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2016年04月22日

これからの介護福祉士に求められているものとは

介護福祉士国家試験の資格要件変更のワケとは

介護の仕事を長年されている方の中には、介護福祉士の資格をお持ちの方も多くいらっしゃいます。


介護福祉士国家資格は、介護現場のプロフェッショナル集団として先頭に立ち、介護サービスの質の向上を図るために、高い技術と豊富な知識を持って、より良い介護を実践するための資格として誕生しました。


しかし、国家資格でありながら、実務経験が3年以上あれば誰でも国家試験を受験でき、資格を取得することができるというハードルの低さが、かねてより問題視されていました。


そこで平成28年度(第29回試験)から、介護福祉士の国家試験を受験するためには、これまでの実務経験3年以上に加え、新たに養成施設やスクールなどにおける「介護職員実務者研修の修了者であること」という必須要件が加わることになりました。


より質の高い介護福祉士を養成するためには必要なことであると思います。





今の介護福祉士は、その資質が問われている

今現在、介護の仕事をされており、これから介護福祉士の国家資格を受験しようと考えられていた方にとって、この資格要件の変更は耳の痛い話だと思います。


平成27年度までは、これまで同様に試験が受けれるのにと、不満の声も多いようです。


ですが、考えていただきたいことがあります。


自分の周りの介護福祉士は、介護のプロとしての十分な知識や技術を持っているでしょうか?


もしも、十分な知識や技術を持っていないのなら、今後も同じような未熟な介護福祉士が多く誕生することを、介護サービスを受ける利用者は望んでいるでしょうか?


サービスのためにお金を払うのは、サービスを利用する利用者です。


満足できないサービスに、お金を払う価値があるのかということを、自分がお金を払うと思ってイメージしてみると分かると思います。


たとえば、喫茶店に入ってコーヒーを注文したら、砂糖もミルクも付いていない、そしてぬるいコーヒーを出されても、お金を払いたいと思うでしょうか?自分の求める当たり前のサービスの質への期待とは、そういうことです。


もちろん、資格を取ったあとに、これではいけないとさらに研鑽を積み、一歩でも本物の介護のプロフェッショナルとなれるように努力をする方も多くいらっしゃいます。むしろ、それは当然のことです。


ですが、現在の大半の介護福祉士の方は、「介護福祉士の資格を取ることが目的」で取得した方がほとんどなのではないでしょうか?


「取れる資格なら取っておこう」


「今より給料が上がるから資格を取ろう」



と、決して介護に対する高いプロ意識を持って資格取得をした方ばかりではないはずです。


(念のため言っておきますが、そのような考えを否定するつもりは一切ありません。介護も仕事なのですから、自分が生活していくために今よりもっと有利な条件で働けるようにするのは当然のことです。)


ただ、介護福祉士としての資質が問われた場合、果たして大半の介護福祉士の方は、介護福祉士に期待されている介護のプロとしての資質を、本当に備えているのかということを、今回の資格要件の変更の際に考え直す必要があったのではないかということです。


果たして今の自分に、本当に介護福祉士としての資質が備わっているのかということを、もう一度問いかけてみましょう。


これからの介護福祉士に求められているものとは

介護の2025年問題に備えて、介護・医療業界はますますその需要が高まってきています。


介護福祉士の数も、今後ますます必要になってきます。


ですが、ただ数がいればいいというものではなく、そこにはやはり「サービスの質」が問われることになります。


現在検討が進められている、介護福祉士の上位資格となる「認定介護福祉士」も、より質の高いサービスの実現のために資格の整備が進められています。


一般介護職員の指導は介護福祉士が、そしてその介護福祉士のリーダー的存在となるのが認定介護福祉士です。


(認定介護福祉士や、2025年問題についてはまた別の機会にご紹介できるよう準備を進めています。)


今後増えてくると予想される介護職員としての外国人の雇用後の指導や、その他一般介護職員への指導的立場を担うことになる介護福祉士に求められているものとは、一体どのようなものなのでしょうか。





「介護のプロフェッショナル」としての高いプロ意識

介護福祉士に求められるもの、それは「プロ意識」です。


これは通常、介護の仕事をしている方全員が持っていて当然の意識なのですが、特に介護福祉士はプロとしての意識を、他の介護士以上に求められることになります。


上述したような利用者目線で介護サービスを捉えた場合、「介護のプロとして資格を持っているのなら、高いスキルを持っているのは当然」という考えが、少しずつ広がってきています。


加えて、特別養護老人ホームや介護老人保健施設だけでなく、現在は民間の企業も参入してきている介護業界です。


年々、民間企業の経営する有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅(サ高住)の数は増加しており、そのような施設で働く際には「ホテルマンのようなプロのおもてなし」が求められる場合も少なくありません。


介護の知識や技術の他に、「おもてなしの心」も求められるようになってきているのです。


もちろん、そのような施設ばかりではなく、アットホームを売りにしているところも多いため一概には言えませんが、それでもプロとして働くことへの意識を持つことに変わりはないと言えます。



プロに求められるもの、それは「結果」です。



プロ野球選手でも、プロテニス選手でも、「結果」が出せなければ契約は解除されます。


プロの世界とは、本来それほどまでに厳しい世界なのです。


まだ介護業界にはそのような風潮はなく「ぬるく甘いプロの世界」ですが、いずれは介護業界も他のプロ選手の契約のように、能力制の時代がやって来るかもしれません。


そうなったときのために、今のうちから「プロ意識」を磨いておくことはやはり重要なことなのではないでしょうか。


レベルの高い介護技術と豊富な知識

介護のプロに求められるのはやはり知識と技術でしょう。それも、一般介護士とは別格の知識量と技術レベルが必要です。


自己研鑽を積み、様々な研修に参加し、見聞を広げることで得られる情報を糧にすること。そして介護現場のリーダー的な役割を担っていくべき立場になるのが介護福祉士に求められているものです。


とはいえ、何から手をつければいいのか分からないという方もいらっしゃるでしょう。


ですからまずは、もう一度基本的な介護の知識と技術を見直してみることから始めてもいいと思います。


これまで自己流のやり方で移乗などの介助を行ってきた方なら、もう一度基本的な移乗方法を確実に身につけてるのもいいですし、介護者と要介護者がお互いにもっと安楽に介助を受けられるやり方を見つけるのもいいと思います。


知識については、認知症対応マニュアルや緊急時の対応マニュアルを見直すなどして忘れているところはないかを確認したり、これまで自信がなく何となく目を背けてきた医療知識を、この機会に勉強し直すなど、自分がすぐに取り組めることから始めてみるのもいいでしょう。


基礎のしっかりしている人ほど、周りの職員からの信頼度は高まります。


口八丁手八丁でやってきた人ならなおさら基礎を磨くことから始めることをおすすめします。


周囲を育てる指導力・統率力

何年も介護経験のある方なら、いずれはリーダー的な役割を担うことも多くなると思います。


そのときに必要になるのが「指導力と統率力」です。


統一された介護サービスを提供するためには、チームワークが何よりも重要です。スキルの高い介護士は、低い介護士を育て、チーム力の底上げをする必要があります。


リーダーとして、愛情を持って部下を育て、かつ統率のとれたチームを作り上げるためには、リーダーが頑張るだけはダメだということです。


それぞれの職員に役割を与え、それを管理し、ときには修正しながら、少しずつチーム力を強化していく必要があります。


そのようにして、かつてない「黄金期」を迎えたチームは、離職を防ぐだけでなく、新たなチャレンジをも実現可能にする力を秘めたチームになります。


リーダーが不在でも、それぞれがリーダー的な役割を担う者として仕事が出来るようになることが理想です。


そのためにもまずは指導力と統率力について学ぶことをおすすめします。





このように、介護福祉士には今後「質の高いサービスを提供するプロ」としての役割が求められるようになるます。


もちろん、今すぐにそうならなければいけないわけではありません。


ただ、今のうちからそのように意識をして仕事をしておくことは、介護福祉士の資格を持つ者としての資質を向上させることにつながると思います。


ひとりでも多くの方が、利用者目線でサービスの質を考えることができるようになることが大切です。


介護福祉士の資格を取りたい方は、こちらが参考になると思います。
介護福祉士の資格取得を目指すなら


介護福祉士を目指す際の段階的なキャリアステップとして、介護職員初任者研修というものがあります。それについてはこちらをどうぞ。
介護士がまず取得すべき「介護職員初任者研修資格」とは


介護のキャリアパス制度というものをご存じですか?興味のある方は、こちらが参考になります。
介護のキャリアパス制度について



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介護福祉士、社会福祉士、ケアマネージャー、看護師の資格を持っています。現在はとある施設で職員教育の役職に就き、それを主な職務にしつつ、大好きな現場にもちょくちょく足を運んで、業務も手伝っています。日々、介護に対してのカンが鈍らないよう勉強中です。
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