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高坂圭
フリーランスの放送作家・脚本家、コピーライター として活動し、33年目を迎えました。 最近は、物語プランナーとして、ストーリーの力で ビジネスをアップするクリエイターとしても活動しています。
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2024年04月09日

二度目の読了 「酔いがさめたら、うちに帰ろう」  鴨志田穣



自己責任という言葉が嫌いだ。
大抵の場合、上から目線の奴が弱ってる
人に吐くからだ。
'
著者は漫画家の西原理恵子さんの元夫で
戦場カメラマン。
育った環境、戦場での悲惨な経験などが
トラウマとなり、アル中になった。
本作は闘病記であり、同じように入院した
患者たちの観察記にも
なっている。
'
このラインの名作に、中島らもの
「いつかどこかのバーで」があるが、
比べるとこちらのほうが軽く情けなく、より私小説的だ。
三か月酒を断つ。寿司屋に入る。
我慢してお茶を飲み、寿司でお腹一杯になる。
最後に大将がこれどうぞと小鉢を差し出す。
奈良漬け
だった。好物だったので一気にかじった。
ここからは少し長くなるが本文をひきます。
'
初めて気がついた。
奈良漬けとはなんと酒の香りと味がするのだろうか。
少し怖気づいたものの、すべて平らげてしまった。
頭と体がぼうとしてくるのがわかる。
(中略)勘定を済ませ、外に出ると、足が自然に
コンビニに向かっていた。
気がつくと手にウォッカを持っている。
「うわっ」とびっくりして、あわてて元に戻すも、
「ノンアルコールビールならいいかも」
三本を手に取り、成分表を見ると
“アルコール度〇・五パーセント”と書かれている。
「平気さ、これくらい」
さっそくコンビニの前で一本目を空けた。
「あーあ、始まっちゃった」
'
……バカだねぇ、ほんと。でもなんか憎めない。
著者の文章の魅力はそこにある。
もちろんアル中を擁護しているわけではない。
でも小説はダメな人間を描いているほうがとても響く。
少なくとも僕には。
同じように思ってくれる方は、ぜひご一読ください。
'




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