2023年08月12日
三度目の読了 「今平犯科帳」 村松友視
最初の映画「千年火」を作り
終えたとき(僕は脚本と
プロデューサーを兼任)、
撮影監督の清水良雄さんから
(「絵の中の僕の村」で
ベルリン映画祭銀熊賞を受賞)、
「高坂さん、映画監督に向いてると
思うからやってみない?現場で
僕が支えるから」と誘われた。
正直、心惹かれた。
でも改めてこの本を読み直して、
「やっぱり僕には監督は無理だ。
やらなくて良かった」と思った。
’
映画「黒い雨」には20分間ぐらいの
幻のラストシーンがあった。
何千万もかけ撮った場面。
助監督だった三池崇は言う。
「スタッフの誰から見ても素晴らしいシーン
だった。けれど、最初のラッシュを見たとき、
今村さんがふっと立ちあがりながら、
”これは駄目だね。後半、いらないねって”」
’
その後、今村はエンディングを撮り直す。
撮影が終わって二、三カ月も経った後だ。
どんなにスタッフが苦労しようが、
自分が納得いかなかったら関係ない。
こんな執念や情熱は、僕にはない。
’
誠実に、己のイメージに
忠実にものを
作るというのは、どういうことかを
この本は、作家村松友視の見事なアングル、
筆力が教えてくれる。
’
映画ファン必読の一冊です。
’
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