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2023年08月21日
シリーズ 「僕が愛した芸人たち」
物心ついてから、お笑いが好きだった。
好みはソフトケイティストされた、少しシニカルな
都会の笑いだった。
だからドリフターズよりは、クレージーキャッツ。
B&Bよりは、セントルイス。
この間コメディアンのすわさんから再び電話があり、
ちょっと笑いについて深い話をしていたら、
これまで愛した芸人たちについて紹介したくなった。
落語会のプロデュースをしてもう20年以上に
なるし、落語のDVDや本なども作ってきたから、
少しは人前で何かいってもいいかな、と許して
これからシリーズで紹介していきます。
まずは、オシャレで粋で、あの頃に時代には
早すぎた、この方、団しん也さんの至芸から
どうぞ。
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つ、つらいことが起きた。
プリンターがカラー印刷するとき
の音が、「ハンセイ、ハンセイ、
ハンセイ、反省」と聞こえる。
いや、間違いなく言ってる。
仕事のためのプリントアウト。
ずっと続くと思うと、いと哀し。
の音が、「ハンセイ、ハンセイ、
ハンセイ、反省」と聞こえる。
いや、間違いなく言ってる。
仕事のためのプリントアウト。
ずっと続くと思うと、いと哀し。
2023年08月18日
さすが、野島伸司さん 「何曜日に生まれたの」
まず主題歌のザ・ホリーズ、
バスストップのセレクションに
ニヤリ。
’
主人公の10年引きこもりの
黒木すい(飯豊まりえ)が、
漫画家の父、丈治(陣内孝則・久々だなぁ)の
新しいマンガのために、トラウマを乗り越えて
外に出る。
仕掛けたのは、丈治とコンビを組む
ベストセラー作家、公文竜炎(溝端淳平)。
この設定にニヤリ。
’
何が飛び出すのか、展開が読めないまま一話終了。
このもやもや感に、またニヤリ。
’
相変わらず、けれんみたっぷりの脚本術。
うまいなぁ。
バスストップのセレクションに
ニヤリ。
’
主人公の10年引きこもりの
黒木すい(飯豊まりえ)が、
漫画家の父、丈治(陣内孝則・久々だなぁ)の
新しいマンガのために、トラウマを乗り越えて
外に出る。
仕掛けたのは、丈治とコンビを組む
ベストセラー作家、公文竜炎(溝端淳平)。
この設定にニヤリ。
’
何が飛び出すのか、展開が読めないまま一話終了。
このもやもや感に、またニヤリ。
’
相変わらず、けれんみたっぷりの脚本術。
うまいなぁ。
なかなかの珍品? 「バービー」
さすがインディーズ出身の
グレタ・ガーヴィック監督。
分かる人にはわかるギャグ、
ユーモアを散りばめながら
フェミニズムメッセージを
ビシッと突き刺します。
’
ピンク一色のカラフルな
バービーランドは、毎日ダンス&
パーティーのような夢のような街。
けれど、身体に起きたある異変を
感じたバービーは、人間社会へ。
あまりの現実世界に戸惑いながらも
バービーは大きな決心をする。
その決意とは……。
’
なんて話なんですが、会話が結構理屈っぽく
哲学的な要素も入ったりして、笑いとマジメの
バランスが妙な感じで、いい意味で変な、
珍しい作品だと僕は思いました。
でも考えてみると、バービーやリカちゃん人形の
世界って、今の時代から見ると不思議な気もしますよね。
’
2023年08月16日
心疲れてたけど、涙で忘れた。 「サンドウィッチマンの病院ラジオ」
NHKで不定期にオンエアーされてる
番組で、僕は必ず観る。
ひとつの病院で今、病と闘ってる
人達をゲストに院内だけで流すラジオと
いうカタチで全国に流してる。
’
放送作家としてはこのアイデアがまず秀逸。
それにサンドの優しさ、余命宣告をされたり、
脳梗塞でままならない身体でいたり、
手首を事故で失ったりしてる、
患者たち。だけど、精一杯の
明るさ。
’
喉元過ぎれば、ってほんとだねー。
ガンになってリハビリの先生にも言われたんだよね。
「喉元過ぎた人は、ほとんどといってくらい、
戻ってきます。その時は前より悪くなってます。
「僕はどっちのタイプだと思う」って聞いたら、
彼、ぽつりと、「戻ってきますね」、だって。
ダメだ、こりゃ。
’
明石家さんまさんの名言。
「生きてるだけで丸もうけ」って、ほんとだね。
それで、いいや。
2023年08月15日
泣いたぁ、ハマったぁ。 「あいの里」
ネットフリックスオリジナル。
35歳から60歳までの
いわゆる”あいのり”的な
視聴者参加の恋愛バラエティ。
’
僕は二十数年以上、放送作家をやってきたので
一応テレビの裏も知ってるつもり。
この手の番組がいつも”やらせ”として
見られるのもわかる。
’
でも昨今テレビはそう安易にはやらない。
素人の方はテレビに出てもらうのは大変だから、
参加募集しても簡単に集まらない。
だから必然的にこれまでなんらかの形で
出てくれた人や
出ることにある程度平気な人を選びがち。
だって断れることがほとんどだからね。
だけど作家が、スタッフが準備するのはそこまで。
あとは、ほんとにおまかせなスタイルで
撮ってることがほとんどなのです。
’
そこを了承してもらって話をすると、
本作は、恋模様が相当に大人の方たちなので
よくある恋愛バラエティとは一線を画す
番組になっているのです。
’
だから結構スレてる僕でも、泣き笑いさせられたのです。
もっとも、かつて、僕がテレビを見て
号泣したという話をしたら、某映画監督から
「圭さん、マジっすか。放送作家やってきて
テレビで泣くって。……バカ、なんすか」と
言われました。
とりあえずなぜ僕が心もっていかれのか、このVをどうぞ。
’
2023年08月12日
三度目の読了 「今平犯科帳」 村松友視
最初の映画「千年火」を作り
終えたとき(僕は脚本と
プロデューサーを兼任)、
撮影監督の清水良雄さんから
(「絵の中の僕の村」で
ベルリン映画祭銀熊賞を受賞)、
「高坂さん、映画監督に向いてると
思うからやってみない?現場で
僕が支えるから」と誘われた。
正直、心惹かれた。
でも改めてこの本を読み直して、
「やっぱり僕には監督は無理だ。
やらなくて良かった」と思った。
’
映画「黒い雨」には20分間ぐらいの
幻のラストシーンがあった。
何千万もかけ撮った場面。
助監督だった三池崇は言う。
「スタッフの誰から見ても素晴らしいシーン
だった。けれど、最初のラッシュを見たとき、
今村さんがふっと立ちあがりながら、
”これは駄目だね。後半、いらないねって”」
’
その後、今村はエンディングを撮り直す。
撮影が終わって二、三カ月も経った後だ。
どんなにスタッフが苦労しようが、
自分が納得いかなかったら関係ない。
こんな執念や情熱は、僕にはない。
’
誠実に、己のイメージに
忠実にものを
作るというのは、どういうことかを
この本は、作家村松友視の見事なアングル、
筆力が教えてくれる。
’
映画ファン必読の一冊です。
’
2023年08月11日
Netflix 「トッカイ 〜不良債権特別回収部〜 」 (全12話)
僕はスーツ姿でオフィスや得意先を
飛び回るような仕事をしたことが
ないので、基本サラリーマンものは
別世界を見ているようで面白いし、好きだ。
’
このドラマは、バブルがはじけた後、
経営破綻した住宅金融専門会社の
不良債権6兆7800億円を回収するために
集まった精鋭たちの物語だ。
’
原作がノンフィクション作家・清武英利だけ
あって、ストーリーにリアリティがあり
僕みたいに能天気に生きてきたアホにとっては
勉強になることも多く、興味津々だった。
’
伊藤英明、橋爪功、萩原聖人、そして今や時の人の
広末涼子(笑)と、俳優陣の演技も見事。
’
しかし悪徳債権者って、みんな隠し財産持ってるんだなぁ。
あやかりたい、首つりたい。
第百六十九回芥川賞受賞作 「ハンチバッグ」 市川沙央 ’
初めて好きになった女の子が
ハンチバック(せむし)だった。
7歳ぐらいだったと思う。
二人手をつないでる写真が今でも残っている。
僕は覚えていないが、両親に
「この娘を一生僕が守る」と言っていたそうだ。
’
あの娘がもし小説を書いているとしたら……。
読後中、ずっとそんなことを考えていた。
主人公は、親が残したグループホームで暮らす
重度障害者、井沢釈迦。
彼女は自らをせむしの怪物と呼ぶ、
湾曲した背中と気管切開した喉(のど)を持つ
40代の女性。
’
親の遺産で金には困らない釈迦は、
エロな話を食い扶持にしているライターで、
稼いだ金はすべて寄付している。
いやー、このキャラには参りました。
文章のひとつひとつが胸に刺さるのだが、
おもわず笑ってしまう毒さ加減が癖になる。
たとえば、こんな文章。
’
<中絶がしてみたい>
暫く考えてみて、そのツイートは下書き保存する。
(中略)炎上しそうな思いつきは取り敢えずここに
吐き出して冷却期間を置くのだ。
<妊娠と中絶がしてみたい>
<私の曲がった身体の中で胎児は上手く育たないだろう>
<出産にも耐えられないだろう>
<もちろん育児も無理である>
<でもたぶん妊娠と中絶までなら普通にできる。
生殖機能に問題はないから>
<だから妊娠と中絶はしてみたい>
<普通の人間の女のように子どもを宿して
中絶するのが私の夢です>
’
当たり前だと思っている元気な身体は、
当たり前じゃない、と彼女は中指を立てる。
’
この文章にもやられた。
’
厚みが3、4センチはある本を両手で押さえて
没頭する読書は、他のどんな行為よりも背骨に
負担をかける。
私は紙の本を憎んでいた。
目が見えること、本が持てること、
ページがめくれること、読者姿勢が保てること、
書店は自由に買いに行けること
ー5つの健常性を満たすことを要求する
読書文化のマチズモを憎んでいた。
その特権性に気づかない「本好き」たちの
無知な傲慢さを憎んでいた。
曲がった首でかろうじて支える重い頭が
頭痛を軋ませ、内臓を押し潰しながら
屈曲した腰が前傾姿勢のせいで地球との
綱引きに負けていく。
紙の本を読むたびに私の背骨は少しずつ
曲がっていくような気がする。
’
無知な傲慢。僕も間違いなくそのひとりだ。
読書することをこんなに大変に思う人が
いるなんて。
いやー、知らなかった。
’
多様性などと軽く口走る己を、この小説は
せせら笑い、毒づく。
とんでもないストーリー展開にも驚かされて、
エンタメとしての面白さも内包しているから
一気に読んでしまった。
’
ただ僕にはラストシーンがよくわからなかったので、
理解できた方にお話を聞いてみたい。
しかしすごい小説家が現れたものです。
’
2023年08月09日
この解説は大切! 「薬物依存症の日々」 清原和博
本人の赤裸々な淡々とした
聞き書きによる、覚せい剤に
溺れるまでの話ももちろんだが、
僕が胸を打たれたのは、清原氏の
主治医となった専門医、松本俊彦氏の解説。
いま、日大の大麻問題が大騒ぎに
なってるだけに、余計に彼の言葉が光ります。
少し長くなりますが、引きますね。
’
まず、人はなぜ、依存症になるのか。
覚せい剤となると一度に快感で溺れると
いうイメージを持つ人もいるが、松本さんは記す。
’
初めて酒を飲んだとき、すぐに「おいしい」と
感じないように、薬物も同じ。
初体験は、「少し不快な感覚」、あるいは
「どこがいいのかわからない」が多い。
’
ではなぜ依存症になるのか。
孤立している人、しんどい状況になる人が多い。
「依存症の本質は快感ではなく苦痛である。
そして薬物使用を学習する際の報酬は、
快感ではなく、苦痛の緩和である」
’
改めて考えてみる。
なぜ薬物を使ってはいけないのか。
歴史的に見れば、「医薬品」として
扱われたときもあった。
しかし社会が変わり、1961年に
厳しい刑罰の対象となった。
松本氏はいう。
この厳罰政策が失敗だった。
’
地下に潜ったため、薬物の生産量と消費量は
伸び、刑務所に入るものが増え新たな建設で
巨額の税金が使われる。
’
彼はさらに言う。
有名人や著名人が薬物で逮捕されるたびに
マスコミは執拗に追いかける。
逮捕された著名人を護送するワンボックスカーは
後部座席のカーテンをわざわざ開け、
現代版「市中引き回しの刑」を演出する。
これは「私刑」である。
’
そもそもこの見せしめは、彼らが犯した過ちに
見合ったものなのか。
大物政治家の汚職とか、大量殺人といったものなら
いざ知らず、たかだか、「人類の健康及び福祉に思いを
いたし」て規制された薬物の話だ。
’
この一連の報道のダメージは著名人本人にとどまらず、
リハビリをしている患者も深く絶望し、治療意欲が
しぼむ。
’
松本先生は最後にこう記す。
’
「みなさんにお願いがあります。今後、著名人の
薬物報道に接したら、ぜひこうした背景や影響に
思いを馳せ、少なくともこの私刑には加担しない、
という選択をしてほしい」
’
心に刻んでおきたい言葉です。
’
聞き書きによる、覚せい剤に
溺れるまでの話ももちろんだが、
僕が胸を打たれたのは、清原氏の
主治医となった専門医、松本俊彦氏の解説。
いま、日大の大麻問題が大騒ぎに
なってるだけに、余計に彼の言葉が光ります。
少し長くなりますが、引きますね。
’
まず、人はなぜ、依存症になるのか。
覚せい剤となると一度に快感で溺れると
いうイメージを持つ人もいるが、松本さんは記す。
’
初めて酒を飲んだとき、すぐに「おいしい」と
感じないように、薬物も同じ。
初体験は、「少し不快な感覚」、あるいは
「どこがいいのかわからない」が多い。
’
ではなぜ依存症になるのか。
孤立している人、しんどい状況になる人が多い。
「依存症の本質は快感ではなく苦痛である。
そして薬物使用を学習する際の報酬は、
快感ではなく、苦痛の緩和である」
’
改めて考えてみる。
なぜ薬物を使ってはいけないのか。
歴史的に見れば、「医薬品」として
扱われたときもあった。
しかし社会が変わり、1961年に
厳しい刑罰の対象となった。
松本氏はいう。
この厳罰政策が失敗だった。
’
地下に潜ったため、薬物の生産量と消費量は
伸び、刑務所に入るものが増え新たな建設で
巨額の税金が使われる。
’
彼はさらに言う。
有名人や著名人が薬物で逮捕されるたびに
マスコミは執拗に追いかける。
逮捕された著名人を護送するワンボックスカーは
後部座席のカーテンをわざわざ開け、
現代版「市中引き回しの刑」を演出する。
これは「私刑」である。
’
そもそもこの見せしめは、彼らが犯した過ちに
見合ったものなのか。
大物政治家の汚職とか、大量殺人といったものなら
いざ知らず、たかだか、「人類の健康及び福祉に思いを
いたし」て規制された薬物の話だ。
’
この一連の報道のダメージは著名人本人にとどまらず、
リハビリをしている患者も深く絶望し、治療意欲が
しぼむ。
’
松本先生は最後にこう記す。
’
「みなさんにお願いがあります。今後、著名人の
薬物報道に接したら、ぜひこうした背景や影響に
思いを馳せ、少なくともこの私刑には加担しない、
という選択をしてほしい」
’
心に刻んでおきたい言葉です。
’