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2018年03月27日
刑事訴訟法判例フレーズ集
百選87
刑訴法328条は、公判準備又は公判期日における被告人、証人、その他の者の供述が、別の機会にしたその者の供述と矛盾する場合に、矛盾する供述をしたこと自体の立証を許すことにより、公判準備又は公判期日におけるその者の供述の信用性の減殺を図ることを許容する趣旨のものであり、別の機会に矛盾する供述をしたという事実の立証については、刑訴法が定める厳格な証明を要する趣旨であると解するのが相当である。
百選72
確かに、黙秘権の告知がなかったからといって、そのことから直ちに、その後の被疑者の供述のすべての任意性が否定されることにはならないが、被疑者の黙秘権は、憲法38条1項に由来する刑事訴訟法上の基本的かつ重要な権利だから(198条2項)、これを無視するような取り調べが許されないことも当然である。
198条2項の趣旨は被疑者の心理的圧迫を解放し、また、取調官を自戒させることである。本件のように黙秘権告知が一度もされなかった事案においては、黙秘権不告知の事実は取り調べにあたる警察官に被疑者の黙秘権を尊重しようとする基本的態度がなかったことを象徴するものとして、また、黙秘権告知を受けることによる被疑者の心理的圧迫の解放がなかったことを推認させる事情として、供述の任意性判断に重大な影響を及ぼす。
百選62
前科証拠は自然的関連性を有する。しかし、同種前科証拠は事実認定を誤らせるおそれや争点拡散のおそれがあるから、実証的根拠の乏しい人格評価によって誤った事実認定に至るおそれがないと認められるときに初めて証拠とすることが許される。
特に前科証拠を被告人と犯人の同一性の証明に用いる場合には、前科の犯罪事実が顕著な特徴を有し、かつ、それが起訴に係る犯罪事実と相当程度類似することから、それ自体で両者の犯人が同一であることを合理的に推認させるようなものであって、初めて証拠として採用できる。
百選83
本件両書証は、捜査官が、被害者や被疑者の供述内容を明確にすることを主たる目的にして、これらの者に被害・犯行状況について再現させた結果を記録したものと認められ、立証趣旨が『被害再現状況』、『犯行再現状況』とされていても、実質においては、再現されたとおりの犯罪事実の存在が要証事実になると解される。
写真は撮影、現像等が機械的過程を経て証拠化されるため非供述証拠であり、再現者の署名・押印は不要である。
百選30
強制の処分とは、個人の意思に反し重要な権利利益の制約を伴う処分を言う。
憲法35条1項は列挙事由に準ずる私的領域に侵入されない権利も保障しているところ、個人のプライバシーの侵害を可能とする機器をその所持品に秘かに装着することによって合理的に推認される個人の意思に反してその私的領域に侵入する捜査手法であるGPS捜査は、個人の意思を制圧して憲法の保障する重要な権利利益を侵害するものだから、強制の処分に当たる。
百選29
本件エックス線検査は、荷物の内容物の形状や材質をうかがい知ることができるうえ、内容物によってはその品目等を相当程度具体的に特定することも可能であって、荷送人や荷受人の内容物に対するプライバシー等を大きく侵害するものであるから、検証としての性質を有する強制処分に当たる。
百選28
身柄を拘束されていない被疑者を採尿場所へ任意に同行することが事実上不可能と認められる場合には、強制採尿令嬢の効力として、採尿に適する最寄りの場所まで被疑者を連行することができ、その際、必要最小限度の有形力行使ができると解する。なぜなら、@そのように解しないと捜査の目的を達成できないし、A裁判官は連行の当否を含めて審査したうえで令状を発布していると解されるからである。
百選25
被疑者の名誉等を害し、被疑者らの抵抗による混乱を生じ、または現場付近の交通を妨げるおそれがあるといった事情のため、その場で直ちに捜索、差押えを実施することが適当でないときには、速やかに被疑者を捜索、差押えの実施に適する最寄りの場所まで連行した上、これらの処分を実施することも、同号にいう『逮捕の現場』における捜索、差押えと同視することができ、適法な処分と解する。
百選22
令状により差し押さえようとするパソコン、フロッピーディスク等の中に被疑事実に関する情報が記録されている蓋然性が認められる場合において、そのような情報が実際に記録されているかをその場で確認していたのでは記録された情報を損壊される危険があるときは、内容を確認することなしに右パソコン、フロッピーディスク等を差し押さえることができると解する。
百選10
おとり捜査は、捜査機関又はその協力者が、身分や意図を秘して犯罪を実行するよう働きかけ、相手方がこれに応じて犯罪の実行に出たところで現行犯逮捕等により検挙するものであるが、少なくとも、直接の被害者がいない薬物犯罪等の捜査において、通常の捜査方法のみでは当該犯罪の摘発が困難である場合に、機会があれば犯罪を行う意思があると疑われるものを対象におとり捜査を行うことは、刑訴法197条1項に基づく任意捜査として許容される。
百選9
捜査機関が対話の相手方の知らないうちにその会話を録音することは、原則として違法であり、ただ録音の経緯、内容、目的、必要性、侵害される個人の法益と保護されるべき公共の利益との権衡などを考慮し、具体的状況の下で相当と認められる限度においてのみ、許容される。
百選6
任意捜査においては、強制手段を用いることが許されないのはいうまでもないが、任意捜査の一環としての被疑者に対する取調べは、右のような強制手段によることができないというだけでなく、さらに、事案の性質、被疑者に対する容疑の程度、被疑者の態度等諸般の事情を勘案して、社会通念上相当と認められる方法ないし態様及び限度において許容される。
百選4 S53.6.20 米子強盗事件 所持品検査判例@ 凶器を用いた銀行強盗事件
所持品検査は口頭による質問と密接に関連し、かつ、職務質問の効果をあげるうえで必要性、有効性の認められる行為であるから、同条項による職務質問に付随してこれを行うことができる場合があると解するのが相当である。
所持品検査は、任意手段である職務質問の付随行為として許容されるのであるから、所持人の承諾を得て、その限度においてこれを行うのが原則である。しかし、職務質問ないし所持品検査は、犯罪の予防、鎮圧等を目的とする行政警察上の作用であって、流動する各般の警察事象に対応して迅速適正にこれを処理すべき行政警察の責務にかんがみるときは、所持人の承諾のない限り所持品検査は一切許容されないと解するのは相当でなく、捜索に至らない程度の行為は、強制にわたらない限り、所持品検査においても許容される場合があると解すべきである。
もっとも、所持品検査には種々の態様のものがあるので、その許容限度を一般的に定めることは困難であるが、所持品について捜索及び押収を受けることのない権利は憲法35条の保障するところであり、捜索に至らない程度の行為であってもこれを受ける者の権利を害するものであるから、状況のいかんを問わず常にかかる行為が許容されるものと解すべきでないことはもちろんであって、かかる行為は、限定的な場合において、所持品検査の必要性、緊急性、これによって害される個人の法益と保護されるべき公共の利益との権衡などを考慮し、具体的状況の下で相当と認められる限度においてのみ、許容される。
S53.9.7 所持品検査判例A 単なる覚せい剤事件
不審車を停止させて職質開始したところ覚せい剤使用の兆候があった。ポケットを外側から触ったところ「刃物ではないが何か堅い物」が入っているようだったので出せと言ったが応じなかった。「出してみるぞ」といってポケット内に手を入れて取り出した。
Pの行為は一般にプライバシー侵害の程度の高い行為であり、かつ、その態様において捜索に類するものであるから、上記のような本件の具体的な状況のもとにおいては、相当な行為とは認めがたいところであって、職務質問に付随する所持品検査の許容限度を逸脱したものと解するのが相当である。
百選2
職務質問を開始した当時、被告人には覚せい剤使用の嫌疑があったほか、厳格の存在や周囲の状況を正しく認識する能力の減退など覚せい剤中毒をうかがわせる異常な言動が見受けられ、かつ、道路が積雪により滑りやすい状態にあったのに、被告人が自動車を発進させるおそれがあったから、前期の被告人運転車両のエンジンキーを取り上げた行為は、警察官職務執行法2条1項に基づく職務質問を行うため停止させる方法として必要かつ相当な行為であるのみならず、道路交通法67条3項に基づき交通の危険を防止するため取った必要な応急の措置に当たるということができる。
これに対し、その後被告人の身体に対する捜索差押許可状の執行が開始されるまでの間、警察官が被告人による運転を阻止し、約6時間半以上も被告人を本件現場に留め置いた措置は、当初は前記の通り適法性を有しており、被告人の覚せい剤使用の嫌疑が濃厚になっていたことを考慮しても、被告人に対する任意同行を求めるための説得行為としてはその限度を超え、被告人の移動の自由を長時間にわたり奪った点において、任意捜査として許容される範囲を逸脱したものとして違法である。
百選27
事件の重大性、嫌疑の存在、証拠の重要性とその取得の必要性、適当な代替手段の不存在等の事情に照らし、犯罪の捜査上真にやむを得ないと認められる場合には、最終的手段として、適切な法律上の手続きを経てこれを行うことも許される。
刑訴法328条は、公判準備又は公判期日における被告人、証人、その他の者の供述が、別の機会にしたその者の供述と矛盾する場合に、矛盾する供述をしたこと自体の立証を許すことにより、公判準備又は公判期日におけるその者の供述の信用性の減殺を図ることを許容する趣旨のものであり、別の機会に矛盾する供述をしたという事実の立証については、刑訴法が定める厳格な証明を要する趣旨であると解するのが相当である。
百選72
確かに、黙秘権の告知がなかったからといって、そのことから直ちに、その後の被疑者の供述のすべての任意性が否定されることにはならないが、被疑者の黙秘権は、憲法38条1項に由来する刑事訴訟法上の基本的かつ重要な権利だから(198条2項)、これを無視するような取り調べが許されないことも当然である。
198条2項の趣旨は被疑者の心理的圧迫を解放し、また、取調官を自戒させることである。本件のように黙秘権告知が一度もされなかった事案においては、黙秘権不告知の事実は取り調べにあたる警察官に被疑者の黙秘権を尊重しようとする基本的態度がなかったことを象徴するものとして、また、黙秘権告知を受けることによる被疑者の心理的圧迫の解放がなかったことを推認させる事情として、供述の任意性判断に重大な影響を及ぼす。
百選62
前科証拠は自然的関連性を有する。しかし、同種前科証拠は事実認定を誤らせるおそれや争点拡散のおそれがあるから、実証的根拠の乏しい人格評価によって誤った事実認定に至るおそれがないと認められるときに初めて証拠とすることが許される。
特に前科証拠を被告人と犯人の同一性の証明に用いる場合には、前科の犯罪事実が顕著な特徴を有し、かつ、それが起訴に係る犯罪事実と相当程度類似することから、それ自体で両者の犯人が同一であることを合理的に推認させるようなものであって、初めて証拠として採用できる。
百選83
本件両書証は、捜査官が、被害者や被疑者の供述内容を明確にすることを主たる目的にして、これらの者に被害・犯行状況について再現させた結果を記録したものと認められ、立証趣旨が『被害再現状況』、『犯行再現状況』とされていても、実質においては、再現されたとおりの犯罪事実の存在が要証事実になると解される。
写真は撮影、現像等が機械的過程を経て証拠化されるため非供述証拠であり、再現者の署名・押印は不要である。
百選30
強制の処分とは、個人の意思に反し重要な権利利益の制約を伴う処分を言う。
憲法35条1項は列挙事由に準ずる私的領域に侵入されない権利も保障しているところ、個人のプライバシーの侵害を可能とする機器をその所持品に秘かに装着することによって合理的に推認される個人の意思に反してその私的領域に侵入する捜査手法であるGPS捜査は、個人の意思を制圧して憲法の保障する重要な権利利益を侵害するものだから、強制の処分に当たる。
百選29
本件エックス線検査は、荷物の内容物の形状や材質をうかがい知ることができるうえ、内容物によってはその品目等を相当程度具体的に特定することも可能であって、荷送人や荷受人の内容物に対するプライバシー等を大きく侵害するものであるから、検証としての性質を有する強制処分に当たる。
百選28
身柄を拘束されていない被疑者を採尿場所へ任意に同行することが事実上不可能と認められる場合には、強制採尿令嬢の効力として、採尿に適する最寄りの場所まで被疑者を連行することができ、その際、必要最小限度の有形力行使ができると解する。なぜなら、@そのように解しないと捜査の目的を達成できないし、A裁判官は連行の当否を含めて審査したうえで令状を発布していると解されるからである。
百選25
被疑者の名誉等を害し、被疑者らの抵抗による混乱を生じ、または現場付近の交通を妨げるおそれがあるといった事情のため、その場で直ちに捜索、差押えを実施することが適当でないときには、速やかに被疑者を捜索、差押えの実施に適する最寄りの場所まで連行した上、これらの処分を実施することも、同号にいう『逮捕の現場』における捜索、差押えと同視することができ、適法な処分と解する。
百選22
令状により差し押さえようとするパソコン、フロッピーディスク等の中に被疑事実に関する情報が記録されている蓋然性が認められる場合において、そのような情報が実際に記録されているかをその場で確認していたのでは記録された情報を損壊される危険があるときは、内容を確認することなしに右パソコン、フロッピーディスク等を差し押さえることができると解する。
百選10
おとり捜査は、捜査機関又はその協力者が、身分や意図を秘して犯罪を実行するよう働きかけ、相手方がこれに応じて犯罪の実行に出たところで現行犯逮捕等により検挙するものであるが、少なくとも、直接の被害者がいない薬物犯罪等の捜査において、通常の捜査方法のみでは当該犯罪の摘発が困難である場合に、機会があれば犯罪を行う意思があると疑われるものを対象におとり捜査を行うことは、刑訴法197条1項に基づく任意捜査として許容される。
百選9
捜査機関が対話の相手方の知らないうちにその会話を録音することは、原則として違法であり、ただ録音の経緯、内容、目的、必要性、侵害される個人の法益と保護されるべき公共の利益との権衡などを考慮し、具体的状況の下で相当と認められる限度においてのみ、許容される。
百選6
任意捜査においては、強制手段を用いることが許されないのはいうまでもないが、任意捜査の一環としての被疑者に対する取調べは、右のような強制手段によることができないというだけでなく、さらに、事案の性質、被疑者に対する容疑の程度、被疑者の態度等諸般の事情を勘案して、社会通念上相当と認められる方法ないし態様及び限度において許容される。
百選4 S53.6.20 米子強盗事件 所持品検査判例@ 凶器を用いた銀行強盗事件
所持品検査は口頭による質問と密接に関連し、かつ、職務質問の効果をあげるうえで必要性、有効性の認められる行為であるから、同条項による職務質問に付随してこれを行うことができる場合があると解するのが相当である。
所持品検査は、任意手段である職務質問の付随行為として許容されるのであるから、所持人の承諾を得て、その限度においてこれを行うのが原則である。しかし、職務質問ないし所持品検査は、犯罪の予防、鎮圧等を目的とする行政警察上の作用であって、流動する各般の警察事象に対応して迅速適正にこれを処理すべき行政警察の責務にかんがみるときは、所持人の承諾のない限り所持品検査は一切許容されないと解するのは相当でなく、捜索に至らない程度の行為は、強制にわたらない限り、所持品検査においても許容される場合があると解すべきである。
もっとも、所持品検査には種々の態様のものがあるので、その許容限度を一般的に定めることは困難であるが、所持品について捜索及び押収を受けることのない権利は憲法35条の保障するところであり、捜索に至らない程度の行為であってもこれを受ける者の権利を害するものであるから、状況のいかんを問わず常にかかる行為が許容されるものと解すべきでないことはもちろんであって、かかる行為は、限定的な場合において、所持品検査の必要性、緊急性、これによって害される個人の法益と保護されるべき公共の利益との権衡などを考慮し、具体的状況の下で相当と認められる限度においてのみ、許容される。
S53.9.7 所持品検査判例A 単なる覚せい剤事件
不審車を停止させて職質開始したところ覚せい剤使用の兆候があった。ポケットを外側から触ったところ「刃物ではないが何か堅い物」が入っているようだったので出せと言ったが応じなかった。「出してみるぞ」といってポケット内に手を入れて取り出した。
Pの行為は一般にプライバシー侵害の程度の高い行為であり、かつ、その態様において捜索に類するものであるから、上記のような本件の具体的な状況のもとにおいては、相当な行為とは認めがたいところであって、職務質問に付随する所持品検査の許容限度を逸脱したものと解するのが相当である。
百選2
職務質問を開始した当時、被告人には覚せい剤使用の嫌疑があったほか、厳格の存在や周囲の状況を正しく認識する能力の減退など覚せい剤中毒をうかがわせる異常な言動が見受けられ、かつ、道路が積雪により滑りやすい状態にあったのに、被告人が自動車を発進させるおそれがあったから、前期の被告人運転車両のエンジンキーを取り上げた行為は、警察官職務執行法2条1項に基づく職務質問を行うため停止させる方法として必要かつ相当な行為であるのみならず、道路交通法67条3項に基づき交通の危険を防止するため取った必要な応急の措置に当たるということができる。
これに対し、その後被告人の身体に対する捜索差押許可状の執行が開始されるまでの間、警察官が被告人による運転を阻止し、約6時間半以上も被告人を本件現場に留め置いた措置は、当初は前記の通り適法性を有しており、被告人の覚せい剤使用の嫌疑が濃厚になっていたことを考慮しても、被告人に対する任意同行を求めるための説得行為としてはその限度を超え、被告人の移動の自由を長時間にわたり奪った点において、任意捜査として許容される範囲を逸脱したものとして違法である。
百選27
事件の重大性、嫌疑の存在、証拠の重要性とその取得の必要性、適当な代替手段の不存在等の事情に照らし、犯罪の捜査上真にやむを得ないと認められる場合には、最終的手段として、適切な法律上の手続きを経てこれを行うことも許される。