2020年06月14日
【やみつき】痛覚を刺激する唐辛子
加工食品を開発する際に優れた食材を求めて、産地を視察することがあります。唐辛子の場合は、インドや中国などです。中国四川省などの産地に出向き、中国内モンゴル自治区に面白い唐辛子があるらしいという情報をキャッチすると予定を変更して向かうこともあります。
唐辛子は、カレーや中華、イタリアンなどの料理に使用され、欠かすことのできない香辛料のひとつです。日本では鷹の爪が認知されていますが、海外に目を向けるとハバネロやハラペーニョ、ブートジョロキア、朝天辣椒などいろいろな種類の唐辛子が出回っています。
唐辛子乾燥粉末品は、名称もさまざまで、チリーペッパーやレッドペッパー、カイエンヌペッパとも呼ばれ、香辛料メーカーによって定義もまちまちです。乾燥唐辛子のみを使用したものや焙煎した唐辛子を配合したもの、使い勝手を考慮し副原材料を配合したものなどが販売されています。
唐辛子は栄養が豊富な食材です。唐辛子に含まれるカプサイシンは、新陳代謝を高める効果があることは有名ですが、この代謝向上によりさまざまな健康サポートをしてくれます。唐辛子を食生活に適切に取り入れることは、健康維持の近道かもしれません。
唐辛子の種類には、鷹の爪やハラペーニョ、ハバネロ、ブートジョロキア、中国の四川省で麻婆豆腐にも使われる朝天胡椒などが有名です。加工食品でもハバネロやジョロキアをうたい文句とすることで、注目度は格段に上がります。ですが、唐辛子を使用した加工食品の試作は、辛味に耐えながら試行錯誤を繰り返すので、極めて大変です。
唐辛子の辛さを表す単位としてスコビル値(Scoville scale)というものが使われます。現在はより正確にカプサイシンの量を調査するため、測定器を用いたジレット法などが開発され、第3者機関などで分析の受託を請け負っています。
・鷹の爪
日本の主流は鷹の爪となります。細長くて辛味が強いのが特長です。スコビル値は、40,000〜50,000です。
・ハラペーニョ
緑色のまま使うことが一般的で、緑色のタバスコやハラペーニョソースの原材料にしたり刻んでサルサに混ぜたりして使用されています。スコビル値は2,500〜8,000程度です。
・ハバネロ
一時期は世界一の辛さとして知名度が高まった唐辛子です。おもにメキシコ料理やピザソースなどに使用されるほか、さまざまなスナック菓子にも使用されています。スコビル値は250,000〜450,000です。
・ブートジョロキア
インド原産の激辛唐辛子です。その辛さは2007年にハバネロを抜いて世界一辛い唐辛子としてギネスブックにも認定されました。刺激が強すぎるため、加工食品の試作をする際は、マスクとゴーグルを手放せません。スコビル値は900,000〜1,100,000です。
・朝天辣椒
朝天辣椒は、中国四川省特産の唐辛子であり、見た目は丸く、鷹の爪と呼ばれる唐辛子とは形状が異なります。生育の状況が天に向かって育つという意から、朝天辣椒と名づけられています。辛さの中にまろやかさをあわせ持ち、炒めることによって、その独特な香ばしさが増します。スコビル値は最大で15,000程度です。余談ですが、花椒(フォアジャオ)というサンショウの一種を併用することで、ビリビリと舌がしびれるような風味が付与され、麻婆豆腐独特の味が生み出されます。
唐辛子の辛味成分であるカプサイシンは、油に溶けやすい性質です。そのため、先に油で炒めておくと辛味が油に移行します。お馴染みのラー油も唐辛子を油に漬け込み、辛みや香り成分を取り出しています。
唐辛子を少量使うだけで、たちまち辛い料理に変化してしまいます。カレー店では、唐辛子のトッピングを選ぶことで、辛みレベルを自由に選択することができます。家庭でも一味唐辛子を常備して、焼き鳥や親子丼、そば、うどんに辛みのアクセントを付与し、変化を楽しんでいます。 唐辛子から抽出したカプサイシンを配合した体脂肪を燃やす健康ドリンクも市販されております。この場合、カプサイシンの辛味は独自の技術で抑えています。
唐辛子の辛味成分であるカプサイシンは、発汗作用や代謝を促して血行をよくする、胃液の分泌を促し食欲を増進させる、殺菌作用があるといった効果が期待されます。
一方過剰な摂取は、胃や腸の炎症を招く原因となります。 また、味覚とは、甘み、塩味、うま味、酸味、苦味の5つを指しております。辛味というのは、味覚ではなく、痛覚となります。辛いと感じるのは、舌に痛みを感じているということです。唐辛子を食べると、脳から幸せホルモンのエンドルフィンが放出されるという報告があります。脳内が幸せホルモンであるエンドルフィンで満たされることで、幸福感が持続し、もっと食べなさいと脳から指令がでているかもしれません。しかしながら、大量に摂取し続けていると、味覚が麻痺してしまう可能性がありますので、注意が必要です。
中国の豆板醤は、脱皮そらまめを吸水させて蒸さずに麹とし、食塩を添加し半年ほど発酵させた後、唐辛子をはじめとした香辛料を加え、1カ月から数年熟成させるというのが、伝統的な製法です。
日本に目を向けると新潟県にはかんずりという唐辛子の伝統調味料があります。かんずりとは塩漬けのトウガラシを雪の上にさらして灰汁を抜き、柚子や麹と混ぜて発酵させたものです。完成までに4年かかります。
唐辛子は、世界中の料理に使用され、欠かすことのできない香辛料です。鷹の爪やハバネロ、ハラペーニョ、ブートジョロキア、朝天辣椒などいろいろな種類の唐辛子が出回っています。
唐辛子に含まれるカプサイシンは、新陳代謝を高める効果があることは有名ですが、この代謝向上によりさまざまな健康サポートをしてくれます。
過剰摂取に気を付けながら、唐辛子を食生活に適切に取り入れることで、健康であることのありがたみを日々痛感できるかもしれません。
この記事へのトラックバックURL
https://fanblogs.jp/tb/9932811
※ブログオーナーが承認したトラックバックのみ表示されます。