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2019年07月01日
ハンリッヒ・ベルとの「旅人よ、汝スパ…にいたりなば」の多変量解析−クラスタ分析と主成分6
◆場面2
Ich spuckte meine Zigarette aus und schrie; es war immer gut, zu schreien; man mußte nur laut schreien; schreien war herrlich; ich schrie wie verrückt. A2B1C2D2
Als sich jemand über mich beugte, machte ich immer nocht nicht die Augen auf; ich spürte einen fremden Atem, warm und widerlich roch er nach Tabak und Zwiebeln, und eine Stimme fragte ruhig: "Was ist denn?"
A2B1C2D1
"Was zu trinken", sagte ich, "und noch 'ne Zigarette, die Tasche oben." A2B1C1D2
Wieder fummelte einer an meiner Tasche herum, wieder zischte ein Streichholz und jemand steckte mir 'ne brennende Zigarette in den Mund. A1B1C2D2
"Wo sind wir?" fragte ich.
"In Bendorf."
"Danke", sagte ich und zog. A2B1C2D1
花村嘉英(2019)「ハンリッヒ・ベルとの「旅人よ、汝スパ…にいたりなば」の多変量解析−クラスタ分析と主成分」より
Ich spuckte meine Zigarette aus und schrie; es war immer gut, zu schreien; man mußte nur laut schreien; schreien war herrlich; ich schrie wie verrückt. A2B1C2D2
Als sich jemand über mich beugte, machte ich immer nocht nicht die Augen auf; ich spürte einen fremden Atem, warm und widerlich roch er nach Tabak und Zwiebeln, und eine Stimme fragte ruhig: "Was ist denn?"
A2B1C2D1
"Was zu trinken", sagte ich, "und noch 'ne Zigarette, die Tasche oben." A2B1C1D2
Wieder fummelte einer an meiner Tasche herum, wieder zischte ein Streichholz und jemand steckte mir 'ne brennende Zigarette in den Mund. A1B1C2D2
"Wo sind wir?" fragte ich.
"In Bendorf."
"Danke", sagte ich und zog. A2B1C2D1
花村嘉英(2019)「ハンリッヒ・ベルとの「旅人よ、汝スパ…にいたりなば」の多変量解析−クラスタ分析と主成分」より
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ハンリッヒ・ベルとの「旅人よ、汝スパ…にいたりなば」の多変量解析−クラスタ分析と主成分5
【カラム】
A平均1.4 標準偏差0.55 中央値1.0 四分位範囲1.0
B平均1.0 標準偏差0 中央値1.0 四分位範囲1.0
C平均2.0 標準偏差0 中央値2.0 四分位範囲2.0
D平均1.6 標準偏差0.55 中央値2.0 四分位範囲1.0
【クラスタABとクラスタCD】
AB 平均1.2低い、標準偏差0.22 低い、中央値1.0低い、四分位範囲1.0低い
CD 平均1.8 高い、標準偏差0.22低い、中央値2.0高い、四分位範囲1.5高い
【クラスタからの特徴を手掛かりにし、どういう情報が主成分なのか全体的に掴む】
BとCのバラツキが0のため、直示と新情報が多く、この場面で直示の情報がテンポよく流れている。
【ライン】合計は、言語の認知と情報の認知の和を表す指標であり、文理の各系列をスライドする認知の柱が出す数字となる。
@ 6、視覚、直示、新情報、未解決 → 場面の始まりは未解決が多い。死人がいるか不明。
A 6、視覚以外、直示、新情報、解決 → 他の人達が階段を上って製図室へ行く。
B 6、視覚以外、直示、新情報、解決 → まだ死んでいない。他の人達のグループにいる。
C 6、視覚、直示、新情報、未解決 → 壁は緑色。洋服掛けが嵌っている。
D 6、視覚、直示、新情報、未解決 → 大きい柱があり、ギリシャの神殿の模倣もある。
【場面の全体】
全体では、視覚情報が6割で脳に届く通常の五感の入力信号の割合よりもかなり低いため、視覚意外の情報が問題解決に役立っている。
花村嘉英(2019)「ハンリッヒ・ベルとの「旅人よ、汝スパ…にいたりなば」の多変量解析−クラスタ分析と主成分」より
A平均1.4 標準偏差0.55 中央値1.0 四分位範囲1.0
B平均1.0 標準偏差0 中央値1.0 四分位範囲1.0
C平均2.0 標準偏差0 中央値2.0 四分位範囲2.0
D平均1.6 標準偏差0.55 中央値2.0 四分位範囲1.0
【クラスタABとクラスタCD】
AB 平均1.2低い、標準偏差0.22 低い、中央値1.0低い、四分位範囲1.0低い
CD 平均1.8 高い、標準偏差0.22低い、中央値2.0高い、四分位範囲1.5高い
【クラスタからの特徴を手掛かりにし、どういう情報が主成分なのか全体的に掴む】
BとCのバラツキが0のため、直示と新情報が多く、この場面で直示の情報がテンポよく流れている。
【ライン】合計は、言語の認知と情報の認知の和を表す指標であり、文理の各系列をスライドする認知の柱が出す数字となる。
@ 6、視覚、直示、新情報、未解決 → 場面の始まりは未解決が多い。死人がいるか不明。
A 6、視覚以外、直示、新情報、解決 → 他の人達が階段を上って製図室へ行く。
B 6、視覚以外、直示、新情報、解決 → まだ死んでいない。他の人達のグループにいる。
C 6、視覚、直示、新情報、未解決 → 壁は緑色。洋服掛けが嵌っている。
D 6、視覚、直示、新情報、未解決 → 大きい柱があり、ギリシャの神殿の模倣もある。
【場面の全体】
全体では、視覚情報が6割で脳に届く通常の五感の入力信号の割合よりもかなり低いため、視覚意外の情報が問題解決に役立っている。
花村嘉英(2019)「ハンリッヒ・ベルとの「旅人よ、汝スパ…にいたりなば」の多変量解析−クラスタ分析と主成分」より
ハンリッヒ・ベルとの「旅人よ、汝スパ…にいたりなば」の多変量解析−クラスタ分析と主成分4
場面1
"Da nützt kein Verdunkeln mehr, wenn die ganze Stadt wie eine Fackel brennt", schrie die fremde Stimme. "Ob ihr Tote habt, habe ich gefragt?" "Weiß nicht." A1B1C2D2
"Die Toten hierhin, hört du? Und die anderen die Treppe hinauf in den Zeichensaal, verstehst du?" "Ja, ja."
A2B1C2D1
Aber ich war noch nicht tot, ich gehörte zu den anderen, und sie trugen mich die Treppe hinauf. A2B1C2D1
Erst ging es in einen langen, schwach beleuchteten Flur, dessen Wände mit grüner Ölfarbe gestrichen waren; krumme, schwarze, altmodische Kleiderhaken waren in die Wände eingelassen, und da waren Türen mit Emailleschildchen: VIa und VIb, und zwischen diesen Türen hing, sanftglänzend unter Glas in einem schwarzen Rahmen, die Medea von Feuerbach und blickte in die Ferne; dann kamen Türen mit Va und Vb, und dazwischen hing ein Bild des Dornausziehers, eine wunderbare rötlich schimmernde Photographie in braunem Rahmen. A1B1C2D2
Auch die große Säule in der Mitte vor dem Treppenaufgang war da, und hinter ihr, lang und schmal, wunderbar gemacht, eine Nachbildung des Parthenonfrieses in Gips, gelblich schimmernd, echt, antik, und alles kam, wie es kommen mußte. A1B1C2D2
花村嘉英(2019)「ハンリッヒ・ベルとの「旅人よ、汝スパ…にいたりなば」の多変量解析−クラスタ分析と主成分」より
"Da nützt kein Verdunkeln mehr, wenn die ganze Stadt wie eine Fackel brennt", schrie die fremde Stimme. "Ob ihr Tote habt, habe ich gefragt?" "Weiß nicht." A1B1C2D2
"Die Toten hierhin, hört du? Und die anderen die Treppe hinauf in den Zeichensaal, verstehst du?" "Ja, ja."
A2B1C2D1
Aber ich war noch nicht tot, ich gehörte zu den anderen, und sie trugen mich die Treppe hinauf. A2B1C2D1
Erst ging es in einen langen, schwach beleuchteten Flur, dessen Wände mit grüner Ölfarbe gestrichen waren; krumme, schwarze, altmodische Kleiderhaken waren in die Wände eingelassen, und da waren Türen mit Emailleschildchen: VIa und VIb, und zwischen diesen Türen hing, sanftglänzend unter Glas in einem schwarzen Rahmen, die Medea von Feuerbach und blickte in die Ferne; dann kamen Türen mit Va und Vb, und dazwischen hing ein Bild des Dornausziehers, eine wunderbare rötlich schimmernde Photographie in braunem Rahmen. A1B1C2D2
Auch die große Säule in der Mitte vor dem Treppenaufgang war da, und hinter ihr, lang und schmal, wunderbar gemacht, eine Nachbildung des Parthenonfrieses in Gips, gelblich schimmernd, echt, antik, und alles kam, wie es kommen mußte. A1B1C2D2
花村嘉英(2019)「ハンリッヒ・ベルとの「旅人よ、汝スパ…にいたりなば」の多変量解析−クラスタ分析と主成分」より
ハンリッヒ・ベルとの「旅人よ、汝スパ…にいたりなば」の多変量解析−クラスタ分析と主成分3
3 多変量の分析
多変量を解析するには、クラスタと主成分が有効な分析になる。これらの分析がデータベースの統計処理に繋がるからである。
多変数のデータでも、最初は1変数ごとの観察から始まる。また、クラスタ分析は、多変数のデータを丸ごと扱う最初の作業ともいえる。似た者同士を集めたクラスタを樹形図からイメージする。それぞれのクラスタの特徴を掴み、それを手掛かりに多変量データの全体像を考えていく。樹形図については、単純な二個二個のクラスタリングの方法を想定し、変数の数や組み合わせを考える。
作成したデータベースから特性が2つあるカラムを抽出し、グループ分けをする。例えば、A:五感(1視覚と2それ以外)、B:ジェスチャー(1直示と2比喩)、C:情報の認知プロセス(1旧情報と2新情報)、D:情報の認知プロセス(1問題解決と2未解決)というように文系と理系のカラムをそれぞれ2つずつ抽出する。
まず、ABCDそれぞれの変数の特徴について考える。次に、似た者同士のデータをひとかたまりにし、ここでは言語の認知ABと情報の認知CDにグループ分けをする。得られた変数の特徴からグループそれぞれの特徴を見つける。
最後に、各場面のラインの合計を考える。それぞれの要素からどのようなことがいえるのか考える。「旅人よ、汝スパ…にいたりなば」のバラツキが縦のカラムの特徴を表しているのに対し、ここでのクラスタは、一場面のカラムとラインの特徴を表している。
なお、外界情報の獲得に関する五感の割合は、視覚82%、聴覚11%、嗅覚4%、触覚2%、味覚1%とする。(片野2018)
花村嘉英(2019)「ハンリッヒ・ベルとの「旅人よ、汝スパ…にいたりなば」の多変量解析−クラスタ分析と主成分」より
多変量を解析するには、クラスタと主成分が有効な分析になる。これらの分析がデータベースの統計処理に繋がるからである。
多変数のデータでも、最初は1変数ごとの観察から始まる。また、クラスタ分析は、多変数のデータを丸ごと扱う最初の作業ともいえる。似た者同士を集めたクラスタを樹形図からイメージする。それぞれのクラスタの特徴を掴み、それを手掛かりに多変量データの全体像を考えていく。樹形図については、単純な二個二個のクラスタリングの方法を想定し、変数の数や組み合わせを考える。
作成したデータベースから特性が2つあるカラムを抽出し、グループ分けをする。例えば、A:五感(1視覚と2それ以外)、B:ジェスチャー(1直示と2比喩)、C:情報の認知プロセス(1旧情報と2新情報)、D:情報の認知プロセス(1問題解決と2未解決)というように文系と理系のカラムをそれぞれ2つずつ抽出する。
まず、ABCDそれぞれの変数の特徴について考える。次に、似た者同士のデータをひとかたまりにし、ここでは言語の認知ABと情報の認知CDにグループ分けをする。得られた変数の特徴からグループそれぞれの特徴を見つける。
最後に、各場面のラインの合計を考える。それぞれの要素からどのようなことがいえるのか考える。「旅人よ、汝スパ…にいたりなば」のバラツキが縦のカラムの特徴を表しているのに対し、ここでのクラスタは、一場面のカラムとラインの特徴を表している。
なお、外界情報の獲得に関する五感の割合は、視覚82%、聴覚11%、嗅覚4%、触覚2%、味覚1%とする。(片野2018)
花村嘉英(2019)「ハンリッヒ・ベルとの「旅人よ、汝スパ…にいたりなば」の多変量解析−クラスタ分析と主成分」より
ハンリッヒ・ベルとの「旅人よ、汝スパ…にいたりなば」の多変量解析−クラスタ分析と主成分2
2 ハンリッヒ・ベルの執筆脳
◎「旅人よ、汝スパ…にいたりなば」の購読脳を「空間と荒廃の中の不壊」としよう。戦争体験の表白に特徴があるハインリッヒ・ベルは、藤本他(1981)によると、無力な庶民にとっての戦争の実態、戦後の困難、個人の無意味な死にざま、理不尽な苦悩を提示したとある。手塚(1981)は、キリスト教のカトリックの立場から、飾り気のない文体による作者の誠実さが伺われる作風で、現在の荒廃の中でも壊れないものがあるとする。
◎執筆脳は、場面の説明に視覚と嗅覚が使われているため、外界からの刺激が最終的に伝わる大脳皮質のうち後頭葉や嗅覚野がヒントになりそうである。特に、嗅覚は、他の五感と異なり大脳辺縁系にダイレクトに伝わり、喜怒哀楽や本能的な快不快など人間の情動に深く関わっている。一方、他の感覚の刺激は、視床を経由して大脳へと伝わる。
◎共生の読みは、コンパクトなスケッチ風の空間描写を好むベルの文体から「大脳辺縁系と頭頂連合野」にする。大脳辺縁系は、本能や情動を司り、記憶の海馬、好き嫌いの扁桃体、やる気の側座核などからなる。これに対して、感覚、思考、判断といった行動を司っているのは、大脳皮質である。大脳皮質は、思考、判断、創造の前頭葉、刺激を筋肉に送り運動を制御する頭頂葉、記憶の側頭葉、視覚の後頭葉という4つの脳葉がある。
◎さらに、機能面の領野として、五感の情報を受け取る感覚野、運動を制御する運動野、大脳各部からの情報を受け取り統合して言語や思考を判断する連合野がある。連合野とは、記憶を蓄積する側頭連合野、感覚や空間認識の情報を処理する頭頂連合野、創造性、やる気、反省、自己顕示欲といった精神活動の前頭連合野である。
◎ハインリッヒ・ベルの作品では空間認識が重要な情報となっているため、シナジーのメタファーは、「ハインリッヒ・ベルと頭頂連合野」にする。
花村嘉英(2019)「ハンリッヒ・ベルとの「旅人よ、汝スパ…にいたりなば」の多変量解析−クラスタ分析と主成分」より
◎「旅人よ、汝スパ…にいたりなば」の購読脳を「空間と荒廃の中の不壊」としよう。戦争体験の表白に特徴があるハインリッヒ・ベルは、藤本他(1981)によると、無力な庶民にとっての戦争の実態、戦後の困難、個人の無意味な死にざま、理不尽な苦悩を提示したとある。手塚(1981)は、キリスト教のカトリックの立場から、飾り気のない文体による作者の誠実さが伺われる作風で、現在の荒廃の中でも壊れないものがあるとする。
◎執筆脳は、場面の説明に視覚と嗅覚が使われているため、外界からの刺激が最終的に伝わる大脳皮質のうち後頭葉や嗅覚野がヒントになりそうである。特に、嗅覚は、他の五感と異なり大脳辺縁系にダイレクトに伝わり、喜怒哀楽や本能的な快不快など人間の情動に深く関わっている。一方、他の感覚の刺激は、視床を経由して大脳へと伝わる。
◎共生の読みは、コンパクトなスケッチ風の空間描写を好むベルの文体から「大脳辺縁系と頭頂連合野」にする。大脳辺縁系は、本能や情動を司り、記憶の海馬、好き嫌いの扁桃体、やる気の側座核などからなる。これに対して、感覚、思考、判断といった行動を司っているのは、大脳皮質である。大脳皮質は、思考、判断、創造の前頭葉、刺激を筋肉に送り運動を制御する頭頂葉、記憶の側頭葉、視覚の後頭葉という4つの脳葉がある。
◎さらに、機能面の領野として、五感の情報を受け取る感覚野、運動を制御する運動野、大脳各部からの情報を受け取り統合して言語や思考を判断する連合野がある。連合野とは、記憶を蓄積する側頭連合野、感覚や空間認識の情報を処理する頭頂連合野、創造性、やる気、反省、自己顕示欲といった精神活動の前頭連合野である。
◎ハインリッヒ・ベルの作品では空間認識が重要な情報となっているため、シナジーのメタファーは、「ハインリッヒ・ベルと頭頂連合野」にする。
花村嘉英(2019)「ハンリッヒ・ベルとの「旅人よ、汝スパ…にいたりなば」の多変量解析−クラスタ分析と主成分」より
ハンリッヒ・ベルとの「旅人よ、汝スパ…にいたりなば」の多変量解析−クラスタ分析と主成分1
1 先行研究との関係
これまでに、ハンリッヒ・ベル(1917−1985)の執筆脳を空間認識による脳の活動から「大脳辺縁系と頭頂連合野」とし、「ハンリッヒ・ベルと頭頂連合野」というシナジーのメタファーを作成している(花村2019)。また、「旅人よ、汝スパ…にいたりなば」のデータベースを作成しながら、バラツキ、相関関係、推定といった平易な統計分析も試みている。
この小論では、さらに統計処理に関して多変量解析に注目し、クラスタ分析と主成分について考察する。それぞれの場面でシナジーのメタファーが異なる視点から説明できれば、自ずと客観性が上がるためである。
花村嘉英(2019)「ハンリッヒ・ベルとの「旅人よ、汝スパ…にいたりなば」の多変量解析−クラスタ分析と主成分」より
これまでに、ハンリッヒ・ベル(1917−1985)の執筆脳を空間認識による脳の活動から「大脳辺縁系と頭頂連合野」とし、「ハンリッヒ・ベルと頭頂連合野」というシナジーのメタファーを作成している(花村2019)。また、「旅人よ、汝スパ…にいたりなば」のデータベースを作成しながら、バラツキ、相関関係、推定といった平易な統計分析も試みている。
この小論では、さらに統計処理に関して多変量解析に注目し、クラスタ分析と主成分について考察する。それぞれの場面でシナジーのメタファーが異なる視点から説明できれば、自ずと客観性が上がるためである。
花村嘉英(2019)「ハンリッヒ・ベルとの「旅人よ、汝スパ…にいたりなば」の多変量解析−クラスタ分析と主成分」より
心理学統計の検定を用いてトーマス・マンの「魔の山」を考える7
3 まとめ
トーマス・マンの「魔の山」に登場する男と女についてデータベースから心理学統計による人物評価をしてみると、満足度に関して差があることが分かった。
参考文献
実吉綾子 心理学統計入門 技術評論社 2013
花村嘉英 計算文学入門−Thomas Mannのイロニーはファジィ推論といえるのか? 新風舎 2005
花村嘉英 从认知语言学的角度浅析鲁迅作品−魯迅をシナジーで読む 華東理工大学出版社 2015
花村嘉英 日语教育计划书−面向中国人的日语教学法与森鸥外小说的数据库应用 日本語教育のためのプログラム−中国語話者向けの教授法から森鴎外のデータベースまで 東南大学出版社 2017
花村嘉英 从认知语言学的角度浅析纳丁/戈迪默 ナディン・ゴーディマと意欲 華東理工大学出版社 2018
花村嘉英 シナジーのメタファーの作り方−トーマス・マン、魯迅、森鴎外、ナディン・ゴーディマ、井上靖 中国日语教学研究会上海分会論文集 2018
花村嘉英 川端康成の「雪国」に見る執筆脳について-「無と創造」から「目的達成型の認知発達」へ 中国日语教学研究会上海分会論文集 華東理工大学出版社 2019
花村嘉英 トーマス・マンの「魔の山」のデータベース 2015
Thomas Mann Der Zauberberg Fischer 1986
トーマス・マンの「魔の山」に登場する男と女についてデータベースから心理学統計による人物評価をしてみると、満足度に関して差があることが分かった。
参考文献
実吉綾子 心理学統計入門 技術評論社 2013
花村嘉英 計算文学入門−Thomas Mannのイロニーはファジィ推論といえるのか? 新風舎 2005
花村嘉英 从认知语言学的角度浅析鲁迅作品−魯迅をシナジーで読む 華東理工大学出版社 2015
花村嘉英 日语教育计划书−面向中国人的日语教学法与森鸥外小说的数据库应用 日本語教育のためのプログラム−中国語話者向けの教授法から森鴎外のデータベースまで 東南大学出版社 2017
花村嘉英 从认知语言学的角度浅析纳丁/戈迪默 ナディン・ゴーディマと意欲 華東理工大学出版社 2018
花村嘉英 シナジーのメタファーの作り方−トーマス・マン、魯迅、森鴎外、ナディン・ゴーディマ、井上靖 中国日语教学研究会上海分会論文集 2018
花村嘉英 川端康成の「雪国」に見る執筆脳について-「無と創造」から「目的達成型の認知発達」へ 中国日语教学研究会上海分会論文集 華東理工大学出版社 2019
花村嘉英 トーマス・マンの「魔の山」のデータベース 2015
Thomas Mann Der Zauberberg Fischer 1986
心理学統計の検定を用いてトーマス・マンの「魔の山」を考える6
1 最初は不満度に差がないと予測する。男性と女性の平均値を取ると、男性0.9、女性1.0になる。この差は誤差の可能性がある。
2 満足度の1、2、3は独立変数であり、それにともなう不満度は、従属変数になる。
3 独立変数そのものの1、2、3が要因で、独立変数の実際の値、不満度が水準になる。
4 ここでは、どちらの水準も同じ標本からデータを集めているため、具体度という要因は、参加者内要因になる。
5 得られた有意確率(p値)を有意水準と比較する。危険率は通常5%未満のため、ここではt検定を採用する。
6 t検定では、二つの平均の差を表す統計量(t値)、データの規模を表す自由度(df)、p値(p-value)を説明する。
[満足度のt検定]
男0.9、女1.0、よってt値=0.1。
自由度は、独立した標本の個数から1引いたものである。よってdf=8。
p値は、0.02にする。ここでは5%以下のため、対立仮説の差があるを採択する。
花村嘉英(2019)「心理学統計の検定を用いてトーマス・マンの「魔の山」を考える」より
2 満足度の1、2、3は独立変数であり、それにともなう不満度は、従属変数になる。
3 独立変数そのものの1、2、3が要因で、独立変数の実際の値、不満度が水準になる。
4 ここでは、どちらの水準も同じ標本からデータを集めているため、具体度という要因は、参加者内要因になる。
5 得られた有意確率(p値)を有意水準と比較する。危険率は通常5%未満のため、ここではt検定を採用する。
6 t検定では、二つの平均の差を表す統計量(t値)、データの規模を表す自由度(df)、p値(p-value)を説明する。
[満足度のt検定]
男0.9、女1.0、よってt値=0.1。
自由度は、独立した標本の個数から1引いたものである。よってdf=8。
p値は、0.02にする。ここでは5%以下のため、対立仮説の差があるを採択する。
花村嘉英(2019)「心理学統計の検定を用いてトーマス・マンの「魔の山」を考える」より
心理学統計の検定を用いてトーマス・マンの「魔の山」を考える5
解答 性別による不満度の違い
具体度2
Frau Salomon aus Amsterdam zum Beispiel, trotz dem Vergnügen, das die Untersuchungen und das damit verbundene Zurschaustellen feinster Spitzenwäsche ihr bereiteten, reiste vollständig wilder- und falscherweise ab, ohne jede Erlaubnis und nicht, weil es ihr besser, sondern weil es ihr immer schlechter ging.
男0 女1
Ihr Aufenthalt hier oben verlor sich weit zurück hinter Hans Castorps Ankunft; länger als ein Jahr war es her, daß sie eingetroffen war, - mit einer ganz leichten Affektion, für die ihr drei Monate zudiktiert worden waren. Nach vier Monaten hatte sie "in vier Wochen sicher gesund " sein sollen, aber sechs Wochen später hatte von Heilung überhaupt nicht die Rede sein können: sie müsse, hatte es geheißen, mindestens noch vier Monate bleiben.
男1 女1
So war es fortgegangen, und es war ja kein Bagno und kein sibirisches Bergwerk hier, - Frau Salomon war geblieben und hatte feinstes Unterzeug an den Tag gelegt. 男0 女1
Da sie nun aber nach der letzten Untersuchung, im Angesicht der Schneeschmelze, eine neue Zulage von fünf Monaten erhalten hatte, wegen Pfeifens links oben und unverkennbarer Mißtöne unter der linken Achsel, war ihr die Geduld gerissen, und mit Protest, unter Schmähungen auf 'Dorf' und 'Platz', auf die berühmte Luft, das Internationale Haus 'Berghof' und die Ärzte reiste sie ab, nach Hause, nach Amsterdam, einer zugigen Wasserstadt. 男0 女2
War das klug gehandelt? Hofrat Behrens hob Schultern und Arme auf und ließ die letzteren geräuschvoll gegen die Schenkel zurückfallen. Spätestens im Herbst, sagte er, werde Frau Salomon wieder da sein, - dann aber auf immer. Würde er recht behalten? Wir werden sehen, wir sind noch auf längere Erdenzeit an diesen Lustort gebunden. Aber der Fall Salomon war also durchaus nicht der einige seiner Art. 男2 女2
花村嘉英(2019)「心理学統計の検定を用いてトーマス・マンの「魔の山」を考える」より
具体度2
Frau Salomon aus Amsterdam zum Beispiel, trotz dem Vergnügen, das die Untersuchungen und das damit verbundene Zurschaustellen feinster Spitzenwäsche ihr bereiteten, reiste vollständig wilder- und falscherweise ab, ohne jede Erlaubnis und nicht, weil es ihr besser, sondern weil es ihr immer schlechter ging.
男0 女1
Ihr Aufenthalt hier oben verlor sich weit zurück hinter Hans Castorps Ankunft; länger als ein Jahr war es her, daß sie eingetroffen war, - mit einer ganz leichten Affektion, für die ihr drei Monate zudiktiert worden waren. Nach vier Monaten hatte sie "in vier Wochen sicher gesund " sein sollen, aber sechs Wochen später hatte von Heilung überhaupt nicht die Rede sein können: sie müsse, hatte es geheißen, mindestens noch vier Monate bleiben.
男1 女1
So war es fortgegangen, und es war ja kein Bagno und kein sibirisches Bergwerk hier, - Frau Salomon war geblieben und hatte feinstes Unterzeug an den Tag gelegt. 男0 女1
Da sie nun aber nach der letzten Untersuchung, im Angesicht der Schneeschmelze, eine neue Zulage von fünf Monaten erhalten hatte, wegen Pfeifens links oben und unverkennbarer Mißtöne unter der linken Achsel, war ihr die Geduld gerissen, und mit Protest, unter Schmähungen auf 'Dorf' und 'Platz', auf die berühmte Luft, das Internationale Haus 'Berghof' und die Ärzte reiste sie ab, nach Hause, nach Amsterdam, einer zugigen Wasserstadt. 男0 女2
War das klug gehandelt? Hofrat Behrens hob Schultern und Arme auf und ließ die letzteren geräuschvoll gegen die Schenkel zurückfallen. Spätestens im Herbst, sagte er, werde Frau Salomon wieder da sein, - dann aber auf immer. Würde er recht behalten? Wir werden sehen, wir sind noch auf längere Erdenzeit an diesen Lustort gebunden. Aber der Fall Salomon war also durchaus nicht der einige seiner Art. 男2 女2
花村嘉英(2019)「心理学統計の検定を用いてトーマス・マンの「魔の山」を考える」より
心理学統計の検定を用いてトーマス・マンの「魔の山」を考える4
2.3 「魔の山」の不満度
「魔の山」は、ハンス・カストルプがスイスのダボスにある療養所に従兄弟のヨアヒム・ツィームセンを訪問し、ベーレンス院長の肺の治療や多国籍で特徴のある登場人物が織りなす人間模様を通して人間的に成長していく内容である。ここでは、この小論の研究テーマ、性別による満足度の違いについて、作成したデータベースを基に考察していく。
解答 性別による不満度の違い
具体度1
Karoline Stöhr war entsetzlich. Wenn irgend etwas den jungen Hans Castorp in seinen redlich gemeinten geistigen Bemühungen störte, so war es das Sein und Wesen dieser Frau.
男2 女0
Ihre beständigen Bildungsschnitzer hätten genügt. Sie sagte "Agonje" statt "Todeskampf"; "insolvent", wenn sie jemandem Frecheit zum Vorwurf machte, und gab über die astronomischen Vorgänge, die eine Sonnenfinsternis zeitigen, den greulichsten Unsinn zum besten. 男1 女0
Mit den liegenden Schneemassen, sagte sie, sei es "eine wahre Kapazität"; und eines Tages setzte sie Herrn Sttembrini in lang andauerndes Erstaunen durch die Mitteilung, sie lese zur Zeit ein der Anstaltsbibliothek entnommenes Buch, das ihn angehe, nämlich "Benedetto Cenilli in der Übersetzung von Schiller!"
男0 女0
Sie liebte Redensarten, die dem jungen Hans Castorp, ihrer Abgeschmacktheit und modisch ordinären Verbrauchheit wegen, auf die Nerven gingen, wie zum Beispiel: "Das ist die Höhe!" oder "Du ahnst es nicht!"
男2 女2
Und da die Bezeichnung "blendend", die das Modemaul lange Zeit für "glänzend" oder "vorzüglich" gebraucht hatte, sich als gänzlich ausgelaugt, entkräftet, prostituiert und sohin veraltet erwies, so warf sie sich auf das Neueste, nämlich das Wort "verheerend", und fand nun, im Ernst oder höhnischerweise, alles "verheerend", die Schlittenbahn, die Mehlspeise und ihre eigenen Leibeswärme, was ebenfalls ekelhaft anmutete.
男1 女1
花村嘉英(2019)「心理学統計の検定を用いてトーマス・マンの「魔の山」を考える」より
「魔の山」は、ハンス・カストルプがスイスのダボスにある療養所に従兄弟のヨアヒム・ツィームセンを訪問し、ベーレンス院長の肺の治療や多国籍で特徴のある登場人物が織りなす人間模様を通して人間的に成長していく内容である。ここでは、この小論の研究テーマ、性別による満足度の違いについて、作成したデータベースを基に考察していく。
解答 性別による不満度の違い
具体度1
Karoline Stöhr war entsetzlich. Wenn irgend etwas den jungen Hans Castorp in seinen redlich gemeinten geistigen Bemühungen störte, so war es das Sein und Wesen dieser Frau.
男2 女0
Ihre beständigen Bildungsschnitzer hätten genügt. Sie sagte "Agonje" statt "Todeskampf"; "insolvent", wenn sie jemandem Frecheit zum Vorwurf machte, und gab über die astronomischen Vorgänge, die eine Sonnenfinsternis zeitigen, den greulichsten Unsinn zum besten. 男1 女0
Mit den liegenden Schneemassen, sagte sie, sei es "eine wahre Kapazität"; und eines Tages setzte sie Herrn Sttembrini in lang andauerndes Erstaunen durch die Mitteilung, sie lese zur Zeit ein der Anstaltsbibliothek entnommenes Buch, das ihn angehe, nämlich "Benedetto Cenilli in der Übersetzung von Schiller!"
男0 女0
Sie liebte Redensarten, die dem jungen Hans Castorp, ihrer Abgeschmacktheit und modisch ordinären Verbrauchheit wegen, auf die Nerven gingen, wie zum Beispiel: "Das ist die Höhe!" oder "Du ahnst es nicht!"
男2 女2
Und da die Bezeichnung "blendend", die das Modemaul lange Zeit für "glänzend" oder "vorzüglich" gebraucht hatte, sich als gänzlich ausgelaugt, entkräftet, prostituiert und sohin veraltet erwies, so warf sie sich auf das Neueste, nämlich das Wort "verheerend", und fand nun, im Ernst oder höhnischerweise, alles "verheerend", die Schlittenbahn, die Mehlspeise und ihre eigenen Leibeswärme, was ebenfalls ekelhaft anmutete.
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花村嘉英(2019)「心理学統計の検定を用いてトーマス・マンの「魔の山」を考える」より