# スタッフ通信
発行日:2024年11月16日
第2号
## 透析施設のスタッフ配置と若年患者の腎移植アクセスに関する最新研究
親愛なるスタッフの皆様
本日は、JAMA誌(2024年10月23日号)に掲載された、透析施設のスタッフ配置が患者アウトカムに与える影響に関する重要な研究結果についてご報告いたします。
### 研究概要
#### 研究の基本情報
- 実施機関:カリフォルニア大学サンフランシスコ校(Alexandra C. Bicki氏ら)
- 対象:米国の12〜30歳の透析患者
- 期間:2005年1月1日〜2019年12月31日
- 対象施設:全米8,490施設
#### 調査方法
- US Renal Data Systemのデータを使用
- Fine-Grayモデルによる解析
- 死亡の競合リスクを考慮した評価
#### 主な研究結果
1. 対象患者の基本情報
- 総数:54,141例
- 透析開始時の年齢中央値:25歳(IQR:21〜28)
- 男性比率:54.4%
- 血液透析実施率:84.7%
- 22歳以上の患者比率:74.5%
2. スタッフ配置の現状
- 患者対看護師比中央値:14.4(IQR:10.3〜18.9)
- 患者対ソーシャルワーカー比中央値:91.0(IQR:65.2〜115.0)
3. 重要な知見
- 追跡期間中央値2.6年での腎移植実施率:39.9%
- 移植前死亡率:17.9%
- スタッフ配置と移植アクセスの関係:
* 患者対看護師比が高い施設(>18.9)では腎移植率が低下
* 患者対ソーシャルワーカー比が高い施設(>114.7)では待機リスト登録率と移植率が低下
* 特に22歳未満の患者で影響が顕著
### 当院での対応方針
この研究結果を踏まえ、以下の取り組みを実施いたします:
1. スタッフ配置の見直し
- 現在の患者対スタッフ比の評価
- 業務量調査の実施
- 必要に応じた人員配置の適正化
2. 若年患者へのサポート強化
- 腎移植に関する情報提供の充実
- 個別相談体制の整備
- 移植医療機関との連携強化
3. 多職種連携の推進
- 定期カンファレンスの実施
- 患者情報の共有体制の整備
- チーム医療の質的向上
### スタッフの皆様へのお願い
1. 若年患者への特別な配慮
- 腎移植に関する相談への積極的な対応
- 心理社会的サポートの充実
- 家族を含めた支援体制の構築
2. 業務効率化への協力
- 業務量調査への参加
- 改善提案の積極的な発信
- チーム連携の強化
この研究結果は、適切なスタッフ配置が患者アウトカムに重要な影響を与えることを示しています。当院では、これらの知見を活かし、より質の高い医療の提供を目指してまいります。
ご意見やご提案がございましたら、いつでもお申し出ください。
事務長
2024年11月16日
スタッフ通信 第二号 透析施設のスタッフ配置と若年患者の腎移植アクセスに関する最新研究
posted by 医療従事者兼法人本部課長代行アラタ at 06:43| 医療ニュース