2019年01月10日
コメの成分に歯周病予防効果 創薬への応用にも期待
コメの成分に歯周病予防効果 創薬への応用にも期待
2018年12月06日 17:59
米どころ、新潟から、大発見!
米(コメ)から抽出した成分で歯周病による歯槽骨の吸収が抑制できる。
新潟大学大学院歯学系微生物感染症学分野(教授・寺尾豊氏)の田村光氏らが歯周病モデルマウスを用いたた研究結果をArch of Oral Biol(2018; 98: 132-139)に発表した。
米由来ペプチドが歯槽骨吸収を抑制
歯周病では、炎症範囲が歯肉に限定している歯肉炎から歯周囲の歯槽骨に広がる歯周炎に進展すると、歯槽骨の吸収が生じる。
歯槽骨の吸収は歯の喪失につながる可能性があるが、現在の治療技術では歯槽骨の吸収を回復させることは困難であるため、歯周病の予防は重要である。
一方、食物由来のペプチドには歯周病菌に対する抗菌作用があると報告されている。
また、米成分には炎症を緩和する作用があることが示唆されている。
しかし、食物由来ペプチドの歯周病における炎症や歯槽骨吸収に対する効果は示されていない。
今回、田村氏らは米由来のペプチドが歯周炎による歯槽骨吸収に及ぼす影響を検討し、新規抗炎症薬としての可能性を探ることを目的に研究を行った。
同氏らは、米から抽出した15種類のペプチド溶液を結紮によって作製した歯周病モデルマウスのマクロファージ由来細胞に対して作用させ、歯周炎への効果および骨吸収関連分子の発現を調べた。
さらに、米由来ペプチドの歯周病モデルマウスにおける歯槽骨吸収に対する効果も検討した。
その結果、15種類の米由来ペプチドのうちREP9とREP11が炎症および骨吸収関連分子の転写を著明に抑制した。
さらに、これらの米由来ペプチドは歯周病モデルマウスの歯槽骨の破骨細胞数を減少させ、歯槽骨吸収を抑制した(図)。
図. 歯周病マウスの歯槽骨の吸収に対する米ペプチドの効果
(プレスリリース資料)
以上から、同氏らは「米由来ペプチドは歯周病予防効果を有する可能性が示唆された」と述べている。
また、現在の歯科治療では歯周病菌抑制のため抗菌薬を使用することがあるが、抗菌薬の乱用は耐性菌発生の危険性がある。
今回、米由来ペプチドで歯周病予防の可能性が示されたことから、抗菌薬の使用抑制につながる新たな歯周病治療法と予防法の開発が期待される。
さらに同氏らは「新潟県に拠点を有する米関連企業との産学連携研究への発展も視野に入れている」と展望している。
(大江 円)
2018年12月06日 17:59
米どころ、新潟から、大発見!
米(コメ)から抽出した成分で歯周病による歯槽骨の吸収が抑制できる。
新潟大学大学院歯学系微生物感染症学分野(教授・寺尾豊氏)の田村光氏らが歯周病モデルマウスを用いたた研究結果をArch of Oral Biol(2018; 98: 132-139)に発表した。
米由来ペプチドが歯槽骨吸収を抑制
歯周病では、炎症範囲が歯肉に限定している歯肉炎から歯周囲の歯槽骨に広がる歯周炎に進展すると、歯槽骨の吸収が生じる。
歯槽骨の吸収は歯の喪失につながる可能性があるが、現在の治療技術では歯槽骨の吸収を回復させることは困難であるため、歯周病の予防は重要である。
一方、食物由来のペプチドには歯周病菌に対する抗菌作用があると報告されている。
また、米成分には炎症を緩和する作用があることが示唆されている。
しかし、食物由来ペプチドの歯周病における炎症や歯槽骨吸収に対する効果は示されていない。
今回、田村氏らは米由来のペプチドが歯周炎による歯槽骨吸収に及ぼす影響を検討し、新規抗炎症薬としての可能性を探ることを目的に研究を行った。
同氏らは、米から抽出した15種類のペプチド溶液を結紮によって作製した歯周病モデルマウスのマクロファージ由来細胞に対して作用させ、歯周炎への効果および骨吸収関連分子の発現を調べた。
さらに、米由来ペプチドの歯周病モデルマウスにおける歯槽骨吸収に対する効果も検討した。
その結果、15種類の米由来ペプチドのうちREP9とREP11が炎症および骨吸収関連分子の転写を著明に抑制した。
さらに、これらの米由来ペプチドは歯周病モデルマウスの歯槽骨の破骨細胞数を減少させ、歯槽骨吸収を抑制した(図)。
図. 歯周病マウスの歯槽骨の吸収に対する米ペプチドの効果
(プレスリリース資料)
以上から、同氏らは「米由来ペプチドは歯周病予防効果を有する可能性が示唆された」と述べている。
また、現在の歯科治療では歯周病菌抑制のため抗菌薬を使用することがあるが、抗菌薬の乱用は耐性菌発生の危険性がある。
今回、米由来ペプチドで歯周病予防の可能性が示されたことから、抗菌薬の使用抑制につながる新たな歯周病治療法と予防法の開発が期待される。
さらに同氏らは「新潟県に拠点を有する米関連企業との産学連携研究への発展も視野に入れている」と展望している。
(大江 円)
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