2024年05月31日
559.ゴーストシンク
おはようございます。あるへです。
本日はこちら「Ghost Sync」のレビューです。
以前プレイした竜頭蛇尾の微妙ゲー・ロストドラゴンと同じ絵柄の作品なので、そこはかとなく警戒していたのですが……。
ええ話やぁ、ええやないかぃ!
特に引っかかる設定や展開などもなく、堅実に作られたストーリーラインは読み心地が良く、尖りすぎないキャラの個性もとても好感が持てました。その上で各キャラにはそれぞれ複雑な秘密があり、それらがメインストーリーと絡みながら少しずつ紐解かれていくカタルシスのバランスはすごく良かったです。
そして私がここまで本作に好印象を抱いた縁の下の力持ちとして、BGMの存在が欠かせません。
すごく良かったんですね。
特に街中でのBGMは非常に落ち着かせてくれ、大好きでした。実績コンプしてから、ゲームデータを消すまでに、もう一度起動して聞きに行くほどです。
最近、鬼門となりつつある歩数実績ですが、今回は気づいたらいつの間にかってレベルです。
その理由は、魔物図鑑の存在にあります。
本作にはロストドラゴンと同じく、モンスターを一定数倒すとご褒美(めっちゃしょぼいけどコレクティブル要素とか好きならやるしかないよな)がもらえるシステムがあるのですが、これを埋めるためにはやはりマップ上をひたすら歩き続けることになるんですね。恒例の魔物呼び寄せの装置もあるのですが、無いダンジョンやフィールド上でもしっかり埋めていく必要があり、こういった場所でかなりの時間と労力を食われることになります。
で、ここでしっかり足元を見られてるので、本作には魔物呼び寄せシステムがない場所での、エンカウントを楽にするようなアイテムが登場しません。オプション欄にしっかりエンカウント調整の項目があるので、楽したかったら追加料金払ってね、ってことですね(一歩歩くごとにエンカウントするアトラクトリング、これも恒例のアイテムなので、こいつの登場はまだかまだかと待っていたのですが、ついに登場せず)。
結果的に楽しく全項目埋めることが出来ましたが、もう少し多かったらどこかで糸が切れてたかもしれない。ちょっとウゼーと思いました(笑)
ちなみに図鑑埋めの作業は実績解除に一切関係ありません。
もう一つ物申したいのは、最近存在感を強めているスキルツリー制度についてです。本作以外にも何度かスキルツリーという成長システムが登場したのですが、んー、これはなぁ。
ぶっちゃけKemcoゲーとは相性が悪いと思うんですよね、個人的に。
というのも、スキルツリー自体は私も大好物なんです。レベルアップして見えない場所で自動的にステータスが上がったり、勝手にスキルを覚えるよりも視覚的に成長したことが実感でき、ツリーを眺めることで自分がどれだけ強くなったか、視覚的に確認することが出来ます。
その上で、上位のスキルを覚えるには下位のスキルを覚えなければならないなど、スキルツリーシステム上の制約が発生し、これがゲーム的な面白さや成長の方向性の選択の面白さに繋がっているので、私はツリーシステム自体は大好きなんですよ。
ただね、そこには注意点があります。
自分がどれだけ強くなったか視覚的に楽しむためには成長速度に比して、何度もそのツリーを目にする機会がなければなりません。
上位のスキルを覚えるために下位のスキルを覚えなければならない、その制約を有効に活用するためには、上位のスキルを覚えたいけどまだ我慢しなければならないストレスを溜めねばなりません。
そして、スキルツリーが枝状に分かれている必然性は、最終的にすべて覚えることはできないからこそ、どの枝を伸ばしていくのか選択しなければならないという心理的ジレンマを利用している点にあります。
こういったスキルツリーシステムの本来のゲーム性というのが、Kemcoゲーには合わないんですよね。だってスキルを覚えるためのポイント簡単に稼げますし、我慢する必要も無くがんがん伸ばしていけるし、結局全部覚えられる上にまだ余っていくし。
と、こうなると、スキルツリーの良い所ってのは全部死んじゃって、本来ならレベル上げるだけで勝手に覚えていくはずだった様々なスキルを、いちいち指定して、覚えて、さらにそのレベルを上げて、っていう作業感だけが募って虚無に陥っていくと思うんですよね。
別に字面の圧力ほどクソつまらんシステムってわけではないんですが、ほとんどの戦闘をオートに任せているとスキルツリーいじるのめんどいなって、感じちゃうんですよね。個人的に。
だからといって全員分のスキルツリーとにらめっこして役割を考え、バランスよく配分して試行錯誤してってなると、そりゃもうKemcoゲーじゃないですし……。そろそろKemcoゲーならではの、こういうゲームだからこその成長システムが欲しいところですね。
と愚痴が長くなりましたが、全体としてはちゃんといつもの、そしてアスデバシリーズよりも最近のツールというかエンジンというか最新のシステムなので、非常に遊びやすいです。レイヤーをふんだんに使っていて、ダンジョンはかなりの迷宮でしたけど(笑)
なによりキャラが可愛く、ストーリーとBGMが良いので、普通に感情移入してじっくり遊べると思いました。お勧めですよ(話者を示す"ふるふる、ぴょん"は可愛いけどテンポが悪くなるのが悩みどころよね)。
2024年05月24日
558.Asdivine Saga
おはようございます。あるへです。
本日はこちら「アスディバイン サーガ」のレビューです。
以前ぼやいたと思うのですが、本作が例のアスデバシリーズ第一作目だったはずです。なのでKemcoがXbox界に降臨して最初に放ったアスディバインハーツや、つい最近遊んだアスデバシリーズ二作目のクロスなどと同じように、そこかしこに蔓延るもっさり感や痒いところに手が届かないもどかしさを覚悟して起動したんですね。
ストーリーとか、演出とか、課金アイテムの種類の少なさとか、そういったものは抜きにして、たとえば戦闘中に敵がアイテムをドロップしたり、盗んだりすると、○○を盗んだとかテロップが現れるのですが、初期の作品ではこのテロップが消えるまで戦闘がストップしており、積み重なると結構なもたつきになっていたんですよね。必殺技で全敵、全所持アイテム一気にかっさらったり、武器に確率で盗むオプションをつけてたりするとね。
とか、たとえば街や外のフィールドを歩く際、カメラもまたキャラに追従して動くと、これまた古い作品ではカクツキというのか何なのか、ひっかかりが発生するんですよね。遅延ではなく、コマ送り感が現れるんです。
とか、戦闘直後に移動キーを入力していると、右下だったか左下だったか、斜め入力を一瞬感知してくれなくて、一度スティックをニュートラルに戻す必要があったり。などなど、などなどなど。
そういった、システム面での、遊べば分かる違和感や技術力の低さを警戒して起動したんです。
それがいったいどうしたことでしょう。
これはもはや今流行りのリブート作品といっても差し支えないかもしれない。
たしかにストーリーやドットの作り込みなどは古臭いですよ。ただ、今述べたような、Kemcoの中でも古めの作品をプレイする時にたいてい付いて回っていたこれらのもっさり感が、きれいさっぱりなくなっていました。
あまりにも古臭いから少し前にレビューした彩色のカルテットのような当時のエンジン、当時のツールでシステム面を焼き直したってことなんでしょうかね。
とにかく快適で、移動も滑らかで、戦闘も驚くほどスピーディーで、全然嫌な感じがしませんでした。
ストーリーは練り込みが甘いとかそんなレベルではないのでもはや何も言えませんけど、面倒くさいことすっ飛ばして展開していくテンポの良さは嫌いじゃないです。
逆に、怒涛の展開が落ち着いてきた中盤あたりから、同じダンジョンを何度も往復させるなど飽きが来ていましたが、後味もスッパリなので全体的には好感触。追加ストーリーとかでグダグダ引っ張らないのが潔いですね。
唯一不満だったのが、これも彩色の時に述べた総移動歩数の実績。今回は船だろうと飛空艇だろうとうまくカウントが稼げず、非常にだるい時間をすごさせてもらいました。
というか今この記事を書きながら裏で輪ゴム放置してます(笑)
2024年05月17日
557.アームド&ゴーレム
おはようございます。あるへです。
本日はこちら「Armed Emeth」のレビューです。
本作はHit-Point製のKemcoゲーですが、総合的に見てグラフィック全振りゲーでした。
いやね、一風変わった世界観や、それに則った戦闘システムなど光るものは感じられ、そこはかとなく、なんとなぁ〜く漂うワイルドアームズ感やゼノギアス感は正直悪くはなかったんですよ。ちゃんと戦闘は面白かったし。
ただし、シナリオが、ね、良くないんですよね。
ゲーム制作に本格的にかかる前に作ったと思われる世界観設定はよく出来てるんだろうなと思います。頑張った感じはしました。ただ、それをゲームに落とし込み、ストーリーや表現として描き起こすライターの腕が、今回は及ばなかったように思います。そのせいで作り込まれた世界観の魅力を引き出しきれず、イマイチ没入できない雰囲気ゲーに成り下がったのかなと。
今作はその独特な世界観ゆえ、開幕から「ルシがパージでエボンジュ」をぶっ放してきます。後の展開で少しずつルシが何でパージが何なのか明らかにはなってくるのですが、一度セリフ内でさらりと解説されたらあとはもう投げっぱなし、すでに十分理解しているものとして物語が進んでいくんですよね。
理解したからといってそれで更に物語に深みが出て面白くなるわけでもないので流してもいいのですが……。
問題は、というか本作で私が最も苦戦したのはそんなスタンスの中で、作中に五人か六人くらい出てくる女性の扱いです。既に人数からして怪しい(笑)
たしか、アンナ、マイア、マリア、ミリア、ステラ…だったかな。
この五人は登場機会というのが最序盤か最終盤に限定されていて、その人物像やエピソードを記憶に刻むチャンスがほぼありません。そのくせ、物語ではかなりの重要人物として主人公たちの口から彼女たちについて度々語られます。
厄介なのはこの五人の女性は、この女性同士、と同時に主人公たちとも相関関係を持っており、まるで海外ミステリばりの複雑な血縁関係にあるのです。
登場人物の半数はみんなファミリー説まであるので誰がどの妹で嫁で娘なんだか非常に混乱する上に、名前が皆似た響きなのが混沌(カオス)に拍車を掛けていました。
結局、道中主人公たちがそれぞれの想い人のために熱くなるシーンでも、その人がどんな人なのかイメージできず(説明はされたはずだけど)、またエンディングを迎えても今いるこの人がどの立ち位置なのか理解できておらず、ただ憮然と眺めているだけでしたね。
これがHit-Pointの味とでもいうのか、淡白でぶつ切りなセリフ回しなんですけど、今作はその中でも文字数は多い方でありながら、このセリフ、この情報が後に続いていかないぶつ切り感を醸していて(理屈で説明するのはとっても難しい)、引っかかるんですよね。
街にいるMOBすなわち世界観を表現する役しかないNPCたちというのは非常にメタな存在となっていて、世界観を「説明」するか、その世界観のテーマとなる哲学的な内容に踏み込むと非常に「説教」臭くなるんですよね。
どっちか片側に寄り切った極端な世界なので、そらぁ書き手としちゃあ説教しやすいでしょうよ。
で、こういう物語に落としきれない世界観の設定や補足、あるいはライターのエゴに基づいた説教を披露するときはだいたい饒舌になり、たかがMOBのくせに何度もページ送りしないと放してくれないクドさに繋がっています。
とにかくクドくてうるさかったです。
うるさいくせにその会話単独で完結しちゃってるから、ゲームに滑らかさが無いのかもですね。
世界観はよく作っただろうし、グラフィックはもちろん良い。ゲームとしても面白さはあったけれども、これら事前に作り込んだ部分で、それをそのまま仕様書通りに作ればいいシステム面とは裏腹に、その人の経験値や技術がもろに出てくるシナリオ面では、材料をだいぶ無駄にしてしまったと感じました。
あっ、思い出した。
今作のダンジョンのBGMはバグだろ? そう言ってくれ。
三秒くらいのフレーズが無限ループするこのBGMは、使うシチュエーション間違ってない? これギャグパートで使うやつだろ? ダンジョン内だけならまだしも、敵要塞とか、そこでのド・シリアスなシーンでも常にこれが垂れ流されていて、この仕様一つで演出のクオリティがガッタガタ。脳が腐るかと思いました。
2024年05月10日
556.Sniper Elite 3
おはようございます。あるへです。
本日はこちら「スナイパーエリート3」のレビューです。
昔GwGで無料配信された360のスナエリ2をきっかけに本作を知り、好きになり、その外伝作としてゾンビアーミーシリーズに夢中になったんでしたっけね。
架空のナチスと戦う狙撃兵のお話で、重力や風の影響を考えながら、長距離から狙撃するロマンにフォーカスした、スナイプゲーの先駆けとも言えるシリーズ作です。
壊れた発電機や上空を横切る戦闘機の爆音に紛れて狙撃音を消すのが本作ならではの醍醐味ですね。
毎度おなじみKemcoのヌルゲーに飽きてきたので刺激を求めて本作を起動したわけですが……いやムズすぎでしょ(笑)
マップの入り組み具合が半端なく、初見はマジで迷路。双眼鏡でスポットしないと本当に敵兵が見えなく、そんな中でコレクティブルもかなりわかりづらいので、攻略初期はだいぶ胃を痛めましたね。
また、予習・探索中は難易度を最低で遊ぶので、本シリーズならではの面白さも見えてこず、ひたすら「これじゃない」感を感じていました。
スナイパー無双とでもいうか、ゾンビアーミーの方が楽しかったなぁと感じてしまうほど。
ただし、コレクティブルを集めきり、敵配置やマップの構成などある程度の予習を済ませた後の本番、つまり難易度スナイパーエリートやオーセンティック攻略に移ると、あの頃夢中になったスナエリシリーズの興奮を再び思い出したのでした。
スナイパーエリートも難しかったですが、HUDが消えスポットもできず、セーブすらできないオーセンティックはべらぼうに難しかったです。
初見攻略時に最も難しいと感じたミッション7を最初に挑戦したのですが、ウォークスルー動画を参考にしつつ自分なりにアレンジも加え、やっとこクリアに漕ぎつけたのは五時間後でした……。
なんでクリアしちゃうのよ、ここで躓いとけばこの実績はきれいさっぱり諦められるのに(笑)
というわけで次にラストミッションに挑戦し、こちらも三時間くらいかけてようやくクリア。
その他のミッションも平均二時間くらいかけてへろへろになりながらクリアしていきました。見つかったら即死というわけではなく、敵の侵攻ルートを絞れる効果的な籠り場所なんかを見つけられれば、ライフルやサブマシンガンの乱射などで無双できるのも助かりましたね。
また、本作は一本道ゲーだった前作とは差別化を図り、広大なオープンマップでのミッションとなります。ある程度攻略ルートは限られますが、広いマップを活かして超長距離から強引に狙撃したり、クリア済のエリアまでひたすら逃げて警戒を切ったり、あるいは増援の敵や戦車を、ミッション更新する前にそのルート上にトラップを仕掛けておいて出オチさせるなど、本作ならではの攻略法もありました。
ただ、前作でもそうだったと思うんですけど、敵の挙動やマップの作り込みは詰めが甘く、予期しない行動を取ったり、マップにはまったり、障害物を貫通してこちらを発見したり、あまつさえ弾やグレネードが届いたり、逆にこちらは見えない壁や鋼鉄よりも硬い木の葉に防がれたり……。
爽快感とストレスのメリハリが非常にきつく、難易度が高いほど熱くなれましたが、すげぇしんどかったです。そもそもが難しいゲームなので、クリアの達成感は本シリーズの大きな魅力ですね。
マルチ必須の実績は三つかな。これはもう仕方ない。スナエリ3はもとは360の作品で、しかも現在は5まで出てるので野良はまったくいません。
というか。
本作は日本ストアには置いてないのでお察しですね。もちろん全て英語です。
ヌルゲーの世界に戻りま〜す。
2024年05月04日
555.アルファディア ジェネシス 2
おはようございます。あるへです。
本日はこちら「AlphadhiA Genesis 2」のレビューです。
アルファディアの悪夢再び……かと思いきや、今作はまぁまぁ楽しめました。
やっぱり前作の評価は散々だったのかな、シナリオにはだいぶ力を入れた様子でした。本作は世界を席巻する白のエナジ勢力と、虐げられる黒のエナジ勢力の反乱の様子が描かれており、主人公は反乱軍側です。
主人公が白勢力である帝国軍に虐殺の憂き目に遭う場面から始まり、小さな村を回って戦力を募り、反乱軍のリーダーとして黒の軍団を率い、帝国軍に刃を向ける戦記物となっており、思わぬスケールの大きさにしぶしぶながらも(笑)興味は惹かれていきました。
同時に一枚岩ではない帝国軍サイドの様子もイベントとして度々描かれ、特にそちら側の人間模様が意外なほど面白かったですね。
深謀遠慮と威厳にちゃーんと満ちた皇帝はラスボスとして相応しい風格を持っていたし、その皇帝に忠誠を誓う腹心たちもちゃんとその役に相応しい人間力を持っていました。これを描けるのは素直に感心しますが、私は見逃しませんよ。スタッフロールにシナリオアシスタント役職の欄があることを。
本命のシナリオライターは前作と同じ人なので、第三者視点でアドバイスができる人に、骨を折ってもらったんでしょうね……。知らんけど。
いや、それでも偉い。ちゃんと進歩した面白いストーリーでした。
が。
全部が全部面白かったかというと、実はそんなことあるわけないんですよね。
マクロ視点(大きな視点)での戦況や戦局、帝国側の人間模様の描写など群像劇は面白かったのですが、対して反乱軍側、主人公サイドの状況や、ミクロ視点でのより細部に拠った個人とのエピソードなどに関してはツッコミどころが多すぎて、腹を抱えて笑ったほどでした。
本人たちはあくまで真面目にやってんですけどね。
例を挙げると、最序盤。
燃えて崩壊寸前の家に突入し、父親を助けようと駆け寄る主人公。辛うじて息のあった父親はそんな息子を見るなりこう言います。
「馬鹿野郎、お前、なぜ戻ってきた。このままではお前まで焼け死ぬぞ。早く逃げるんだ」
本作もまた声優を起用しているので、フルボイスとは言えずとも、ここぞといったイベントシーンで、声優が感情たっぷりに演技してくれるのは、かなり受け取れる印象が違います。失礼ながら知らない人たちばかりとはいえ変な棒読みなど皆無で、ちゃんと引き込まれるものがあるんですよね。
なのでこのシーンも大変感動的なシーンではあるのですが……。
ま、ネタバレしてしまうと、主人公は外でドンパチしていた際に、不意に誰かが自分を呼ぶ声を聞くんですよね。そしてその声の正体が父であり、目の前の燃える家から聞こえてきた。
だから思わず入っていったんですよね。
そう、お前が呼んだからだろぃ!
他にもありますよ。
仲間の一人は復讐の決意として家に伝わる伝統の服を着ていて、これは絶対に脱ぎません、と仲間に告げるんです(そのために装備不可な防具があるくらい)。
その直後に、別の仲間が帝国軍の鎧をかっぱらってきて、これを着れば怪しまれずに街の中に侵入できるぜ、と。
そのことに誰一人異を唱えずイベントは進行しました……。もちろん、脱がぬと公言した彼女は当たり前のようにこの鎧を来て街に潜入しました。
まだまだありますよ。
百戦錬磨の皇帝陛下は敵つまり主人公サイドが用意した要塞の弱点を見抜き、水攻めを敢行します。これにより反乱軍は壊滅状態、私自身もおぉっと思ったものですが、直後に、「要塞内に突入せよ! ネズミどもを皆殺しにするのだー!」って、えぇ!? 水攻めしたんでしょ? 地下に網の目のように通路を掘りまくった反乱軍肝入りの迷路内に大量の水を注ぎ入れたんだよね? それによって数千の反乱軍が溺れ死んだんだよね? その直後に、その中に入って行けと……?
と、このように、噴飯もののエピソードが満載でした。シリアスな展開のゲームなので、書いてるほうも、ゲーム内の登場人物たちも、いたって真面目なんですけどね。
さて、話が長くなったのでそろそろ切り上げたいのですが、本作の注意点をざっくりまとめておくと、本作はRPGです。それもKemco否Exe-Createの中では古い方の、です。
それはつまり、昨今の手軽にさっくりやりこみRPG、ではなく、ちゃんとしたRPGを目指して作られた、ということです。
いつものKemcoゲーにはありそうな便利なアイテムのほとんどがないし、ミニマップもないし、真面目にやるとブーストシステムのメリット・デメリットを把握して使いこなさなければならないし、ダンジョンは長いし。古いゲームなのでもっさり感は否めません。
ただまぁ、いうてやっぱりKemcoゲーではあるんですよね。ファイタークラスの全体複数回攻撃スキルを主軸に戦闘評価A以上を乱獲し、過去一稼ぎやすい課金ポイントをありったけ種アイテムの購入に注ぎ込めば、もう最序盤からゲームバランスをぶっ壊して快適に進むことが出来ます。
このカラクリに気付ければブーストシステムがどうのという不満は解消するでしょう(オートはどのようなアクションでもブーストを1しか吐かないので産廃です。開幕5ブースト使ってショックウェーブ。1ターンキルとともにオーバーキルにより消費EP全快、戦闘評価も敵三体以上でほぼA確定で毎戦闘3課金ポイントゲット、貯まったポイントを全部STRの種に注ぎ込んで……てな感じ)。シンプルな分、わかりやすく強くなっていけます。
ただ、ダンジョンのデザインは覚悟したほうがいいでしょう。
最強の迷路とは、まっすぐに延びた一本道だ、とはよく言ったものです。途中休憩して、トイレにいってついでにコーヒーを淹れて戻ってきたら、自分が前と後ろどっちに進んでいたかわからなくなって入り口からやり直したこともありました……。
ミニマップもないから余計に不安になるんですよね。
あと前作もそうだし、これと似た傾向の今までの作品でもそうでしたが、本作もまた「フラッシュゲー」です。エンカウントする度に画面の端から端まで全てが一瞬白一色になります。
これがもう、目に辛い辛い。
部屋を明るくして画面から離れてプレイしましょう。頭痛や吐き気を感じたらすぐに中断し、横になりましょう。そして後日プレイを再開して、どちらに進むべきかわからなくなって、ダンジョンを最初からやり直してください(笑)