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2024年04月09日
NHKスペシャル 「Last Days ー坂本龍一最後の日々ー」
亡くなる二日前までの映像が
切なすぎるドキュメンタリー。
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当たり前のことだけど
「誰でも絶対に死ぬんだな」と
この頃しみじみそう思う。
番組でも彼が言ってる
「どう逝くかですよね」
うーん、ほんとその通りなんだよね。
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大腸がんでのたうち回ってるとき、
少しでも痛くない体勢はないかと
ベッドで何百回と体を動かした。
そのとき、「ああ、人間って
切羽詰まったら、高尚なことなんて
考えないんだ。野生で動くんだ」と思った。
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番組では教授の残した日記を軸に
最後の日々までを淡々と描く。
僕とはもちろん雲泥の差で
音楽を、芸術を、人生をきちんと
まっとうしようという意思と
知性が彼にはあふれてる。
でも時折、ストレートに「チクショウ」と
いった声を文字に残していることに
なぜかほっとし、涙が出る。
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生きてられることの奇跡。
きちんと噛みしめろ。
指導してきた東北ユースオケの定演を
ベッドの中で指揮する教授を
見て、泣きながら自分に言い聞かせた。
二度目の読了 「酔いがさめたら、うちに帰ろう」 鴨志田穣
自己責任という言葉が嫌いだ。
大抵の場合、上から目線の奴が弱ってる
人に吐くからだ。
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著者は漫画家の西原理恵子さんの元夫で
戦場カメラマン。
育った環境、戦場での悲惨な経験などが
トラウマとなり、アル中になった。
本作は闘病記であり、同じように入院した
患者たちの観察記にも
なっている。
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このラインの名作に、中島らもの
「いつかどこかのバーで」があるが、
比べるとこちらのほうが軽く情けなく、より私小説的だ。
三か月酒を断つ。寿司屋に入る。
我慢してお茶を飲み、寿司でお腹一杯になる。
最後に大将がこれどうぞと小鉢を差し出す。
奈良漬け
だった。好物だったので一気にかじった。
ここからは少し長くなるが本文をひきます。
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初めて気がついた。
奈良漬けとはなんと酒の香りと味がするのだろうか。
少し怖気づいたものの、すべて平らげてしまった。
頭と体がぼうとしてくるのがわかる。
(中略)勘定を済ませ、外に出ると、足が自然に
コンビニに向かっていた。
気がつくと手にウォッカを持っている。
「うわっ」とびっくりして、あわてて元に戻すも、
「ノンアルコールビールならいいかも」
三本を手に取り、成分表を見ると
“アルコール度〇・五パーセント”と書かれている。
「平気さ、これくらい」
さっそくコンビニの前で一本目を空けた。
「あーあ、始まっちゃった」
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……バカだねぇ、ほんと。でもなんか憎めない。
著者の文章の魅力はそこにある。
もちろんアル中を擁護しているわけではない。
でも小説はダメな人間を描いているほうがとても響く。
少なくとも僕には。
同じように思ってくれる方は、ぜひご一読ください。
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