2018年10月24日
『オヤジおこし』第7話 就職活動は居場所探し
○同・書斎(夜)
清野が一生懸命何か作っている。
○タバコ屋・前
清野が紙袋を持って立っている。
犬飼が出てくる。
犬飼「おう、話ってなんだ」
清野は紙袋からトキノ荘の模型を出す。
犬飼、模型を見て驚く。
犬飼「かわいい!」
清野「千分の一の大きさです」
犬飼「これ、お前が作ったの?すげー」
清野「工作は得意です」
犬飼、模型を持って、
犬飼「これならいけるかも」
清野「納得してもらえましたか」
犬飼「これいい。俺、キヨシ尊敬しちゃう」
清野、メガネを触る。
○はらっぱ公園
大工さんがトキノ荘を建築中。
清野が大工さんにお茶のサービス。
清野、笑顔。
○広告代理店・外観
○同・中
面接中の時生。
時生、真剣に話している。
時生、頭を下げる。
○トキノ荘通り
商店街を歩く人たちに「トキノ荘・完成」のチラシを配る光。
○はらっぱ公園(夕)
清野、犬飼、松尾、中島が、トキノ荘のレプリカの前に立っている。
犬飼「思ったより、立派じゃねえか」
松尾「これいいね」
中島「これかわいい」
清野「これで人が集まってくれればいいんですが……」
犬飼「完成披露式典を盛大にやろう!」
清野「区長も呼びましょう」
散歩の犬が来て、レプリカにおしっこをかける。
犬飼「おいおいおい、やめてくれ!」
飼い主が来て、
飼い主「すいません」
犬飼「犬のションベン禁止!」
飼い主と犬、いなくなる。
清野「フェンスが必要ですかねえ」
松尾と中島、腕を組む。
○はらっぱ公園(日替わり)
小雨が降っている。
清野、犬飼、傘をさした町人5人。
トキノ荘(レプリカ)には白い布がかけてある。
小学生の吹奏楽団がファンファーレを演奏する。
ヘナヘナの音楽。
清野が白い布をひく。
トキノ荘が現れる。
町人たち、パラパラパラと拍手。
清野、犬飼、微笑みあう。
○せいの時計店・店内
清野と犬飼が座っている。
犬飼「売上どうよ」
清野「変わりないです」
犬飼「うちもよ」
清野「まだ始まったばかりじゃないですか」
犬飼「こういうのはよ、はじめが肝心なんだぜ」
清野「まだ一週間しか経ってませんよ」
犬飼「もうちょっと様子みてみるか」
清野「新聞にも載りましたし」
清野が新聞の切り抜きを見せる。
犬飼「こんなちっちゃくな」
清野「これからですよ」
犬飼「人くるかなー」
犬飼、クマのぬいぐるみをいじる。
清野、メガネに触る。
○はらっぱ公園
若いカップルが、トキノ荘の前にいる。
説明プレートを読んでいる。
電柱の陰からカップルを見ている清野。
男「ここにトキノ荘があったんだって」
女「ヤバイね」
男「戸塚いさむが住んでたんだって」
女「ヤバイね」
男「戸塚いさむって誰?」
女「知らないの?」
男「それにしてもちっちゃ」
女「本物が見たかったなー」
男「だよねー」
がっくり肩を落とす清野。
○せいの時計店・居間
清野と光がお茶を飲んでいる。
光「またダメだったらしいのよ」
清野、土下座する。
清野「申し訳ございません!」
光「ん?就活よ、時生の就活」
清野、顔をあげて、
清野「企業の見る目がないんです」
光「無理して就職しなくても、うちに仕事あんのにねー。あの子もガンコだから」
清野「昔から絵が上手でしたもんね」
壁に時生がもらった賞状が7枚かかっている。
光「美大に行ったのが、よかったのか悪かったのか」
清野「あの時、僕が反対しなければ……」
光「そうだよ、なんで反対したの」
清野「漫画家なんて厳しい仕事、かわいい息子にさせたくなかったんです」
光「才能あったのに」
清野「広告代理店のデザイナーの方が安定しています」
光「安定は大事ね」
清野「漫画家なんて不安定な仕事は時生には向いていません」
光「そうかしら。また病気にならないか心配だわ」
清野「病気の方はよくなったみたいですね」
光「仕事が早く見つかるといいなー」
清野「仕事って結局、社会の中で自分の居場所をつくることだと思うんです。どんな仲間に囲まれていたいか、だと思うんです。時生は今、居場所を探しているんですね」
犬飼、松尾、中島の顔が浮かぶ。
光「父ちゃん、たまにはいいこと言う」
清野「僕も同じでなんです」
湯呑を見つめる清野。
……続く。
※このドラマはフィクションです。実在の人物、団体とは一切関係ありません。
齋藤なつ
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