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2018年10月23日

『オヤジおこし』第6話 父と息子の対立と葛藤






○宝島区役所・会議室

   清野と信子が応接セットに座っている。

   信子、扇子を仰いでいる。

   清野、信子の顔をじっと見て、

清野「ほくろがセクシーですね」

   信子、扇子を仰ぐ手を止める。

信子「な、な、な」

清野「正直過ぎてごめんなさい」

   信子は扇子を閉じる。

清野「トキノ荘があったころ、商店街は活気に溢れていました。大人たちはよく働いて、子供たちはよく遊んでいました。宝島区は宝の山なんです。トキノ荘は、そのシンボルになります。商店街にまた人を集めたいんです。僕たちは本気です」

   信子は扇子でポンと手を叩き、

信子「区長に相談してみました」

清野「さっそく、ご協力ありがとうございます」

   清野、信子に頭を下げる。

信子「残念なことに……区長が興味を持たれまして」

清野「ほんとですか?」

信子「残念なことに、税金をつかってもよいと」

清野「ありがとうございます」

信子「なぜ、区長が許可をくださったと思います?」

清野「……トキノ荘の、トキノ荘通り商店街の可能性を認めてくださったからでは」

   信子、扇子で清野を指し、

信子「インスピレーション」

清野「い、インスピレーション?」

   清野、イスから落ちそうになる。

信子「そう、区長は、漫画からいつもインスピレーションをもらっているそうです」

清野「はあ」

信子「区長は漫画がお好きなのです。運が良かったですね」

清野「キッチリやらせていただきます」

   清野はメガネを触る。




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○はらっぱ公園

犬飼の声「ひゃくまん〜?」

   清野、犬飼、松尾、中島が立ち話。

清野「小田さんから、百万円の予算をいただきました」

   清野、鼻の下をこする。

犬飼「たった百万じゃ犬小屋しか建たねえよ」

松尾「ウケる」

中島「ウケない」

犬飼「ゼロがひとつ違わねえか」

清野「でも、ないよりましです」

犬飼「どうやってアパート建てるのよ」

清野「……」

   清野、メガネに触る。

犬飼「柱立てておしまいか?」

   松尾、中島、笑う。

   子供がミニカーで遊んでいる。

   清野、ミニカーを見ている。

   清野、自動車を見て、ミニカーを見る。

   犬飼が怪訝な顔で清野を見ている。

清野「ミニトキノ荘」

犬飼「はあ?」

清野「トキノ荘のコピー、つまりレプリカはどうです?」

犬飼「なんじゃそりゃ」

松尾「プラモデルみたいなやつでしょ」

中島「ちっちゃいトキノ荘ね」

清野「そうです。100分の一の大きさのトキノ荘を建てるんです」

   松尾、中島、笑顔になる。

犬飼「俺は反対だ」

清野「え」

犬飼「本物じゃなきゃ意味がねえ。意味がねえってことは価値がねえってことだ」

清野「え、でも、レプリカは町のシンボルにもなりますし、レプリカを見にきてくれる人たちだっていると思うんですよね」

犬飼「バカバカしい。やめる。俺はぬける」

清野「次郎くん」

   犬飼は手を振って去っていく。

   松尾と中島は顔を見合わせている。

   清野、ため息。



hrw1.jpeg



○せいの時計店・店内

   清野がクマのぬいぐるみに向かって、

清野「店長、困りました。次郎くんが僕のア イデアに反対なんです。どうしたらいいですか?」

清野(クマの声で)「どうしたらいいと思う?」

清野「僕は……僕は……」

清野(クマの声で)「仲間なんてうそさ」

清野「うそ?」

清野(クマの声で)「仲間は裏切る」

清野「うらぎらない!」

清野(クマの声で)「次郎は裏切り者」

清野「次郎はそんな奴じゃない!」

   柱の陰で時生が聞いている。

○同・居間

   光がテレビを見ている。

   時生がきて、

時生「父ちゃん、疲れてるみたい」

光「疲れるでしょうね」

時生「だいじょぶかなあ」

光「心配だよね」

   と、清野が入ってきて正座をする。

清野「はあ、つかれた」

光「リーダーなんて、やめちゃえば?」

清野「だめです。男が一度やると決めたら最後までやり通すのが筋です」

光「父ちゃんはキチキチし過ぎなんだよ」

時生「そうだよ、てきとーにやればいいんだよ。てきとーに」

清野「てきとーにやってるつもりなんですけどね」

   清野はメガネを外してメガネをふく。

清野「僕も辞めたいなあ」

光「やっぱり」

清野「でも、やるって自分から言っちゃったし……」

時生「オレ、父ちゃんのこと見直したんだぜ。今まで一度も殴られたことないのに、商店街のこと馬鹿にしたら殴られたし。家では便所掃除なんてしたことねえのに外の便所掃除したり。本気の父ちゃん、悪くねえって思った」

清野「時生……」

光「あたしも、最近の父ちゃん、なんか変わった気がする。前は影が薄かったけど、今はハッキリクッキリしてる」

   清野、メガネをかけて、

清野「僕、やります。町おこしがんばります」

光「ほどほどにね」

   光がお茶を入れる。





……続く。

※この物語はフィクションです。実在の人物、団体とは無関係です。

コピーライトマーク齋藤なつ








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