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2022年05月05日

ODD TAXI in the woods(オッドタクシー劇場版)

TVアニメの「オッドタクシー」については以前に記事を書いておりますが、劇場版が公開されたのでフラフラと観に行ってきました。
以下ははげしくネタバレを含んだ記述になりますので、「ODDTAXI」のTV版と劇場版を未見の方は、読まない方が賢明です。念のためにご注意です。
oddtaxi02.png「ODDTAXI in the woods」
2022年製作/128分
監督 木下麦
脚本 此元和津也

最初にお断りですが、この映画は、TVシリーズを全部見た方に向けて作られています。
いきなりこの映画を観ても、なんだかよくわからないし、もったいない。
基本的に「総集編」です。
「総集編」映画は、なかなか難しい代物で、上手く出来たためしがないのが通説です。
奇跡的に上手くいった作品もありますが、ぼんやりしていると名場面集になってしまう。
見せ方にいろいろ工夫が必要なのです。
ということで、この映画ですが、わりと頑張っています。
作品内のある事件に焦点を当てて、「探偵」が関係者から次々と話を聞きだす方式で全体を俯瞰させています。
TV版には「探偵」は登場しなかったので、誰が「探偵」なんだよって思ったら、知らない子でした。
うそです。じつは本編に少し出ていたのですが、完全に忘れていた人です。お前らかよ。
「探偵」の目的は、映画内でも明らかにされていませんが、いくつか考察はできます。
そして、この「探偵」の活躍のおかげで、劇場版のエンディングに辿り着いたのかと推察されます。
ということで、この映画の一番の見どころというか、唯一の「新ネタ」である「最終話のその後」です。
TV版は、1クールの作品として完全に仕上がっていますので、特に加えるものはないのです。完璧です。
この映画は、いわば「蛇足」です。最終話のラストの続きが気になる人への、余計なお節介です。
個人的にはOKです。ちょっと安心しました。
というのは、最初話のラストは、派手な騒動が落ち着いた数日後、主人公のタクシーに「殺人鬼」が乗り込むシーンで終わっているのです。
主人公が「殺人鬼」の正体に気付いているのかは不明なことと、「殺人鬼」は主人公を殺す目的で乗り込んだことが示されており、その結末が明かされないまま「おしまい」になっています。
気になるよね。劇場版を観に来た人の9割は、これを確かめるためだと思う。まんまとのせられてやったぜ。
さて、結論からいいますと、主人公は危機を回避します。
映画版でも派手な立ち回りはないのですが、二人が会話を交わした後、いよいよ、というところでカメラは引き絵になり、タクシーを上から俯瞰します。
おそらく主人公が背後からの攻撃に対応したのか、後席のドアが勢いよく開き、車体が大きく揺れます。
そこでシーンが変わって、ラストシーン、エンディングに流れてゆきます。
ラストは主人公と彼女のドライブデート、それからエンディングでいくつかの情報が示され、TV版で殺害されたかと思われた居酒屋のおかみさんが入院していること、主人公を襲った「殺人鬼」が逮捕されたこと、その逮捕に関係して、主人公が命を救った友人が協力しており、警察から表彰されたことなどが分かります。
じつは居酒屋のおかみさんが今回の「探偵」の依頼主と思われます。彼女を襲ったのも同じ「殺人鬼」だったことから、あらかじめ主人公にはいずれ「殺人鬼」がやってくることが知らされており、その対策が講じられていたようです。罠にかかったのは「殺人鬼」のほうだった、という見方が正しいと思います。
この「殺人鬼」を特定したり、おびきだしに成功したのは、この「劇場版」で活躍した「探偵」の報告が、予めおかみさんに届いていたからだと思います。おかみさんが「殺人鬼」に殺害されなかったのも、事前に情報をつかんでいて、最悪の事態を避けることが出来たのかなあと思います。
綺麗に終わった作品に、わざわざ付け足しをするのは無粋なマネとは思いますが、こういう2段オチも、まあアリかと思います。ハッピーエンドで終わってほしいと願うのは、そんなに悪いことでもないと思うのですよ。
posted by ゆうすけ at 15:09 | TrackBack(0) | 映画・TV

2022年05月03日

2022年春アニメ

管理人のゆうすけです。GWで3連休を堪能しています。
すごいね、明日もあさってもお休みですよ。天国かよ。
そんなわけで、録画してあるアニメなどを見ています。
今期の一番はダントツで「SPY×FAMILY」だと思います。
制作会社とか監督とか(ユニコーンガンダムの古橋監督が登板)、もう絶対勝利する布陣で臨んでいるのがすごい。EDは密かにエヴァのスタジオカラーの人がやっている。センスいいよね。

本命はそういうことですが、管理人的には「パリピ孔明」が気になっています。
原作は同名のマンガで、現在コミックスが9巻まで出ているはずです。
原作は未読ですが、アニメはなかなか面白い。OPを見てるだけで多幸感に包まれる。
あの諸葛亮公明が、現代の渋谷に転生してパリピになります。
偶然出会った歌手のタマゴの英子ちゃんの歌声に心を奪われ、彼女の「軍師」となることを今世の誓いとするという、無理を承知で推し通す物語です。
paripi02.jpg「パリピ孔明」
原作:四葉夕卜・小川亮
監督:本間 修
シリーズ構成:米内山陽子
制作:P.A.WORKS

諸葛亮孔明は中国後漢末期から三国時代の人で、かの「三国志」で有名です。蜀漢の建国者である劉備に仕え「天才軍師」としてよく知られています。
いわゆる「オタク」と呼ばれる人々には、不文律ながらもある種の「必修科目」が存在し、「ガンダム」やら「クトゥルフ神話」やらがありますが、「三国志」もそのひとつです。
管理人は「蒼天航路」というマンガで三国志を履修しましたが、古い世代だと横山光輝のマンガ、小説派だと吉川英治や北方謙三で履修しています。他にもゲームで履修する者も多数います。
そしてついに「パリピ孔明」で履修する世代がでてきたなあと深い感慨を覚えています。
孔明が本当に現代に転生してこのアニメを見たらどう感じるでしょうか。
昔、「這いよれニャル子さん」を初めて見たときの衝撃を思い出します。
ラブクラフト先生を穢土転生させて、「ニャル子」のアニメを見せてあげたいと思いました。
孔明もラブクラフト先生も、全然理解できないでしょうね。
我々は古典から学ぶというよりも、古典を含めたあらゆるものを自らが望む形に改変し味わいつくそうとしています。
ちょっと怖い気がしますが、その先に何があるのか見てみたい。
posted by ゆうすけ at 21:14 | TrackBack(0) | 映画・TV

2022年03月21日

あの夏で待ってる

世間的な評価はともかくとして、個人的にやけに評価が高いというか、思い入れの深い作品ってありませんか。
管理人的にはけっこう多いのですが、TVアニメの「あの夏で待ってる」もそのひとつ。
2012年1月から3月までの1クール12話で放送された作品です。
監督が長井龍雪さんで、その前年に「あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない」を制作しています。大ヒット作の次ということで、ものすごく期待されたはずだったけど、今ではあまり話題に出ないアニメです。
脚本が「あの花」の岡田麿里さんじゃなくて「無限のリヴァイアス」の黒田洋介さんだったので、「あの花」とはかなりテイストが異なります。
お話は、高校生のラブコメですが、ヒロインが「宇宙人」という設定です。
みんなで8mm映画を製作しつつ、恋愛もしちゃうという、まるで夢のような作品です。
note-2012-02-08-12h46m52s6.jpg「あの夏で待ってる」2012年放送
監督 長井龍雪
脚本 黒田洋介
キャラクターデザイン 羽音たらく(原案)、田中将賀
アニメーション制作 J.C.STAFF

今回、10年ぶりに全話を見返してみましたが、うん、確かに「傑作」「名作」の類ではないです。
だがしかし。
この作品、なかなか変っています。
まずは時代設定。いわゆる「現代」ではなく、ざっくりとした「昔」です。
スマホはもちろん、携帯電話やPHSも無い世界です。主人公が趣味にしているのが「8mmカメラ」です。
8ミリビデオではなく、フィルムのほうです。お間違いなく。
2022年現在では製造も販売も終わっている、アレです。
紹介画像の真ん中に、三脚に据えてあるのがそれです。
FUJICAのシングル8、P300です。すっげ。
ちなみに管理人が昔、映画製作で使ったのは同じFUJICAのZ450です。勝った!
作中では明確に時代設定を示している場面は無いのですが、登場する小道具(スクーターがベスパとか、車が60年代ぐらいのトライアンフとか、電話は固定電話のみとか)などから、1980年末〜1990年初め頃と推定されますが、じつは正確に決めている訳ではないようです。
「高校1年の夏にみんなで映画を作る」っていう状況設定が大事なのです。
さらに、「映画製作」というのは、スマホのムービーみたいなのじゃなくて、「フィルム」で撮るのがお作法?なのです。ここは大事です。テストに出ます。
anonatsu002s.jpgなぜか上級生の女の子が持っている8mmカメラ。
FUJICAのZC1000
8mmカメラの最上位機種。
レンズ交換も逆転撮影もできるぞ

そんなわけで、8mm映画製作が不自然で無さそうな疑似レトロ世界でのラブコメとなった次第です。
じつはこの作品、脚本の黒田氏の過去作「おねがい☆ティーチャー」の番外編だという説もあります。
管理人は残念ながら「おねてぃ」を見ていないので、なんとも言えません。
ただ、かなり唐突に、後半になって謎な設定が明かされます。明かされる、というか、無理やり突っ込んでくる、というか。
「おねてぃ」を見ている人には理解できる展開らしいのですが、初見の人にはよくわかりません。
分かっているのは、この作品が、「すべての人に受け入れてもらいたい」訳ではないことです。
かなりニッチな層を狙っているように思えます。
たぶん、昔、FUJICAのZC1000を使いたくても使えなかった層だと思います。オレかよ。

2017-05-14 12.24.34.jpg2017年5月に「グランフォンド軽井沢」というサイクルイベントに参加した際の写真です。
途中の補給所に置いてありました。
他の参加者の反応はものすごく薄かったけど、管理人だけはハフハフ言ってました。
posted by ゆうすけ at 15:48 | TrackBack(0) | 映画・TV

2022年03月13日

「漫勉NEO」(渡辺航)

不定期にNHKで放送しているドキュメンタリー番組「漫勉NEO」でございます。
この番組では漫画家の仕事場に無人カメラを設置して創作の一部始終を記録し、それを後日、ホストの浦沢直樹(漫画家)とゲストである漫画家本人がVTRを観ながらいろいろと語る、というものです。
マンガに興味がない人には、何が面白いのかさっぱり分からない番組です。
だがしかし観ている人はいるものです。しかも評価は高い。
文化庁は2022年3月に、優れた映像作品などを表彰する第25回メディア芸術祭で、NHK・Eテレの「浦沢直樹の漫勉neo〜安彦良和〜」にエンターテインメント部門の大賞を贈りました。たしかに、安彦さんの回は、もうなんというか、スゴかったですよ。だれもマネできない。
mannbenn watanabe01.jpg「漫勉NEO 渡辺航」
2022.3.2 NHK・Eテレにて放送

そんなわけで、2022年3月2日には「弱虫ペダル」で人気の渡辺航(わたる)先生が登場しました。
渡辺先生、さっそうとロードバイクに乗って登場したのですが、着ている服が「弱ペダ」の総北高校レギュラージャージ+主人公のでっかい顔が描いてあるTシャツという格好だったので、「ものすごいオタク感」を醸し出していて死にそうになりました。作者が自分自身のキャラクターグッズを着用して来るというスタイルに、渡辺先生の覚悟完了の心意気を感じました。

渡辺先生は趣味の自転車でブレイクしただけあって、自転車好きは半端じゃないようです。
最初にさらっと「昨日も160km走ってきました」と言っていますね。
浦沢先生は自転車に乗らないせいか、これを拾わなかったのですが、1日で160km走る漫画家が世界にどれだけいることか。
ちなみに160kmという距離ですが、淡路島1周だと150km、琵琶湖の南湖を除いた北湖1周が160kmです。平均時速30kmで走っても6時間はかかるはずです。休憩や信号待ちなどを計算に入れると、9時間はかかります。
いずれも管理人はいちおう1日で走ったことがありますが、翌日は使い物にならないぐらい死んでいました。
他にも渡辺先生は週に5日程トレーニングをしていて、毎日1時間位ローラー台でもがいているようですが(Zwiftという室内サイクリングアプリを使っているみたいでした)、1時間もローラーを回せるというのが信じがたい。こんな健康な漫画家を見たことが無い。
脚の筋肉なんかはすっごいことになっているはずなので、浦沢直樹に「ズボンを脱がせ!」という念波を送り続けていましたが、ダメでした。たぶん、太くは無いけどパツンパツンで、ふくらはぎが常人の倍ぐらいあると思う。「弱虫ペダル」の岸神小鞠君にメチャクチャ触られそう。

番組内では、渡辺先生がとてつもないスピードで絵を仕上げてゆく様子が紹介されて、そっちも凄かったです。フリーハンドで自転車をガリガリ描いているのが驚異的でした。
以前、このブログでも書いたのですが、やはり「ネーム」を作っているところを見せて欲しいですね。
作画作業も面白いのですが、漫画家が絶対見せたくないと思う、「ネームを描いているときの苦闘」を紹介してほしいです。江口寿史とかどうかな。
posted by ゆうすけ at 15:23 | TrackBack(0) | 映画・TV

2022年02月27日

グッバイ、ドン・グリーズ!

2022年の2月もまもなく終了ですが、管理人は2月生まれなので、ひっそりと馬齢を重ねております。
自分の人生の残り時間を数えると、後何冊本が読めるとか、何本映画が観れるとか、計算を始めたりする人もいますが、管理人的にはいつもと変わりません。
名著、名作を慌てて鑑賞したりはしない。
なんとなく観たいものを観ます。

ということで、久しぶりに土日が連続してお休みだったので、映画館へ行ってみました。
今回ご鑑賞したのは「グッバイ、ドン・グリーズ!」というアニメ映画。
goodbydongreez.jpg「グッバイ、ドン・グリーズ!」
監督・脚本:いしづかあつこ
キャラクターデザイン:吉松孝博
アニメーション制作:MADHOUSE

この作品の監督は、「宇宙よりも遠い場所」(通称「よりもい」)というTVアニメの監督です。
「よりもい」は奇跡のような作品なので、その監督が今度は劇場オリジナル作品を手掛けたというので観に行きました。
感想はですね、「ちょっと色々と足りないんじゃない」って感じです。
全然ダメじゃないんだけど、わりと残念。
15歳ぐらいの男子3人が、夏休みに冒険をするお話です。まあ「スタンド・バイ・ミー」みたいなね。
公式からのあらすじでは、こんな感じです。
「東京から少し離れた田舎町に暮らす少年・ロウマ。周囲と上手く馴染むことができないロウマは、同じように浮いた存在であったトトと二人だけのチーム"ドン・グリーズ"を結成する。その関係はトトが東京の高校に進学して、離れ離れになっても変わらないはずだった。
「ねえ、世界を見下ろしてみたいと思わない?」
高校1年生の夏休み。それは新たに"ドン・グリーズ"に加わったドロップの何気ない一言から始まった。
ドロップの言葉にのせられた結果、山火事の犯人に仕立て上げられてしまったロウマたちは、無実の証拠を求めて、空の彼方へと消えていったドローンを探しに行く羽目に。
ひと夏の小さな冒険は、やがて少年たちの“LIFE”生き方を一変させる大冒険へと発展していく・・・。」

主人公たちのモノローグやダイアローグは饒舌で、セリフで心情などをなんでもかんでも喋ってしまいます。
語りすぎだろうと思う反面、肝心なエピソードなどが欠けているようです。
「ドングリーズ」という2人で作ったチームに、もう一人加わって3人になるのですが、その部分が省略されています。セリフや後からの展開で分かるのですが、本来は必要なエピソードです。
また、主人公が片思いしている女子との関係が深まるエピソードも、ひとつだけです。ちょっと少なくないですか。
この辺りの脚本としての不足は、監督が自分で脚本を書いているせいではないかと思えます。
「よりもい」のときは、花田十輝が脚本を書いていたので、あの作品との大きな違いは、やはりそこにあるのかなと思います。花田君が脚本を書いていたら、また別の作品になっていたかもしれない。
アイスランドでの珍道中の物語があって、その旅の背景を説明するための長いアバンタイトルを観ていたような感じがします。映画のボリューム的にはその逆になっているので、すごく違和感がある。
オリジナルな劇場アニメって、けっこう難しいんですよね。
posted by ゆうすけ at 18:08 | TrackBack(0) | 映画・TV

2022年02月19日

ミッドサマー

コロナの3回目のワクチン接種は済みましたか?
管理人は本日(2022.2.19)接種しました。
1回目と2回目がファイザーで、3回目がモデルナでした。なんか副反応がいちばん出やすい組み合わせらしい。
ということで、注射の後はおうちでおとなしく映画を鑑賞しておりました。

先日NETFLIXに加入したので(「地球外少年少女」を観るためだけに)、せっかくなのでそこのコンテンツから選択しました。
選んだのは「ミッドサマー」
midsommer01.jpg「ミッドサマー(Midsommar)」
2019年製作/アメリカ
監督・脚本 アリ・アスター

アリ・アスター監督は、前作が長編デビュー作で、「ヘレディタリー 継承」というホラー映画を撮っています。これが2作目です。
この「ミッドサマー」は、ジャンル的には「ホラー」にカテゴライズされていますが、どうなんだろう? なんかちがうんだけどな。ざっくり言うと、旅行先でトラブルに遭う話です。
あらすじはこんなかんじです。
「不慮の事故により家族を失ったダニーは、大学で民俗学を研究する恋人や友人たち5人でスウェーデンを訪れた。彼らの目的は奥地の村で開催される「90年に一度の祝祭」への参加だった。太陽が沈むことがないその村は、美しい花々が咲き誇り、やさしい住人たちが陽気に歌い踊る、楽園としか形容できない幸福な場のように思えた。しかし、そんな幸せな雰囲気に満ちた村に不穏な空気が漂い始め・・・」
あまりこの映画が好きですと他人には言わないほうが良いのですが、じつは好きです。かなり好き。
監督のセンスが好きなのかもしれない。
前作はいまいちピンとこなかったのですが、この映画で確定しました。ああ、オレはこの監督が好きなんだと。
なんといっても映像が美しいのです。白夜の国で、白いリネンのドレスを着たお姉さんたちが歌い踊っています。ヒロインのお花で飾られた衣装(写真参照)、どうですか。スゴイですよね。小林幸子もビックリだぜ。
後半になると映像のなかにCG処理が増えて来て、なんか花とか背景とか料理とか、もぞもぞ動くんです。
なんかワクチンの副反応で、自分の脳がバグっているのかと思いました。ドラッグ感がヤバいです。
わざわざ長いディレクターズカット版を観たのですが、世間的には「だるい」とか言われてるようですが、すっごく楽しめました。できればこちらを観た方が良いです。
この監督はけっこう性根が腐っているみたいで、前作もこの作品もそうですが、登場人物に全然感情移入できません。
出てくる奴はみんないけ好かない連中。好感度が高いやつが皆無。
そのせいで、どんな悲劇が待っていようと(冒頭の10分ぐらいでハッピーエンドな映画でないことは誰にでもわかるようになっています)わりと平気です。
基本的に映画の半分以上はスウェーデンの一部地域で行われる特殊な「お祭り」(創作です)を実況中継している内容なので、観光気分で眺めていると楽しいと思います。
この映画が好きだと言えるようになれば、なかなか見どころのある変態かと存じます。

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感想(0件)



posted by ゆうすけ at 20:44 | TrackBack(0) | 映画・TV

2022年02月13日

地球外少年少女

NHKでかつて放送された「電脳コイル」というアニメをご存知の方は、その監督をやっていた磯光雄氏の新作アニメ「地球外少年少女」が公開されたこともご存知かと思います。
ご存じない方は、今、知りましたので、急いで観るように。
2022年のベストが早くも登場です。
chikyuugai01.jpg「地球外少年少女」(Extra-Terrestrial Boys & Girls)
監督 磯光雄
脚本 磯光雄
原作 磯光雄

ちなみにこの作品、本当は劇場用ではなく、全6話の作品です。
地上波やBSでは今のところ放送予定がなく、NETFLIXが独占配信しています。
それと同時に劇場で、前・後編の2回に分けて公開されました。
管理人は劇場まで足を運べなかったので、この作品を見るためだけにNETFLIXに昨日加入しました。
全然後悔していません。いや、もう元は取った気がしています。

作品のあらすじは、こんなかんじ。
「舞台は、インターネットも、コンビニもある「2045年の宇宙」。日本の商業ステーション「あんしん」で、少年少女たちは大きな災害に見舞われる。大人とはぐれ、ネットや酸素供給が途絶した「あんしん」から、自力での脱出を目指す子供たち。ときに仲間の、ときにAIの力を借り、生きるための行動を採る彼らは、史上最高知能AIが語った恐るべき予言の「真意」にたどり着く。
絶体絶命の状況下で、子どもたちは何に触れ、何に悩み、何を選択するのか――。」

「電脳コイル」もそうでしたが、磯光雄監督の描く近未来の映像は、既知と未知がうまくミックスされて、違和感は無いのにとても刺激的です。今回は「宇宙」が舞台なので、アニメでは描写の難しい「低重力」(火星や月面の重力が人工的に再現されています)などがしっかり表現されています。王道のジュブナイルSFなので、できれば少年少女に観てもらいたいのですが、どうも年齢の高い層に人気が出ているようです。

できればあまり余分な情報を見聞きしない状態で鑑賞していただきたい作品です。
それもできるだけ大きな画面で。
SFや宇宙開発、コンピュータやAIなどに興味が無い方は、最初は戸惑うかもしれませんが、「未来を体験する」映画だと思って最後までおつきあいください。
作中ではAIのシンギュラリティが描かれますが(そのために時代設定が2045年なのです)、「知性とは何か」「人類と人間は同義か」「未来は予測可能か」といった問題が提示され、「え、子供向けじゃないの」と慌てる方もいるかと思います。そういう方は「電脳コイル」もご覧ください。
ジュブナイルだからといって、大人の鑑賞に耐えられないわけがない。
むしろ逆なのです。
大人の鑑賞に耐えられない作品を、どうして子供たちに見せられるのか。
宇宙SFが好きな人と、そうでない人へ。貴方のために未来を見透す。
posted by ゆうすけ at 17:58 | TrackBack(0) | 映画・TV

2022年02月01日

平家物語

2022年の冬アニメが始まってはやひと月。気が付けば2月ですよ。
管理人は最近はあまり熱心にアニメを追っかけてはいないのですが、今期ダントツなのはやはり「平家物語」です。
フジテレビ系列で1月から放送されています。
原作は古川日出男訳の「平家物語」。
スタッフが超豪華。
監督 が山田尚子、シリーズ構成と脚本が吉田玲子、キャラクターデザインが高野文子!(原案)
アニメーション制作はサイエンスSARUです。
山田監督は京都アニメーションから独立したそうですね。
今後の活躍がますます期待される方です。

この「平家物語」、アニメ化にあたり、すっごいアイディアをぶち込んできました。
架空のキャラクタである「びわ」という少女を登場させ、彼女の視点からこの物語を俯瞰させようというアイディアです。すげえ。天才かよ。
もともとが琵琶法師たちによって語り継がれてきた物語なので、その琵琶法師である「びわ」に語らせるというわけです。
さらにすごいのは、この少女「びわ」のキャラクタデザイン。
ここ数年でいちばん優れている。高野文子、おそるべし。
biwa01.jpg「平家物語」に登場する「びわ」
琵琶法師の父親を平家の武士に殺される。
未来(さき)を視る眼を持つ。

「びわ」のデザインで特に優れているのは、眼の形です。
マンガやアニメでは、テンプレートな眼の描き方が決まっているのですが、「びわ」の眼はちょっと違う。
管理人は、この独特なフォルムについてあれこれ考えていたところ、ツイッターで謎を解いていた人がすでにいたので驚きました。
「びわ」の眼のデザインは、文字通り「琵琶」の形をモチーフにしているのです。
うわ、そうか。確かに。すっげ。高野文子、天才かよ。
という具合に、馬鹿みたいにはしゃいでおりました。
お判りでしょうか。
目じりの丸くカーブした部分が「琵琶」のお尻です。
この子のデザインが出来た時点で、もうこの作品は勝利したも同然です。
作画や美術もものすごく丁寧で、脚本や演出についてはもはや言うまでもありません。
だって山田尚子監督と吉田玲子さんの脚本ですから。地上最強のコンビでしょう。
管理人は、この二人になら「僕の心のヤバイやつ」というマンガのアニメ化をお任せできると、ずっと思い続けているのですが、「平家物語」の次のお仕事はもう決まっているのでしょうか。
秋田書店は1億円持って、はやく二人のところへあいさつに行くように。
posted by ゆうすけ at 20:32 | TrackBack(0) | 映画・TV

2022年01月26日

ODDTAXI(オッドタクシー)

「擬人化された動物たちが活躍する面白いアニメがあるよ」
と言われて
「ズートピアですね」
と答えた方は、正解です。あの作品が今のところ、当該ジャンルではベストです。
一方で、日本の深夜アニメでもかなりがんばった作品が「ODDTAXI」です。
oddtaxi01.jpgオッドタクシー(2021)
原作 P.I.C.S.
監督 木下麦
脚本 此元和津也
アニメーション制作 P.I.C.S.、OLM

2021年4月〜6月に放送された作品ですが、管理人は先日ようやくアマゾンプライムで観ました。
動物擬人化アニメでは、漫画原作の「BEASTERS」が最近のヒットですが、管理人的には世界観がどうしても馴染めずにアニメは全部は観ておりません。原作は雑誌連載で全部読みました。
「BEASTERS」の世界では、様々な動物たちが人間のように知性を持って暮らしており、それぞれの動物的特性を残しつつ、基本的に二足歩行(手足は人化しています)で、言語で意思疎通します。「草食・肉食」などの違いはありますが、なぜか異種間でも生殖可能で、オオカミとウサギでも子供をつくれます。この世界での「種族の違い」は、我々の世界での「人種・文化の違い」のメタファーだと考えられます。
すべての動物擬人化アニメがこの設定かと言うと、一概にそうとは言えません。
今回レビュウしている「ODDTAXI」は、こうした世界観を含めての「ミステリィ」仕立てです。
犯罪などが出てきますので、あまり小さなお子様にはお勧めできない。
あらすじはおおむねこんな感じです。
「個人タクシー運転手・小戸川(セイウチ)は、身寄りがなく他人とも関わりたがらず、少し偏屈で無口な変わり者。自他ともに認める天涯孤独の身である小戸川は平凡な生活を送るため、彼の運ぶ客や数少ない友人との会話に応じることでコミュニケーションと自我を保っていた。何気ない人々の会話が繰り広げられる中で、やがて失踪中の一人の少女が関わった事件に繋がっていく・・・。」

作品のテイストは、ちょっとマイルドな「闇金ウシジマくん」です。
都市に生きる様々な人々のちょっといびつな欲望が活写されています。主人公はあまり欲が無いタイプですが、いわゆる「巻き込まれ型」のパターンで物語の中心になっていきます。
脚本が上手かったので、誰だろうと思って調べてみたら、意外な人物でした。
此元 和津也(このもと かづや)という人なのですが、じつは漫画家です。『セトウツミ』という、二人の高校生が延々無駄話をしているマンガを描いた人です。うわ、お前だったのか。
才能ある人なので、名前を覚えておくと、「当たりの作品」を探すときに役立つと思います。

全13話で、きれいにまとまっています。
2022年に総集編プラスアルファの劇場版ができるそうですが、先にTV版を観た方が良いでしょう。
久しぶりに「深夜アニメ」らしい作品を堪能できました。

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posted by ゆうすけ at 18:47 | TrackBack(0) | 映画・TV

2021年12月04日

EUREKA

「交響詩篇エウレカセブン」は2005年から始まったTVアニメです。
ジャンル的にはSF・ロボットアニメで、ボーイ・ミーツ・ガールのドラマでもあります。
その「エウレカセブン」は、2009年に劇場版「エウレカセブン ポケットが虹でいっぱい」が作られ、さらに2017年から「ハイ・エボリューション」シリーズとして劇場版3部作が制作されました。
その3作目(完結編)の「EUREKA」が2021年11月末から公開されたので、管理人はサックリとご鑑賞してまいりました。
eureka01.jpg「EUREKA/交響詩篇エウレカセブン ハイエボリューション」
公開日:2021年11月26日(金)
監督:京田知己
脚本:野村祐一、京田知己
原作:BONES
アニメーション制作:ボンズ

金曜日の最終上映(21:20から)でしたが、お客さんは管理人を含めて5人ぐらい。うむ、そうか。
ネットなどの評価はあまり高いとは言えないようですが、他人の評価を気にする人は、こういう作品は観ない方が良いです。いろいろな設定(ものすごくたくさんある)を全部すっ飛ばしていきなり始まります。
ちなみにTVシリーズとは、設定というか世界観が違います。
ではハイ・エボリューションシリーズは独自に完結した作品なのかというと、そうでもない。
TVシリーズや劇場版(ポケットが・・・)、ゲーム、パチンコなど、多方面でメディア展開した「エウレカセブン」シリーズの、「シン・エウレカセブン」バージョンのような仕組みです。
このあたりは設定をやっているスタジオぬえの森田さんが、無理やりすべての作品を統合しようとした結果、多元宇宙や仮想世界が入り混じる、初見殺しの映画が出来上がったものと思われます。
ちなみにこの「EUREKA」ですが、多少なりとも理解するためには、前作の「ANEMONE」が必修です。前作のラストの「大融合」から10年後の物語です。
ヒロインのエウレカは、前作の少女期から10年経過しており、すっかり大人です。
休日は酒と筋トレに勤しむ、最強の軍人になっています。うわ、TVシリーズのファンが離れてゆく。
この映画では、大人になったエウレカが、過去の自分が有していた能力を持つ「アイリス」という少女との逃避行がメインストーリーです。「アイリス」を狙う敵の目的や背景が、この作品になじみが無い方には「まるで分からない」はずなので、低評価は無理ないかなと思います。
個人的には軌道エレベーターを使った大規模テロを、初めてアニメで「かなり正しそうに」描いただけで、高得点だと評価しています。
一見シリアスな物語ですが、気が付くと「逆襲のシャア」をなぞる展開(登場人物があえて言及しています)になっていたりとか、ラストはおそらく「サイボーグ009」へのオマージュかなとか、可笑しい箇所がいくつもあります。
16年にわたって様々な形で製作されてきた「エウレカセブン」ですが、これにて大団円です。
管理人は敬意をもって花マルをあげちゃいます。

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感想(1件)


posted by ゆうすけ at 16:22 | TrackBack(0) | 映画・TV
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銀河大計画別館の管理人。 「銀河大計画」は、1993年から細々とやっている同人誌です。 ゆうすけが書いたネタや没ネタなどを、別館で細々と掲載します。どうぞよろしく。 アイコンコピーライトマーク卵酒秋刀魚さん。
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