2018年10月20日
『オヤジおこし』第3話 父と息子の対立と葛藤
○キャバクラ・店内(夜)
清野、犬飼、松尾、中島、あけみが酒を飲んでいる。
清野「というわけで、我がトキノ荘通り商店街にあけみさんのお店を出す方向で検討したいと思います」
あけみ「よろしくピース」
一同拍手。
○清野家・居間
光の声「どういうこと?」
光と清野が正座で向かい合っている。
二人の間にはキャバクラのチラシ。
光「次郎ちゃんの奥さんから聞いたんだけど、この商店街にキャバクラ持ってくるって話マジ?」
清野「マジです」
光「ふざけるのもいいかげんにしてよ。ここは昔から生活しやすくて住んでる人たちがみんな真面目なんだよ。キャバクラなんてあったら風紀が乱れるでしょ」
清野「おっしゃる通りです」
光「すでに商店街の人たちからクレームきてるから」
清野「僕たちは真剣にこの商店街のことを考えてですね……」
光「真剣?キャバクラのどこが真剣なの!」
清野「だって、他に何も特徴が……」
本棚に漫画が立てかけてあるのに気づく清野。
光「特徴?あったわよ、昔、ここには……」
清野が漫画をじっと見ている。
清野「漫画……」
光「昔、トキノ荘っていうアパートがあってさ」
清野「トキノ荘」
光「そうさ、トキノ荘ってとこに有名な漫画家さんがたくさん……」
清野、閃く。
清野、光を抱きしめる。
光「え?」
清野、走り出す。
○トキノ荘通り・全景
清野がスキップで走っていく。
通り過ぎる人たちが、清野を不思議そうに見ている。
○タバコ屋・前
清野が来て、
清野「次郎くん!」
犬飼が顔を出す。
犬飼「どうしたキヨシ?」
清野「トキノ荘です!」
犬飼「トキノ荘がどうかした?」
清野「有名な漫画家を生んだ、有名なトキノ荘があったんですよ!」
犬飼「あった。確かに、あった。うん?そうか、トキノ荘か!」
清野と犬飼は抱き合う。
清野「なんでもっと早く気付かなかったんでしょう!」
犬飼「ほんとだよ!トキノ荘通り、なのに」
清野「みなさんを集めましょう!」
犬飼「トキノ荘に集合だ!」
○はらっぱ公園・全景(夕)
カラスの鳴き声が聞こえる。
○同・ベンチ(夕)
清野、犬飼、松尾、中島がうなだれている。
清野「問題は、トキノ荘が存在しないってことですね……」
犬飼「でも、確かに、ここにあった」
松尾「けど、今は公園になっちゃってる」
一同無言。
中島「あ」
犬飼「なに?」
中島「いや、なんでも」
犬飼「なんだよ、気になるじゃねーか」
清野「何でも言ってください」
中島「建てちゃうってのは」
カラスが「アホー」と鳴く。
松尾「建てちゃうの?トキノ荘、建てちゃうの?」
カラスが「アホ―アホ―」と鳴く。
清野「それはいいアイデアですね。しかし、資金はどうしましょう」
犬飼「役所に相談してみっか」
清野「宝島区に相談してみましょう」
犬飼「確か同級生がいたような」
犬飼、アゴに触る。
清野「誰ですか?」
犬飼「気の強い女だ」
清野「まさか……」
清野、メガネに触れる。
……続く。
※この物語はフィクションです。実在の人物や団体とは一切関係ありません。
齋藤なつ
光沢のあるツルツル肌へ『BSS脱毛』エルセーヌ
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