2018年10月25日
『オヤジおこし』第8話 完結
○同・時生の部屋(夜)
時生が漫画を読んでいる。
清野が入ってきて、
清野「ちょっといいですか」
時生が顔をあげる。
清野「それ、おもしろいですか?」
時生「……まあ」
清野「反対して悪かったですね」
時生「え?」
清野「時生が漫画家になりたいって言ったとき、賛成してあげればよかった」
時生「いいよ、別に」
清野は正座する。
清野「ここで働きませんか?」
時生「え?」
清野「時計屋、一緒にやりませんか?」
時生「……」
清野「お前の居場所はここにある。外に出て苦労するこたあない。ここで働きなさい」
時生「……」
清野「漫画描いたっていいんですよ。そうだ、時計屋やりながら漫画描けばいい」
時生「……オヤジ」
清野「ん?」
時生「ありがと」
清野、メガネを触る。
清野「……おう」
清野、泣いている。
清野「足が痺れた」
清野、足をくずす。
清野、ブッとおならをする。
時生、苦笑い。
清野、照れ笑い。
と、時生のスマートフォンが振動する。
時生、電話に出る。
時生「はい、清野です。……え?本当ですか?ありがとうございます。……はい、わかりました!失礼します!」
時生、満面の笑顔で、
時生「受かった!プロダクションのデザイナーに決まった!」
時生、ガッツポーズ。
清野は表情が固まる。
清野は作り笑顔になって、
清野「そ、そうですか。そうですか。よかった、よかったですね」
時生「うん!」
時生が笑顔を崩す。
時生「あ、オヤジ、ごめん」
清野はメガネを触る。
清野「いいんです、いいんです。ほんとは就職してほしかったんです。うちは経営厳しいし」
清野は時生の肩に手を乗せ、
清野「デザイナー、キッチリやりなさい!」
時生は笑顔でうなずく。
清野は振り向くと暗い表情。
○同・店内(日替わり)
清野が商品にハタキをかけている。
犬飼が入ってきて、
犬飼「お〜い、キヨシ、今度テレビの取材がくるんだって?俺、メンズエステ行こうかな?」
清野「メンズエステ?」
犬飼「だってよー、テレビに出るんだろ?」
清野、がっくり肩を落として、
清野「誰か代わりに出てくれないかな……」
犬飼「俺が代わりに出てやってもいいぜ」
清野「ダメです」
犬飼「なんでだよ!」
清野「ジロウくんはタバコ屋さんです。タバコは町のイメージが悪くなります」
犬飼、清野に詰め寄る。
犬飼「てめー、喧嘩売ってんのか?」
清野「時計売ってますけど」
犬飼、清野、にらみ合う。
と、あけみが入ってきて、
あけみ「ちょっと、どうなってんのよ?」
清野、犬飼、あけみを見る。
清野「いらっしゃい……ませ?」
清野、メガネに触る。
犬飼、おしりをふる。
あけみ「あたしの店、出してくれるんじゃな かったの?」
あけみ、胸と脚を強調した服。
清野「そ、それは……」
犬飼はあけみをジロジロ見る。
あけみは、清野に近づいて、
あけみ「詐欺で訴えるわよ!」
と、光が入ってくる。
あけみ「奥さんと上手くいってないんでしょ?」
光、はっとする。
清野、犬飼をにらみつける。
犬飼はぶんぶん首をふる。
あけみ、清野に顔を近づける。
あけみ「あたしが愛人になって、あ・げ・る」
あけみ、自信たっぷりの表情。
光が台所へ走る。
清野は無表情。
光が包丁を手に戻ってくる。
清野、あけみの顔をまじまじと見て、
清野「僕、潔癖だから無理!」
清野があけみを突き飛ばす。
光が戻ってきて、包丁を捨て、清野に抱き付く。
光「父ちゃん!」
清野のメガネがまがる。
包丁を見て怯える犬飼とあけみ。
床に転がっている包丁。
時生の声「うちの家族だいじょうぶ?」
時生がきて、包丁を拾い上げる。
時生、苦笑い。
完
※この物語はフィクションです。実在の人物、団体とは一切関係ありません。
齋藤なつ
光沢のあるツルツル肌へ『BSS脱毛』エルセーヌ
ColorfulBox(カラフルボックス)
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