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2023年07月25日

536番:ジュール叔父さん(14)


『ジュール叔父さん』(14)


−−−−−−−−−−−【14】−−−−−−−−−−−−−−

Et chaque dimanche, en*1 voyant*2 entrer
les grands navires*3 qui revenaient*⁴ de pays
inconnus*⁵ et lointains,*⁶ mon père prononçait*⁷
invariablement*⁸ les mêmes paroles*⁹:
−−Hein ! *1o si Jules*11 était là dedans,*12
quelle surprise ?

−−−−−−−−−−−−(訳)−−−−−−−−−−−−−−−

そして日曜日の度毎に、遠い見知らぬ国から繰り
返し現れる大きな船が入港するのを眺めながら、父
はいつも同じ言葉を発した:
−−なあ、お前たち、もしあの(船の)中にジュー
ルが乗っていたら何とびっくりなことだろうな.


−−−−−−−−−−−《語句》−−−−−−−−−−−−−−−

*1) en + 現在分詞: (ジェロンディフ) 〜しながら
*2) voyant:(現在分詞) <voir(他)見る
    en voyant ~ 「〜を見ながら」
*3) navires:(m/pl) <navire [ナヴィール] 船、船舶
*4) revenaient:(半過去3複)
    <revenir (自) 繰り返し来る、再び現れる
*5) inconnus:(形/過分/pl) <inconnu (形) 見知らぬ、
知られていない (à, de, に) 、未知の
*6) lointains:(形/pl) <lointain(e)[ロワンタン/ロワンテーヌ]
     遠くの、はるかな、
    pays lointain 遠くの国、/ passé lointain 遠い過去
*7) prononçait:(半過去3単)
    <prononcer (他/自) 口にする、言う
*8) invariablement:[アンヴァリアブルマン](副) 
    変わることなく、相変わらず、
    いつも、常に
*9) paroles:(f/pl) <parole:言葉
    paroles aimables / やさしい言葉
*10) Hein !:(間投詞)[同意を求めて] 
    そうでしょう、ねえ、
*11) Jules:(人名) ジュール; 
    タイトルの「ジュール叔父さん」のこと 
*12) dedans:(副) 中に、内側に    
        


−−−−−−−−−−−≪文法≫−−−−−−−−−−−−−−−

本文1行目: en voyant entrer les grands navires
        大きな船が入って来るのを見ると
voir (見る) は知覚動詞なので、知覚動詞の構文を作ります.
本文では voir の主語は「お父さん」なのでジェロンディフ
を平文に書き換えて、さらに現在形で説明してみます.
Mon père voit entrer les grands navires.
父は大きな船が入港してくるのを見る.
 
英語と語順が違うので面食らった方もいらっしゃる
ことでしょう.
  My father sees big ships come in. S + V + O + 不定詞
    O ∔ 不定詞 
の部分では目的語のOが不定詞の意味上の主語Sとなる.

しかしフランス語では、不定詞が自動詞のときには、
  Mon père voit entrer les grands navires.
    S + V + 不定詞 + O
となって、不定詞の意味上の主語が不定詞の後ろに
回っています.

  Je vois courir un chien. /
  私は犬が走っているのが見えます.
  J'entends siffler le train, /
  私は汽車が汽笛を鳴らしているのが聞こえます.

 では英語のような語順にすれば、だめなのでしょうか?
   Je vois un chien courir. は非文でしょうか?
 いいえ、確かに文としては正しいものです.
 ただ、不定詞に副詞がついて
 いないときには、不定詞の主語は後に置く方が
 落ち着きがよい、とのことです. 

 不定詞が他動詞のときは英語と同じ語順です.
Je vois mon frère danser une valse. /
兄(弟)がワルツを踊っているのが見えます.
J'entends Marie chanter une chanson.
私はマリーが歌を歌っているのが聞こえます.

ここで英語と違う面白い点がフランス語にはあります.
実はこういう場合フランス語では、
知覚動詞の主語になっている名詞を
à またはpar をそえて置くことができます.
J'entends chanter une chanson à (par) Marie.
  私はマリーが歌を歌っているのが聞こえます.


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