# スタッフ通信
発行日:2024年11月18日
第4号
## 立位時間と心血管健康に関する最新研究:効果的な運動指導のために
親愛なるスタッフの皆様
本日は、International Journal of Epidemiology(2024年10月16日掲載)による、立位時間と心血管健康に関する重要な研究結果についてご報告いたします。
### 研究概要
#### 研究の基本情報
- 実施機関:シドニー大学チャールズ・パーキンス・センター
- 主任研究者:Matthew Ahmadi氏
- 対象者:UKバイオバンク参加者83,013名
* 平均年齢:61.3±7.8歳
* 女性比率:55.6%
- 追跡期間:平均6.9年
#### 主要な研究結果
1. 追跡期間中の疾患発生数
- 心血管疾患:6,829件
- 起立性循環器疾患:2,042件
2. リスク上昇が確認された条件
- 1日12時間超の静止時間:
* 起立性循環器疾患:1時間当たり22%上昇
* 心血管疾患:1時間当たり13%上昇
- 1日10時間超の座位時間:
* 起立性循環器疾患:1時間当たり26%上昇
- 1日2時間超の立位時間:
* 起立性循環器疾患:30分当たり11%上昇
3. 重要な発見
- 立位時間の増加だけでは心血管の健康改善に繋がらない
- むしろ過度の立位は静脈瘤やDVTのリスクを上昇させる可能性
- 1日6分の高強度運動、または30分の中〜高強度運動で心血管疾患リスクを軽減可能
### 透析患者への指導への応用
1. 基本的な生活指導
- 長時間の静止(座位・立位とも)を避ける
- 定期的な体位変換の推奨
- 可能な範囲での運動の実施
2. 具体的な活動提案
- 透析中:
* 足首の運動
* 軽いストレッチ(可能な範囲で)
* 深呼吸運動
- 日常生活:
* こまめな休憩と体位変換
* 短時間の歩行
* 家事活動の活用
3. 注意点
- 個々の患者の状態に応じた指導
- 無理のない範囲での活動推奨
- 定期的な状態確認
### スタッフへのお願い
1. 患者観察の強化
- 長時間の静止状態への注意
- 運動能力の評価
- 活動状況の確認
2. 適切な指導
- 個別の状態に応じた運動指導
- 無理のない活動量の提案
- 定期的な確認と調整
この研究結果は、単に「座っている時間を減らす」のではなく、「適切な活動を取り入れる」ことの重要性を示しています。透析患者さんの状態に合わせた、安全で効果的な活動提案を心がけてまいりましょう。
ご質問やご提案がございましたら、いつでもお申し出ください。
事務長
2024年11月18日
スタッフ通信 第四号 立位時間と心血管健康に関する最新研究:効果的な運動指導のために
posted by 医療従事者兼法人本部課長代行アラタ at 19:51| 医療ニュース
スタッフ通信 第三号 高齢者の認知症予防における野菜摂取の重要性:最新研究からの知見
# スタッフ通信
発行日:2024年11月18日
第3号
## 高齢者の認知症予防における野菜摂取の重要性:最新研究からの知見
親愛なるスタッフの皆様
本日は、Food & Function誌(2024年10月28日号)に掲載された、野菜摂取と認知症予防に関する重要な研究結果についてご報告いたします。
### 研究概要
#### 研究の基本情報
- 実施機関:オーストラリア・エディスコーワン大学(Negar Ghasemifard氏ら)
- 対象:70歳以上の地域在住高齢女性 1,206名
- 追跡期間:14.5年間(約15,134人年)
- 調査開始:1998年
#### 研究方法
- 食物摂取頻度調査票による野菜摂取量の評価
- 調査対象の野菜分類:
1. 黄/オレンジ/赤い野菜(YOR)
2. アブラナ科
3. ネギ科
4. 緑色の葉野菜(GLV)
5. 豆類
- APOE4遺伝子を含む多変量調整Cox比例ハザードモデルによる解析
#### 主要な研究結果
1. 追跡期間中の認知症関連イベント
- 認知症イベント総数:207件(17.2%)
- 認知症による入院:183件(15.25%)
- 認知症関連死亡:83件(6.9%)
2. 野菜摂取量と認知症リスクの関係
- 総野菜摂取量が中程度(Q3)の群:
* 認知症による死亡リスクが39%低下
- YOR摂取量が最多(Q4)の群:
* 認知症イベント:47%リスク低下
* 認知症による入院:46%リスク低下
* 認知症による死亡:50%リスク低下
- ネギ科摂取量が最多(Q4)の群:
* 認知症イベント:36%リスク低下
* 認知症による死亡:49%リスク低下
- GLV摂取量が最多(Q4)の群:
* 認知症による死亡:45%リスク低下
### 当院での栄養指導への応用
この研究結果を踏まえ、以下の取り組みを実施いたします:
1. 栄養指導の見直し
- 効果的な野菜の種類と摂取量の具体的提案
- 患者さんの食習慣に合わせた個別指導の強化
- 調理方法の提案を含めた実践的なアドバイス
2. 重点的に推奨する野菜
- YOR野菜:にんじん、かぼちゃ、トマトなど
- ネギ科:玉ねぎ、ニラ、にんにくなど
- 緑色葉野菜:ほうれん草、小松菜など
3. 患者教育の強化
- 栄養だよりの定期発行
- 調理実習の検討
- 家族を含めた食事指導の実施
### スタッフへのお願い
1. 食事に関する情報収集
- 患者さんの食習慣の把握
- 野菜摂取状況の確認
- 食事に関する困りごとの聞き取り
2. 栄養指導との連携
- 気になる患者さんの情報共有
- 栄養指導の必要性の評価
- 指導後のフォローアップ
本研究は女性のみを対象としており、男性への適用にはさらなる研究が必要とされていますが、野菜摂取の重要性は共通していると考えられます。この知見を活かし、患者さんの認知機能維持に貢献してまいりましょう。
ご質問やご意見がございましたら、いつでもお申し出ください。
事務長
発行日:2024年11月18日
第3号
## 高齢者の認知症予防における野菜摂取の重要性:最新研究からの知見
親愛なるスタッフの皆様
本日は、Food & Function誌(2024年10月28日号)に掲載された、野菜摂取と認知症予防に関する重要な研究結果についてご報告いたします。
### 研究概要
#### 研究の基本情報
- 実施機関:オーストラリア・エディスコーワン大学(Negar Ghasemifard氏ら)
- 対象:70歳以上の地域在住高齢女性 1,206名
- 追跡期間:14.5年間(約15,134人年)
- 調査開始:1998年
#### 研究方法
- 食物摂取頻度調査票による野菜摂取量の評価
- 調査対象の野菜分類:
1. 黄/オレンジ/赤い野菜(YOR)
2. アブラナ科
3. ネギ科
4. 緑色の葉野菜(GLV)
5. 豆類
- APOE4遺伝子を含む多変量調整Cox比例ハザードモデルによる解析
#### 主要な研究結果
1. 追跡期間中の認知症関連イベント
- 認知症イベント総数:207件(17.2%)
- 認知症による入院:183件(15.25%)
- 認知症関連死亡:83件(6.9%)
2. 野菜摂取量と認知症リスクの関係
- 総野菜摂取量が中程度(Q3)の群:
* 認知症による死亡リスクが39%低下
- YOR摂取量が最多(Q4)の群:
* 認知症イベント:47%リスク低下
* 認知症による入院:46%リスク低下
* 認知症による死亡:50%リスク低下
- ネギ科摂取量が最多(Q4)の群:
* 認知症イベント:36%リスク低下
* 認知症による死亡:49%リスク低下
- GLV摂取量が最多(Q4)の群:
* 認知症による死亡:45%リスク低下
### 当院での栄養指導への応用
この研究結果を踏まえ、以下の取り組みを実施いたします:
1. 栄養指導の見直し
- 効果的な野菜の種類と摂取量の具体的提案
- 患者さんの食習慣に合わせた個別指導の強化
- 調理方法の提案を含めた実践的なアドバイス
2. 重点的に推奨する野菜
- YOR野菜:にんじん、かぼちゃ、トマトなど
- ネギ科:玉ねぎ、ニラ、にんにくなど
- 緑色葉野菜:ほうれん草、小松菜など
3. 患者教育の強化
- 栄養だよりの定期発行
- 調理実習の検討
- 家族を含めた食事指導の実施
### スタッフへのお願い
1. 食事に関する情報収集
- 患者さんの食習慣の把握
- 野菜摂取状況の確認
- 食事に関する困りごとの聞き取り
2. 栄養指導との連携
- 気になる患者さんの情報共有
- 栄養指導の必要性の評価
- 指導後のフォローアップ
本研究は女性のみを対象としており、男性への適用にはさらなる研究が必要とされていますが、野菜摂取の重要性は共通していると考えられます。この知見を活かし、患者さんの認知機能維持に貢献してまいりましょう。
ご質問やご意見がございましたら、いつでもお申し出ください。
事務長
posted by 医療従事者兼法人本部課長代行アラタ at 07:46| 医療ニュース