
子宮頸がんリスクとワクチン接種率に逆相関
2018年12月18日 06:05
子宮頸がんの予防対策として大きな期待が寄せられ、
2010年度から公費負担、
2013年4月から定期接種化されたヒトパピローマウイルス(HPV)ワクチンだが、
接種後の副反応とされる症状を懸念する報道が相次ぎ、
同年6月14日、厚生労働省は積極的な接種勧奨を差し控えると通達、5年を経た現在も継続されている。
それにより、HPVワクチン接種率に出生年度によって大きな格差が生じている。
大阪大学産科学婦人科学病理研究室の八木麻未氏は、
出生年度別の子宮頸がん罹患リスクの評価を行うとともに、
HPVワクチン接種の有効性を検証。
出生年度ごとの子宮頸がん罹患リスクがHPVワクチン接種率と逆相関することを明らかにし(Sci Rep 2018; 8: 5612)、
第22回日本ワクチン学会(12月8〜9日)において報告した。
HPVワクチン接種率は出生年度によって格差が大きい
子宮頸がんのほとんどはハイリスク型のHPVが子宮頸部に感染し持続感染することによって発症する。
子宮頸がんの予防は子宮頸がん予防ワクチン(HPVワクチン)と子宮頸がん検診の2本柱となっている。
子宮頸がん検診は前がん病変の早期発見・早期治療を目的としているのに対し、
HPVワクチンはハイリスク型のHPV-16、18型の感染自体を予防するものだ。
日本におけるHPV型別分布によると、16、18型がおよそ6割を占めており、日本で接種可能なHPVワクチン(2価ワクチン、4価ワクチン)はハイリスク型の中では16、18型を予防するものであることから、およそ6割の子宮頸がんがワクチンの接種によって予防可能であると考えられる。
しかし、接種勧奨の差し控えにより出生年度別のHPVワクチン接種率には大きな格差が生じており、
公費助成導入前である1993年度生まれの人のワクチン接種率は0%、
公費助成導入後の1994〜99年度生まれの人では約70%、
積極的勧奨中止以降である2000年度生まれ以降の人では接種率は激減し、事実上、接種停止状態となっている。
その一方で、HPVワクチンの有効性を検証するさまざまな報告がなされており、特に、秋田県、宮城県からは20〜24歳時の子宮頸がん検診における細胞診異常予防効果が示されている。
しかしながらこれらの既報には、20〜24歳では出生年度によってHPVワクチン接種者の割合が異なり、細胞診異常は年齢を重ねた方が出やすいために、非接種者において検診の異常が出やすいという研究調査上の弱点がある。
そこで八木氏らは、出生年度ごとのHPVワクチン接種率と20歳時の子宮頸がん検診における細胞診異常の頻度を明らかにし、
出生年度ごとの子宮頸がん罹患リスクの評価を行うとともに、HPVワクチン接種の有効性を評価した。
ワクチン導入・接種世代の細胞診異常率は導入前世代に比べて大きく減少
1990〜95年度生まれの女性(1990〜93年度生まれがワクチン導入前世代、1994〜95年度生まれがワクチン導入・接種世代)を対象とし、福島県いわき市・川崎市・大津市・大阪市・大阪府高槻市・松山市・福岡市から20歳の子宮頸がん検診時の対象者の人数および細胞診異常の人数、16歳までのHPVワクチン累積初回接種率についてのデータ提供を受け、解析を行った。
HPVワクチン接種率が0%のワクチン導入前世代における細胞診異常率を調べたところ、
ASC-US(軽度病変疑い)以上の細胞診異常率は
1990年度3.7%(84人/2,285人)、
91年度3.7%(92人/2,474人)、
92年度4.3%(79人/1,849人)、
93年度4.3%(75人/1,725人)であった。
一方、ワクチン接種世代におけるHPVワクチン接種率は
1994年度64%(9,038人/1万4,153人)、
95年度75%(1万642人/1万4,254人)であり、
ASC-US以上の細胞診異常率はいずれも3.0%であった。
さらにワンランク上の異常所見であるLSIL(軽度病変)以上の細胞診異常率を見ると、
ワクチン導入前世代は
1990年度2.2%、
91年度1.6%、
92年度2.4%、
93年度2.5%、
ワクチン接種世代では
1994年度0.8%、
95年度0.4%と、
ワクチン接種率が低いほど細胞診異常率が高まっていた(図)。
ワクチン導入前世代とワクチン導入・接種世代に2分して比較すると、
ASC-US以上の細胞診異常率は前者が3.96%、後者が3.01%とワクチンの導入によって24%減少、
LSIL以上の細胞診異常率は2.11%、0.58%と
73%減少したことになり、ワクチン接種率と細胞診異常率が逆相関することが示された。
以上から八木氏は「各出生年度における子宮頸がん罹患リスクがワクチン接種率と逆相関することが示されたとともに、HPVワクチン接種による細胞診異常の予防効果が示された。
今後、引き続き解析を行い、組織診異常の予防効果を検証する予定である」と述べた。
(長谷川愛子)
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