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2023年05月04日

トーマス・マンとファジィ2

 Thomas Mannのイロニーを一種の推論と見なし、テキストのダイナミズムを考察する。題材とする「魔の山」がThomas Manの全集においてイロニーの交差点と見なされているからである。(Baumgart 1964:147)
Frommer (1966)によれば、 諸々の対象は論理的に共存不可能であるが、それを可能にするためにイロニ 一が使われる。イロニーは、最終的な決定を知らない、それ故に、一種の推論になる。「AでもなければBでもない」とか「AでもありBでもあ る」の観点を対話の単位と結びつける。すると、双方の側面に対して留保することにより、両方へ同時に接近することができるようになる。これは、美的で中立な表現として主人公Hans Castorpのイロニーとなり、その都度、他方を批判するために、双方の観点を交互に自分のものとし、彼自身の中で二重に矛盾した社会参加(アンガージユマン) の表現になっていく。
 一方、これまで理論言語学の枠組みでイロニーを表現することは難しかった。 しかし、Thomas Mann のイロニーと Zadeh の ファジィ理論の間に複数の共通項(イロニーの原理)が見い出せること から、本書では、Thomas Mannのイロニーを形式論で表記するためにファジィ理論を採用し、テキスト(「魔の山」)のダイナミズムを考察していく。

花村嘉英(2005)計算文学入門−Thomas Mannのイロニーはファジィ推論といえるのか?より

2023年05月03日

トーマス・マンとファジィ1

 Thomas Mann は、散文の条件として常に現実から距離を置く。一つには、現実をできるだけ正確に考察するために、また一つには、それを批判するために、つまり、イロニー 的に。…この批判的な距離は、イロニー的な距離になりうるであろう。実際、批判的な表現における簡潔さには、余すところなく正確に規定された概念言語の要求に対して、言語媒体そのものの特徴から反対の行動をとるある種の制限が設定されている。
 そして、ザデーはいう。正確さと複雑さは、両立が困難である。システムの複雑さが増すと、その振舞いについて正確ではっきりとした主張はできなくなってくる。例えば、現実の経済と関連したシステムの振舞いを推測することは、大変に難しい。
 つまり、トーマス・マンもザデーも、物事を深く正確に突き詰めていってもそこ には限界があり、逆に深追いしないことにより良い結果が得られることを主張している。そこで私のブログでは、ファジイ理論とThomas Mannのイロニーをさらに掘り下げて、両者の整合性を見ていくことにする。 そして、トーマス・マンの「魔の山」の購読脳の出力は、イロニーとファジィとし、これが横に滑って作家の執筆脳であるファジィとニューラルにたどり着くというストーリーである。この小論では、ファジィは様相を拡大した推論であり、ニューラルは直感とする。

花村嘉英(2005)計算文学入門−Thomas Mannのイロニーはファジィ推論といえるのか?より

2022年05月06日

イディオム−モンタギュー文法からGPSGそしてHPSGへ25

参考文献

*Ajdukiewicz, Kazimierz:Syntactic Connexion. In S. McCall(ed.), Polish Logic 1920-1939. Oxford. Oxford University Press. Pp. 207-231.1967.
*Casaudio, Claudia: Semantic Categories and the Development of Categorial Grammar. In R.T. Oehrle, E, Bach and D. Wheeler(eds.), Categorial Grammars and Natural Language Structures. Dordrecht. Reidel. Pp. 95-123.1988.
*Chomsky, Noam: Lectures on Government and Binding. Dordrecht. Foris. 1981.
*Dowty, David:; Grammatical Relations and Montague Grammar. In P.Jacobson and G.K.Pullum(eds.). The Nature of Syntactic Representation. Dprdrecht. Reidel. p.79-130.1982.
*Dowty, David, Robert Wall and Stanley Peters: Introduction to Montague Semantics. Dordrecht. Reidel.1981.
*Erbach, Gregor and Brigitte Krenn: Idioms and Support-Verb Constructions in HPSG, Computational Linguistics at the University of Saarland, Report No. 28, 1993.
*Fillmore, Charles: The case for case. Universals in linguistic Theory, 1-88, Rinehart and Winston. 1968.
*Fleischer, Wolfgang: Phraseologie der deutschen Gegenwartssprache. Leipzig. Bibliographisches Institut. 1982.
*Friedrich, Wolf: Moderne deutsche Idiomatik. Munchen.Hueber.1976.
*Gazdar, Gerald, Ewan Klein, Geoffrey Pullum and Ivan Sag: Generalized Ohrase Structure Grammar. Cambridge. Harvard University Press. 1985.
*Gebauer, Haiko: Montague Grammatik. Tubingen. Niemeyer. 1978.
*花村嘉英 Anfangen, beginnen, aufhörenにおける様相因子の動 きから生まれる文の曖昧性−モンタギュー文法による形式 意味論からの考察, 立教大学大学院文学研究科博士前期課 程ドイツ文学専攻修士論文, 1987.
*花村嘉英 Montague GrammarからGPSGへーイディオムの 構成性をめぐるモデル理論の修正, 立教大学ドイツ文学科論集 アスペクト25, 75−90, 1991.
*Hanamura, Yoshihisa: Die Textanalyse von HPSG - zur Ironie im Zauberberg Thomas Manns. Abgegebene Hausarbeit zur Neuphilologischen Fakultät der Eberhard-Karls-Universität zu Tübingen. 1995.
*花村嘉英 計算文学入門−Thomas Mannのイロニーはファジィ 推論といえるのか? 新風舎. 2005.
*花村嘉英 計算文学入門(改訂版)−シナジーのメタファーの原点を探る ブイツーソリューション. 2022.
*池谷彰 モンタギュー文法.英語青年6. P.8-10. 1982.
*池谷 彰 MGからGPSG,HG、HPSGへ. 論理文法研究会. 上智大学.1988.
*井口省吾, 山科正明, 白井賢一郎, 角道正佳, 西田豊明, 風斗 博之 モンタギュー意味論入門, 三修社, 1987(Dowty, Wall and Peters (1981)からの翻訳).
*Kamp, Hans: A Theory or Truth and Semantic Representation, In J. Groenendijk, T. Janssen, and M. Stockhof (eds.) Truth, Interpretation and Information, Foris, 1-41, 1981.
*Klein, Ewan and Ivan Sag: Typ-driven Translation. In Linguistics and Philosophy 8. p.163-201. 1985.
*Montague, Richard: The Proper Treatment od Quantification in Ordinary English. In R. Thomason(ed.), Formal Philosophy. New Haven. Yale University Press. P.247-270. 1974.
*Nauman, Sven: Generalized Phrasenstrukturgrammatik: Parsingstrategien, Regelorganisation und Unifikation. Tubingen. Niemeyer. 1988.
*Pollard, Carl and Ivan Sag: Head-Driven Phrase Structure grammar, University of Chicago Press, 1994
*論理文法研究会編 様相論理学.上智大学.1989.
* Russel, Graham: A GPS-Grammar for German Word Order. In U. Klenk (ed.), Kontectfreie Syntaxen und verwandte Systeme. Tubingen. Niemeyer. p.19-32. 1985.
*白井賢一郎 形式意味論入門. 産業図書.1985.
*Stucky, Suan: Verb Phrase Constituency and Linear Order in Makua. In G. Gazdar, E, Klein and G. Pullum(eds.). Order, Concord and Constituency. Dordrecht Foris. P.75-94. 1983.
*Thomason, Richmond: A Semantics Theory of Sortal Oncorrectness. In Journal of Philosophical Logic 1. P.209-258. 1972.
*Uszkoreit, Hans: Constraints on Order. In Linguistics 24. O.883-906. 1986.
* Uszkoreit, Hans:Word Order and Constituent Structure in German. CSLI Lexture Notes 8. 1987.
*Waldo, James: A PTQ Semantics for Sortal Incorrectness. In S. Davis and M. Mithun(eds.). Linguisitics, Philosophy and Montague Grammar. Austin. University of Texas Press. P. 311-331. 1979.

花村(2022)「イディオム−モンタギュー文法からGPSGそしてHPSGへ」より

イディオム−モンタギュー文法からGPSGそしてHPSGへ24

9頁
*Montague (1974 ). S. 257。
*Thomason (1972). S. 219。

10頁
*ibid. S. 242。
*ibid. S. 221。
*ibid. S. 224。 

12頁
*例えば、GPSGは、イディオムの一部に部分的な解釈を割り 当てる例として(36)のような形容詞による修飾だけではなく、 以下のような量化による修飾の例も記述している。 Pull a string or two.(操る) Take as much advantage of the situation as you can.(状況を利用する) advantage のようなイディオムの要素と数量詞を併記すると、 イディオムの連鎖にある解釈が割り当てられる。つまり、こうした名詞は、量化による意味の拡張が可能ということになる (Gazdar et al 1985)

*論理文法の歴史を考えると、構成性は、次第に立場が弱くなっていく。これは、対象となる言語表現が、単文から複合文を 経てテキストヘと拡がることにより、統語形式と実際の意味の 間に中間レベルを設定することがより適切な意味の計算を可能 にすると、多くの意味論者が主張するようになったためである (例えば、花村(2022)の88頁の注釈、解説9および解説19を参照すること)

15頁
*コロケーションは、語彙項目のシンタグマ関係、または、連鎖 関係を説明するものであり、個々の項目がテキストの中で交わる語彙項目の仲間のことをいう。例えば、deskは、 hothouseやrainよりもwriteやbigといった項目の方がはるかに生じやすい といえる(安井 1982)。

16頁
*Subject Extraction Lexical Rule(主語抽出語彙規則、以下の(c)) により、主語でないS補部((a)のwho)を下位範疇化する英語の 動詞((a)のclaim)は、VP補部のために下位範疇化する新しい語 彙登録((b)のVPINHER/SLASH {[1]})を生むことが説明される (Pollard and Sag 1994)。 (a) Who1 did Hans claim _1 left?
ここで、Yは、synsem上に並んだ変項である。それ故、(c)の Yは、S[unmarked]が主語でないことを保証してくれる(Pollard and Sag 1994)

花村(2022)「イディオム−モンタギュー文法からGPSGそしてHPSGへ」より

イディオム−モンタギュー文法からGPSGそしてHPSGへ23

7頁
*Dowy et al (1981). S. 279。但し、Montague(1974)は、次のようなパズルを解くために個体概念の必要性を説いた。
a) The temperature is ninety.
b) The temperature rises.
c) Ninety rises.
 a)からc)への推論は、temperatureにある時点での個体定項の外延を当てただけでは不十分ゆえに成立しない。従って、Montagueは、riseのタイプを<e, t>ではなく、内包的な<<s, e>, t>とした(ibid. S. 267)。しかし、これにより設定されたriseのような内包動詞とは別種の自動詞の外延性を規定する意味公準[∃M∀x□[δ(x)→M{v x}]](MはILの個体の属性タイプの変項、xはILの<s, e>タイプの変項、δはILの個体概念の集合タイプの定項)が、量化のかかったNP主語のIL個体概念の変項の値を制限するために、普通名詞の外延性に関する意味公準[□[δ(x)→∃ux=∧U]](uはeタイプの変項でxに体操する還元形である)と同じ役割を果たすことになり、規則の上で余剰が生じる。これが、個体概念(s, e)を放棄する一つの理由である。
*Klein and Sag(1985). S. 168。
*ibid. S. 171。

8頁
*ibid. S. 174。
*Chomsky(1981). S. 146. 注94。
*Gazdar et al (1985). S. 236。
*複合的な語彙の翻訳は、believeのような繰り上げ動詞などを扱うために導入されている。believe‘(>)とfR(believe‘)(>>は、意味公準∀V∀P1・・・
Pn□[fR(ζ)(V)(P1)・・・(Pn)→ζ(V(P1)・・・(Pn))]により同意であることが保証されている(ibid. S. 214)。

花村(2022)「イディオム−モンタギュー文法からGPSGそしてHPSGへ」より

イディオム−モンタギュー文法からGPSGそしてHPSGへ22

5頁
*Gazdar et al(1985).S.57。変形との違いについては、メタ規則が規則を操作するのに対し、変形が規則により生成された構造記述にかかるとあり(ibid.S.66)、これにより、GPSGの表示レベルは単層と呼ばれている。
*SAIメタ規則を応用してドイツ語のja/nein疑問文を分析した例にRussel(1985)がある。(10)4の(12)を通した出力(S[[INV, +],[SUB], +]→V[2]),NP[NOM]とFCR5([INV,+]⊃[[AUX, +],[FIN]])、およびLP規則NP[NOM]<NP[ACC]により、次のような気が認可される(ibid.S.25).
*Gazdar et al (1985). S.79。

6頁
*ibid. S.83。
*ibid. S.94。
*ibid. S.183。
*ibid. S.187。

花村(2022)「イディオム−モンタギュー文法からGPSGそしてHPSGへ」より

イディオム−モンタギュー文法からGPSGそしてHPSGへ21

2頁
*Gazdar, Klein, Pullum and Sag(1985). S. 17。
*ibid. S. 43。
*ibid. S. 57。
*ibid. S. 75。
*ibid. S. 245。

3頁
*ibid. S. 16。
*GPSGには、文脈に依存した語彙装入規則がなく、前終端(preterminal)のカテゴリーAの規則を共有する語彙項目がAの下位カテゴリー化環境に従う。
a)VP→V[SUBCAT, 2](V[2]と略記される)。
b)<lesen, [N, −],[V, +],[BAR, 0],[SUBCAT,2 ], { }, lesen‘>
 a)は、語彙項目b)を支配している。語彙項目は、音韻、カテゴリー、不規則な形態(ここでは空)、意味に関する情報を含んでいる(ibid. S. 34)。
*ibid. S. 26。
*ibid. S. 27。
*ibid. S. 29。

4頁
*Stucky(1983). S. 80。
*Gazdar et al(1985). S.44. GPSGのLP既読に対して、Uszkoreit(1986)がドイツ語の語順を検討し、修正案を出している。ドイツ語は、固定されたクラス(z.B. Det

イディオム−モンタギュー文法からGPSGそしてHPSGへ20

注釈

1頁
*MGの解説書としては、Gebauer(1978)、Dowty, Wall and Peters(1981)、白井(1985)などがある。
*GPSGの解説には、Naumann(1988)、Uszkoreit(1987)、池谷(1988)などがある。
*この論文では、慣用句(Phraseologie)の基準といえるイディオム性(Idiomatizität)、安定性(Stabilität)、語彙化(Lexikalisierung)、および再生(Reproduzierbarkeit)の中で、特に、イディオム性の高い表現を指してイディオムと呼ぶ。(Fleischer 1982. S. 34)イディオム性とは、個々の構成要素の意味と全体の意味との不規則な関係であり、安定性とは、構成要素の交換の難しさを指し、語彙化とは意味に関する辞書的な扱いであり、語彙化とともに統語上固定したと語彙的な単位を指す。 
*カテゴリー文法の解説の一つにAjdukiewicz(1967)がある。その中で、基本的なカテゴリーといえる文(s)および名詞(n)と複合的なカテゴリーs/nnは区別され、これらの操作するための規則として、相殺(s/nn→s/n)を持つUCG(Unidirectional Categorial Grammar)が提唱されている(ibid. S.213)。PTQは、この手法を継承する。カテゴリー文法の歴史に関する詳細な説明は、Casaudio(1988)にある。
*Montague(1974)S.249。
*(2)S2のような統語規則と統語操作の区別の意義については、Dowty(1982)による説明がある。彼は、主語や目的語に対応する文法概念は、個別言語から離れて、一般的に規定されるとし、例えば、「主語−述語」規則としてS3:<IV, T>,t>を設け、その入力IV(動詞句)、T(名詞句)、その出力t(文)およびこれらを取り持つ統語操作F2のカテゴリー的な指定を普遍的な役割としてS3に課している。
 これに対して、言語間で異なるのは統語操作Fであり、英語(SVO)と日本語(SOV)などの語順の違いは、F2により説明される。このように、統語規則と統語操作の区別を含む統語規則S3により、IVの語句と結びつけられる名詞句は、主語と定義される(ibid. S. 84)。

花村(2022)「イディオム−モンタギュー文法からGPSGそしてHPSGへ」より

イディオム−モンタギュー文法からGPSGそしてHPSGへ19

 次に、受動化や修飾といったイディオムの統語特性が取り上げられている。通常、VPを形成するイディオムは、受動化できる。しかし、それによってイディオムの意味合いが薄れることがある。

(c) Hans gibt den Löffel ab.
(d) Der Löffel wird von Hans abgegeben.(イディオム性は薄れる)

 修飾が可能な場合も(例えば、sprichwörterlich)、イディオム性が薄れる。

(e) Er gab den sprichwörterlichen Löffel ab(イディオム性は薄れる)

 逆に、隠喩的なイディオムの構成要素が修飾されても、イディオムの意味合いは薄れない。

(f) Hans macht große Augen.(じろじろ見る)
(g) Hans macht ganz große Augen.

 つまり、Erbach and Krenn (1993)は、統語特性の計算はできても、構成要素の意味を結合する通常の関数では意味特性の計算はできないと述べている。そこで、QIP(h)を修正していく。分析不能なイディオム(例えば、die Leviten lesen:きつく叱る)に含まれている固定要素の die Leviten は、ユダヤ教の聖典(旧約聖書レビ記)とある種の意味関係を持っていると連想するであろう。
 しかし、これは、イディオムを理解する上で言語外的なことである。QIPは、意味の役割を担っていない場合でも、量化表現がリストに記述されなければならないことを義務づけている(i)。それ故、こうしたイディオムを語彙登録する場合、固定要素die Leviten の意味を無視できるように、意味の役割は担っていないということを数 量詞のリストに追記していく(θ−Role nil)(j)。

(h) QIP

 検索される数量詞の外に意味の役割 (θ−role) がある娘の QSOTRE値は、句の接点のQUANTIFIER−STORE (QSTORE)値により結びつく。

花村(2022)「イディオム−モンタギュー文法からGPSGそしてHPSGへ」より

イディオム−モンタギュー文法からGPSGそしてHPSGへ18

 HPSGをツールとした他のイディオム分析にErbach and Krenn (1993)がある。コロケーション*を前提にイディオムが議論されており、特にKapitel 2「量化の内容」の中で記述した数量詞継承原理(Quantifier Inheritance Principle(QIP)(5))がイディオム分析の鍵になっている。まず、全体の表現の特性と見なされるイディオム(a)は、分析不能(unanalyzable)として分類され、一方、 部分的な修飾や指示的な使用が可能なためイディオムの一部に意味が割り当てられるべきもの(b)は、隠喩的(metaphoric)として分類されている。

(a) den Löffel abgeben.(さじを投げる、つまり、あきらめる)
(b) in den Sauce Apfel beißen.(嫌な仕事をする)

 (a)は、直接意味が割り当てられていて、(b)は、「嫌な仕事」 とden Sauce Apfel(アップルソース)間および「行う」とbeißen(噛む)の間にある種の連結を作ることで理解される。

花村(2022)「イディオム−モンタギュー文法からGPSGそしてHPSGへ」より
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花村嘉英
花村嘉英(はなむら よしひさ) 1961年生まれ、立教大学大学院文学研究科博士後期課程(ドイツ語学専攻)在学中に渡独。 1989年からドイツ・チュービンゲン大学に留学し、同大大学院新文献学部博士課程でドイツ語学・言語学(意味論)を専攻。帰国後、技術文(ドイツ語、英語)の機械翻訳に従事する。 2009年より中国の大学で日本語を教える傍ら、比較言語学(ドイツ語、英語、中国語、日本語)、文体論、シナジー論、翻訳学の研究を進める。テーマは、データベースを作成するテキスト共生に基づいたマクロの文学分析である。 著書に「計算文学入門−Thomas Mannのイロニーはファジィ推論といえるのか?」(新風舎:出版証明書付)、「从认知语言学的角度浅析鲁迅作品−魯迅をシナジーで読む」(華東理工大学出版社)、「日本語教育のためのプログラム−中国語話者向けの教授法から森鴎外のデータベースまで(日语教育计划书−面向中国人的日语教学法与森鸥外小说的数据库应用)」南京東南大学出版社、「从认知语言学的角度浅析纳丁・戈迪默-ナディン・ゴーディマと意欲」華東理工大学出版社、「計算文学入門(改訂版)−シナジーのメタファーの原点を探る」(V2ソリューション)、「小説をシナジーで読む 魯迅から莫言へーシナジーのメタファーのために」(V2ソリューション)がある。 論文には「論理文法の基礎−主要部駆動句構造文法のドイツ語への適用」、「人文科学から見た技術文の翻訳技法」、「サピアの『言語』と魯迅の『阿Q正伝』−魯迅とカオス」などがある。 学術関連表彰 栄誉証書 文献学 南京農業大学(2017年)、大連外国語大学(2017年)
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