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2024年09月03日

花村嘉英 履歴書

氏名 花村 嘉英 (はなむら よしひさ)
生年月日 1961年5月12日(63歳)
住所 〒359‐1132 埼玉県所沢市松が丘2丁目22番地14号
電話/Fax 04-2921-1820
専門 比較言語・文学 (英語、ドイツ語、中国語、日本語)、文体論、計算文学(トーマス・マンとファジィ、魯迅とカオス、森鴎外と感情、ナディン・ゴーディマと意欲、川端康成と認知発達など)、健康科学、シナジー論(人文と情報、心理とメディカル、文化と栄養)、リスク社会学、翻訳学(ドイツ語)

【学歴】
●1977年4月 埼玉県立川越高等学校入学
●1980年3月 埼玉県立川越高等学校卒業
●1981年4月 立教大学文学部ドイツ文学科入学
●1985年3月 立教大学文学部ドイツ文学科卒業
●同年4月 立教大学大学院文学研究科博士前期課程ドイツ文学専攻入学
●1987年3月 立教大学大学院文学研究科博士前期課程ドイツ文学専攻修了
修士論文の題目: Anfangen、beginnen、aufhörenにおける様相因子の動きから生まれる文の曖昧性−モンタギュー文法による形式意味論からの考察
●同年8月 ドイツ・マンハイム大学の夏季語学講座参加
●1988年4月 立教大学大学院文学研究科博士後期課程ドイツ文学専攻入学
●1989年9月-1990年8月 ドイツ・チュービンゲン大学へ交換留学
●1993年3月 立教大学大学院文学研究科博士後期課程ドイツ文学専攻退学
●同年4月チュービンゲン大学大学院新文献学部博士課程ドイツ語学言語学意味論専攻入学
●1995年8月チュービンゲン大学大学院新文献学部博士課程ドイツ語学言語学意味論専攻博士論文提出後退学
博士論文の題目と内容: HPSG für Textanalyse – zur Ironie Thomas Manns 論理文法(モンタギュー文法からGPSG、HPSGまで)の小史ならびにトーマス・マンのイロニーとファジー理論の相性の良さを「魔の山」より考察。論理計算による計算文学とシナジー論の基礎をなす。(2005年5月に「計算文学入門−Thomas Mannのイロニーはファジィ推論といえるのか」と題して出版済 出版証明書付)

「学術関連表彰」
「从认知语言学的角度浅析鲁迅作品−魯迅をシナジーで読む」(2015)(華東理工大学出版社)
●栄誉証書  大連外国語大学(文献学)2017年3月、
●栄誉証書  南京農業大学(文献学)2017年3月、2017年5月
●捐赠証書(奨励)北京大学 2017年3月
●捐赠証書(奨励)北京外国語大学 2017年3月

【職歴】
「ビジネス翻訳・産業翻訳・著述業(学術): 技術文の校正と機械翻訳並びに特許明細書の和訳」
●1995年10月 博士論文の印刷に向けて電子データを作成する傍ら、技術文の翻訳の勉強を始める。
●1996年8月-1997年11月 ユニバーサルインターアド・コピーライティング部
翻訳のチェッカー、退社後、翻訳スクールに通う。(1998年2月まで)
●1998年3月-1999年9月 富士通ラーニングメディア翻訳事業部
英語の技術文の日本語訳をチェックしていた。富士通グループの製品+外資系企業のソフトウェアのマニュアル及び契約書を担当していたため、技術文特有の用語とか文体について日々勉強していた。工業英語3級合格。実用数学技能検定準2級合格、Fisdomも参照すること。
●Babel 修了講座名 ドイツ語翻訳家養成講座1999年3月、中日契約書翻訳講座2017年10月
ドイツ語の古典新訳のワークショップでゲーテの「イタリア紀行」を共訳し、電子出版した(2010年)。2000年以降は、共生を目指して他の企業の技術文の翻訳プロジェクトにも参加した。
●2003年4月-2004年9月 ソニー・ネットワークエンジニアリング事業部
技術者がプログラムを通して組み立てたソフトウェアの日本語の技術文を現場で英訳した。技術者の説明を反映するために、製品のマニュアルにある表現やIT用語辞典を例にして和文英訳のレポートを作成した。
●2004年10月-2009年2月 機械翻訳(SOHO)
翻訳ソフトTRADOSを使用してドイツ語と英語の技術文をメモリーベースで和訳した。(1日に1500ワード翻訳)対応言語は、独日、英日で、分野は、ソフトウェア、汎用機械および特許である。レポート作成済み(「産業日本語の学習法とその応用例」)また、トーマス・マンとファジィ理論に関しても文理シナジー学会で発表し、2005年5月に「計算文学入門−トーマス・マンのイロニーはファジィ推論といえるのか?」を出版した。私にとって翻訳作業は、文理共生の下支えである。
●エイブス・メディカル翻訳修了講座 英和入門2014年5月、英和初級2015年9月、英和上級2016年2月
●2016年3月- 2021年10月 独日特許翻訳(SOHO)
バイオ、医療機器、技術関連(特許デイタセンター及び協和テクノサービス、翻訳エディタ使用)
●2020年11月- 2022年4月 「計算文学入門(改訂版)−シナジーのメタファ―の原点を探る」の校正。
●2022年9月- 2023年5月 「小説をシナジーで読む−魯迅から莫言へ シナジーのメタファ―のために」の校正。
●2023年8月- 2024年2月「小説をシナジーで読む−森鴎外から川端康成へ データベースと病跡学に備えて」の校正。
●2024年4月- 2024年8月 「私の病跡学−作家の執筆脳を比較と共生で考える」の校正。

「日本語専門家: 教授法」
●2009年3月-2011年1月 武漢科技大学外語外事職業学院外国語学部日本語科
1年生と2年生の日本語会話を担当した。教材は、「みんなの日本語」と「日本語会話技巧編」等である。共にクラスを通して会話の場面のイメージ作りを試みた。例えば、基礎レベルでは日本語能力試験を模して質問文を読む間に音声から漢字を連想するトレーニングをした。学生が漢字系の学習者ためである。技巧編ではロールカードを使用してペアワークによる場面のイメージ作りを試みた。内容は、学内の研究発表会で説明済。
●2011年2月-2012年1月 集美大学外国語学部日本語科
3年生を対象に日本語の作文と中日翻訳の演習を担当した。教材は、それぞれ「实用日语写作教程」と「汉译日精教程」である。また、2年生の日本概況と1年生の日本語会話も担当した。内容については、「中日翻訳の高速化」と題して延辺大学の中日韓朝比較言語文学の学会で発表した。
●2012年2月-2013年1月 天津外国語大学外国語学部日本語科
3年生を対象に日本語の作文と新聞購読の演習を担当した。教材は「实用日语写作教程」と「構成/特徴/分野から学ぶ新聞の読解」である。作文では添削指導をし、新聞購読では教材終了後、直近の日本の新聞記事を使用して要約のトレーニングも試みた。内容については、国際日本語教育研究大会(名古屋大学)で発表済。
●2013年9月-2014年1月 湖南科技学院外国語学部日本語科
3年生は「日本語総合教程第5冊」のクラスを、4年生は金田一春彦著「日本語上下」を用いて日本語学の講義を担当した。インフルエンザのため帰国。休暇中に森鴎外の「山椒大夫」を題材にしてデータベースを作成した。また、在任中、四川外国語大学の国際シンポジウムで「魯迅とカオス」について研究発表をした。
●2014年9月- 2015年1月 武昌理工学院国際教育学院
文法外国語学部の日本語科の1、3、4年生のクラスを担当。例えば、4年生の「視听说」のクラスではDVDを使用しながら総合的な日本語のトレーニングを試みた。また、中日教学研究会江蘇分会で森鴎外の「山椒大夫」のデータベースについて発表した。(2014年11月)
●2015年3月-2016年1月 寧波大红鹰学院人文学部日本語科
3年生はビジネス日本語と中日通訳のための日本語のシャドウィング及び作文のクラス、4年生は日本の経済学入門を担当。1、2年生は日本語会話の上下巻を担当した。また、在任中に中日対照言語学研究会(上海外国語大学)で「技術日本語の学習法とその応用例」と題して研究発表をし、華東理工大学出版社から著作「从认知语言学的角度浅析鲁迅作品−魯迅をシナジーで読む」を出版した。(2015年11月)
●2016年9月-2017年6月 盐城工学院外国語学部日本語科
4年生は視听说、3年生は日本概況、日本文学史、新聞雑誌購読、作文、2年生は中級日本語听力を担当した。また、上海の同済大学で開催された中日教学研究会上海分会で「シナジーのメタファーの作り方」と題して研究発表をし、南京東南大学出版社から著作「日本語教育のためのプログラム−中国語話者向けの教授法から森鴎外のデータベースまで」を出版した。(2017年6月)
●2018年3月-2019年1月 大連交通大学外国語学部日本語学科
3年生は日本語の基礎作文とビジネスメールの書き方に関する演習を、2年生は中級日本語会話を担当した。また、上海の同済大学で開催された中日教学研究会上海分会で「川端康成の『雪国』から見えてくるシナジーのメタファーとは」と題して研究発表をした。

「取得した主な資格」
●日本成人病予防協会(JAPA)健康管理士一般指導員認定2015年3月、健康管理能力検定1級取得 2015年3月、健康管理士ゴールド認定 2017年4月、健康管理士上級指導員認定 2020年3月、健康管理士統括指導員認定 2023年10月
●予防医学・代替医療振興協会修了講座 予防医学指導士 2015年12月、代替医療カウンセラー 2016年4月、認知症ケアカウンセラー 2016年12月
●Babel 中日契約書翻訳講座修了 2017年10月
●フードデリバリー 熱中症対策アドバイザー認定 2018年7月
●ソラスト修了講座 医師事務作業補助者(ドクターズオフィスワークアシスト)養成講座 2018年10月、医療事務講座クリニックコース 2019年3月
●技能認定振興協会(JSMA)医師事務作業補助者検定試験合格 2019年4年
●埼玉西武消防組合 甲種防火管理新規講習修了 2019年5月
●日本学術振興会 研究倫理eラーニング 「事例で「学ぶ/考える」研究倫理 誠実な科学者の心得」修了 2019年8月
●日本癌治療学会 Cancer eラーニング 104講座修了 受講証明書有 2019年8月
●ICR臨床研究入門修了講座 臨床研究の基礎知識講座、倫理審査委員会向けの倫理研修、臨床研究のデータベースマネージメント、再生医療研究のインフォームド・コンセント、臨床研究法 2019年8月
●Fisdom修了講座 10進法を2進法に変換、暗号化、パリティチェック、情報リテラシー Office2016、統計学入門、Python入門、学校における無線ネットワークの作り方、安全学入門、インターネットセキュリティ、情報法 2019年10月
●JTEX修了講座 製薬・医薬品の基礎 2019年10月、知的財産権入門 2019年12月
●東京女子医科大学 教育・支援プログラム 100講座修了 2020年2月
●動脈硬化予防啓発セミナー eラーニング 55講座修了 2020年5月
●INPIT 工業所有権研修・情報館 eラーニング 20講座受講済 2020年5月
●日本能力開発推進協会 マインドフルネススペシャリスト検定試験合格 2020年10月、上級心理カウンセラー検定試験合格2021年7月、行動心理士検定試験合格 2023年1月
●医療情報処理学会医療情報技師育成部会 eラーニング受講講座 医療情報基礎用語集、個人情報保護法の影響、医療統計セミナーB 2024年9月現在
●Gacco修了講座 セキュリティ・プライバシ・法令、公衆無線LANセキュリティ対策、SDGs(持続可能な開発目標)入門 、Memento Moriー死を想う、大学生のためのデータサイエンス、社会人のためのデータサイエンス 、多変量データ解析法 、統計学−データ分析の基礎、誰でも使えるオープンデータ、進化発生学入門、心理学スパイラルアップ、推論・知識処理・自然言語処理、クラウド基盤構築演習、アーキテクチャ・品質エンジニアリング、スマートIoTシステム・ビジネス入門、IoTとシステムズアプローチ、クラウドサービス・分散システム、センサ、機械学習、深層学習、社会の中のAI、ビジネスフィールドでのAI・データ活用スキル、がんゲノム医療オンライン講座2020 2024年9月現在

「所属協会及び研究会」
●日本成人病予防協会 
https://fanblogs.jp/hanamura4/ 研究一覧

【連絡先】
電話 04-2921-1820、メール hanamura36@gmail.com

「ヨセフとその兄弟」の「ヤコブ物語」から見えてくるファジィ測度について12

◆ 飢饉が激しくエジプトから携えた穀物を食い尽くしたため、父イスラエルはユダに言った。この国の名産を器に入れ、その人に贈りなさい。乳香、蜜、香料など。(創世記43章)
◆ ヨセフとユダと兄弟たち。父に対して永久に罪を負う。忍びないから。(創世記44章)
◆ ヨセフは、皆に出て行くように言った。エジプトの主としてヨセフは、弟ベニヤミンの首を抱いて泣いた。全ての兄弟たちに口づけをして泣いた。(創世記45章)
◆ イスラエルは、持ち物を携えてペシルバへ行き、父イサクの神に犠牲を捧げた。(創世記46章)
◆ バロと羊飼いのやり取り、カナンは、飢饉が激しくゴセンに住みたいと。ヨセフも賛成する。ヨセフは、エジプトの地をバロに与えた。イスラエルもエジプトのゴセンに住み、財産と子を増やした。ヤコブのよわいの日は、百四十七年。(創世記47章)
◆ ヤコブとヨセフの子孫の区切り。(創世記48章)
◆ ヤコブは、子らを呼んで後に彼らの上に起こることを告げた。イスラエルの十二の部族。(創世記49章)
◆ ヨセフの父イスラエルの死に際し、父に薬を塗った。四十日を要した。ヨセフは、父の家族と共に四十日エジプトに住んだ。そして百十年生きながらえた。ヨセフも死に際して薬を塗られ棺に埋葬されエジプトに安置された。(創世記50章)

花村嘉英(2019)「「ヨセフとその兄弟」の「ヤコブ物語」から見えてくるファジィ測度について」より

「ヨセフとその兄弟」の「ヤコブ物語」から見えてくるファジィ測度について11

【付録】旧約聖書 創世記の内容

◆ エサウは狩猟者、野人となり、ヤコブは穏やかで天幕に住んでいた。イサクは鹿肉が好物のためエサウを愛し、リベカはヤコブを愛した。ある日エサウが疲れ果てて帰宅し、赤いものをヤコブに求めた。ヤコブはエサウの長子権と引き換えにパンと豆を与えた。(旧約聖書 創世記25章)
◆ ラケルの子ヨセフは、17歳のとき、兄弟たちと羊の群れを飼っていた。しかし、兄弟たちの悪い噂を父ヤコブに告げた。父イスラエルはヨセフに言った。兄弟たちがシケムで羊を飼っている。ヨセフもそこへ行ってともに働けと。しかし、兄弟たちはシケムを出てドタンに移り、ドタンに来たヨセフを殺そうと計画する。兄弟はヨセフを穴に入れた後、ヨセフをイシマエル人に売り、エジプトへ連れて行かせた。小説でシケムに行くのは、ヤコブであり、ヨセフではない。(創世記37章) 
◆ ユダの姦淫。ユダはイエス・キリストの下僕またヤコブの兄弟である。(ユダの手紙を参照すること。)(創世記38章) 
◆ ヨセフは獄屋に主とともにいて、慈しみを垂れ、ヨセフのなすことを栄えさせた。ヨセフは主人のエジプト人の妻と関係を持たなかった。(創世記39章) 
◆ ヨセフが給仕役と料理長の夢を解き明かす。(創世記40章) 
◆ バロがヨセフに夢を明かすと、エジプトの国が滅びることがないように神が告げる。ヨセフはエジプトの国を巡る。ヨセフがエジプト王バロの前に立ったのは三十歳のとき。豊作後の飢饉でも食物がヨセフの穀蔵に残っていた。(創世記41章)
◆ ヤコブは、エジプトに穀物があるので買いにいくようにと息子たちに言った。ヨセフと十人の兄弟(本当は十二人)はエジプトへ行き、穀物を買い、カナンに帰って来た。(創世記42章)

花村嘉英(2019)「「ヨセフとその兄弟」の「ヤコブ物語」から見えてくるファジィ測度について」より

「ヨセフとその兄弟」の「ヤコブ物語」から見えてくるファジィ測度について10

4 ファジィ測度の分析

 エサウの家族とヤコブの家族について、同じ場所で生活できない理由に財産が多いからとある。(旧約聖書 創世記三十六章)それぞれの家族の最大の作業量を10とし、μ(A)とμ(B)が互いに干渉しなければ加法性が成り立つが、やはり干渉するため加法性は成り立たず、等式は成立しない。
 エサウの家族とヤコブの家族が協力すれば(9)となり、別々に活動すれば抵抗反発により作業効率は下がり(10)になる。

(9)μ(A∪B)>μ(A)+μ(B)
(10)μ(A∪B)<μ(A)+μ(B)

 そのため、「ヨセフとその兄弟」の「ヤコブ物語」に見るアンビグイティは成立する。「トーマス・マンとファジィ」というシナジーのメタファーは、ファジィ集合とファジィ測度という二つの特徴を持ち合わせた作家の執筆脳の分析へと展開している。

【参考文献】
花村嘉英 計算文学入門−Thomas Mannのイロニーはファジィ推論といえるのか? 新風舎 2005
花村嘉英 从认知语言学的角度浅析鲁迅作品−魯迅をシナジーで読む 華東理工大学出版社 2015
花村嘉英 日语教育计划书−面向中国人的日语教学法与森鸥外小说的数据库应用  日本語教育のためのプログラム−中国語話者向けの教授法から森鴎外のデータベースまで 南京東南大学出版社 2017
花村嘉英 从认知语言学的角度浅析纳丁・戈迪默 ナディン・ゴーディマと意欲 華東理工大学出版社 2018
花村嘉英 計算文学入門(改訂版)−シナジーのメタファーの原点を探る V2ソリューション 2022
Thomas Mann Joseph und Seine Brüder, Frankfurt a. M., Fischer 1986(高橋義孝訳 ヨセフとその兄弟 現代世界文学全集34 新潮社)
日本成人病予防協会監修 健康管理士一般指導員通信講座テキスト 2014
菅野道夫編 講座ファジィ3 ファジィ測度 日本工業新聞社 1993
日本聖書協会 聖書 三省堂 1974

花村嘉英(2019)「「ヨセフとその兄弟」の「ヤコブ物語」から見えてくるファジィ測度について」より

「ヨセフとその兄弟」の「ヤコブ物語」から見えてくるファジィ測度について9

◆ エサウは、妻子と家の人全員、家畜と全ての獣、カナンで得た財産を手にしてヤコブから離れてセイル山地に住む。彼らは財産が多かったためである。一方、ヤコブは父の寄留地カナンに住んだ。(旧約聖書 創世記三十六章)
◇ 小説ではエサウとヤコブは不仲である。二人が55歳になり、25年の歳月を経て再開した後、エサウが好きなセイルの山岳人の笛の響きがヤコブは大嫌い。Das erste, was Jaakob von Esau vernahm, war dessen Flötenspiel, das ihm von früh her bekannte,… (S. 147) エサウのセイルで共に暮らそうという誘いも乗らず、穏やかに断り、別々の路を進んでいく。Das war eine Absage in geschmeidiger Form, und Esau, etwas glotzend, verstand sie auch gleich so ziemlich als solche. (S. 151)(第二章ヤコブとエサウ エサウ)

表1 聖書による双子の比較

特徴      兄エサウ         弟ヤコブ
出生  母リベカから先に生まれる  兄の踵を掴んで生まれる
肌      赤くて全身毛だらけ  肌は滑らか
性格       狩猟者、野人    穏やかな人
間柄      弟を憎み殺意を抱く  長子の特権と祝福の特権を奪う
勝利     カナンで財産を獲得   神と人との力比べに勝つ。神からイスラエルという名を給わる。
家族  妻 アダ、アホリバマ、バスマテ  妻 レア、ラケル、ビルハ、ジルパ
   子供 エリバス、リウレル、エウシ、子供 ルベン、シメオン、レビ、ユダ、イッサカル、
     ヤラム、コラ         ゼブルン、ヨセフ、ベニヤミン、ダン、
                    ナ二タリ、ガド、アセル
居住地     セイル山地     カナン
家族の営み   良好な生活     良好な生活

花村嘉英(2019)「「ヨセフとその兄弟」の「ヤコブ物語」から見えてくるファジィ測度について」より

「ヨセフとその兄弟」の「ヤコブ物語」から見えてくるファジィ測度について8

◆ 年老えたイサクは、武器や弓矢を持って野に出かけ鹿狩りに行き、好物を作ってくれとエサウに頼む。それを聞いていたリベカがヤコブと企み、エサウの祝福を奪う。そのためエサウはヤコブを殺そうとする。リベカがそれを察知しヤコブをエサウから引き離す。(旧約聖書 創世記二十七章)
◇ 小説では、この場面の下りが異なる。確かにイサクの妻リベカが悪巧みをする。“Jekew, mein Kind”, sagte sie (Rebekka) leise und tief und zog seine erhobenen Hände an ihre Brust. “Es ist an dem. Derr Herr will dich segnen.” … “Dich in ihm (Esau)”, sagte sie ungeduldig. (S.205) 目の見えないイサクを欺いてエサウの祝福を奪うために、赤毛の皮膚を模したいで立ちでエサウよりも先にイサクに好物の肉料理とワインを届ける。“Ich bin Esau, der Rauhe, dein größerer Sohn, und habe getan, wie du geheißen. Sitz auf, mein Vater, und stärke deine Seele; hier ist das Essen.” (S. 208) 聴覚や触覚頼りの人物評価のため、まんまとごまかされたイサクは、偽エサウのヤコブを祝福してしまう。Ihr Fett gab er ihm (Jaakob) und ihre Weibesüppigkeit und dazu den Tau und das Manneswasser des Himmels, gab ihm die Fülle von Acker, Baum und Rebe und wuchernde Fruchtbarkeit der Herden und doppelte Schur jedes Jahr. (S. 211) 狩りから戻ったエサウが食事を供しても人々は嘲り笑う始末。全くおなかが痛くなるほどの茶番劇となる。 Und dann er sich hin zu Boden und heulte mit lang heraushängendernZunge und ließ tränen rollen, so dick wie Haselnüsse, während die Leute im Kreis um ihn standen und sich die Nieren hielten, so schmerzte sie der große Jokus, wie Esau, der Rote, geprellt ward um seines Vaters Segen. (S.214) (第四章 大いなる茶番劇)

花村嘉英(2019)「「ヨセフとその兄弟」の「ヤコブ物語」から見えてくるファジィ測度について」より

「ヨセフとその兄弟」の「ヤコブ物語」から見えてくるファジィ測度について7

◆ アブラハムの子イサクは、40歳でリベカを娶る。その子は、エサウとヤコブという双子である。先に出てきた兄エサウは赤くて全身毛だらけ、後から出てきた弟ヤコブは手でエサウの踵を掴んでいた。イサクが60歳のとき。主は母リベカに兄が弟に仕えるという。(旧約聖書 創世記二十五章)
◇ Durch des Vaters Segen war Jaakob endgültig zum Mann des vollen und schönen Mondesgeworden, Esau aber zum Dunkelmond, also zum Mann der Unterwelt – und in der Unterwelt weinte man, obgleich man dort möglicherweise sehr reich an Schätzen wurde. (S. 134) トーマス・マンは、上記の記事に少し書き加え、ヤコブを満月の美しい月の男とし、兄エサウは、陰月の男、冥府の男とした。(第二章ヤコブとエサウ エリバス)

花村嘉英(2019)「「ヨセフとその兄弟」の「ヤコブ物語」から見えてくるファジィ測度について」より

「ヨセフとその兄弟」の「ヤコブ物語」から見えてくるファジィ測度について6

3 「ヨセフとその兄弟」に見る旧約聖書との違い

 この小論では、「ヤコブ物語」と旧約聖書の創世記の記事を照合しながら、外枠は旧約聖書の創世記であって、その中の要素が異なるケースをいくつか拾ってみる。それがファジィ測度でいう作業効率の考え方に適応するためである。

◆ ヨセフの父ヤコブは、神からイスラエルという名をつけられる。ヤコブが兄エサウのもとへ行く際、妻と子供を連れてヤボクの渡しを渡る。そこである人と組打ちして、祝福を求める。その人が名前を尋ねるとヤコブと答えた。その人は神と戦い給うイスラエルと名乗るようにいう。もものつがいが外れ、神と人との力の争いに勝ったからである。(旧約聖書 創世記三十二章) 
◇ 小説は少し違う。ヤコブが戦い取ったこの名は、その男が生み出したものではなく、好戦的な砂漠の一種族ベドワン人のものであった。“Der Name aber, den Jahu’s beduinische Krieger sich zugelegt, sollte, zum unterscheidenden Merkmal reineren und höheren Ebräertums, zur Kennzeichnung von Abrahams geistigem Samen werden, ebendadurch, daß Jaakob in schwerer Nacht am Jabbok ihn sich hatte zugestehen lassen…” (S. 132) イスラエルという称号は、ヤコブがヤボクの戦いで自分の方へ奪い取ったことにより、高級なヘブライ精神を表す標識、アブラハムの精神的な末裔の印を帯びることになった。(第二章ヤコブとエサウ ヤコブの素性)

花村嘉英(2019)「「ヨセフとその兄弟」の「ヤコブ物語」から見えてくるファジィ測度について」より

「ヨセフとその兄弟」の「ヤコブ物語」から見えてくるファジィ測度について5

3.2 小説の場面に適用する

 サナトリウムは、午後安静療養の時間になる。バリトンで柔らかい引きずるような異国風の口蓋音rに翌朝があるDr.Krokowskiの話しぶりは、Hans CastorpとJoachim Ziemßenのイロニー的な距離に影響を与える。
「我々の関係は新しい段階に入ったのです。つまり、あなたは、客人から同胞(Kamerad)になったのです。私の目にはカタルを患っているように見えます」とDr.Krokowskiは説明する。Hans CastorpとJoachim Ziemßenの距離が同胞になったことにより、二人は、同じ病気(カタル)を患う療養所の住民という関係になる。つまり、二人のイロニー的な距離は近づいていく。(花村 2005)
 ここでは、データベースから抽出したカラムは、意味2 距離が1近いと2 それ以外、情報の認知3 1問題解決と2未解決である。

花村嘉英(2019)「シナジーのメタファーのために一作家一作品でできること−トーマス・マン『魔の山』」より

「ヨセフとその兄弟」の「ヤコブ物語」から見えてくるファジィ測度について4

2.2 ファジィ測度の具体例

 1種類の製品のみを作っている工場がある。 そこで働く従業員全員からなる集合をXとする。作業員の任意のグループA(⊂ X)をとり、Aのメンバーだけで作業するような状況を考える。Aのメンバーは、色々なやり方で作業ができる。例えば、分業や共同作業等。ここでは、最も効率のよいやり方で働くものと仮定する。その最も効率のよい方法でグループAが単時間(1時間)に作る製品の個数をμ(A)で表す。このμは、2x上の集合になる。 
 μはファジィ測度である。作業員がいないと製品ができないため、μ(∅)=0。そして、最も効率のよい方法で働くと仮定すれば、人数が増えると生産性が上がる(少なくとも下がらない)。即ち、A⊂B ⇒μ(A)≦ μ(B)である。

花村嘉英(2019)「「ヨセフとその兄弟」の「ヤコブ物語」から見えてくるファジィ測度について」より

「ヨセフとその兄弟」の「ヤコブ物語」から見えてくるファジィ測度について3

 しかし、ファジィ測度は加法性が仮定されていないため、A∩B = ∅ のときのμ(A∪B)とμ(A)+μ(B)の間の大小関係については、一意に定まらず、以下のような場合が想定される。

(3) μ(A∪B)⋛ (A∪B)
 (3)については、3通リの解釈(4) 、(5) 、(6)が可能である。

(4) μ(A∪B)>(A∪B)
 解釈AとBの間に相互(相乗)作用がある。

(5) μ(A∪B)<(A∪B)
 解釈AとBは、μで測っている属性において重複を持つ(同じ特徴を持つ)。または、AとBの間に相殺作用がある。

(6) μ(A∪B)=μ(A)+μ(B)
 解釈AとBは側率で相互作用はない。相乗作用と相殺作用が互いに打ち消し合っている。

 一般的に測度は、加法性が重要な特徴である。菅野(1993)によると、ファジィ測度は、非加法性による部分集合間の相互作用(要素の組み合わせによる効果)を表している。

花村嘉英(2019)「「ヨセフとその兄弟」の「ヤコブ物語」から見えてくるファジィ測度について」より

「ヨセフとその兄弟」の「ヤコブ物語」から見えてくるファジィ測度について2

2 ファジィ測度

2.1 一般の測度とファジィ測度の違い

 一般的にファジィ集合は、境界がぼやけた概念の曖昧さのことであり、ファジィ測度は、鮮明な境界内にある要素についてその可能性が特定できない曖昧さのことをいう。前者はベイグネス、後者はアンビグイティと呼ばれている。
 例えば、聖書の枠組みは変わらずとも、「ヤコブ物語」に登場するエサウやヤコブが聖書に登場するエサウやヤコブとどの程度近いのか、なかなか特定できない。こうしたファジィ測度を平易な論理計算を用いて説明していく。
 あるいは、聖書の中のエサウやヤコブと異なる記事もあるであろう。しかし、ファジィ測度を用いれば、そういう内容もやさしい論理計算に基づいて説明することできる。
 一般的に測度とは、長さ、面積、体積、質量などの外延量(広がりに規定される量)の数学的な表現である。一方、速度、濃度、密度などの量は、内包量と呼ばれる。例えば、AとBがそれぞれ1の仕事しかできないとしても、一緒に働くと2.5の仕事ができるような相乗効果がでる場合、

(1) μ({a})= μ({b})= 1,
(2) μ({a,b})= 2.5

とファジィ測度で表現される。

花村嘉英(2019)「「ヨセフとその兄弟」の「ヤコブ物語」から見えてくるファジィ測度について」より

「ヨセフとその兄弟」の「ヤコブ物語」から見えてくるファジィ測度について1

1 背景

 1924年に「魔の山」を出版し、1929年にノーベル賞を受賞したトーマス・マンは、1933年、ナチスドイツから亡命し、最初にフランス、スイス、1938年からはアメリカに移住した。戦時中は、祖国ドイツと対峙しつつ、15年余りの歳月をかけて、旧約聖書の創世記を題材にした物語「ヨセフとその兄弟」を執筆した。亡命作家としてドイツを外から見ていた時期で、その間トーマス・マンなりに幾度もドイツ国民に向けて警告を発している。勿論、当局から言動を追跡されていたため、ファジズムに対する警告の仕方として旧約聖書に基づいた創作という手法を取った。小説を読めばヨセフのような人物とその兄弟たちで新生ドイツを作っていこうというメッセージに取れる。
 この小論では、「ヤコブ物語」(1933)を題材にして、トーマス・マンとファジィ測度との整合性を考える。集合の枠組みが決まっていて、その中の要素が曖昧というファジィ測度の考え方は、枠組みが旧約聖書で、登場人物が聖書と些か異なる特徴を持つ「ヨセフとその兄弟」の登場人物についても、「トーマス・マンとファジィ」というシナジーのメタファーで説明することができる。
 この小論は、ファジィ集合の観点から考察した「計算文学入門−トーマス・マンのイロニーはファジィ集合といえるのか」(2005)および「計算文学入門(改訂版)−シナジーのメタファーの原点を探る」(2022)の中の「トーマス・マンとファジィ」というシナジーのメタファーの組み合わせを展開させ、かつ論理計算と統計からなる計算文学の手法を安定させる役割を担っている。シナジーのメタファーは、あくまで「トーマス・マンとファジィ」である。しかし、「ヨセフとその兄弟」の「ヤコブ物語」執筆時の脳の活動としてファジィを使う場合、「魔の山」のファジィ集合とは異なり、ファジィ測度が考察の対象になる。 

花村嘉英(2019)「「ヨセフとその兄弟」の「ヤコブ物語」から見えてくるファジィ測度について」より
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花村嘉英
花村嘉英(はなむら よしひさ) 1961年生まれ、立教大学大学院文学研究科博士後期課程(ドイツ語学専攻)在学中に渡独。 1989年からドイツ・チュービンゲン大学に留学し、同大大学院新文献学部博士課程でドイツ語学・言語学(意味論)を専攻。帰国後、技術文(ドイツ語、英語)の機械翻訳に従事する。 2009年より中国の大学で日本語を教える傍ら、比較言語学(ドイツ語、英語、中国語、日本語)、文体論、シナジー論、翻訳学の研究を進める。テーマは、データベースを作成するテキスト共生に基づいたマクロの文学分析である。 著書に「計算文学入門−Thomas Mannのイロニーはファジィ推論といえるのか?」(新風舎:出版証明書付)、「从认知语言学的角度浅析鲁迅作品−魯迅をシナジーで読む」(華東理工大学出版社)、「日本語教育のためのプログラム−中国語話者向けの教授法から森鴎外のデータベースまで(日语教育计划书−面向中国人的日语教学法与森鸥外小说的数据库应用)」南京東南大学出版社、「从认知语言学的角度浅析纳丁・戈迪默-ナディン・ゴーディマと意欲」華東理工大学出版社、「計算文学入門(改訂版)−シナジーのメタファーの原点を探る」(V2ソリューション)、「小説をシナジーで読む 魯迅から莫言へーシナジーのメタファーのために」(V2ソリューション)がある。 論文には「論理文法の基礎−主要部駆動句構造文法のドイツ語への適用」、「人文科学から見た技術文の翻訳技法」、「サピアの『言語』と魯迅の『阿Q正伝』−魯迅とカオス」などがある。 学術関連表彰 栄誉証書 文献学 南京農業大学(2017年)、大連外国語大学(2017年)
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