CoQ10は体内で作られますが、十分な量を生成できないこともあります。心臓は体内で最も代謝が活発な器官の一つであるため、CoQ10が欠乏すると心臓が最も影響を受け、深刻な問題につながることもあります。CoQ10欠乏の原因としては、栄養バランスの悪い食事をはじめ、CoQ10合成を制限する遺伝的または後天的欠陥や、組織によるCoQ10の需要増加などが挙げられます。高コレステロールや高血圧を含む心血管疾患にかかると、組織によるCoQ10の必要性が高まると考えられます。さらに、CoQ10濃度は年齢と共に低下することが知られているため、50歳以上の方はCoQ10の摂取量を増やす必要があるかもしれません。
CoQ10を含む食品はあるのでしょうか。
ありますが、食事から摂取できるCoQ10は1日せいぜい3〜5mg程度で、血中と組織中の濃度を大幅に上昇させるのに必要な量には到底及びません。CoQ10を含む食品群の大部分は、肉類(牛、豚、鶏)や魚類などの動物性食品で占められています。
CoQ10の主な用途
CoQ10のサプリメントは、主に高コレステロール、高血圧、うっ血性心不全、心筋症、僧帽弁逸脱症(そうぼうべんいつだつしょう)、冠動脈バイパス手術、狭心症といった心血管疾患の治療や予防に使用されています。多くの科学研究でこれらの用途が検証されている他、CoQ10は糖尿病、歯周病、免疫不全、がん、肥満、筋ジストロフィー対策としても役立つことが示されています。
ただし、このような疾患で顕著な改善が見られるようになるには、8週間以上にわたってCoQ10を毎日摂取する必要があることにご注意ください。
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CoQ10が心機能を改善する仕組み
CoQ10は心筋のエネルギー生成を促進し、還元成分として機能します。CoQ10欠乏は心疾患患者によく見られる症状であり、さまざまな心血管疾患を抱える患者の心臓組織の生検(バイオプシーとも呼ばれ、臓器組織の一部を採取して顕微鏡などで調べる検査)結果では、全症例の50〜75%でCoQ10欠乏が認められました。CoQ10欠乏を改善することにより、あらゆる種類の心疾患患者に劇的な臨床結果をもたらすことも珍しくありません。
CoQ10には血圧を下げる作用があるのでしょうか。
研究では、高血圧患者の39%がCoQ10欠乏であることが示されています。CoQ10サプリメントが高血圧患者の血圧を下げることは複数の研究で示されていますが、その効果は通常8〜10週間後まで現れません。一般に、CoQ10による低下率は収縮期血圧・拡張期血圧ともに10%台です。
CoQ10による免疫強化
免疫機能に関与する組織や細胞はエネルギー依存性が高いため、その機能を最大限に発揮するには十分なCoQ10の供給が必要です。CoQ10の免疫力向上効果は研究で実証されていることもあり、がん患者がアドリアマイシンやアントラリンのような心臓毒性を伴う化学療法薬を服用した後はCoQ10を使用すべきでしょう。
CoQ10は減量を促進できるのでしょうか。
CoQ10はエネルギー生成に不可欠な補酵素であるため、CoQ10欠乏が一部の肥満例の要因である可能性は確かにあります。肥満者を対象とした研究では被験者の52%に低濃度のCoQ10が見られましたが、1日100mgのCoQ10を投与したところ体重が大幅に減少しました。
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最適なCoQ10の形態
市販されているCoQ10のほとんどは、主に酵母の発酵過程を経て生産されています。CoQ10には、体内で相互変換可能な化学形態であるユビキノン(酸化型)とユビキノール(還元型)があります。この2つの形態は栄養補助食品としても販売されていますが、一旦吸収されると酸化型から還元型に変換されます。もともと体内で作られるCoQ10の約95%はユビキノール型すなわち還元型です。ユビキノールは最も高活性の形態ですが、ユビキノンを摂取しても通常は体内ですぐにユビキノールに変換されます。つまり、どちらの形態も最終的には血中ユビキノール濃度を上昇させることになります。ユビキノンを摂取する場合は、吸収を高めるために食品(特に油分)と共に摂ることをお勧めします。
CoQ10の推奨摂取量
スタチン製剤を服用中の方や総合的な還元成分サポートを図りたい方のCoQ10の摂取量は、ユビキノン、ユビキノールともに100mgが目安です。一方、心臓のストレス、加齢、肥満、糖尿病などでCoQ10の必要性が高まっている方には、ユビキノン150〜200mg、ユビキノールなら100〜150mgをお勧めします。なお、CoQ10の吸収を最大限に高めるために、必ず食事と共に摂取することをお忘れなく。
CoQ10の安全性
コエンザイムQ10は非常に安全であり、長期使用の場合でも深刻な副作用は報告されていません。ただし、妊娠中および授乳中の安全性は証明されていないため、(医師の指示による)潜在的な臨床効果がリスクを上回らない限り、妊婦・授乳婦の方はCoQ10を摂取しないでください。
CoQ10は薬物相互作用があるでしょうか。
CoQ10と薬剤または栄養素との間に有害な相互作用は報告されていませんが、薬剤の多くがCoQ10の濃度に悪影響を及ぼす可能性もあれば、CoQ10が一部の薬剤の副作用を軽減することもあるかもしれません。例えば、CoQ10を補給することで、アドリアマイシンの他にも、特定のコレステロール低下薬、β遮断薬(ベータブロッカー)、向精神薬などの副作用の一部を打ち消すことが示されています。また、ロバスタチン(商品名 メバコール)、プラバスタチン(プラバコール)、アトルバスタチン(リピトール)、シンバスタチン(ゾコール)といったスタチン系製剤は、肝臓でコレステロールを作るのに必要な酵素(HMG-CoA還元酵素)を阻害することにより、血中コレステロール値を下げる目的で使用されています。問題は、これらの薬剤が身体機能に必要な(CoQ10を含む)他の物質の生成までも阻害してしまうことです。そのため、上記のような薬剤を服用中の方は、体内組織でCoQ10が枯渇しないように1日50mgの補給が欠かせません。
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