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2019年07月01日
心理学統計の検定を用いてトーマス・マンの「魔の山」を考える3
2.2 実験計画
【研究テーマ】
質問 登場人物の不満度の違い。
帰無仮説 登場人物の不満度に差がない。(5%以上)
対立仮説 登場人物の不満度に差がある。(5%以下)
【実験計画】
独立変数 実験や調査をする人が仮説を検証するために使用する変数。原因と結果でというと原因である。
従属変数 独立変数の操作に応じて変化すると考えられる変数。原因と結果でいうと結果である。
【要因と水準】
要因 実験者が使用する変数。独立変数そのもの。
水準 実験者が使用する種類。独立変数が実際にとる値。
【参加者間要因と参加者内要因】
参加者間要因 水準のデータが異なる標本から集められる場合。
参加者内要因 水準のデータが同じ標本から集められる場合。
【有意確率】
帰無仮説を前提としたときに、誤差から偶然ある程度の差が標本に生じる確率のこと。危険率とかP値という。また、誤差には、本当はないのに誤って誤差があるとする第一種と誤差があるのに誤ってないとする第二種とがある。実吉(2013)では、5%水準を基準にしている。
花村嘉英(2019)「心理学統計の検定を用いてトーマス・マンの「魔の山」を考える」より
【研究テーマ】
質問 登場人物の不満度の違い。
帰無仮説 登場人物の不満度に差がない。(5%以上)
対立仮説 登場人物の不満度に差がある。(5%以下)
【実験計画】
独立変数 実験や調査をする人が仮説を検証するために使用する変数。原因と結果でというと原因である。
従属変数 独立変数の操作に応じて変化すると考えられる変数。原因と結果でいうと結果である。
【要因と水準】
要因 実験者が使用する変数。独立変数そのもの。
水準 実験者が使用する種類。独立変数が実際にとる値。
【参加者間要因と参加者内要因】
参加者間要因 水準のデータが異なる標本から集められる場合。
参加者内要因 水準のデータが同じ標本から集められる場合。
【有意確率】
帰無仮説を前提としたときに、誤差から偶然ある程度の差が標本に生じる確率のこと。危険率とかP値という。また、誤差には、本当はないのに誤って誤差があるとする第一種と誤差があるのに誤ってないとする第二種とがある。実吉(2013)では、5%水準を基準にしている。
花村嘉英(2019)「心理学統計の検定を用いてトーマス・マンの「魔の山」を考える」より
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心理学統計の検定を用いてトーマス・マンの「魔の山」を考える2
2 心理学統計
心理学統計では、心の働きを数値化しながら客観性を計り、集計や分析を試みる。心を測定する時は、様々な要因がデータに含まれるため、データには誤差が付き物である。そのため、統計学により誤差を取り除き真の値を求めていく必要がある。そうすると、限られた人数のデータから人間一般に共通する心の働きも推測可能になる。
2.1 有意性検定
科学では全般的に仮説を立てて検証する方法が使われる。実吉(2013)によると、検定の際に仮説が成り立つかどうかは、作成したデータから決めていく。検定の対象は、そこに有意性の差があるかどうかである。例えば、男女で不安度に差があるのかどうか、または満足度に差があるのかどうか。こうした問題に対してデータを集めながら検定すると、解答が見えてくる。
【検定の流れ】
帰無仮説と対立仮説を立てる → 独立変数と従属変数を具体的に決め、実験計画を立てる → データを取る → 実験計画に応じた統計検定を行う → 得られた有意確率(p値)を有意水準と比較する → 帰無仮説の棄却、採択を決定する
ここで、帰無仮説とは、比較する数値間に差がないという仮説である。対立仮説は比較する数値間に差があるとする仮説である。検定では、まず帰無仮説が正しいことを前提に検討され、帰無仮説が成り立たなければ、それを棄てて対立仮説に移り、差があるという結論にする。つまり背理法による命題の証明である。
花村嘉英(2019)「心理学統計の検定を用いてトーマス・マンの「魔の山」を考える」より
心理学統計では、心の働きを数値化しながら客観性を計り、集計や分析を試みる。心を測定する時は、様々な要因がデータに含まれるため、データには誤差が付き物である。そのため、統計学により誤差を取り除き真の値を求めていく必要がある。そうすると、限られた人数のデータから人間一般に共通する心の働きも推測可能になる。
2.1 有意性検定
科学では全般的に仮説を立てて検証する方法が使われる。実吉(2013)によると、検定の際に仮説が成り立つかどうかは、作成したデータから決めていく。検定の対象は、そこに有意性の差があるかどうかである。例えば、男女で不安度に差があるのかどうか、または満足度に差があるのかどうか。こうした問題に対してデータを集めながら検定すると、解答が見えてくる。
【検定の流れ】
帰無仮説と対立仮説を立てる → 独立変数と従属変数を具体的に決め、実験計画を立てる → データを取る → 実験計画に応じた統計検定を行う → 得られた有意確率(p値)を有意水準と比較する → 帰無仮説の棄却、採択を決定する
ここで、帰無仮説とは、比較する数値間に差がないという仮説である。対立仮説は比較する数値間に差があるとする仮説である。検定では、まず帰無仮説が正しいことを前提に検討され、帰無仮説が成り立たなければ、それを棄てて対立仮説に移り、差があるという結論にする。つまり背理法による命題の証明である。
花村嘉英(2019)「心理学統計の検定を用いてトーマス・マンの「魔の山」を考える」より
心理学統計の検定を用いてトーマス・マンの「魔の山」を考える1
1 先行研究との関係
データベースを作成ながら購読脳と執筆脳を分析するシナジーのメタファーの研究も次第に安定してきている。これまでバランスを意識して二個二個のルールに基づき多くの組み合わせを作ってきた。統計についても、バラツキ、相関関係、多変量分析と進み、今回の心理学統計を含めれば、バラツキと相関、多変量と心理という組み合わせができる。この小論では、実吉(2013)の心理学統計の検定の手法に従い、トーマス・マンの「魔の山」を題材にして男女の満足度について考えていく。
花村嘉英(2019)「心理学統計の検定を用いてトーマス・マンの「魔の山」を考える」より
データベースを作成ながら購読脳と執筆脳を分析するシナジーのメタファーの研究も次第に安定してきている。これまでバランスを意識して二個二個のルールに基づき多くの組み合わせを作ってきた。統計についても、バラツキ、相関関係、多変量分析と進み、今回の心理学統計を含めれば、バラツキと相関、多変量と心理という組み合わせができる。この小論では、実吉(2013)の心理学統計の検定の手法に従い、トーマス・マンの「魔の山」を題材にして男女の満足度について考えていく。
花村嘉英(2019)「心理学統計の検定を用いてトーマス・マンの「魔の山」を考える」より
ハインリッヒ・ベルの「旅人よ、汝スパ…にいたりなば」の相関関係について5
4 相関係数を言葉で表す
数字の意味を言葉で確認しておく。
-0. 7≦r≦-1.0 強い負の相関がある
-0.4≦r≦-0.7 やや負の相関がある
0≦r≦-0.4 ほとんど負の相関がない
0≦r≦0.2 ほとんど正の相関がない
0.2≦r≦0.4 やや正の相関がある
0.4≦r≦0.7 かなり正の相関がある
0.7≦r≦1 強い正の相関がある
5 まとめ
ハインリッヒ・ベルの「旅人よ、汝スパ…にいたりなば」のデータベースのうち、言語の認知のカラム、五感1視覚、2その他と、情報の認知のカラム、人工知能(頭頂連合野)1空間認識、2その他は、正の強い相関関係になることがわかった。
参考文献
花村嘉英 計算文学入門−Thomas Mannのイロニーはファジィ推論といえるのか?新風舎 2005
花村嘉英 从认知语言学的角度浅析鲁迅作品−魯迅をシナジーで読む 華東理工大学 出版社2015
花村嘉英 日语教育计划书−面向中国人的日语教学法与森鸥外小说的数据库应用 日本語教育のためのプログラム−中国語話者向けの教授法から森鴎外のデータベースまで 南京東南大学出版社 2017
花村嘉英 从认知语言学的角度浅析纳丁・戈迪默 ナディン・ゴーディマと意欲 華東理工大学出版社 2018
花村嘉英 ハインリッヒ・ベルの「旅人よ、汝スパ…にいたりなば」のデータベース 2017
前野昌弘 回帰分析超入門 技術評論社 2012
Heinrich Böll Wanderer, kommst du nach Spa… Reclam 1982
数字の意味を言葉で確認しておく。
-0. 7≦r≦-1.0 強い負の相関がある
-0.4≦r≦-0.7 やや負の相関がある
0≦r≦-0.4 ほとんど負の相関がない
0≦r≦0.2 ほとんど正の相関がない
0.2≦r≦0.4 やや正の相関がある
0.4≦r≦0.7 かなり正の相関がある
0.7≦r≦1 強い正の相関がある
5 まとめ
ハインリッヒ・ベルの「旅人よ、汝スパ…にいたりなば」のデータベースのうち、言語の認知のカラム、五感1視覚、2その他と、情報の認知のカラム、人工知能(頭頂連合野)1空間認識、2その他は、正の強い相関関係になることがわかった。
参考文献
花村嘉英 計算文学入門−Thomas Mannのイロニーはファジィ推論といえるのか?新風舎 2005
花村嘉英 从认知语言学的角度浅析鲁迅作品−魯迅をシナジーで読む 華東理工大学 出版社2015
花村嘉英 日语教育计划书−面向中国人的日语教学法与森鸥外小说的数据库应用 日本語教育のためのプログラム−中国語話者向けの教授法から森鴎外のデータベースまで 南京東南大学出版社 2017
花村嘉英 从认知语言学的角度浅析纳丁・戈迪默 ナディン・ゴーディマと意欲 華東理工大学出版社 2018
花村嘉英 ハインリッヒ・ベルの「旅人よ、汝スパ…にいたりなば」のデータベース 2017
前野昌弘 回帰分析超入門 技術評論社 2012
Heinrich Böll Wanderer, kommst du nach Spa… Reclam 1982
ハインリッヒ・ベルの「旅人よ、汝スパ…にいたりなば」の相関関係について4
A 言語の認知(五感)1視覚、2その他 → 3、2
B人工知能(頭頂連合野)1空間認識、2その他 → 4、1
◆A、Bそれぞれの平均値を出す。
Aの平均:(3 + 2)÷ 2 = 2.5 Bの平均:(4 + 1)÷ 2 = 2.5
◆A、Bそれぞれの偏差を計算する。偏差=各データ−平均値
Aの偏差:(3 – 2.5)、(2 – 2.5)= 0.5、-0.5
Bの偏差:(4 – 2.5)、(1 – 2.5)= 1.5、-1.5
◆A、Bの偏差をそれぞれ2乗する。
Aの偏差2乗 = 0.25、0.25 Bの偏差2乗 = 2.25、2.25
◆AとBの偏差同士の積を計算する
(Aの偏差)x(Bの偏差)= 0.75、0.75
◆AとBを2乗したものを合計する。
Aの偏差を2乗したものの合計 = 0.25 + 0.25 = 0.5
Bの偏差を2乗したものの合計 = 2.25 + 2.25 = 4.5
◆AとBの偏差の積を合計する。0.75 + 0.75 = 1.5
表2 計算表
A 3 2 5
偏差 0.5 -0.5 合計0
偏差2 0.25 0.25 合計0.5
B 4 1 合計5
偏差 1.5 -1.5 合計0
偏差2 2.25 2.25 合計4.5
AB偏差の積 0.75 0.75 合計1.5
◆相関係数は、次の公式で求めることができる。
相関係数=[(A-Aの平均値)x(B-Bの平均値)]の和/
√(A-Aの平均値)2の和x(B-Bの平均値)2の和
上記計算表を代入すると、相関係数 = 1.5/√0.5 x 4.5 = 1.5/1.5 = 1
従って、正の強い相関があるといえる。
花村嘉英(2019)「ハインリッヒ・ベルの「旅人よ、汝スパ…にいたりなば」の相関関係について」より
B人工知能(頭頂連合野)1空間認識、2その他 → 4、1
◆A、Bそれぞれの平均値を出す。
Aの平均:(3 + 2)÷ 2 = 2.5 Bの平均:(4 + 1)÷ 2 = 2.5
◆A、Bそれぞれの偏差を計算する。偏差=各データ−平均値
Aの偏差:(3 – 2.5)、(2 – 2.5)= 0.5、-0.5
Bの偏差:(4 – 2.5)、(1 – 2.5)= 1.5、-1.5
◆A、Bの偏差をそれぞれ2乗する。
Aの偏差2乗 = 0.25、0.25 Bの偏差2乗 = 2.25、2.25
◆AとBの偏差同士の積を計算する
(Aの偏差)x(Bの偏差)= 0.75、0.75
◆AとBを2乗したものを合計する。
Aの偏差を2乗したものの合計 = 0.25 + 0.25 = 0.5
Bの偏差を2乗したものの合計 = 2.25 + 2.25 = 4.5
◆AとBの偏差の積を合計する。0.75 + 0.75 = 1.5
表2 計算表
A 3 2 5
偏差 0.5 -0.5 合計0
偏差2 0.25 0.25 合計0.5
B 4 1 合計5
偏差 1.5 -1.5 合計0
偏差2 2.25 2.25 合計4.5
AB偏差の積 0.75 0.75 合計1.5
◆相関係数は、次の公式で求めることができる。
相関係数=[(A-Aの平均値)x(B-Bの平均値)]の和/
√(A-Aの平均値)2の和x(B-Bの平均値)2の和
上記計算表を代入すると、相関係数 = 1.5/√0.5 x 4.5 = 1.5/1.5 = 1
従って、正の強い相関があるといえる。
花村嘉英(2019)「ハインリッヒ・ベルの「旅人よ、汝スパ…にいたりなば」の相関関係について」より
ハインリッヒ・ベルの「旅人よ、汝スパ…にいたりなば」の相関関係について3
3 小説の場面に適用する
表1 作者がギムナジウムを回想する場面
A Ich mußte mir jetzt zugestehen, daß ich im Zeichensaal eines humanistischen Gymnasiums in Bendorf lag.
意味3 1 人工知能 1
B Bendorf hat drei humanistische Gymnasien: die Schule "Friedrich der Große", die Albertus-Schule und - vieleicht braucht ich es nicht zu erwähnen - aber die letzte, die dritte war die Adolf-Hitler-Schule.
意味3 2 人工知能 2
C Hing nicht in der Schule "Friedrich der Große"das Bild des Alten Fritz besonders bunt, besonders schön, besoders groß im Treppenhaus? 意味3 1 人工知能 1
D Ich war auf dieser Schule gewesen, acht Jahre lang, aber warum konnte nicht in den anderen Schulen dieses Bild genauso an derselben Stelle hängen, so deutlich und auffallend, daß es den Blick fangen mußte, wenn man die erste Treppe hinaufstieg? 意味3 1 人工知能 1
E Draußen hörte ich jetzt die schwere Artillerie schießen. Sonst war es fast ruhig; nur manchmal drang das Fressen der Flammen durch, und im Dunkeln stürzte irgendwo ein Giebel ein.
意味3 2 人工知能 1
花村嘉英(2019)「ハインリッヒ・ベルの「旅人よ、汝スパ…にいたりなば」の相関関係について」より
表1 作者がギムナジウムを回想する場面
A Ich mußte mir jetzt zugestehen, daß ich im Zeichensaal eines humanistischen Gymnasiums in Bendorf lag.
意味3 1 人工知能 1
B Bendorf hat drei humanistische Gymnasien: die Schule "Friedrich der Große", die Albertus-Schule und - vieleicht braucht ich es nicht zu erwähnen - aber die letzte, die dritte war die Adolf-Hitler-Schule.
意味3 2 人工知能 2
C Hing nicht in der Schule "Friedrich der Große"das Bild des Alten Fritz besonders bunt, besonders schön, besoders groß im Treppenhaus? 意味3 1 人工知能 1
D Ich war auf dieser Schule gewesen, acht Jahre lang, aber warum konnte nicht in den anderen Schulen dieses Bild genauso an derselben Stelle hängen, so deutlich und auffallend, daß es den Blick fangen mußte, wenn man die erste Treppe hinaufstieg? 意味3 1 人工知能 1
E Draußen hörte ich jetzt die schwere Artillerie schießen. Sonst war es fast ruhig; nur manchmal drang das Fressen der Flammen durch, und im Dunkeln stürzte irgendwo ein Giebel ein.
意味3 2 人工知能 1
花村嘉英(2019)「ハインリッヒ・ベルの「旅人よ、汝スパ…にいたりなば」の相関関係について」より
ハインリッヒ・ベルの「旅人よ、汝スパ…にいたりなば」の相関関係について2
2 相関の作り方
シナジーのメタファーのために作成しているデータベースは、データの種類で見ると、俗に言う測れないカテゴリーデータからなる。数量データといわれる身長、体重、気温、湿度などとは異なり、値が連続ではなく飛び飛びで離散的となる。前野(2012)によると、カテゴリーデータは、対象の性質を表したり、現象や区別を表したりする。性別、好き、嫌い、うまい、まずい、おもしろいなどあるものの性質や現象が示される。
相関とは原因から結果が生じ、それが互いに関係しあっていることをいう。また、相関関係があるとは、ある測定値の変化に対して他の測定値も変化する場合に使われる。相関の強さは、ピアソンの相関係数で表す。合わせて共分散という統計用語が重要になる。
(1) 共分散の公式
共分散=[(xの各データ−xの平均値)x(yの各データ−yの平均値)]の和/データ数
=[(xの偏差)x(yの偏差)]の和/データ数
= xとyの偏差積の和/データ数
正の相関があると0より大きく、負の相関があると0より小さくなる。
(2) 相関係数(ピアソン)
相関係数=XYの偏差平方和/√(Xの偏差平方和)x(Yの偏差平方和)
「旅人よ、汝スパ…にいたりなば」の問題解決の場面を使用して簡単な例を見てみよう。
花村嘉英(2019)「ハインリッヒ・ベルの「旅人よ、汝スパ…にいたりなば」の相関関係について」より
シナジーのメタファーのために作成しているデータベースは、データの種類で見ると、俗に言う測れないカテゴリーデータからなる。数量データといわれる身長、体重、気温、湿度などとは異なり、値が連続ではなく飛び飛びで離散的となる。前野(2012)によると、カテゴリーデータは、対象の性質を表したり、現象や区別を表したりする。性別、好き、嫌い、うまい、まずい、おもしろいなどあるものの性質や現象が示される。
相関とは原因から結果が生じ、それが互いに関係しあっていることをいう。また、相関関係があるとは、ある測定値の変化に対して他の測定値も変化する場合に使われる。相関の強さは、ピアソンの相関係数で表す。合わせて共分散という統計用語が重要になる。
(1) 共分散の公式
共分散=[(xの各データ−xの平均値)x(yの各データ−yの平均値)]の和/データ数
=[(xの偏差)x(yの偏差)]の和/データ数
= xとyの偏差積の和/データ数
正の相関があると0より大きく、負の相関があると0より小さくなる。
(2) 相関係数(ピアソン)
相関係数=XYの偏差平方和/√(Xの偏差平方和)x(Yの偏差平方和)
「旅人よ、汝スパ…にいたりなば」の問題解決の場面を使用して簡単な例を見てみよう。
花村嘉英(2019)「ハインリッヒ・ベルの「旅人よ、汝スパ…にいたりなば」の相関関係について」より
ハインリッヒ・ベルの「旅人よ、汝スパ…にいたりなば」の相関関係について1
1 先行研究
ハインリッヒ・ベルの「旅人よ、汝スパ…にいたりなば」において作者がギムナジウムを回想する場面のデータベースから数字を取り既存の研究と照合すると、作者の空間認識と頭頂連合野が確認できる。
この小論では、同じデータベースを使用して、相関関係を考察する。言語の認知のカラムは、五感1視覚、2その他、情報の認知のカラムは、人工知能(頭頂連合野)1空間認識、2その他である。
花村嘉英(2019)「ハインリッヒ・ベルの「旅人よ、汝スパ…にいたりなば」の相関関係について」より
ハインリッヒ・ベルの「旅人よ、汝スパ…にいたりなば」において作者がギムナジウムを回想する場面のデータベースから数字を取り既存の研究と照合すると、作者の空間認識と頭頂連合野が確認できる。
この小論では、同じデータベースを使用して、相関関係を考察する。言語の認知のカラムは、五感1視覚、2その他、情報の認知のカラムは、人工知能(頭頂連合野)1空間認識、2その他である。
花村嘉英(2019)「ハインリッヒ・ベルの「旅人よ、汝スパ…にいたりなば」の相関関係について」より
2019年06月30日
ハインリッヒ・ベルの「旅人よ、汝スパ…にいたりなば」のバラツキについて8
3 まとめ
リレーショナル・データベースの数字及びそこから求めた標準偏差により、「旅人よ、汝スパ…にいたりなば」に関して部分的ではあるが、既存の分析例が説明できている。従って、この小論の分析方法、即ちデータベースを作成する文学研究は、データ間のリンクなど人の目には見えないものを提供してくれるため、これまでよりも客観性を上げることに成功している。
【参考文献】
花村嘉英 計算文学入門−Thomas Mannのイロニーはファジィ推論といえるのか? 新風舎 2005
花村嘉英 从认知语言学的角度浅析鲁迅作品−魯迅をシナジーで読む 華東理工大学出版社 2015
花村嘉英 日语教育计划书−面向中国人的日语教学法与森鸥外小说的数据库应用 日本語教育のためのプログラム−中国語話者向けの教授法から 森鴎外のデータベースまで 南京東南大学出版社 2017
花村嘉英 从认知语言学的角度浅析纳丁・戈迪默 ナディン・ゴーディマと意欲 華東理工大学出版社 2018
花村嘉英 シナジーのメタファーの作り方−トーマス・マン、魯迅、森鴎外、ナディン・ゴーディマ、井上靖 中国日语教学研究会上海分会論文集 2018
花村嘉英 ハインリッヒ・ベル「旅人よ、汝スパ…にいたりなば」データベース 2019
Heinrich Böll Wanderer, kommst du nach Spa… Reclam 1982
リレーショナル・データベースの数字及びそこから求めた標準偏差により、「旅人よ、汝スパ…にいたりなば」に関して部分的ではあるが、既存の分析例が説明できている。従って、この小論の分析方法、即ちデータベースを作成する文学研究は、データ間のリンクなど人の目には見えないものを提供してくれるため、これまでよりも客観性を上げることに成功している。
【参考文献】
花村嘉英 計算文学入門−Thomas Mannのイロニーはファジィ推論といえるのか? 新風舎 2005
花村嘉英 从认知语言学的角度浅析鲁迅作品−魯迅をシナジーで読む 華東理工大学出版社 2015
花村嘉英 日语教育计划书−面向中国人的日语教学法与森鸥外小说的数据库应用 日本語教育のためのプログラム−中国語話者向けの教授法から 森鴎外のデータベースまで 南京東南大学出版社 2017
花村嘉英 从认知语言学的角度浅析纳丁・戈迪默 ナディン・ゴーディマと意欲 華東理工大学出版社 2018
花村嘉英 シナジーのメタファーの作り方−トーマス・マン、魯迅、森鴎外、ナディン・ゴーディマ、井上靖 中国日语教学研究会上海分会論文集 2018
花村嘉英 ハインリッヒ・ベル「旅人よ、汝スパ…にいたりなば」データベース 2019
Heinrich Böll Wanderer, kommst du nach Spa… Reclam 1982
ハインリッヒ・ベルの「旅人よ、汝スパ…にいたりなば」のバラツキについて7
2.2 標準偏差による分析
グループA、グループB、グループC、グループDそれぞれの標準偏差を計算する。その際、場面1、場面2、場面3の特性1と特性2のそれぞれの値は、質量ではなく指標であるため、特性の個数を数えて算術平均を出し、それぞれの値から算術平均を引き、その2乗の和集合の平均を求め、これを平方に開いていく。
求められた各グループの標準偏差の数字は、何を表しているのだろうか。数字の意味が説明できれば、分析は、一応の成果が得られたことになる。
◆グループA:五感(1視覚と2その他)
場面1(特性1、3個と特性2、2個)の標準偏差は、0.49となる。
場面2(特性1、1個と特性2、4個)の標準偏差は、0.4となる。
場面3(特性1、3個と特性2、2個)の標準偏差は、0.49となる。
【数字からわかること】
場面1、2、3を通して、視覚とそれ以外の情報が交錯しているため、「旅人よ、汝スパ…にいたりなば」は、五感の中で視覚や聴覚さらに嗅覚の情報が鍵になる作品といえる。
◆グループB:ジェスチャー(1直示と2隠喩)
場面1(特性1、5個と特性2、0個)の標準偏差は、0となる。
場面2(特性1、5個と特性2、0個)の標準偏差は、0となる。
場面3(特性1、3個と特性2、2個)の標準偏差は、0.49となる。
【数字からわかること】
「旅人よ、汝スパ…にいたりなば」は、作者とギムナジウムの先生さらに消防隊や医者とのやり取りが多いため、場面1、2、3を通してほとんどが直示で隠喩が少ないことがわかる。
◆グループC:情報の認知プロセス(1旧情報と2新情報)
場面1(特性1、0個と特性2、5個)の標準偏差は、0となる。
場面2(特性1、2個と特性2、3個)の標準偏差は、0.49となる。
場面3(特性1、0個と特性2、5個)の標準偏差は、0なる。
【数字からわかること】
場面1、2、3を通して、確かに実話による新情報の2が多く、ストーリーはテンポよく展開している。
◆グループD:情報の認知プロセス(1問題解決と2未解決)
場面1(特性1、1個と特性2、4個)の標準偏差は、0.4となる。
場面2(特性1、1個と特性2、4個)の標準偏差は、0.4となる。
場面3(特性1、3個と特性2、2個)の標準偏差は、0.49となる。
【数字からわかること】
ハインリッヒ・ベルは、「旅人よ、汝スパ…にいたりなば」執筆中、場面の最後で問題解決を試みていることから、場面単位で作品の構成を考えている。
花村嘉英(2019)「ハインリッヒ・ベルの『旅人よ、汝スパ…にいたりなば』のバラツキについて」より
グループA、グループB、グループC、グループDそれぞれの標準偏差を計算する。その際、場面1、場面2、場面3の特性1と特性2のそれぞれの値は、質量ではなく指標であるため、特性の個数を数えて算術平均を出し、それぞれの値から算術平均を引き、その2乗の和集合の平均を求め、これを平方に開いていく。
求められた各グループの標準偏差の数字は、何を表しているのだろうか。数字の意味が説明できれば、分析は、一応の成果が得られたことになる。
◆グループA:五感(1視覚と2その他)
場面1(特性1、3個と特性2、2個)の標準偏差は、0.49となる。
場面2(特性1、1個と特性2、4個)の標準偏差は、0.4となる。
場面3(特性1、3個と特性2、2個)の標準偏差は、0.49となる。
【数字からわかること】
場面1、2、3を通して、視覚とそれ以外の情報が交錯しているため、「旅人よ、汝スパ…にいたりなば」は、五感の中で視覚や聴覚さらに嗅覚の情報が鍵になる作品といえる。
◆グループB:ジェスチャー(1直示と2隠喩)
場面1(特性1、5個と特性2、0個)の標準偏差は、0となる。
場面2(特性1、5個と特性2、0個)の標準偏差は、0となる。
場面3(特性1、3個と特性2、2個)の標準偏差は、0.49となる。
【数字からわかること】
「旅人よ、汝スパ…にいたりなば」は、作者とギムナジウムの先生さらに消防隊や医者とのやり取りが多いため、場面1、2、3を通してほとんどが直示で隠喩が少ないことがわかる。
◆グループC:情報の認知プロセス(1旧情報と2新情報)
場面1(特性1、0個と特性2、5個)の標準偏差は、0となる。
場面2(特性1、2個と特性2、3個)の標準偏差は、0.49となる。
場面3(特性1、0個と特性2、5個)の標準偏差は、0なる。
【数字からわかること】
場面1、2、3を通して、確かに実話による新情報の2が多く、ストーリーはテンポよく展開している。
◆グループD:情報の認知プロセス(1問題解決と2未解決)
場面1(特性1、1個と特性2、4個)の標準偏差は、0.4となる。
場面2(特性1、1個と特性2、4個)の標準偏差は、0.4となる。
場面3(特性1、3個と特性2、2個)の標準偏差は、0.49となる。
【数字からわかること】
ハインリッヒ・ベルは、「旅人よ、汝スパ…にいたりなば」執筆中、場面の最後で問題解決を試みていることから、場面単位で作品の構成を考えている。
花村嘉英(2019)「ハインリッヒ・ベルの『旅人よ、汝スパ…にいたりなば』のバラツキについて」より