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高坂圭
フリーランスの放送作家・脚本家、コピーライター として活動し、33年目を迎えました。 最近は、物語プランナーとして、ストーリーの力で ビジネスをアップするクリエイターとしても活動しています。
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2023年08月09日

この解説は大切!  「薬物依存症の日々」 清原和博

本人の赤裸々な淡々とした
聞き書きによる、覚せい剤に
溺れるまでの話ももちろんだが、
僕が胸を打たれたのは、清原氏の
主治医となった専門医、松本俊彦氏の解説。
いま、日大の大麻問題が大騒ぎに
なってるだけに、余計に彼の言葉が光ります。
少し長くなりますが、引きますね。

まず、人はなぜ、依存症になるのか。
覚せい剤となると一度に快感で溺れると
いうイメージを持つ人もいるが、松本さんは記す。

初めて酒を飲んだとき、すぐに「おいしい」と
感じないように、薬物も同じ。
初体験は、「少し不快な感覚」、あるいは
「どこがいいのかわからない」が多い。

ではなぜ依存症になるのか。
孤立している人、しんどい状況になる人が多い。
「依存症の本質は快感ではなく苦痛である。
そして薬物使用を学習する際の報酬は、
快感ではなく、苦痛の緩和である」

改めて考えてみる。
なぜ薬物を使ってはいけないのか。
歴史的に見れば、「医薬品」として
扱われたときもあった。
しかし社会が変わり、1961年に
厳しい刑罰の対象となった。
松本氏はいう。
この厳罰政策が失敗だった。

地下に潜ったため、薬物の生産量と消費量は
伸び、刑務所に入るものが増え新たな建設で
巨額の税金が使われる。

彼はさらに言う。
有名人や著名人が薬物で逮捕されるたびに
マスコミは執拗に追いかける。
逮捕された著名人を護送するワンボックスカーは
後部座席のカーテンをわざわざ開け、
現代版「市中引き回しの刑」を演出する。
これは「私刑」である。

そもそもこの見せしめは、彼らが犯した過ちに
見合ったものなのか。
大物政治家の汚職とか、大量殺人といったものなら
いざ知らず、たかだか、「人類の健康及び福祉に思いを
いたし」て規制された薬物の話だ。

この一連の報道のダメージは著名人本人にとどまらず、
リハビリをしている患者も深く絶望し、治療意欲が
しぼむ。

松本先生は最後にこう記す。

「みなさんにお願いがあります。今後、著名人の
薬物報道に接したら、ぜひこうした背景や影響に
思いを馳せ、少なくともこの私刑には加担しない、
という選択をしてほしい」

心に刻んでおきたい言葉です。





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