■著名なデザイナーの手による流麗なデザインが目を惹く
玉石のようにきれいな丸みを帯びたイヤホン本体と充電ケース。エルメスのプロダクトも手がけた、フランスのファッションデザイナーであるジョゼ・レヴィ氏の手によるものだ。イヤホンの質量は約3.6g。耳に素直にフィットして、着けていることを忘れてしまうほどに軽く心地よい。
realmeは自社にデザインスタジオを設立して、スマホやワイヤレスイヤホンのようなIoTプロダクトのデザインを磨き上げることにも力を入れている。プロダクトデザインの客員ディレクターとして、携帯電話の “INFOBARシリーズ” などを手がけた深澤直人氏も名前を連ねている。
ブランドロゴをあしらった側面はタッチセンサーリモコンになっている。バッテリーのスタミナはイヤホン単体で約4.5時間の連続音楽再生に対応。ケースによる充電をプラスすると最大20時間に及ぶ。
タッチリモコンは操作に対する感度のバランスがいい。できることもシンプルなのですぐに馴染めるだろう。スマホの音声アシスタントの呼び出しにも対応する。
■堅実な音質設計に、低遅延接続「ゲームモード」も注目
realmeはrealme Buds Qの開発において奇をてらわないオーソドックスな高音質化への取り組みを進め、結果的に同価格帯の完全ワイヤレスイヤホンを超えるパフォーマンスを実現している。
密閉型のハウジングには10mm口径のダイナミック型ドライバーを搭載。振動板には歪みに強く、不要な振動の制動力が高いPEEKフィルムとPUフィルムによる複合素材が使われている。
スマホからオーディオ信号を受けてから実際に音を鳴らすまでの遅延を小さく抑える「ゲームモード」も、アプリからオン/オフを切り換えることができる。または左右イヤホンのタッチセンサーを両方同時に長押しすると、車のエンジン音が鳴るのと同時にゲームモードがオンになる。
本機にはBES Technic社が開発したR1QというSoCが搭載され、BluetoothオーディオのコーデックはAACとSBCをサポートしている。筆者が近所を回りながらテストしてみた限りでは、音途切れやノイズの混入もなく安定感のある接続性能が確認できた。音楽リスニングからハンズフリー通話まで、ユーザーが期待する用途に幅広く応えてくれそうだ。
音質から「ゲームモード」の効果までテスト!
■さまざまなジャンルを楽しく聴ける、手頃で音質バランスに優れたイヤホン
今回はGoogle Pixel 5とiPhone 12 Pro Maxに接続して、Spotifyの音源を聴きながら音楽再生の実力をチェックしてみた。
LiSA「紅蓮華 - From THE FIRST TAKE」では、ボーカルが力強く艶っぽい。声の輪郭を的確に、かつ繊細に描く。ピアノの軽やでリズミカルなタッチと自然に広がる余韻がいい。音の粒をひとつずつ丁寧に描き残していく。
オーイシマサヨシ(feat. りりあ。)「神或アルゴリズム」は軽快なポップチューン。こういったJ-POPやダンスミュージックによくフィットするイヤホンだ。メロディラインは抜け味が良く爽快。効果音の粒だちが華やかだ。音場をワイドに描く。エレキギターのクールなカッティングが演奏の緊張感を引き出す。低音は量感を主張するタイプではなく、ゆるやかなグルーヴで足もとをしっかりと支える安定感を特徴としている。
エリック・クラプトン『Acoustic:Live at MTV Unplugged』から「Layla」を聴く。アコースティックギターの乾いた音色がスモーキーなボーカルと絶妙に溶け合う。ギターソロではスチール弦のパリッとした響きのリアリティが豊かだ。奥行き方向の描き込みはややフラットな印象だが、空間をワイドに描くライブ演奏は聴き疲れすることなくゆったりと楽しめた。
チェロのヨーヨー・マ、マンドリンのクリス・シーリー、コントラバスのエドガー・メイヤーによるアルバム『バッハ:トリオ』の「トリオ・ソナタ 第6番 ト長調 BWV530 〜第3楽章:アレグロ」も聴き応えがあった。色づけのない弦楽器の自然な音色と質感が耳に優しく馴染む。マンドリンの細やかな音符の粒立ちもきれいだ。チェロとコントラバスの低音がふくよかな和音を作り出す。
アンブロージア「Biggest Part of Me」を聴くと、甘いボーカル曲を涼しげに聴かせてくれるイヤホンであることが実感できた。メインボーカルとコーラスの分離が鮮明。ゴージャスなハーモニーが広がる。やわらかいシンセサイザーの和音と贅沢に溶け合った。
本機の特徴的な機能であるゲームモードも試してみよう。接続されている機器、コーデックに関わりなく、イヤホン側のバッファリング制御によって低遅延を実現するという機能だ。