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高坂圭
フリーランスの放送作家・脚本家、コピーライター として活動し、33年目を迎えました。 最近は、物語プランナーとして、ストーリーの力で ビジネスをアップするクリエイターとしても活動しています。
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2023年08月12日

三度目の読了 「今平犯科帳」 村松友視


最初の映画「千年火」を作り
終えたとき(僕は脚本と
プロデューサーを兼任)、
撮影監督の清水良雄さんから
(「絵の中の僕の村」で
ベルリン映画祭銀熊賞を受賞)、
「高坂さん、映画監督に向いてると
思うからやってみない?現場で
僕が支えるから」と誘われた。
正直、心惹かれた。
でも改めてこの本を読み直して、
「やっぱり僕には監督は無理だ。
やらなくて良かった」と思った。

映画「黒い雨」には20分間ぐらいの
幻のラストシーンがあった。
何千万もかけ撮った場面。
助監督だった三池崇は言う。
「スタッフの誰から見ても素晴らしいシーン
だった。けれど、最初のラッシュを見たとき、
今村さんがふっと立ちあがりながら、
”これは駄目だね。後半、いらないねって”」

その後、今村はエンディングを撮り直す。
撮影が終わって二、三カ月も経った後だ。
どんなにスタッフが苦労しようが、
自分が納得いかなかったら関係ない。
こんな執念や情熱は、僕にはない。

誠実に、己のイメージに
忠実にものを
作るというのは、どういうことかを
この本は、作家村松友視の見事なアングル、
筆力が教えてくれる。

映画ファン必読の一冊です。



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